国民の教育 単行本で書店に並んでいた、渡部昇一 著 「国民の教育」が文庫本で売っていたので得した気分で購入しました。
 「国民の教科書」は、だいぶ話題になったので単行本で買いましたが。
 教育問題を中心かと思いきや、途中からエッセイになっていました。それなりに面白かったです。
 例えば、
 国際裁判としての「東京裁判」の無効の根拠として、11人の裁判官のうち唯一国際法の専門家のドイツのパール判事の主張を取り上げていたり、「南京大虐殺」は、当時の南京の人口から言っても矛盾しているし、証拠写真がことごとくでっち上げ打とか、昭和57年の歴史教科書検定問題で、朝日新聞の記事がそもそも根拠のないもので誤報意外何ものでもないのに、中国の内政干渉に屈したとか、韓国からも非難を受けた「従軍慰安婦問題」も捻じ曲げられた解釈で、国際問題になること自体おかしいのに前出の新聞社の横暴だとか。
 昭和40年に締結した「日韓基本条約」に立ち返ってみれば、
 両締約国は,両締約国及びその国民(法人を含む。)財産、権利及び利益並びに両締約国及びその国民の間の請求権に関する問題が、完全かつ最終的に解決されたこととなることを確認する。(個別請求権の問題は解決したものとみなす。) http://d.hatena.ne.jp/keyword/
 とある様に、「従軍慰安婦」等の問題は蒸し返すこと自体、日韓基本条約違反になるということになり、まさに内政干渉で戦争も辞さないということになってしまう。
 日本が日露戦争をしなかったらソビエト連邦の支配下で、有色人種はアパルトヘイトで奴隷になっていたか。
 アメリカが日本を徹底的に無力化したがために、ソビエトの進出を食い止めることが出来ず、北朝鮮がソビエトの援助で強大化していくのに結局アメリカ自身が出て行かなければならず『朝鮮戦争』が勃発した。
 日教組組合の大罪として、社会党などを非難しています。
 皇国史観の重要性を強調。
 まあ、討論番組でも取り上げられる微妙な内容ですが、思いっきり紛糾しそうな内容でした。
 国際社会ということは、最小限度の理論武装は大事だと思いました。日本人=悪人という教育を受けてきたのも事実ですし。
 司馬遼太郎の歴史小説の日本人観は、戦国時代や明治維新の日本人の素晴らしさを再確認させてくれるというような気がして、よく読みました。
 でも、第2次世界大戦前後の日本人は堕落して、おろかな戦争を起こして自滅したという立場だったような気がします。
 ところが、ハルノートの内容など次々に歴史の再考がなされてきて、当時の日本人の立場を考えると、避けられない戦争という事実が明るみになってきています。
 戦争の仕方は残念ながら稚拙としかいい様がありませんが。
 追い詰められて戦争をしたからといって正当化は出来ませんが、日常生活上で似た様な事はいくらでもあります。
 借金で切羽詰って銀行強盗したが、つかまって破滅。
 厚生労働省が無策な政策で歯科医師会を圧迫するので、賄賂という違法手段で改善化を図るがばれて信用をなくす。
 虫歯で傷むので仕方なしに歯髄(神経)を取ると、歯が脆くなり割れて結局抜歯。
 舌癌で切除手術したが、流動食しか食べられなくなり、作ってくれる肉親がいないため栄養失調で死亡。
 昔、テレビの深夜放送でアナウンサーがゲストに質問するコーナーがあって、悪役紹介の八名信夫氏がインタヴューされていましたが、そのときの質問で、親子関係の質問がありました。
 八名さんは、戦後中学生でしたが、お父さんが闇米販売に手を出し逮捕されていじめにあい、父親を憎んだそうです。
「親父、なんてことをしたんだ、」と、ずっとうらんでいたそうですが、成人して生活が楽になり家庭を持って、たまたまふっと当時のことが頭をよぎり、近くにいた父親に何気なく聞いたそうです。
 「親父、どうして当時あんなことをしたんだい?」
 そのときお父さんは、
 「あのとき、家族に白い飯を食わしたくてなぁ。」
 その一言で、それまでずっと抱えていた恨みつらみ怒りがすーーっと消えたそうです。
 「親父も当時一所懸命だったんだ。」というのがはじめて分かったそうです。
 なんとなく、戦争を起こした当時の日本人に非難めいた感覚を知らず知らず植えつけられてきましたが、来年4回目の年男が回ってくる時期になってやっと、先輩諸氏も必死で頑張っていたじゃないのと思えるようになりました。