たまに原因がわからない症状の患者さんが来られます。
一般の診療所に行く患者さんは、なぜか頭が痛いとか、体がだるいとか、診断が難しいことが多いと思います。
病名が決まらないと、治療方針が立ちません。
鼻水、頭痛などは、「風邪です」で済ませてほとんど経過観察ということで、投薬治療でしょう。
なぜか原因がわからなくても、体がだるいとか、頭が痛いとか、不定愁訴がある患者さんは、昔は、「自律神経失調症です」といってこれも経過観察。
今では名前が変わって、「ストレスが原因です。様子を見ましょう」
食あたり、食べ物で蕁麻疹が出たりしたら、「自家中毒です。様子を見ましょう」で納得していました。
今では名前が変わって、「食物アレルギーです。様子を見ましょう」
診断は重要です。診断がついただけ一歩前進したような気になります。「様子を見ましょう」だけで経過観察しているだけで、落ち着いてきたりしますもの。
確定診断が出るに越したことはないですけど、世の中わからないことのほうが多いから。
「ストレス、アレルギー、様子をみましょう」で、手遅れになっても困りますが自然治癒が一番だと思うし。
難しいところですね。
歯科の場合、ほとんど診断の必要はありません。
「虫歯です。」とか、「歯肉炎です。」とか、患者さんが診断を下してしまっている場合もあるほどです。
でも、以前にも書いたように治療方法で悩みます。
ところが診断が確定しない場合もたまにあります。
原因がわからないと処置方法、治療方法が決まらないから困ります。
「歯が痛い」といっている患者さんで、どこがどのように痛いか、何が原因か見つけ出さないといけません。
虫歯らしい虫歯もないのに痛い場合もあります。
大概、「経過観察しましょう」といって、何日かしたら収まってくれます。
上顎洞、咽頭のほうが痛くて、口腔外科とか、耳鼻咽喉科に行ってもらう場合、専門外ということで気は楽です。
いくらでも紹介状を書いて、治療に行っていただいたらいいだけですから。
なぜか痛みが消えない場合悩みます。
ほとんど、処置ミスなので、患者さんには悪いのですが時間がかかっても最初からやり直しでなんとかなります。
ちょっと歯を残すのは無理があるかな?と思いつつ治療している場合、痛みが消えなくても納得いきます。
患者さんが「金属アレルギーではないですか?」といわれて、金属の詰め物、かぶせ入れ替えるのは、根性が要ります
アレルギーでない場合、徒労に終わりますもの。
ストレスの場合、歯を喰いしばったり、歯軋りで歯茎を傷めますが、ナイトガードを作ったりしますが、対症療法であって、根治治療でないので何か落ち着きません。
心療内科を紹介するほどでもないし。
「ストレス、アレルギー、様子を見ましょう。」
診断名がカタカナになってもやることは一緒、「様子を見ましょう」
喘息なんかもアレルギーが原因ですが、対症療法、経過観察を続けていけば、ある程度年月が経過すると収まっていく場合があります。
収まっていく時期に新興宗教の勧誘でたまたま治癒の時期が一致したら、宗教にはまってしまいます。
癌の末期の患者さんで、イタリアか、フランスの奇跡の水を飲めば治るというので無理して現地まで行っていますが、無理がたたって、症状が悪化してしまっています。
白血病でも寛解で、症状が悪化しない状態を保つというのを一応のゴールにしていると思います。
入れ歯を作っても、なかなか気に入らずあれこれ注文を受けますが、個人的には取りあえず噛めて痛みが出ない状態を達成できたらよしとしています。
現在の筋肉の働きとか、顎の位置がそうなっているのであって、それ以上つまり、審美性を追及すると噛めなくなってしまうことが多いです。
この歯並びだと心理的にストレスを感じているのは分かりますが、おかしなもので審美性と機能性は両立すると思い込んでいることがあります。
できないことはできないのであって、何とか現状を受け入れて、折り合いを付けて対応してもらう。
そこででてくる、経過観察「様子を見ましょう。」の一言。
今より状態が良くなるとは思っていませんが、「こんなもので許して」と、心の中でお願いしてばかり。