障害者歯科診療従事者研修会 平成17年9月11日(日)兵庫県歯科医師会館4階にて、大阪大学歯学部付属病院の障害者歯科治療部教授を講師に障害者歯科診療従事者研修会の第一日目に参加しました。
 15年か16年前から毎年開催されていたのですが、今回、
垂水区歯科医師会会員旅行、子供の運動会など数々のイベント(ヴィッセル神戸観戦)に重ならず丁度3日間とも受講できるので初めて参加しました。
 歯科診療の参考になればと思い受講しましたが、内容は充実していました。
 その中で再確認したことや、なるほどと思ったこと。
 
 その1
 障害者歯科の変化で、昔は「いかに障害者の体動を抑制して治療するか」から「いかに押さえ込まないで診療するか」になっています。
 歯科的アプローチの原則
 1.楽に来院、入室できるようにする。
 2.歯磨きで始まり、は磨きで終わる。
 3.いつも同じ順序、方法で対応する。
 4.現実脱感作:簡単なこと。遠くから。繰り返して。
 5.即時強化:よい行動は強化、不適応行動は無視
 6.記録:評価と検討、変化を記録に残す。

 そのまま日常の歯科診療に応用できます。歯科診療の方向指針です

 ダメージコントロール
 1.やりすぎるための失敗
 2. いつ止めるか
 3.One step手前で   将来歯科治療の拒絶が起こってしまってはいけません。

 医療アクシデントを避ける鉄則です。何も障害者治療に限ったことではなく共通しているなあと思いました。

 思春期に現れた問題は幼児期からの問題といえます。疼痛を伴う無理な治療が引き起こすということです。
 その2
 特殊教育は、聾、盲、養護学校と特殊学級がありましたが、特殊学級に加えてLD(学習障害)、ADやHD(注意欠陥多動性障害)、HFD(高機能自閉症)を含めた特殊支援教育の重要性が叫ばれ、文部科学省は全児童の9%以上に特殊支援教育が必要であると認識しています。
 ということは、約1割の児童は障害者歯科診療をベースにした歯科診療の必要があるということです。そう言われれば同じような年齢の児童でも診療拒否の差が極端な場合があります。それだけ障害者歯科診療の応用は重要になっているということです。
  
 その3
 自閉症の患者さんでも、自閉症の文化(視覚に強い。細部に焦点こだわり。時間や空間の組織化が困難。感覚刺激への対応困難、あいまい、不確実さに対応不可)を理解し、それに適応する治療をすれば麻酔の注射、抜髄、抜歯など普通に出来る。
 例えば、写真や絵で治療順序方法を学習してもらい、良好な人間関係を構築できれば、スムーズな治療が出来る。

 その4
 障害者歯科で大切なのは、全身管理より全身監視。全身麻酔を行い全身管理下で歯科治療を行うよりも、時間と手間がかかっても、歯科疾患は生活習慣病と認識し、予防と進行抑制で健康増進管理することが重要で、治療も全身監視デ対応できる範囲の歯科診療で充分で、そのほうが患者サイドにとって楽だし、医療者サイドにもメリットが大きい。
 ハインリッヒの法則で、致命的事故:苦情の出る事故:ハッとヒヤリ体験=1:29:100
 の、ハッとヒヤリ体験にとどめる努力するのが一番。