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つい今さっき、日曜洋画劇場でエディー・マーフィーの映画『ホワイトハウス狂騒曲』を見てたんであるが、この映画のおもしろさは、本書『マチルダ』につながるものがあるなあと思った。他の映画で言うならあの『スティング』も同じようなおもしろさがある。一言で言うなら、痛快ってヤツ。主人公はみんなとんでもないヤツらで、早い話が詐欺師たちだ。そんな品行方正でないヤツらだが、心優しきヤツらなんである。善人ヅラしたヤツらをうまく騙してくれる。そして、引き際の良さが抜群だ。 ポール・ギャリコの『マチルダ』では、カンガルーをボクシングの世界チャンピオンにしてしまおうという、芸能エージェントのビミーや、それを取り巻く怪しげな連中が主人公である。だいたいが、カンガルーをボクシングの世界チャンピオンにしようとすること自体が詐欺みたいなもんである。方や、これを阻もうというマフィアの大物がいる。 もちろん、そう簡単には現役の世界チャンピオン(当然人間である)とは試合をさせてもらえない。まずは、実績をつむことから始めていく。試合をさせないように圧力がかかったりするが、ギミーたちの悪知恵(?)でなんとか公式な試合を成立させていく。試合をする当人というか当カンガルーの、マチルダ君、強いのなんのって、次々に世界ランカーをブッ倒していく。褒美には、ハーシー・チョコレートをもらって、マチルダ君も満足だ。そしてついには、タイトルマッチということになるのだが。。。 何よりも、鮮やかなラストが心地よい。見事な終わり方だ。まるで『スパイ大作戦』を見てるようだ。いやいや、違った。エディー・マーフィーか、『スティング』か、やったかな。まあそんな終わり方だ。うまいなあ。 悪知恵の働く、芸能エージェントのビミー君も実はなかなか真面目ないい男だ。結婚をしたいと思っている彼女からは、「誠実な仕事をして」なんて言われて、悩んだりもする。しかし、カンガルーと戦うボクサーは嫌やったやろな。やられる前に、ペロリと顔をなめられるんやもんなあ。おえっ! で、この著者のポール・ギャリコ、あの『ポセイドン・アドベンチャー』の原作者であったのだ。ああいうハードな物も書いていたとは驚きだ。 おすすめ度:★★★★ |
(2000.8.7)