四方山話 その10

A委員「去年は診療報酬大改定で大騒ぎ、今年は去年ほどじゃないけど、指定袋制度によるゴミを分別しなければいけなくなりました。」

B委員「ゴミの減量化を目指して仕方ないのでは?」

A委員「今までのゴミの中に資源ゴミが混じっていたのでそれをリサイクルしようということです。」

B委員「事業系ゴミについて資源化できる古紙排出量を25%削減し、ペットボトル等の分別収集等協力率60%以上を目指すということでしたね。」

A委員「昔は古紙回収業のトラックが廻ってきてくれて出していたけど、地方自治体が分別ゴミに乗り出して従来の活動が出来なくなったと聞きます。」

B委員「自治会や婦人会が中心になって古紙回収に活動している区域がありますよ。」

A委員「ペットボトルは資源ゴミと言いますが、再利用しているのは6%ぐらいだそうです。結局焼却しているのが実情だそうです。」

B委員「再利用ということはもう一度ペットボトルに作りなおすということですか?」

A委員「違います。ポリエステル繊維にして作業服などに作り変えるわけです。フリースなんかも作ります。」

B委員「日常生活の衣服としては買い手が居ないでしょうね。」

A委員「それよか、中国にペットボトルを自治体が輸出していて2005年にはペットボトルのリサイクル施設帝人ファイバーの新鋭工場(山口県周南市)が操業停止に追い込まれていましたね。」

B委員「今はどうなのでしょうか?金属やガラスは再利用できるでしょ?」

A委員「リターナルビン(ビール瓶など)の利用は環境にやさしい。歯科医療に無駄な紙だし業務を止める方がより環境に優しいような気がします。歯科診療でペットボトルは関係ないし。」

B委員「まあ、こういう制度になったのならよりよい方向に進むと思って従わないといけませんね。」

A委員「一旦法令規則、マニュアルが出来ると実情の合わなくても変更するのが難しい場合があります。」

B委員「他にも何か?」

A委員「学校歯科検診で、保護者に事前アンケートをとりますよね。」

B委員「『お子様の歯並びが気になりますか』

『はい』 『いいえ』というのですね。」

A委員「それです。『気になりますか?』

『はい』に丸を入れた場合、検診時に歯並びを入念にチェックします。でも、気になるのならかかりつけの歯科医院に行って相談するのが一番いいんだけどなぁ。」

B委員「スクリーニング検査の助けになっていないというわけですか?」

A委員「検診のマニュアルに従ってチェックすればいいのですが、保護者の歯並びに対する不安や疑問を事前に知っても検診に反映しにくい。例えば、『混合歯列期の正中離開は悪習癖さえなければ生理的なものだし心配は要らないですよ。』と説明でできたら安心する場合もあるけど。気になっていない場合でも不正咬合でお知らせを出す場合もあるし。」

B委員「『心配なことがあれば、かかりつけの歯科医師に相談してください』と、書き加えるのはどうです?。」

A委員「事前アンケートの真意が分からなかったので数年前に神戸市歯科医師会事務局に電話して聞いたことがあります。」

B委員「養護の先生に聞けば良いのでは?」

A委員「聞いたのだけど、教育委員会のお達しなのでアンケートを実施しないと大変なことになるというのです。そこで、このアンケートを作ったのが学校歯科医会ということが判明したので。」

B委員「神戸市歯科医師会事務局のどなたに聞いたのですか?」

A委員「事務局長が対応してくれたのですが、作った先生に電話してくれということで当時の学校歯科医会の会長を紹介していただきました。」

B委員「一介の駆け出しの学校歯科医が?」

A委員「そうそう、中途半端歯科医師。ちょっと怖かったけど、勢いで電話しちゃいました。診療が暇ですることが無かったもので。」

B委員「それで?」

A委員「これがまた、丁寧にやさしく教えてくださいました。『少しでも検診の手助けになるだろうということで参考にしてもらえればいいですよ。』ということでした。私の同じ地方区のベテランの先生は独自にアンケートを作成して検診に役立てているということも教えて頂けました。」

B委員「それで、何がご不満なのでしょうか?」

A委員「参考程度に考えて欲しいというのが一旦神戸市教育委員会のお達しで義務化となり変更できなくなっているのです。」

B委員「でも、ベテランの先生は独自のアンケートをしているということなのでは?」

A委員「おそらく、2重にアンケートを行っているものと考えられます。そうしないと法令順守していないので教育委員会に怒られるから。アンケートによって子供の口腔状態に関心を持つのにはいいかもしれないし悪いことではないでしょうが。」

B委員「養護の先生も、仕事が増えて大変なのでは?」

A委員「でも、生徒のためなら頑張ってくれます。混合歯列期の1歯か2歯の反対咬合で、割り箸なんかで押すだけですぐに直るのがあります。或いは、早期に矯正歯科医院で処置してもらうと楽に直るでしょうし。そこで、写真付で説明文を入れたお知らせを作ってもらい渡しています。これだけでも校長先生、教頭先生が議論を重ねて貰いこの程度なら問題ないのではということで、校長先生の裁量権範囲内と判断して実施できました。」

B委員「不祥事が起きた場合、法令順守しないと罰せられますからね。」

A委員「法令は遵守しているけど社会的要請との間でズレが生じていることがあるわけですね。新潮新書の『法令順守』が日本を滅ぼす 郷原信郎著 に、色んな事例が載っていました。」

B委員「文部科学省にしても厚生労働省にしても法令順守(コンプライアンス)を徹底させることで関連機関(学校や歯科医院等)をコントロールしてきたわけですね。」

A委員「経費節減、財政優先の政策では教育もおかしい方向に行きます。福祉、医療も歪んでくると思います。後3年後にはレセプト完全オンライン化が待ち受けているし、公益法人化問題もどうなることかわかりません。休日診療問題、現在進行中の事業(神戸市歯科医師会ならこうべ歯科センターなど)も予測できない問題もでてくるでしょう。歯科助手学院はすでに休校し、来年度は廃校です。これからも右往左往の毎日が続きそうですね。」