ゾウの時間 ネズミの時間―サイズの生物学 (本川達夫)   中公新書を読むと、一生の心拍数は、象でもねずみでも人間でもほぼ同じ回数で終了する、つまり心臓が停止するということである。
 起きている時間が長いほど心拍数が多くなるので、寝ている時間が長いほど長生きできるということでもあります。
 起きている時間の総数もほぼ同じぐらいということもいえます。
 徹夜して仕事をこなしても、寝だめすればある程度取り返せるということですね。
 タバコ、飲酒、暴飲暴食、ある程度寿命が短くなるはずなのですが、すべての条件が当てはまっているのに90歳以上長生きする人もいます。
 この人が、節制した生活をしたら、もっと長生きできたかどうか分かりませんが、抵抗力のあるなしはあると思うので寿命も遺伝子レベルである程度規制されていることでしょう。
 砂時計のように後どれだけ生きられるのか分かれば、生き方も違ってくるかどうか。
 黒澤明監督作品「生きる」では、公務員の主人公が、寿命幾許もないことが分かり一念発起して市民に喜ばれる仕事をするといった内容ですが、良いほうに進めばよいですが、やけになってしまう場合もあると思います。
 暴走族だけでなく、中学生高校生の喫煙なんかは明らかに身体に悪影響が出ると思いますが、おそらく好奇心が先にあって体に対しての悪影響は考えていないと思います。
 個人的には、少なくとも若い人は、自分は死なないと思っているのではないかと考えています
 かなり歯周病が進行して、保存処置ができなくなってきた状態で、もっと若いときに大事にして置けばよかったという言葉をよく聞きます。
 歯は、一見硬くて丈夫だから悪くなりにくいと思ってしまうのでしょう。
 目でも、皮膚でも、脳でも、体中例外なく加齢現象が起こります。
 皇帝でも、平民でも。当然なことなんですが時間が過ぎ去ってからでないと気づきにくいと思います。
 スポーツ選手を見ていれば、あのすごいプレイをやっていた選手がいつの間にか引退して、野球選手でも、サッカー選手でも、同い年の監督が何人か出てきています。
 どんどん若くてすばらしい選手が出現している反面、老兵は立ち去っていく。
 ただなんとなく時間だけが過ぎ去ってしまうのは分かっているのですが、何がしたいのか、何をすればいいのか、何ができるのか、それを見つけるのがまた大変なことです。
 子孫、つまり子供ができた時点で生物学的に言えば、死んだも同じといえます。
 取り敢えず、遺伝子を受け継いでくれる個体ができたのですから。
 社会的には、まだまだ行き続けないといけないわけです。人間は社会的な動物であるといわれるぐらいですから。
 これから世界中の人々を驚かせることができるかといえば、できる訳ないです。悪いことならできるかも?
 今まで誇れることで何をしてきたかと考えると、たいしたことはないかも。
 地域医療に貢献すると言った目標が、どれだけ達成できたかというと、新たな場所で出直しだと考えているのでまだまだこれからだと思っています。
 学校歯科医になって、歯科医療に貢献したいと考えていましたが、平成6年から小学校の歯科校医になって検診を中心に歯科講和等できだけのことをしてきたつもりですが、「ちょっと聞いてくださいね」でも、コメントを書きましたが、まだまだ気に入らないことが多くて、歯科医師会の学校歯科の理事のK先生に愚痴を聞いてもらうぐらいのことしかできません
 休みの日に変な愚痴を聞かせてK先生には悪いことをしたかな。
 あと100年たてば、誰も覚えている人はいなくなると思います。私自身100年前の先祖の名前も顔も知りませんし。
 お墓に名前だけありましたけど。おそらくいわゆる水飲み百姓だったので、苗字もありませんし。
 せいぜい20年から30年ぐらいを考えておけば十分かと考えています。
 同級生でも、もうすでに故人になってしまった人も何人かいますから、もっともっと短くなる可能性はあります。
 今以上のことはできないかもしれませんが、足し算で考えていこうと思います。
 20年間のうちの楽しみとしては、ヴィッセル神戸の優勝です。
 阪神タイガースは何回か優勝するかもしれませんが、我が家の虎キチは、生きてきてよかったと思っているようです。
 優勝しちゃうともう思い残すことはなくなるかというと、人間が欲深くできていますので、連覇を期待したりして。