「健康」という病 米山公啓 著 高度な医療技術や特殊な治療によって寿命が延びているように錯覚するが、もっと地味で着実な医療の変化、つまり病院での患者管理の改善によって寿命が伸びている。
 抗生物質や化学療法の普及によって感染症が減少したのではなく、実際は栄養状態の改善、教育の発達、下水道の完備、食品衛生の管理が進んだ結果である。
 風邪薬が風邪にかかっている期間を短くするということは実証されていない。
 医学上は65歳以上の血液検査の正常値は存在しない(20歳から60歳くらいまでの健康な人から得た値を正常値としている)
 したがって、高齢者では絶対的な正常値と理想とせず去年のデーターとの比較が大事。
 日本の肺がん検診の発見率は0.04%くらい。これでは予防の意味が無い。
 タバコは虚血性心疾患(心筋梗塞)、肺がんの危険因子であることが確立している。
 タバコの副流煙のほうが発癌物質が多い。
 理想体重よりやや小太りの人のほうが長生きする
 『体重のセットポイント説』脳は体についた脂肪によって体系が崩れたとか、肥満だという意識ではなく、食べ物がなくなったときの緊急状態のエネルギー源としての脂肪組織を、一定の量(セットポイント)に維持しようとする。
 従って食事制限しても、脳が消費エネルギーも減らしてしまい少ないカロリーで体重が維持されてしまう。
 一度、ダイエットで体重が減っても食事量が前の状態になると、エネルギー消費量を減らしているのでリバウンドが起こる。
 アメリカのメイヨークリニックの肺がん検診の有効性に関する調査では、検診で肺がんは見つかりやすかったが、対照グループと比べ肺がん死亡率は減少しなかった。
 2000年6月に第一刷ということは、3年半前。
 現在では医療としてだいぶ内容も変化しているであろうが、疫学という面では費用も時間もかかるので、疫学に関するものはこのとおりであろう。
 肺がんの早期発見できれば手術でほぼ100%治るということがいわれてきたが、手術なしに危険因子の除去、免疫機能の賦活などでも治癒するのではないかという内容の本も出ています。
 今でもアメリカは肺ガンの検診実施を凍結したままなのか知りませんが、禁煙運動には力を入れているようです。
 そこで、
 歯科検診の早期発見早期治療は本当に効果があるか?
 現在、ムシ歯の進行状態でC0というのが加わりました。
 Questionable Caries Of Observation   歯磨きや食事指導などで経過観察するだけのもの。
 これは、早期治療ではありませんね。日頃の予防の徹底ということなので、早期発見早期治療には当たらないと思います。
 それでは、完全に虫歯になってしまった歯を検診で見つけたとき。
 虫歯に自然治癒は無いということで歯科医院に行って治療してもらうように勧告書が出ます。
 しかし、虫歯の治療といっても金属、レジン(プラスチックの一種)で置き換えをやるだけで厳密に言えば治していません。
 ということは、検診を行う労力を、予防に力を入れる事に置き換えて、検診を廃止してブラッシング指導、食事指導、の徹底を推し進めるほうが効果も大きく予算も少なく住むのでは。
 検診は歯科医院で個人の責任で行ってもらうのが最善かも。