リスクレベル 生きていくうえでいろいろな危険が付きまとっています。
 交通事故、病気、・・・・・。
 食品の危険性となると、BSE,鳥インフルエンザ、ダイオキシンなどは社会現象となりましたが、何が正しいのか判断に迷うことばかり。
 ダイオキシンについていえば、中西準子のホームページから引用しますが、
『しかし、ごみ焼却炉のダイオキシン対策は、それほど急を要する問題でもなく、また、小型焼却炉でできないものでもない。焼却炉からのダイオキシン排出は削減されるべきだが、やや時間をかけて取り組んでも遅すぎることはなかった。
焼却炉から排出されたダイオキシンが直接近傍の人々の健康に影響を与えることはなく、ほとんどが長期間に排出され、水域にたまり、魚介類に蓄積し、それを食べることによって人の体に入るのであり、現在水域に蓄積しているダイオキシン類のかなりの部分が、1960年代や70年代に使われた農薬の不純物起源だからである。
ダイオキシンのリスクを過大評価し、また、主原因を見誤ったために、何兆円もの資金を使い、事故まで起こしている。国民はこの支払いをずっと続けることになろう。誰に責任があろうと、支払うのは国民である。』
BSEでも、同じページに書かれていますが、
 『わが国で生産される牛によるリスクはどのくらいであろうか?この2年半の間に検査されたのは約300万頭で陽性牛は10頭であった。100万分の3.3である。これは、表に表した米国の例に照合させると、年間感染牛130頭のレベルに相当する。このとき危険部位除去によるプリオン残留率が5%であるとすれば、その残存プリオン量は0.16頭当量となる。
さらに、全頭検査を加えるので、0.0016頭当量となる。今、先端技術としてもてはやされているナノテクノロジーの世界に迷い込んだのかと錯覚するくらい小さい。
BSE陽性率が100万分の3.3の場合、無検査・危険部位除去なしでも、100万頭(国産牛のおおよその年間生産高)に含まれるプリオン量は3.3頭当量になり、先に示した目標の10頭当量以下になる。理論的には、危険部位除去もやめてもいいのだが、少なくとも全頭検査はやめるべきである。米国の問題とは別に、すぐにでも決定できることである。
2002年度の欧州諸国での検査牛のBSE陽性率は、いずれも100万分の1の単位で、英国2738、ポルトガル1046、アイルランド471、スペイン247、イタリア50、ベルギー84、フランス75、オランダ43、ドイツ35であるが、いずれの国でも全頭検査は行われていない。』
 トップページの安井 至先生のホームページにもありますが、ダイオキシンでは旧厚生省、BSEでは農水省になりますが、水俣病、イタイイタイ病、O157中毒(文部科学省も関係あり?)など、危険度、リスクレベルという点ではまったく分かっていないといえます。
 危険度0を実現させようとすると、いくらお金と時間と労力をかけても実現できません。
 そうなると、年間3000億円の国産牛全頭検査はばかげた政策ということになるし、ダイオキシンの間違った認識で情報操作した旧厚生省は国民を愚弄しているわけです。
 日本で生活する危険性と、イラクで生活する危険性は目に見える直接命にかかわる危険性という点では大きく差がありますが、国民を愚弄している点では北朝鮮で生活するほどではなくても、無視できるものではありませんね。
 歯科治療に関する危険性に思いを馳せて書き出しましたが、引用文も多く、途中で腹が立ってきた。
 前置きが長くなりましたが、ここから本題。
 日常の歯科診療では、治療方針、治療方法、で危険性をどう考えてどう治療すべきか真剣に迷ってしまいます。
 レントゲン写真もまったく撮影しないほうがいいに決まっていますが、自然被爆を考えると問題に無いぐらい低いレベルということで病名の確定、診断の決定、治療の状況把握などで撮影していますが、このレベルの危険性でつまずくと診療になりませんので通り過ぎます。
 つぎに、虫歯になった歯で、詰めるだけで済むのか、歯髄を取らなければいけないのか、歯そのものを取らなければならないのか、歯を取ると入れ歯にするほうが良いのか、ブリッジにするほうが良いのか、インプラントか?
 将来、QOL(QOLとはクオリティー・オブ・ライフ(生活の質)の略)を考えると、歯を削ることは危険度を増大させます。
 この危険度を0に近づけようとするとこれまた治療は出来ません。
 危険度をどういう風に考えるか。将来のQOLというのも重要な要素となると思います。
 虫歯⇒歯が無くなる⇒痛い⇒噛めない⇒QOLの低下
 まあこんなものかしら。
 でも、治療はやり方によっては、つまり審美性を追及したり快適さを求めると、将来のQOLが悪化する危険性が出てきます。
 入れ歯で咬合回復するほうがブリッジで咬合回復するより残った組織にとっては有利です。でも噛みにくい、しゃべりにくい。
 審美性を追及すると歯髄にダメージが大きくなります。
 治療後五年十年を快適に過ごすならブリッジ、インプラント、金属冠、前装冠、歯を思いっきり削ればいいけど、20年30年後はどうなるのか。
 予防に越したことは無いのですが、現実問題として虫歯、歯の欠損があると、何にもしないわけにはいかず嫌々ながら削ったり抜いたりしますが、最小限度に削らないと将来がつらい。
 入れ歯は採算が取れないということで、サービスで作るがブリッジ、前装冠を作るという考えもあります
 虫歯を放置して舌癌になることもありますが、危険性はものすごく低いはずです。
 たいていの人は問題を起こしません。でも、危険性は0ではないので治療します。
 リスクレベルとしての説得力としては、実際問題低いのです。
 リスクレベルとしての指標として、「将来のQOL、ADL(日常生活動作)の低下の危険性に対応できる最適な治療を考える。」というのがクローズアップされてくるのでは。
 簡単な標語として、「8020運動」がありますが、まさにQOL,ADLをどう考えるか?から考え出されています。
 そう考えると、入れ歯をもっと利用するのもいいのですが、採算が合わないことが多く歯科医師は敬遠しがちです。
厚生労働省に考えてもらいたいのですが、リスクレベルということに関して思考能力が欠落しているらしいので、予防という考えは無視されることでしょう。
 予防ということに関しては保険診療外ということになっています。つまり自費です。
 これだけ構造改革を声高に叫んでいる首相がいるにもかかわらず、関係省庁は動かない。
 お金が足らなくなったら税金を上げる。保険料を上げる。行政改革は野党顔まけの牛歩。
 不利な情報は隠す。出生率のあきらかな隠匿行為には「ああ、またやったな厚生労働省」と諦めの感覚しか出てきません。