第二回建築協定運営委員会 開催その3

2003年横浜Fマリノスは、Jリーグ発足以来初めて1stステージ、2ndステージ完全制覇しました。

監督は、岡田監督。

 岡田監督のコメントの中に、「人間だけです。もっとも大事なのは現在できることを精一杯することなのに、過去を悔やみ、未来を考え不安になり、現在やるべきことをしようとしない。

 高原のロスタイムに挙げた逆転のヘディングシュートも全力でダッシュしてボールを追い続ける事を続けた結果であって、幸運は誰の前にも平等に流れてきているものだ。

 手を抜いて80%のダッシュでチャンスを逃す事だって考えられたが、チーム全体が諦めない気持ちを持ち続け現在できることを全力で積み重ねてきた結果だ。」

 年商何十億円何百億円稼ぎ出す人もいます。同業者でも年間億単位の収入がある人もいるかもしれません。

 全国レベルのイベント、野球やサッカーの選手の年俸の額の多さには驚かされます。

 それと比べたら取るに足らないことに思えますが、私にとって新診療所建設、移転というのは大変なことなのです。

 現在の歯科診療の実態としては厚生労働省の締め付けや、景気の先行き不安、長引く不況など暗いことばかりです。

 そんな中、体力、気力の衰えを考えたら最後のチャンスだと思い踏み出したことです。

 丁度、神戸市歯科医師会の季刊誌に歯科医院建設予定地の募集が載っていました。

 ためしに、内容を関係機関に聞いたところやはり募集はしたけどなかなか名乗りを挙げる人がいなかった状態です。

  その訳のひとつに1億円以上の出費を覚悟しないといけないからです。

 歯科大学に通って歯科医師になりましたが、トータルで考えると果たして採算が取れているのかと考えると、疑問が残ります。

 エリートサラリーマンや、環境局の公務員のほうがもしかすると裕福かもしれません。

 それなら、日頃から思い描く診療所でもう一度スタートしてみたいと考え実行に移したのです。

 まさに、過去を悔やみ未来を不安に思うことは何度もありました。

 何とかやり繰りして、平成14年12月29日を迎えました。

 直前の数日間はやきもきして寝付かれませんでした。

 ハード面は100%ではありませんが何とかクリアーした状態に持ってきました。

 残るは個人住宅を歯科医院兼用住宅に変更するという、ソフト面の問題が残っています。

 これをクリアーするのに地域住民の皆さんの手助けが必要不可欠となってきたのです。

 そもそも歯科医療は地域住民に受け入れられなければ成り立たない職業です。

 誠心誠意、住民の皆様に説明をさせて頂き署名捺印をもらい、賛同の証を積み上げていきました。

 最初は割りとスムーズに受け入れられていましたが、最後の方になるとどうも変な理由で躊躇する人が出始めました。

 署名すると、もし治療にこられた患者さんの車が人身事故を起こしたら、署名した人の責任になるとか、患者さんが違法駐車して交通の邪魔になり住環境が著しく悪化するとか、歯科医院の安全性はどうやって判断できるのか。など

 署名捺印はあくまで建築協定運営委員会の委員の方の判断材料のひとつにしようというものであって、署名によって物事が覆るのなら神戸空港は建設されないだろうし、行政が成り立たないことになります。

 そもそもこんな署名に法的能力があるとは思えないです。

 違法駐車するのはその人の責任であって、患者さんであろうが無かろうが関係なく警察に通報すればよいことであって、違法駐車する人と署名する人の責任とは別物です。

 歯科医院開設は、保健所等の許可がなければ開設出来ないシステムであって、この地区にはすでに歯科医院と内科の診療所が存在しています。

 そのように説明すれば納得してもらえましたが、なぜそんなことが異口同音に聞かれるのかと尋ねたところ署名運動を快く思わない人がいてこのように言われたそうです。誰あろうN委員長婦人でした。

 さすがに、日時と場所の問題をクリアーしているので、確実に開催されるであろうと確信していましたが、一抹の不安はありました。

 議題に載せてもらえなかったら困るので、他の委員の方に議題として用途変更について話し合ってもらうようにお願いもしました。

 申請書を故意に忘れられたら困るので、見取り図等添付書類一式を委員の数5部作成して用意もしました。

 住民の皆様から聞いた問題点について委員長から聞かれるだろうから、上記のように回答を用意しました。


 小束山児童館2階和室で第二回建築協定運営委員会が開催されました。

 まず最初、副委員長、会計を決めました。それから、委員長夫妻はごみ置き場の取り扱いなどについて議事を始めだしましたが、委員の方が、最重要議題として最初にとリ挙げてもらえるように道筋を決めていただきました。

 まさかと思いましたが、やはり委員長夫妻は提出しておいた申請書一式持って来られていませんでした。

 事前に作成しておいた余分の申請書が役立ちました。

 当事者として、簡単な説明をさせてもらったところ、委員長から住環境の悪化か考えられ上記の質問が提出されましたので、説明しようとしました。

 ところが、なんという事でしょうこの日、灘区の自宅から来ていただいた先ほど決まった副委員長さんが私が説明しなければいけないことをすべて説明してくれたのです。

 副委員長と直接お会いしたのは、12月1日の第一回建築協定運営委員会のとき挨拶程度で、電話で簡単なお願いはしたものの、灘区にお住まいということもあって他の住民の方のように何度も説明に足を運ぶことはしていませんでした。

 奥様とは電話で何回かお話しましたが、何の取り決めも無いのにまさに立て板に水のごとくすべてのクレームに対して回答と説明をしていただきました。

 レントゲンの危険性についても、放射能物質とレントゲン発生機とはまったくの別物であって、委員長のクレームは科学的にもおかしいと説明していただいたのには驚きました。

 世の中には良識と知識を持った素晴らしい人もいるものなのだなあと感心しました。

 私と委員長夫妻との直接対決があれば、もしかしたら水掛け論か、時間切れで議題の持ち越しかで先送りにされたかもしれません

 話し方もとげが無く、温和な話し方なので委員長夫妻も納得せざるを得ない状態となりました。

 用意した住民の署名捺印のある同意書の提出も「そんなものは必要ありません、建築協定に委員会の決定だけで決めれると謳ってあるので決めればいいことです。」といっていただき、提出せずに済んだので大いに助かりました。

 建築協定の趣旨、内容についてもちゃんと理解されていて、一人で会議を取り仕切っていただき、無事委員長の承認の署名捺印をもらえる段取りをつけていただきました。

 駐車場問題など質問形式にして同意書を作って私が署名捺印すれば、申請書に署名捺印するという風に取り決めていただきました

 あまりにもスムーズな展開にしばし呆然としてしまいました。

 この何ヶ月かの精一杯の努力が報われた瞬間です。

 心配のあまり、私の父親も家族として同席しておりましたが私同様びっくりしていました。

 早速家に帰って(といっても隣ですが)報告したところ、みんな最初は信じられないようでした。


 翌年1月6日(月)申請書をもらいに行きましたが、同意書が勝手に念書になっていて、内容に相違があると歯科診療ができないとの一文が付け加えていました。

 後々法的な拘束力の発生、あるいは裁判の可能性を示唆するのかと思いましたが、内容は実行不可能なことでもないので署名捺印して、その下に委員長の署名捺印をもらいました。

 なんとか、次のステップに進むことができることとなりました。