メタボリックシンドロームは突破口になるのか                      内臓脂肪蓄積により、さまざまな病気(複数の生活習慣病)が引き起こされた状態
生活習慣病の主なものに高血圧症、高脂血症、糖尿病などが知られていますが、これらの共通の原因となるのが、内臓のまわりに脂肪がたまる内臓脂肪肥満といわれる状態です。内臓脂肪が蓄積すると動脈硬化の危険度が上昇し、心筋梗塞や脳梗塞にかかりやすくなります。
 
 歯科のキーワードとしては、@歯周病と生活習慣病Aメタボリックシンドロームと全身の関係B予防歯科、食育の問題C摂食と嚥下機能D介護予防と口腔ケア 等々
 メタボリックシンドロームは市民権を得ているのでしょうか。
 人間総合科学大学教授・藤田紘一郎氏の解説によると、「日本 の成人男子でウエスト85センチ以上という基準値は”厳しすぎる”。」「太りすぎ が重大な病気の引き金になることはたしかですが、統計的にはやや肥満気味の人の方が、やせた人よりもむしろ長寿であることがわかっている」「85センチを超えていたとしても、過度に戦々恐々とするのは体によくないですし、仮に 85センチを下回っていたとしても、安心できないことだってある」
 と、解説していますし、
 日本の診断基準には、世界の基準に比べて特異な点がある。ウエストの基準値が男性85センチ、女性90センチと女性が男性を上回る唯一の基準だ。米国なら男性103センチ、女性89センチ、中国は男性90センチ、女性80センチである。
 日経メディカルブログの、飛岡宏の「開業医身 辺雑記」で進行して「 メタボリックシンドロームはねつ造か?(下)」を読んでいると、飛岡氏によると、厚生労働省の捏造とまで言い切っています。
 そのブログのコメントで、東海大の大櫛陽一教授は「内臓脂肪面積は男 女を混ぜて求めているのに、そこから求められた内臓脂肪面積を使ってウエストを求めるときは、男女別に分析がされている。この段階で男性のウエストは女性の影響で少なめになり、女性のウエストは男性の影響で大きめになる。これは、データ数が少なすぎて男女別にすると内臓脂肪面積が求められなかったか、男性のウエストを少なめにするための『ねつ造』かである」などと、日本基準を決めた手法に問題があったことを具体的に指摘している。
 ウエスト基準を算出した危険因子のひとつ総コレステロール上限値(ミリグラム/血液1デシリットル中)が日本は「220」と、世界各国の「240〜270」 に比べて大幅に低く設定されていることにも疑問が持たれている。「コレステロールやや高めが長生き?」(読売新聞2005年2月20日)
 「インターネットで読み解く!」[ブログ時評64]発行 団藤保晴  dando@dandoweb.com

に、以上の解説が詳しく書かれています。
 歯科医師会としてメタボリックシンドロームの予防という点でアピールしたいところですが、見極めが必要かもしれません。
 高齢者の負担増を柱とする「平成18年 医療制度改革」が2006年6月14日可決・成立しました。
 介護予防は福祉だが、歯科医療としては相容れないかもしれない。しかし、何らかのつながりを残しておくことは重要であろう。
 
神戸市歯科医師会は、特定高齢者施策について、特定高齢者サービス提供について行政側と話し合った結果、主治医紹介の流れが確立しました。
 薄い関係ですが、あんしんすこやかセンターと、患者さんを通じて情報のやり取りが出てきます。行政との交渉は根気が要ります。
 小さな隙間を見つけてコツコツと。