大切な・・・ 私の従妹





*〜アスタリスク〜






の抜いた刀が壷に触れたとたんだっただろうか?部屋の壁も調度品も全て闇に飲まれたのは。

闇の中に浮かぶのは私自身とこの変化の中で何がおこったのか、まったく反応を現さない

?」

そっと、歩こうと足を動かせば、まるで体験したことはないものの無重力空間のように私の体はふんわりとの元へと進む。
やっとたどり着いての肩を抱けば、まるで眠っているかのように意識がないものの体に異常は見られない。

じいちゃんがよこした壷と本、そして双振りの刀。

とりあえず抜き身のままのの刀を彼女の腰の鞘に納めて辺りを見回して自分の心を落ち着かせる。
こんなところでパニックになっていては、を守れない。

私はに生まれて、を守ることを至上の命題だと思っている。いや、私が守りたいのはじゃない。
あのときから・・・

が守りたいんだ。

無責任な兄のように使命から逃げるのではなく、の名に押しつぶされるのではなく、が守りたい。
その一心を誓っているからこそ・・・。どんなに私自身明るく、ちゃらちゃらとしているダメな人間でも、が私の大切な
家族だから。だけが私を必要としてくれているから。

この奇妙な空間を早く抜け出すべく、明らかにこの空間のことを指していてた自分の手の中の血がこびりついた『時繋ぎ』の
書物を確かめようとした。


『クスクス・・その本、持ってここに来る人がまだいたなんて・・。』
「・・・誰だ?彼女をの者と知っての企みか?」
『へぇ、君たちの人なんだ。あのじいさん、約束を守ったんだね。』
「約束?じいちゃんを知っているのか?」
『君のおばあさんの方も知っているよ。 ちゃん?』

私との目の前に朧気に人の輪郭が形成され、それが徐々に形を持って小さな少年の形になった。

「なぜ?私の名前を?」
『知っているさ、だって君のおばあさんにきいたんだもの。』

少年はころころとわらってばあちゃんのことを話す。私とが生まれてまもなくこの世を去ったばあちゃん。
この少年はそのばあちゃんを知っているらしい。確かにその用紙からは想像できないくらい熟年の気配が漂ってくる。

「それで?なぜ私たちはここに?はどうして目覚めない?」
『君が選ばれた人間で、ちゃんは選ばれていないからさ。』
「選ばれた?誰に?」
『僕と君のおばあさんさ。』

こいつはいったい何を言っているんだ?まったくもってわけが分からない。
私が次々と表情を変えていると目の前の少年はまたころころと笑った。

『君のおばあさんね、神様の生まれかわりだったんだよ、今もまた神様をやっていてね、可愛い孫の願いをかなえてあげたいんだってさ。』
「ばあちゃんが?   それで?ばあちゃんは私のためにあんたを遣わしたとでも?」
『その通り。君のその夢、この僕 壷の妖精 梢が手伝ってあげる。‘従妹を守れるような強さが欲しい’んだろ?』
「その口ぶり・・タダではくれないんでしょ?」
『いやいや・・・・辛い旅になると思うからね、僕も君のこと応援してみたいし・・色々アドバイスしてあげようと思って。』

いやはや・・と首を降る薄着の少年、真意が測れないままに私は胸の中にいるを見てから頷いた。

『これから君たちを飛ばすのは・・ちゃんの希望にしたがって《三国無双》の世界。ある程度僕がパワーバランスを
 弄ってあげるから死にはしないはずだよ。その〔白樺〕がある限りは。』
「〔白樺〕この刀のこと?」
『そう。ちゃんが持っているのは〔黒樺〕。異世界で君たちをそれぞれ助けて、僕との繋がりを示す妖刀だよ。』

決して肌身離さないでね、と梢がいい私はしっかりとことの帯に差した白樺を握った。

『向こうに行ったら、君たちから僕には連絡は付けられない、生きるも死ぬも君たち自身の裁量次第だよ、アイテム代わりに今この臺の中
 まで君たちと共に入っちゃったものは持って行かせて上げるけど。』
はどうする?」
『それも君の采配次第。本当に強くなりたかったら従妹位自分で守ってね。 それから一つだけ僕からお願い。向こうの世界に
 僕の大事なアスタリスクを落としてしまったんだ。とってきてくれたら御礼をするからさ、見つけたらついでに拾っておいて。』
「は?アスタリスクってな・・」
『じゃあ、がんばってね!』

梢はそう言って私の疑問を何一つ解決することなく臺に飲まれたときと同じように世界は一変した。












重力に引かれていく――

眼前にどこ名の大きな屋敷の庭が広がった。人がいる、結構な数だ。





―――絶対に戻るときは、あいつを殴ってやる。



そう決めてから私は、新たに私の物となった力 白樺を引き抜いた。


「どけえぇぇぇっ!!」














拙話

第二話、お待たせしました。
さんの方視点で挙げて見ましたが・・彼女これからもっと凶暴になります・・大変。
ちなみに拾えてない彼女の質問は、後々拾います。