不確定要素を悩んでも仕方が無いので、すべてうまく行くだろうとの判断で、内装の着手に取り掛かりました。
都市公団の対応としては、住宅として建築しているとみなしてもらう事となりました。
その判断の理由として、現在テナントで診療していて、何年何月決まった時点で閉院する予定も無く、とやかく中身に対しては公団側としてはクレームをつけることは無いとしていただいたのです。
明らかに違法建築となると、先に書いたように違反とみなし「買い戻し特約」が発動して建築が中座します。
建築協定運営委員会は都市公団が代行しているので最終決定は住民の手に運営実態が移行してからの承認が必要なのですが、最大限の譲歩として、住民による建築協定運営委員会が許可しないと都市公団も最終許可しないとの態度で、見守っていただく形を取っていただきました。
つまり、どんな時期でも都市公団としては違法と判断すると取り締まれるわけです。
しかし、契約締結から都市公団側と綿密な指導を仰ぎながら進んできたので、心配はしていませんでした。
バリヤフリーを基本として、工夫を凝らした使いやすい診療所を作っていくように、機材の展示を見に大阪南港のトステムの展示場に業者と行きましたし、神戸駅前の浴槽、トイレ、システムキッチンの展示場にも行きましたし、モデルハウスの住宅展示場をみて周り、業者と綿密な打ち合わせを繰り返していきました。
当然歯科医師会や、保健所との手続きも平行して順調に行っていきました。
順風満帆かと思われたとき、最大の危機が訪れました。
建築協定を構成する30件弱の土地所有者の中に1件だけ歯科医院建設に強行に反対する人が現れたのです。
この反対する人は、この人の存在を私が知ったときすでに都市公団に何回もクレームの電話をしていて、裁判も辞さない勢いだったそうです。
そこで、都市公団の対応がどういう具合に変わるのか確認したとこと、基本方針としては何の変化もしないと回答を得ました。
しかし、建築協定運営委員会の正式な承認は必ず必要となってきました。
そこで考えられるのは、運営委員会は住民の代表5名(委員長1名、副委員長1名、会計1名、補佐2名)で構成されていて、役員の決定は大体抽選になるとの事ですが、立候補すれば確実になれるということでした。
役員の決定後、やはり立候補をすればこれも確実に委員長になれるとの事でした。
承認を得るには、反対している人が委員長になったら、この人の署名捺印が必要となってくるのです。
議案の決定も、5名の投票なら、2対2の同票になった場合、委員長決済になるわけです。
運営委員会が発足して少しでも早い開催を願うとなると私も立候補しようと決めていました。
議案の内容が当事者の場合、決定投票には参加できないので、委員長決裁になると負けてしまう事態が予想されることとなりました。
つまり、2対2となった場合委員長決裁で、廃案となるわけです。