広報四方山話 その6

A委員「前回のディーノサウルスは、なかなか面白かったでしょ。」

B委員「空想科学の範疇なので、気軽に読めましたね。」

A委員「進化って面白いですよ。歯科診療中にも患者さんに説明する時ちょっと関連付けたら納得してくれることがありますよ。」

B委員「例えば?」

A委員「智歯周囲炎とか。」

B委員「進化と歯科診療ですか?」

A委員「人類は、前回にも書いたように6500万年前にはネズミかリス程度の大きさでした。それが、どんどん進化してきて高だか400万年前か500万年前に類人猿が出現して2足歩行したわけです。」

B委員「外見は、猿そっくりだといわれていますよね。」

A委員「2足歩行して、前足が自由に使えるようになり、喉頭が変化して声がでるようになり、惹いては大脳の巨大化という進化の戦略がとれたわけです。」

B委員「いいことばかりですね。」

A委員「ところが、進化というのはいいことが起こることと同等ではないのです。」

B委員「そこで、さっきの智歯周囲炎ですね。」

A委員「頭(脳)を大きくすると、相対的に顔、身体、足、手、身体全て大きくすれば良い様に思いますが、地球には重力があります。重力に打ち勝つには足を巨大にしないと2足歩行が維持できません。或いは4足歩行に戻るとか。恐竜は巨大ですが相対的に脳の比率は非常に小さいといえます。」

B委員「地上から1メートルから2メートル、せいぜい3メートル以内で物事を解決しないといけませんからね。」

A委員「生身ではウルトラマンに成れないわけです。結局、頭()を巨大化する代わりに中顔面、下顔面を矮小化する必要があります。」

B委員「下顔面の矮小化も進化ですね。」

A委員「その通り。子供向け番組で『ピカチュウがライチュウに進化する』とか言っていますが、明らかな間違い。あれは『変身』或いは『変化』です。」

B委員「成る程。」

A委員「哺乳類の歯の基本形はI3C1P4M3ですが、人類はI2C1P2M3となり、本数を減らして尚且つ形態も縮小しています。処が顎骨の矮小化の速度が速く第三大臼歯が萌出するスペースが足らなくなってしまいました。」

B委員「歯の大きさを司る遺伝子と、顎骨の大きさを司る遺伝子は違うのでしょうね。その結果、親知らずが痛んで困るということになるのですね」

A委員「2足歩行は動物としては大変不便です。胃下垂になるし、腰痛や腕(前足)をぶら下げているので肩こりは起こるし、胎盤が規制を受けて難産になるし。」

B委員「難産ですか?」

A委員「ほぼ未熟児状態で出産して、出産後大泉門が閉じていき、1年ぐらいで他の哺乳類の出産直後ぐらいの状態になるといえます。馬なんか出産直後に歩き出していますよ。」

B委員「人類、特に女性の宿命ですね。出産のたびに、人類の進化を実感できるわけですか。」

A委員「人類の基本形は女性です。女性の特殊形が男性。母体内で、ある時期アンドロゲンシャワーを浴びて女性が男性化します。性染色体も女性のXXの方が強い。なんといってもスペアーがあるのだから。男性の性染色体Xyのy遺伝子は遺伝情報量がXに比べて極端に少なく性別を決めるためだけのものといえます。」

B委員「女性はストレスにも強いし、長寿だし、事故で半分近く失血しても生き延びることが出来ますよね。」

A委員「小児歯科の落合靖一先生が『男性は女性の亜種、半端者です』と断言していました。男性はあんまり偉そうにしたらいけないんだって。」

B委員「男性の方が生物として弱いのだから労わって貰っても良いのでは?」

A委員「男性は消耗品ということで、使い捨て状態の蜂社会や蟻社会もあります。

 脱線しましたが、進化の戦略で雑食性を取り入れて人類は自分自身を家畜化して衛生的な食べ物、つまり煮たり焼いたりして柔らかい状態で食物を摂るようになり歯を汚し齲蝕の発現や歯周病の蔓延が起こりました。歯磨きの必要性も進化の影響とも言えます。野性動物に齲蝕歯はないですし。」

B委員「おいしいものは糖尿病、メタボリックシンドロームも引き起こしますね。」

A委員「進化に負けないように、粗食で良く噛んで歯を磨き慎ましく生きていきましょうか!?」