2004年5月30日(日) 臨床小児歯科学会にて 会員数60名のこじんまりした学会に出席しました。
出席は、10数名でしたが、顧問の落合靖一先生が久々に講演されるというので出席しました。
総会も同時に開催されましたが、副会長の坂田滋先生から議長をしてほしいとの事で、断る理由を考えるのが面倒くさくて引き受けてしまいました。
そんなことはどうでもいいにですが、題名が「歯科診療に必要な遺伝に知識」でした。
内容は、なかなか面白いものでした。
要約すると、ある形質が発現するには「遺伝的な要因」と「環境的な要因」が複雑に絡み合っています。
遺伝と環境の強さを知るために双生児法というものがあって、原理は1卵生双生児間の差は環境因子を示し2卵生双生児の差から1卵生双生児間の差を引いたものが、遺伝的因子を示している。ということです。ちょっと分かりにくいかもしれませんが、説明を書くと、
P(表現) G(遺伝要因) E(環境要因)
ある一卵性双生児1と2について、 P1a=G1a+E1a
P2a=G2a+E2a
が成り立ちます。そこで、表現の差P1a−P2a=(G1a−G2a)+(E1a−E2a)を考えるとき、
1卵生双生児ではG1a=G2aなので、P1a−P2a=E1a−E2aとなって、表現の差は環境要因の差ということがいえます。
同様に2卵生双生児のP1b−P2b=(G1b−G2b)+(E1b−E2b)。
P1a−P2aとP1b−P2bを考えるとき、これが遺伝的要因ということがいえます。
(P1a−P2a)−(P1b−P2b)=(E1a−E2b)−(G1b−G2b)−(E1b−E2b)
Eの補足説明としては、環境要因というのは受精直後の母体の環境と考えてもらうのがいいと思います。母体中の血行、栄養状態、危険因子(タバコ、食事、アルコール)、ストレスなど他因子が考えられます。
危険要因を除外して考えると、通常母体環境をほぼ等しいと考えられるので、
(P1a−P2a)−(P1b−P2b)=−(G1b−G2b)
となるわけです
危険因子が少ない場合の例として、人の中切歯の幅の差を考えます。
1卵生双生児では0.1から0.3ミリぐらいの差です。
2卵生双生児では0.8から1.8ミリぐらいあります。
0.3対1.8つまり、1対6ということで歯の大きさというのは遺伝的な要因が6倍大きいといえます。
1,8−0.3=1.5が、遺伝的要因を示しています。環境が0.3で遺伝が1.5遺伝傾向が強いというわけです。
長々と書きましたが、結局概ね歯、顎、など歯科の分野は遺伝的な要因が強く働きます。