森田 学先生(当時岡山大学、現在北海道大学教授)らが、修復物の耐用
 年数について調査した、有名な報告があります
修復物の使用期限
 安田 登先生(第一生命保険日比谷診療所)の研究によると、すべての修復物は、平均6.9年でやり直さないといけないという結果が出ています。
 ということは、歯科治療の中で修復物(金冠、各種詰め物)はすべて、『暫間処置』ということになります。
 虫歯ができてしまい歯科医院を来院しますが治療ではなく、その場しのぎをやってもらっているということです。
 その場しのぎ、暫間処置といっても、同程度の処置を繰り返すのならまだよいのですが、大概は一回り虫歯が大きくなって詰め物、金冠が外れるため、どこかで歯髄(神経を含む処置)を取る処置が出てきます。
 繰り返しの虫歯(2次齲蝕)の多さから言ってもいずれ、歯髄をあきらめなければいけないことが考えられます。
 歯を削って詰めるだけの処置だけなら、やり直しにあまり抵抗はないのですが、歯髄を取る処置となると歯の活動を停止させるということなので、躊躇します。
 そのままにして置くと激痛が出てしまうので結局歯髄を取ってしまう処置になるのですが。
 歯髄を取ったとしてもしっかりとした処置をしておくと、当然問題を起こさないと考えられますが、歯髄を取ってしまった歯は、どうしても脆くなって行きます。
 大きな力がかかると歯自体が破折する危険性が大きくなります。
 平均寿命が80歳前後になってきた現在、歯の寿命は60数歳なので、危険性を少なくするということならなるだけ歯髄も取りたくないですね。
 ゴールをどこに設定するか?あと100年生きる気ならどんな処置をしても無理があります。
 歯を消失しても、義歯やインプラントがあると考えると、ゴールを設定することはできません。
 一応自分の歯でかめるとするのが妥当だと思います。
 ぎりぎりブリッジは合格とします。
 そうなると、80歳で20本残そうということになりますが、なかなか難しいのが現状です。
 そうなると如何にして、天然歯をなるだけ削らずに残すかということにかかってきます。
 歯科医は歯を治しているのか?
 答えは当然「否」
 虫歯を治しているようで、実際は置き換えを行っているだけなのです。
 個人的には治療といっても暫間処置しかできない。詰めるだけですめばラッキーと思って治療しているのです。
 自然に生えてきた歯を、100とすると、総合的に考えて詰め物をうまくしても80,70にしか回復していないわけです。
 歯科医に限らず、外科医も悪くなったところを切り取っているだけということがほとんどです。
 元の状態に戻すことはできませんね。
 虫垂炎で盲腸を切り取ってもそのままほったらかしですね。
 虫歯を削り取ったら、必然的に何か詰めなくてはいけません。
 何を詰めても、7年前後の寿命なら、取れたらすぐに来院しないと、処置が後手になります。
 ところが、厚生労働省の保険システムの改悪が続くと、どうしても我慢してしまいます。
 歯科は医科と違って老人医療保険を圧迫してないし。
 患者さんが期待しているほど治療レベルは高くないので、えらそうなことはいえませんが。