何か高価なものを買うとき、「一生ものだから。」と、購入理由にする場合があります。
 先日家に帰ると、スチームクリーナーが置いてありました。
 いくらするのか、どうしても口を割りません。値段を言ったら、私が怒るというのですが、インターネットで検索すると約30万円弱するようです。
 故障しても、修理、部品は無料なので、一生というわけではないのですが、長期間メインテナンスするとの事です。
 でも、この会社が倒産でもしたらどうなるのでしょうか?
 悪質な場合、故意に倒産する場合もあります。
 昨日も、インプラントを数本行っている患者さんが来院しました。
 10年ほど前、「一生持つから。」と勧められて思い切って自費治療に踏み切ったといっていました。
 どんな高度な治療でも、患者さんが死ぬまで問題を起こさない治療はありません。
 この先生が一生といっているのは、この先生が「元気なうちは責任を持つ。」といっているだけではないでしょうか。
 この先生は当時50才前後だったらしいので、20年ぐらいは持つと考えていたのではとコメントしましたが、実際問 
題その治療を行った先生がいなくなった場合、問題が起こってもどうしょうもありません。
 特に、医療分野では日頃の行い、(食生活、健康管理、衛生環境など)で予後が大きく変わってしまいます。
 持って生まれたもの(遺伝因子)も大きく関与すると思います。
 手術したから以前より健康に長生きできるのではなくて、どこか不都合があるけど、他の組織が頑張って何とか延
命できているだけです。
 特に切羽詰った状況、交通事故などで生死の境目で輸血、臓器移植の必要な場合は極端ですが、インプラント以
外でも、詰め物、金属の被せも結局は残った組織を頼りにして成り立っています。
 何年持つかは誰にも分からないことです。
 できるだけ良い状態、快適な状態で長い期間過ごせるか。いろんな要因が絡まりあっているので判断は難しいと思います。
 医療に限らず、将来を保障する内容の宗教なんかも実際問題として矛盾しているわけです。
 死後の世界を保障しても、死人に 口なしですし。