まさか女に投げ飛ばされるとは思わなかった



「柔よく剛を制す」



その日は、スターフォックスのを加えてからの初めての定期訓練日だった。
普段は自主訓練のみのメンバーが互いの精進を確認しあうため、的な物だったとファルコは記憶していた、
もう3年近くと言う月日の中でマンネリと化した訓練結果が出ているので、はっきり言って最近はあまり
大々的にはやっていなかった。
いつも変わらずスリッピーがビリでフォックスがその次、そして3回のうち1回はファルコがトップで
普段はずっとペッピーが一番この体術訓練で栄冠を勝ちとっていた。フォックスいわく昔から父さんと
二人で無敵伝説を作り上げてきたらしい・・

そんな超人の相手をしなければならないと思うと少々気がめいるもののファルコはそれでもゆっくりと
更衣室を出て少し離れた訓練室(ファルコに言わせればそこは紛れもなく柔道室)へと向かった。
朝食の後片付けの当番だったので他の4人より少し遅れていたのだった。





後10数歩で扉というところで室内でダァン!と勝負の決まったいい音が響いてきて、
柔道着姿のスリッピーが慌てて部屋から飛び出してきた。

「何だ?どうした?スリッピー。」

「ア、ファルコー、よかったぁ、まだファルコが残っていたんだよね、」

「はあ?どうしたんだよ、いきなり。」

とてもあせっているスリッピーにファルコは理解できずに言うと
スリッピーはとにかく中に入ればわかるよ、とファルコの後ろに回ってぐいぐいと押しだした。

「だからなんだって・・・」

部屋に入り、ファルコはそこまでで言葉を失った。部屋の壁には目を回したフォックス、そして部屋の中央には今まさに払腰で
投げ飛ばされんとするペッピー、あのペッピーである。そしてその投げ手、おそらくフォックスもその強力な一撃で
葬ったであろう

ダァン!

「あわわわ・・やばいなぁ、ペッピーまでやられちゃった。」

ファルコの後ろから顔を出して言ったスリッピーの顔には良く見れば横っ面に畳の後がついていた。

「お前も入れて3人とも投げられたってことか?」

「うん、そう。ペッピーがの腕だめしだ、って一瞬で負けちゃった。」

ドアのところで話していると腰を打ったのかふらふらしているペッピーを
支えていたが二人に気がついてファルコも一本やらない?と呼びかけてきた。

「面白れぇ、おっさんや、こいつらに勝ったからって俺に勝てるとは限らねぇぞ。」

後ろで慌てるスリッピーを無視してペッピーと入れ替わるようにファルコはの前に経った。

「じぁ、やろっか、スリッピー合図お願いね。」

「後で泣いてもしらねぇぞ。」

「それは後でのお楽しみ・・」











組合が始まって柔数秒後、ファルコはあっという間に背負落し投げで中へ放り出されてしまった。

「ほらー、また私の勝ち!」

仰向けに転がったファルコがもう一度だと立ち上がると後ろが目が覚めたフォックスとスリッピーが頑張れだのと応援を始めた、

「ファルコ〜得意の寝技で一本取っちゃえ〜!」

オー、とスリッピーのその言葉に手を振ろうとすると目の前のはクスッと小さく笑い顔に満面の白いのに
どこか黒さを感じる笑みを浮かべて言った。

「私に寝技をかけたらセクハラって言うんだぞ?」




結果、ファルコは腕挫三角固をかけられて、勝負がついても放してもらえず悲鳴を上げる羽目になったとかならなかったとか・・・。







拙話

多分に柔術を教えたのもジェームズです、
多分小さなジェームズって感じに立ち居振る舞いが似ているかと。