階段から 紐無しバンジー




「白と黒」





まさか落ちるとは思わなかった。女ではあるが自分なりにそこそこ体を鍛えていたし、特に足腰に関しては自信があるくらいだったのに、
前から急ぎ足でやってきた人物をよけきれずにその人物と一緒に階段で背骨の喪失感を味わうことになった。
無論、その後やってきた床と体のすばらしい出会いは洒落にならなかったが とりあえず後頭部強打、なんて目出度くない落ちはつかなかったのでよしとしよう。

「いたたた・・・あんた大丈夫かい?」
「ええ、どうも迷惑かけてしまったみたいで・・・」
「いやいや気にしなくっていいよ。ちょっと私の背中に凄い痣とか背骨の今後を心配しなきゃいけないかもな・・・・・貴方は。」

そこまでいって言葉がでなくなった。ぶつかってきた相手はローレライ教団最高権力者の導師イオンだった。










ローレライ教団の図書館でも奥まった所にある方へと足を運んでいた。理由は至極簡単 入り口に近い図書館はいつでも人が多く、ましてや一般の人が利用することがある為
欲しい本がなかったり余り難解な物や禁貸出の本などは蔵書していないことだ。騒がしさと本のレパートリーが相成って
用があれば少し遠いものの奥の図書館を使うようにしていた。
そこに辿り着くまでの道のりで人に会うことなどほとんどなく。リグレットやヴァン、ラルゴやその部下達など一部の者としか関わりの無いにとっては全くもってありがたかった。

そんな理由で今日も自主的に第七音素や第七譜術に関して調べようと昨日借りた本を持って図書館へと向ったはずなのに・・・なぜか自分は
導師の執務室で導師にお茶を出され、ましてや部屋への譜陣が発動する人間として登録されてしまった。

「えーっと なぜ自分はここにいるのでしょうか?」
「決まっているでしょう?僕が気に入ったからさ。」

そういって導師はにっこりと微笑んで、名前は?と尋ねたてきた。
この導師、オリジナルイオンは間違いなく黒いな・・・そう思いながらは名を名乗る。

。」
「ふーん、面白い名前だね。ってさ この間教会の裏に降ってきたんでしょ?どこから来たの?何しに来たの?」

僕に隠し事なんてしないよね?とほほえむどうしには洗いざらい話しだす。
異世界からローレライを助けるために来たこと、預言を知っていること 預言を歪めるつもりであること ヴァンが自分の存在を無い物にしようとしていること
実は第七譜術を使おうと試行錯誤中のこと(これはあの辺りをどうしてうろついていたのか聞かれただけだが。)
導師が納得するまで話した所で、導師は頷いて机の引き出しからなにやら紙を一枚取りだした。

「君面白いね、うん 気に入った、また遊びにおいで、君の存在は僕が消せないようにしてあげるから。」

はい、これ受け取ってサインして?そういってイオンはの前に紙を差し出す。
紙面には『ローレライ教団最高位 導師イオンの名において右の者  をローレライ教団律師に任命する。』とかかれている。

「あの・・・・導師?」
「何?君元からヴァンなんかのために働くつもり無いんでしょ?実は気になってたからさ調べてたんだけれど 君、いっつもヴァンに反抗的だったじゃない。」
「おっしゃる通りです。全く食えない人ですね、貴方は。」
「ふふ。ま、悪いようにはしないからね。」

にっこりと笑う導師にはゲームからみた彼のレプリカたちのことを思い出す。予言も未来も全部歪めてみせる。そう思いながらペンを滑らせて
サインを施した。

「よし、これで君は行き成り結構な地位を手に入れたわけだ。ヴァンに対するいい訳やなんかは僕がやっておいてあげるからさ、また今度きなよ。
 導師しか読んじゃいけない書物のある書庫、貸してあげるよ。」
「まぁ、今後ともよろしく?導師。」




















喰えない笑顔と喰えない笑顔の握手 でもそこに欺瞞は無い






















拙話
オリジナル様はどうしても絡ませてみたかった・・・