花は可憐 その命は 薄命
「華よ」
神託の盾の本部は日の光はめったに当たらない。表立って動くようなことは平の兵士以外は余りその存在ですら表沙汰にならない。
その実態など余り知られておらずましてやその幹部級など同じ神託の盾の中でもまことしやかに根も葉もない噂が囁かれていたりする。
だからこそ、鍛錬以外でその場に神託の盾の中でも特にその噂の的になっている彼女がいるとは思わなかった。
神託の盾には剣を使う攻撃を好む物が多い中で拳による攻撃を好むヴァン・グランツ直属の部下 六神将補佐の「拳撃の」
いまいち実態のわからない彼女がローレライ教壇前の花壇の傍に座っていた。
しかも、自分の微笑みかけて手招きしている。
アリエッタは引きつりながら恐る恐る足を踏み出した。
ある神託の盾兵は彼女は子供を泣かすのが生きがいだといった。ある兵は彼女は人の生き血をすっていると言った。またある兵は・・と
普段余り表に出ないことから本当にろくな噂を聞いたことがない。
「ねぇねぇ、花はすき?」
恐る恐る近寄った彼女は抱えている板とその上の紙に絵を描いていたらしい、花の絵を見せて尋ねたきた。
噂に聞いているようないやな人ではないらしい。
「私は神託の盾のっていうんだけどさ、絵のモデルになってよ。」
「私は・・導師守護役のアリエッタ。」
私でいいなら、とアリエッタは話しかけられた途端にあの噂は嘘だったのだな、とどこか人を感心させる雰囲気を持つの前に座った。
「アリエッタってさ、この間イオン様といたでしょ?」
イオン様は描かせてもらったんだけれどアリエッタはいなかったからね、一度描かせてもらいたかったんだ、といいながらは黒炭を
休みなく動かす。
「アリエッタなんか描いて、は楽しいの?」
アリエッタ、そんなに可愛くないよ?とアリエッタは手元のぬいぐるみを抱きしめて言う。
「楽しいよ、アリエッタ。人間はみんな花なんだよ。その日その日によって違う色で咲く花なんだ。」
ほら、出来た。とは板の上の紙切れをアリエッタに差しだす。
「ほら、今日のアリエッタ。とイオン様。」
また違う日にも描かせてもらっていいかな?とはアリエッタにその紙を持たせる。
紙の中の少女と少年は花の中で花のように穏やかな顔。
「アリエッタを描くの、本当に楽しかったよ。」
「・・ありがとう、。」
アリエッタが初めての前で笑う。その笑顔にもまた、笑う。
「!総長がお呼びですよ。」
協会の窓から顔を出してディストがを呼ぶ。
それに返事をするとは目の前のアリエッタに微笑んだ。
「じゃあね、アリエッタ。今度は笑顔を書かせてね。」
「うん。」
板を抱えて協会へ戻っていくを見送ってアリエッタが呟く。
「お友達になってもらえるかな・・」
きっと その日は近い。
華よ。
はかなくも美しい 華よ
拙話
アリエッタは絶対妹にしたいタイプだ・・。