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フォークの歴史を語るには、友川かずきははずせない。 というか、この本を読むまで知らんかったんですけど。。。 なぎら健壱の語る友川かずきのエピソード。これにはマイッタ。三ノ宮の「にしむらコーヒー」で読んでいたが、思わずニタ〜っとしていまい、笑いの音声を外にもらさずに置くのに苦労した。 フォークを歌う人達はいろんな才能を持ち合わせており、絵を描く人も多い。なぎら健壱もそうだが、あの泉谷しげるもそうだ。友川かずきという人もそうで、ある時個展をひらくことになった。 【以下「友川かずき」のところから引用】 僕が画廊を訪ねていったとき、会場には僕ともうひとりの男性のお客しかい なかった。当の本人は入り口近くに座って酒を飲んでいた。 そのスーツ姿の上品な男性は、そんなに友川の絵に興味がある様子でもなく簡単に会場を一周してしまったが、直ぐ帰ってしまうのもなんだという風に、ある絵の前に立ち止まるとジーッとその絵を見つめていた。それを見て取った 友川はすかさずそこへ向かった。 「どうですか?」 男はしまった、というような顔をした。 「い、いや、いいですねこの絵」 ところがその絵には売約済のバラの花がマークされている。その男性が売約済 を見て、これなら安心と社交辞令でその場を繕っていると見て取れた。 「すでに売約済み、しめた!」そういった按配である。 「しかし、いいですな〜この絵」 「ありがとうございます。でもそれ売れちゃったんですよ」 「えっ売れちゃったの?そりゃ残念だな」 男性はこれで解放されると、その場を立ち去るべく踵を返そうとした。 そのときである、友川が、 「どうしてもその絵がいいですか」 「えっ?ええ、まあ…」 「じゃあ少し待っていて下さい」 「いやその、私はあまり時間が…」 「平気です、直ぐですから、今同じもの描きますから」 「お、同じもの?」 友川君、あなたはコピー機じゃないんだから。 【引用終わり】 友川かずきの他、高石ともや、吉田拓郎、RCサクセション、泉谷しげる、もんたよしのり、井上陽水など、なぎら健壱本人を入れて16人。フォークシンガーは変なヤツらばかりである。その中でも一番怪しいと思うのは、やはり著者のなぎら健壱だ。 おすすめ度:★★★★ |
(2001.7.21)