今まさかここで出会うとは思わなかった。
*〜アスタリスク〜
「は?孫堅殿‥ですか?」
「そうじゃ、頼まれておった書簡を届ける代わりにあ奴の所にあるという異国の書をくれるらしいのでな。」
おぬしが直接行って目を通して来い、曹操とそういって孫堅に渡す書簡、というを司馬懿の前に差し出した。
「お主ならワシの代理も勤まる。頼めるか?」
「かしこまりました。では、」
司馬懿が立ち上がろうとするのを、曹操がまぁ待て、と止めるのと同じくして曹操の室の戸が開いた。
「孟徳様、、参りました。」
「孟徳様ぁ、呼んだ〜?」
そこからとが顔を覗かせた。その二人を見て司馬懿はまた面倒後とか。と顔をしかめたのに、がすまなそうに頭を下げる。
「おお、遅かったではないか、に。司馬懿に付いて行け。芝居、孫堅からの希望でな、二人を一緒に入れてゆけ。」
「・・・・承知しました。」
司馬懿に拒否権など、ありはしなかった。
「孫堅殿が異国の書を?」
「ああ、書簡を届ける代わりに見せてくれるそうだ。貴様らの国のことの書ならあの書の謎の手がかりになるかもしれんからな。」
司馬懿の横に馬を並べるが曹操に渡し、曹操が司馬懿に預けたままは今まで自分の手元にもどってこずに読みきれていない書の事を思い出した。
漢文、というより訓点がないので白文そのままではあったものの、中国語講座を祖父に連れられて受講していたはどういったものなのか
とても内心気になっていた。
「私は最初の方しか読んでいないのですが、仲達殿はどのあたりまで読まれたのですか?」
「あのような薄い書、もう全て目を通し終えている。ただ異界の事と此方の事とでのズレが多いからな、解釈に困る部分の参考になるものを
探している。」
たちに字で呼べ、と言いつけた男はそういってお前たちの所には本当に不可解なことが多い。といった。
「私に言われても内容を全部読んだ訳ではないので答えがたいけど、此方とあちらとじゃ理の違いがあるからね。」
「ちゅーたつはアレが読めちゃうの?すごいなぁ。」
馬に乗れないのでの前に相乗りしているが間延びした声で言う。
「ふん、貴様は少し学をつけるべきだな。」
「ひどぉい。ちゃん、ちゅーたつがいじめるよぅ。」
わざとらしくの胸にしがみつくには明後日の方向を向く。
「少しは勉強すべきですよ、さん。」
わざとらしく他人行儀に答えた食って掛かるに司馬懿は呆れたように視線を向けて、少し馬の速度を速くした。
洛陽の後始末に力を貸していたと言う孫堅の屋敷は曹操の屋敷から半刻ほどの 街の中でも比較的静かで自然の多い一角に構えられていた。
司馬懿が門前にたつ兵に用件を伝えると、兵が門を開けて中に通してくれた。
馬を兵に任せて導かれるままに屋敷の中にはに出ると、ちょうど親子で歓談の真っ最中だったらしい孫家の親子が出迎えてくれた。
大人の余裕が漂う孫堅が司馬懿とたちを向える。司馬懿とが拱手をして頭を下げる。
「良く来てくれた、司馬懿殿。それで此方のお嬢さん方が噂の?」
「はい、この二人が異界から来た娘です。」
「その口ぶりから見て、ガセの類ではなかったようだな。では、貴殿の持ってきてくれた書を部屋で検討しよう。司馬懿殿、約束の文献も揃えてある。
どうぞ此方へ。策、権、尚香、周瑜、お嬢様方を持て成しなさい。」
そういって孫堅は司馬懿を従えて執務室の方へと歩いていく。
「ねぇね、ちゃん。噂って何?」
孫堅と司馬懿の姿が見えなくなるかなら無いかのうちにが私、そんなの聞いた事が無いよ、とに尋ねた。
「少しは周りのことを学ぶとかしてよ…私たちが降ってきたときは相当派手だったからね、洛陽の人たちはみんな『曹操の元に異界人あり』って
噂してるの。お分かり?」
「はーい。それで孫堅様は知っていたんだ。」
「一番最初にその事を聞きつけたのは公瑾だけれどな。」
うんうん、頷くに呆れているの傍に若者が一人やってきて言う。
「それは孫策。字は伯符だ。よろしくな?」
「此方こそよろしく、孫策殿。私は此方、の従兄弟で夏候惇将軍の副官をやっています、です。」
「そんな堅苦しくならないでよ、私は孫尚香。仲良くしてね。こっちは権兄さまでこっちは策兄さまの義兄弟で親友の周瑜よ。」
よろしくね、と尚香が笑って手を差し伸べてのに応えては握手に応じる。続いて孫権と周瑜とも握手をする。その際に孫権の顔が
俄かに紅くなったのをみては孫権に対して微笑んで見せたので孫権は真っ赤になってしまう。
「お前あの夏候将軍の副官なのか?なら、俺と一つ手合わせでもどうだ?」
「伯符、ご迷惑だろう、よさないか。」
「あら?周瑜だって異界の話が聞きたいんでしょ?彼女のために。」
「何の話ですか?」
「いえ、江東に置いてきた妻への土産話に、と思って。」
尚香の冷やかしに事も無げに答えて笑う周瑜には別にこれと言って面白いものではありませんよ、と笑う。
「あら・・貴方の従兄弟、すごく男前ね。」
「でしょでしょ?凄いモテるんだから。」
「美周郎に異界の美男子、素敵ねぇ〜。」
尚香が少し顔を赤らめて私が思いを寄せてもいいかしら?とに言う。その横で男なのか・・と少し残念そうに孫権がつぶやく。
「え?いや・・・尚香殿?」
「尚香ちゃん、ちゃんは男前だけれど女の子なんだよ。本当に残念なことにね。」
「姫、殿に失礼ですよ。」
「いえ、男に見られて損だと思うことは無いですから・・。」
慣れていますし、と微笑むに少しがっかりしたように謝る尚香とその後ろでぐっと拳を握る孫権、いっつもだもんねぇ〜と、笑うに
「あーもう、手合わせしてくれんのか くれないのかどっちかはっきりしてくれよっ!」
と言う孫策の声に一同は笑いながらの答えを待った。
「では、拙い武でありますが、少々お付き合いしましょう。周瑜どの、異界の話しは後でよろしいですか?」
「伯符は言い出したら聞かないからね、かまわないよ。」
「よっしゃ、じゃあ勝負だ!」
孫策に促されてが庭の中央へに白樺を預けて歩み寄った。
「何だ?大きい方の剣は使わないのか?」
「剣ではなく刀です。あっちは・・・手入れがまだなので。」
そう言って笑ったの顔はと後か後ろめたい者を感じさせて、はが刀の手入れを怠るわけが無い、と手の中の白樺を見つめた。
白樺は鞘の上からでもどこか寒々とした気配を漂わせていた。
拙話
孫家登場っ!
やっちまった感がありありですがそろそろ刀の謎とか、3人目のヒロインとか登場させてみたいです。