と  は アイテム を 手に入れた

(RPG風)




*〜アスタリスク〜




「御大将、鍛錬所の不思議なものなんすが・・・。」
「おお、悪来に許チョ。紹介しておこう、新しい配下のじゃ。、こやつらはワシの新鋭隊でな、
 典韋と許チョじゃ。」

曹操の執務室に現れた新顔 典韋と許チョに全員の視線が集まり、の道着の袖を引っ張って典韋と許チョの前に寄ってきた。

「よろしくね、典韋ちゃんに許チョちゃん。私は!」
「どうも、です。鍛錬所のそれ・・私たちの荷物です。ご迷惑かけててすいません。」
「えっ あっと、俺ァ典韋だ。殿は悪来 なんて呼んでくださる。」
「オイラは許チョってんだ、よろしくなぁ。」

と許チョ、と典韋それぞれ握手をする。

「そうじゃ、に聞かねばならぬと思っとったんじゃ。お主らと共に降ってきた物をどうするべきかと思ってな。」

今から見に行こうかの、そう言って曹操が立ち上がり机の上のの双振りの刀と司馬懿に指示して部屋の隅から黒鞘の刀を取ってこさせた。

「とりあえず、佩剣は許可しよう。その奇妙な格好も後で着替えればよい、後で卞に言っておく。」

そう言って曹操がに合計三本の刀を渡すと鍛錬所へ行くぞ皆の者、ついて参れ。と率先して歩き出しその後ろを典韋と許チョ、
司馬懿、夏候惇、徐晃 夏候淵と続く。

「行こう、。」
「うん、でもなんで私たち三国無双の世界に来ちゃったんだろうね、」

にこれはあんたの護身用と黒鞘の刀を渡すとは左手で器用に刀を差すと歩きながら話しだした。

ががんばっているからその後褒美だって。あの本の隅っこにじいちゃんの字で書いてあった。」
「ふぅん、おじいちゃんがくれたの?あの臺。」
「そうみたい。まぁ、は楽しんだらいいんじゃない?」
「うん。じゃあ私、孟徳様の所に行ってくるね!」

にっこりと笑って武将たちを抜かして曹操の所まで走っている従妹の後姿を見ながらは自分の願いにを巻きこんでいる事を
黙ったままでいる事に決めた。

「私はどうせ・・・死ぬまで卑怯な人間だから・・・ね。」

ふっと浮かべたくらい表情を偶然垣間見た徐晃と夏候淵が不思議そうな顔をした。























、これはなんじゃ?」
「それぇ?それはぁ、・・・笛?」
「吹くのか?」
「はい、とりあえず。」

曹操が「それ」口に加えて息を吹き込むと筒の先がぴろぴろと伸びて愉快な音をさせた。

「あはは、子供のおもちゃだよ♪孟徳様のお子さんにでもあげてね、」
「ふむ、貰っておこうかの。」
殿、これは何でござるか?」
「あ、それ?水と砂を入れてね、こうやって腕っ節を鍛えるやつ。」

実際に持って見せて実践をすると徐晃が顔を輝かせて便利なものですな!というので、欲しかったらあげるよ。と二つ三つとでてくる
色とりどり、大きさまちまちのダンベルの類を徐晃に押し付けた。


曹操に率いられて諸将とたちが鍛錬所に降ってきたままにしておいた、異界の物を「整理」という名の元にあれこれと探り始めた。
は諸将の間を駆け回ってアレは何だ、コレは何だ、と説明したり遊んだり大忙しで。
は典韋と夏候惇に付き合ってもらっているもの いらないもの、壊れてしまったもの、とさっさと片付けていく。
大方常識的には普通の18歳の女のこの共同部屋においてあったとは思えないものが混じっていたが。

ァ、この大きな箱の中身は何だぁ?」
「あ、それ?お菓子!許チョちゃんにあげるよ〜」
、私のミント系だけ抜いといてあげな、許?がお腹壊すよ。」
「ハーイ。」

がプラスチックの箱の中から小さな箱を取り出して少し離れたに投げるとが器用にうけとって自分の要るものの山の上に置いた。

「何だ、それは?」

今まで、蚊帳の外で様子を見ているだけだった司馬懿がの傍に寄ってきた。

「コレ?ガムっていって飴に似ているんだけれどね、溶けて無くならないの。私のは疲れた時とか眠いときに良いんだけどちょっと
 変わった味かするやつなの。」
「さっき言ってた《みんと》とか言うのが入っているのか?」
「そう。食べてみよっか?元譲殿、典韋殿もどう?」

