新春学術講演 2006年1月14日(土)恒例 垂水区歯科医師会新春講演会 講師 関谷善文先生 関谷眼科クリニック院長
「視力矯正方法の選択の難しさ」
年とともに低下していく視力。中年ともなれば誰しもピントの合いにくさを実感します。残念ながら視力矯正の王道と言うか特効薬も無いのが実情です。加齢現象による目の老化にも様々な因子が関わり単に視力矯正だけと思っていても考えもしない眼疾患を併発していたりします。
パソコン、ストレス、携帯電話など眼の負担はどんどん大きくなっていきます。視力矯正もどこで納得してどこで折り合いをつけるか。
大事なのは『心身の健康を保つ』事が大切になっていきます。
老眼が進むとピント合わせが出来なくなっていきます。眼鏡でそこそこ見られます眼鏡店での視力検査は度数が大きくなりやすく気をつけないといけません。
視能訓練士の存在も重要になってきます。
ピント合わせが出来なくなってくるとどうしても眼鏡での視力矯正が必要となってきます。遠近両用眼鏡もありますが、流行の細渕眼鏡では対応できずどうしても大きなレンズが必要です。近くを見る時の仕事用の眼鏡と運転用の眼鏡の併用使い分けがいいかもしれませんが面倒だと感じる人も多いです。
立体視を犠牲とするモノビジョンという方法もあります。片方の目のレンズのピントを遠くに合わしもう片方を近くにピントを合わすという方法です。これも合う人と合わない人がいますので万能とは言い切れません。
コンタクトレンズでも遠近両用な物もありますがレンズのジャンピングでなかなか使いづらい事もあります。コンタクトレンズで注意が必要なのは、過度の装着で角膜内皮が減少してしまいます。再生が期待できない組織のダメージは危険といえます。
屈折矯正手術はまだ発展途上といえます。角膜をエキシスレーザーで削り近視度数を改善すると言ったもので、波面収差理論を用いて角膜各所のひずみを解析しスムーズな曲率に仕上げるLASKが主でそれ以外の手術方法は廃れてしまっています。LASKを行える施設は少なく全国でも20数箇所しかありませんし裸眼視力は戻りますが調節力が衰えて将来老眼鏡が必要となってきます。
断面が台形のコンタクトレンズを就寝時に装着しておくと寝ている間に角膜が変形し近視度数が軽減し起きているあいだ眼鏡やコンタクトレンズを使用しないで済むオルソケラトロジーという方法があります。就寝時は涙液分泌が無いので角膜糜爛を作りやすく有名な話では大リーグの松井稼頭央がトラブルを起こし治療のために試合に出られませんでした。軽度の近視にはある程度効果がありますが何年も続けると危険が大きくなります。
眼精疲労が続いても決して失明に繋がることは無く年齢とともに衰えていく視機能と医科に折り合いをつけるかが大切です。
加齢現象としの老眼だけではなく白内障、緑内障、涙目、ドライアイが隠れている場合があります。
治療としての点眼剤そのもののアレルギーもあり薬剤毒性角膜障害もあります。点眼剤には大抵防腐剤が入っていますからかぶれる原因になることがあります。点眼剤は、できるだけ種類は少なく刺激の強いものは避けるのが大切です。
飛蚊症も老化現象の一つでうまく付き合うことも大切です。眼底出血や物がゆがんで見えたら要注意です。近くを見続ける仕事を40分から50分したら10分間遠くを見たり体操したりする適度のリラックスや、仕事場の適切な環境を整えることも眼を守ることに繋がります。
視力回復センターと称するものは信憑性が低く間違った仮説や悪用があります。ピンホール効果を利用したピンホール眼鏡などはその代表です。
ブルーベリーやルティンも気休め程度で効果は怪しい。ビタミン等の栄養補給剤もビタミンB 12を含む点眼剤はあるものの通常の食生活での摂取で充分である。