タイトル:グラズノフはメンデルスゾーンか? |
グラズノフに関しては全くの初心者だが、作品や経歴から受ける印象は なんとなくメンデルスゾーンを思わせる。少年期から楽才を現して順調な 作曲家生活を始めたことや、スケルツオに優れていたところ、今日必ずし も高い評価をうけていない点などがそうだ。内容的には充分リリックで優 美でもあり、オーケストレーションも巧みだが、聴く者の肺腑をえぐるよ うな表現や深い思索を音に刻み込んだようなところはあまりないし、スク リャービンのような前衛性とも無縁だった。ヴァイオリン協奏曲が有名な ところも似ている。 ただ私がグラズノフに関心を抱いているのは、彼が前衛性とも深刻癖と も離れている点がむしろ好ましく感じられるからなのだ。それでいて上質 な音楽性に満ちていると思うからである。ブルックナーやマーラーやショ スタコーヴィチばかりが交響管弦楽の素晴らしさを担っているわけではな いのである。メンデルスゾーンやグラズノフを大いに楽しむこともクラシ ック音楽の醍醐味というものではなかろうか。