に呼ばれて夏候惇と典韋も壊れてしまった椅子や机を運んで戻ってくる足のままの所に寄ってきた。
そして差し出されたの手から銀の包み紙に包まれた四角い塊を受け取った。

「何だ?」
「異界のお菓子。甘くなくって疲れた時にいいの。食べてみて。」
「この紙の中身を食うのか?」
「そうそう。」

典韋が指差した紙を向いて夏候惇、司馬懿も薄い緑色のガムを口の中に放り込んだ。
は同じ箱の中からガムと同時に小さなケースから黒い粒を1つだけ取り出して同じく口に含んだ。

「・・辛ッ。なんですかぃ、コレは?」
「口の中がスースーするな。」
「どう?目とか肩とかすっきりしない?」

儂にはあわねぇよ、と典韋が言い、夏候惇は中々だな。とまんざらでも無い風に言った。

「司馬懿殿はどう?」
「効かん。」
「へぇ、やっぱり効かなかったか、司馬懿殿みたいに頭を使う人って少し強めがいいんだ。」

コレでどう?とが自分が口に含んだのと同じ粒を今度は2つ3つほど司馬懿の手に出し、司馬懿が黙って口に運んだ。
噛み砕いたとたんに、司馬懿の表情が変わる。

「・・・ッ。なるほど、脳天を貫くかのようだな。」
「でしょ?コレと、・・・後コレ、司馬懿殿にあげる。お仕事に辛くなったら使うといいよ。」

そういってが司馬懿の手に先ほどの小さなケースと楕円系の機械を渡す。

「・・なんだ?コレは。」
「肩を揉んでくれる機械。人間と違って自分の注文どおりに動いてくれるから便利だよ。」
「・・・貰っておこう。」

そういって司馬懿は物を貰うだけ貰うとまたの傍を離れて羽扇で口元を覆いながら(ガムが入ったままの口をもぐもぐ)
曹操たちを眺め始めた。

「なぁ、?」
「何?典韋殿。」
「こっちは何だ?」

そう言いながら典韋の手が質問の対象物をにぎにぎと握る。

「ハンドグリッパー。握る力を鍛えるやつ。欲しかったらあげるよ。」
「おぅ、ありがとな。」

、コレは捨てるのか?」
「あ、それは捨てない。使うやつ。」

夏候惇が持ち上げていた皮のケースをみてそういったの後頭部にパスッとハリセンが当たる。

。遊んでないで片付けたの?」
「ん。私の物思ったより少なかったから。で、このハリセンは惇ちゃんにプレゼント♪孟徳様が言うこと効かなかったときとかさ、
 思いっきり叩くといいよ。」
「ん・・・あぁ。」

さりげなくもが惇ちゃん、とまた呼んだ事や、夏候惇が何も言わずにハリセンを受け取った事など突っ込みどころが満載ながらも
何も言わずには自分の私物ももう壊れて使い物にならないもの以外は片付けが終わった事に気づき、ほっとため息をついた。

、いらないものはどうした?」
「孟徳様におもちゃとかあげたでしょ?許?ちゃんにお菓子あげたでしょ?淵ちゃんにはモデルガンあげた。」
「そのモデルガン、私のだったと思うんだけれど。」
「いいじゃん。淵ちゃん上手なんだよ?」
「・・・いいよ。別に今いらないしね。」

無双の世界に触れるような攻略本なんかは幸いにも此方に飛ばされなかったみたいで、は何事も無くこの整理整頓が済んでよかったと思った。

























「そうじゃ、。今日からしばらくは夏候家で世話になるといい。男所帯じゃから、いい花になるだろう。」
「孟徳。」
「なんじゃ?元譲。不服か?」
「俺にも淵にも世話など出来んぞ。」
「女官を付けてやればよかろう。何かあってはいかんからな、おぬしに任せておけば問題が無いというものよ。」

そういって曹操がからからと笑う。

「私とちゃん、淵ちゃんと惇ちゃんとこで暮らすの?」
「ま、そう言うことだな。よろしくな、。」
「・・・お世話になります。」
「よろしくぅー!」

夏候惇の気苦労も知らずにの明るい声だけがコロコロと鍛錬所に響いた。






























拙話
お次は夏候邸。
話の都合、二人共独身です。