比叡平風物詩       No.004

スモール・イズ・ビューティフル
2009.9.30  福田 孝男

散歩に出るときには,必ずポケットにデジカメを入れていくことにしています。とはいえ,安物のカメラなので,鳥や蝶など,すばしこい生き物は無理。…で,なるべくじっとしていて写真を撮らせてくれるような,小さな昆虫などをクローズアップして楽しんでいます。最近の写真から…。(名前などは間違っているかも知れません,悪しからず…)

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何かの落語で出てきたせりふ…だったかと思うのですが,「…ここで会ったが百年目,盲亀の浮木優曇華の花…」というのがありました。盲亀の浮木も優曇華の花もいずれも滅多に見られないもの,非常に稀少なものの例えとして使われているようです。ところがこの写真が「優曇華の花」,実はクサカゲロウという昆虫の卵なのだそうですね。せいぜい1pくらいの長さの先に豆粒のような卵が付いています。

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木の葉の裏に,1pにも満たないような,小さな虫がいました。葉っぱにあいた穴は,この虫が食べた痕でしょうか?ヒメクロオトシブミだろうと思います。この虫,春には木の葉をくるくると巻いて,いわゆる「落とし文」を作ります。去年の春でしたか,その制作過程をじっくり観察したことがありました。この小さな体で,人間でいえば10畳くらい(以上?)の大きさの葉を,実に見事にくるくると巻いていきます。せいぜい,30分くらいでできあがりました。

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トックリバチの仲間でしょうか?この仲間の細い細い腰は,本当にこんなところを消化器官などが通っているのだろうか?とつくづく不思議に思います。幼虫の餌にするイモムシを,生きたまま動かないように麻酔をかける,その時にくねくね動くイモムシを確実にお尻の針で刺せるように,こんな腰に進化したのだそうですが…。泥で造るとっくりみたいな巣も実に見事なものだと思います。

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チョウの写真は,我がカメラではなかなか撮れないのですが,このチョウは,かなりじっとしていてくれるのでありがたい。ダイミョウセセリ…だと思います。「大名」から由来する名なのだそうですが,なぜ「大名」なのでしょうか?知りたいところです。このチョウ,関西型と関東型ではずいぶんと異なっていて,この写真はもちろん関西型で,下翅にも白い帯がありますが,関東型ではこれが無いそうです。比叡平では,比較的よく見かけます。

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初めて見たときの印象は,何かのアニメで見たロボットの顔…。よくよく見ると,まるで高級な皮革細工のような趣もあります。カメムシの仲間で,ウシカメムシだそうです。なぜ牛カメムシなんだ,と思ったのですが,確かに見る角度によっては,尖った肩の部分がまるで水牛などの角のように見えて,ウシカメムシという名前にはナットクさせられました。

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この写真,いったい何だとお思いですか?実はクモの一種,トリノフンダマシです。名前の通り,一見鳥の糞かと見まごう形をしています。しかし,これがのそのそと動き出すのです。上の方に見えている黄色い部分が脚。見つけたときはワクワクしました。本当に可愛い!

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もう一つクモを。フノジグモというそうです。お腹の模様が漢字の「不」の字の形に見えるところから,名付けられたようです。クモといっても網を張らず,花の陰などに実を潜めて,飛んできた小昆虫を捕らえて食べます。比較的珍しいクモなのかも知れませんが,比叡平のある場所に行くと必ず見られました。比叡平はスゴイ!

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チョウや蛾の幼虫というのは,実に様々な色や形で楽しませてくれます。このイモムシも,まあ何と不思議な顔をしていることやら!まるでネコの顔に見えます(実際には顔ではなくて,模様なのだと思いますが…)。たぶん,クロコノマチョウというチョウの幼虫だと思います。



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