11月5日(日)長月会開催。講演は、灘中、灘高、早稲田卒のフジテレビジョン報道局解説委員・キャスター・国際医療福祉大学客員教授の黒岩祐治氏
 1954年神戸出身。「いのち」について
 核武装論議、いじめ問題など現代社会の問題の根底には「いのち」の価値が軽んじられてきたことがあると主張していました。
 平成元年、救急医療キャンペーンを展開。当時の東京消防総監中条氏から「救急隊の応急処置範囲の拡大」について問題提起があり、救急車の中では医療処置(点滴、気管内挿管、除細動器の使用)が行えない現実に愕然として、一大キャンペーンを展開した。
 当時、アメリカではパラメディカルという資格で救急医療処置が救急車や事故現場で行えた。呼吸停止、心肺停止後12分間以内に適切な処置を行えば完全社会復帰も可能なのに、日本では出来なかった。
 フランスでもドクターカーというものもあり日本でも同じような制度が必要と考えた。
 誰が考えても反対はないだろうと思っていたのが、大反対する団体があった。
 日本医師会である。後の医師会会長坪井氏が担当窓口で、黒岩氏は丁々発止のやり取りが合った。医師法違反を立てに絶対反対の医師会。
 行政も、自治省と厚生省が別個に対策本部を作るという縦割り行政の壁にも悩まされる。
 救急車の管理は自治省、医療業務は厚生省。
 いつの世も同じような問題はあります。例えば学校歯科。学校内の行事は文部省で、検診は厚生労働省。お互いの縄張り意識は強く現場は右往左往。
 すったもんだの挙句、医師会も坪井氏に決定権の一任し、会議で反対もしないが賛成もしないという日本的な方法で協力し、全ての党派の議員全員の賛成で成立。
 ナースの問題、終末医療の問題、色々な観点から様々な報道キャンペーンを展開したとの事。
 最後に、今大きな宝の山を発見したとの事。
 それは、中西医結合医療
 中国医学と西洋医学との利点を組み合わせようというもの。
 黒岩氏の先輩の故逸見正孝氏の末期ガンの対応で、当時執刀した「ゴッドハンド」を持つといわれた主治医は「手術は大成功であった。」とコメントしていたのに、結局回復することなく死にいたった。あのような状態で体力を消耗する手術は必要であったのかと疑問を投げかけていた。

 漢方では、気血水のバランスを戻すという考えの元、医食同源という考えが重要であると説明していた。
 黒岩氏の父親が、肝臓ガンで入院し直径6センチのガンが発見され入院。抗ガン治療で抗がん剤放射線治療を駆使したがガンは8センチに増大。どんどん状態も悪化していった。
 あるシンポジウムで知り合った中国の女医に相談したところ、漢方で治療しようということになった。この女医さんは西洋医学にも漢方にも精通していて、西洋医学でだめなら漢方薬で治療を試みようということになった。
 漢方薬を用意するにも日本では調達できないということ。中国に発注し届くまでどうしたかというと、蒸した長いもを朝晩食べるように指示した。
 医食同源、山菜を食する。漢方薬と長芋は共通する成分があるらしい。それで食欲が増進して体調が回復し、漢方薬も功を奏しどんどん回復したということ。
 いま、腫瘍は増大してはいるが、検査値は正常という事。
 中西医結合医療の信奉者になっていました。
 同級生には医師も多く、この話をすると胡散臭いといって取り合ってくれないと嘆いていました。
 胡散臭いというのも理由があると思います。
 @病院を無理から退院したというが、医療処置が病状を悪化させていた可能性が考えられる。
 A長いも療法、漢方薬両方が効を奏したかどうか解からない。偽薬効果、暗示効果で病状が軽快したかもしれない。
 B薬効を判断するには二重盲険法を行わなければならない。ところが命が掛かっている状況では検査できない。漢方薬が効いたかもしれないが腫瘍が大きくなっているということは回復しているとは言えず、悪化していると判定される。
 C黒岩氏は「病状が一時的に安定して、一定期間が過ぎたらすとんと悪化して死に至り、結局病院で治療した時と変わらない期間しか生きられないかもしれないが、終末医療を考える上ではどちらがいいか明白。」といっているが、安定した理由が結局わからないので、意味がない。治療しなかった時、西洋医学を用いた時、漢法医学を用いた時の結果がわからない。医療は一発勝負。
 そんなに大きな宝の山には思えなかったです。
 あと、NHKのチャングムの誓いが、医薬同源という事では素晴らしい番組だそうです。イ・ヨンヘが綺麗。