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ねじまき鳥クロニクル(第1〜3部)
村上春樹

発行:新潮文庫


ってことで、村上春樹を読んでみた。

 村上春樹の書く主人公は概ね寛容で、教養があり、人の話しを良く聞き、否定はしない。食事は自分で作り、ビールをよく飲む。、男女が平等で、適度のSEXをする。そして猫がいる。、個人の生きていく意味も問われるが、押し付けがましくない。読んでいて心地良く、疲れて帰って来た時でも読める。そのあたりが人気の秘密なんかな。

 福田和也『作家の値うち』で取り上げていた本を読んでみた。
★印は私がつけたもの。( )内は福田和也のつけた点数。詳しくは、『作家の値うち』をごらんください。
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【風の歌を聴け】
デビュー作。青春の日々の思い出。1つの話がず〜っと続く訳ではない。あっち行ったり、こっち行ったり。後で登場する、親友・鼠との出会いもここで語られる。実は以前に、この本を読みかけて、途中で挫折していた。というか、買ってあるのを忘れていて、もう1冊買ってしまった。
おすすめ度:★★★
→あとの2冊と合わせ技で。単独では★★
福田和也は(82)←ちょっと高すぎやと思う。
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【1973年のピンボール】
これも青春の日々の思い出。これも例によってあっち行ったり、こっち行ったりするが、ピンボールに関してはウンチクが語られており、なかなか興味深い。
おすすめ度:★★★
福田和也さんは(79)
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【羊をめぐる冒険】
いきなり、鼠からの手紙で始まるので、この本だけでは、少々面喰らう。『風の歌を聴け』を読んでからのほうが、いいと思う。この本はあっち行ったり、こっち行ったりせずに、1つのお話になっている。鼠君を探しに耳のモデルと北海道へ。生きていくことに対して弱かった鼠君の選択したものは。
おすすめ度:★★★
福田和也君は(86)
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【世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド】
2つの話が平行に語られる。私のココロ返して〜って感じ。面白かった。実は少々忘れている。もう1度読み返したい。
おすすめ度:★★★★
福ちゃんは(91)←わからんでもないけど。
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【ノルウェイの森】
ビートルズの曲で『ノルウェイの森』というのがある。別にノルウェイでのお話ではない。主人公の直子は『1973年のピンボール』に登場している。主人公の僕は非常に寛容だ。
おすすめ度:★★★
福太郎君は(76)
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【ダンス・ダンス・ダンス】
『羊をめぐる冒険』の続編っぽい。僕は再び「いるかホテル(ドルフィンホテル)」を訪れる。今度は耳のモデル(キキ)を探しに。生きていく意味は?あなたの為に泣いてくれる人がいる。とにかくダンス・ステップを踏み続けるのだ。
おすすめ度:★★★★
ふっ君は(87)
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【国境の南、太陽の西】
幼馴染みの女性との再会。僕の心にはズッと彼女がいたのだ。なにもかも捨てて彼女の元へ。。。とはいかない。
おすすめ度:★★★
フクフクは(77)
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【ねじまき鳥クロニクル】
井戸の中での思索。突如出て行く妻。誘う加納クレタ。見守る笠原メイ。一度は逃げた主人公であるが、妻を救う為についに立ち上がる。僕とは対照的な妻の兄、ワタヤノボルとの戦い。そこには個人を超えた歴史があるのだ。それが間宮中尉の満州での思い出につながる。
おすすめ度:★★★★
ブクブクは(96)←『作家の値うち』の中の最高得点。
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【スプートニクの恋人】
スプートニクとはもちろんソ連の宇宙船の名前。他人とのコミュニケーションのとりかたについて。なにが正しいことなのか。
おすすめ度:★★★
福田和也先生は(67)
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【神の子どもたちはみな踊る】
地震によって何が変わったか。あるいは変わらなかったのか。とにかくあの時、地震というものがあったのだ。6つ話の連作。
おすすめ度:★★★
福田和也氏は(87)
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(2000.7.27)



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