〓 | 人間のからだのイメージが変わる。人間のからだはまず骨格があって、そのまわりに内蔵や筋肉があるようなかたいイメージではなく、ほとんどが液体であり、皮膚という1つのズタ袋のなかに骨や内蔵が浮いているととる。その感覚をもって人の体の動きを考えた本。さかだちは、ぶらありである。最近岩波書店からも新刊されたようである。 |
■ 野口三千三 野口体操 からだに貞く 柏樹社
〓 | 人間の動きの基本は、重力に身をまかせることである。<頑張ってやるということは、自然の原理のままに従えばできないことを、無理矢理にデッチアゲて、ゴリオシするということである。>「野口体操 からだに貞く」、<生きることの基本的なことについて、それが自然の原理によって行われたとき、神はそのことに特有の快感(気持ちよさ)を感ずる能力を感ずる能力を与えている。>「野口体操 おもさに貞く」 |
■ 野田俊作 続アドラー心理学 トーキングセミナー アニマ2001
〓 | 自分の性格は意外と簡単に変えられる。自分自身で「自分らしく」を定義し、「自分らしさ」を演じることによって、自分の性格を定着させていると著者は説く。だが、自分を演じることをやめることは、すごく勇気のいることである。 |
〓 | 最高の選手、最低の選手とあるが、最低の選手は出てこない。但し、あの名のある選手が野村の目から見るとそうでもなかったりする。というか、こうしたらもっとよくなるのに、ということだ。その代表がイチローであり、清原だ。イチローついては個人プレーを批判しているが、ヤンキースに移籍してからチームプレーに徹していることを認めている。清原については、弱点を克服する方向にいかなかったのを惜しがっている。長所を伸ばすだけでなく、短所を克服することをやらなければ大成しないというのは、野村の持論だ。なるほどと思う。 |
〓 | 野村克也はいつも選手に<仕事と人生を切り離して考えることはできない>と言っている。仕事も遊びも人生だが、仕事に多くの時間を割いている以上、そこに人生を賭けねばならぬと思う。人間の評価についてはこうだ。<その人間の価値を決めるのは自分ではない。他人によってなされるのであり、他人が下した評価こそが正しい>。これは肝に銘じておきたい。今回のテーマの監督評については、新旧の監督をズバズバ切りまくりで面白い。一番押すのは、巨人のV9を達成させた川上哲治だ。野村の考える監督としての必要条件を満たし、何よりも人間教育をしたからだという。監督の仕事の最も大切なことは「人つくり」だと言う。あとがきでは、野村が育てた人物を挙げているが、古田については<人間教育には失敗してしまったようだが…>なんて言ってる。<「人間は、無視・賞賛・非難の段階で試される」という>、と本書にも出てくるが、試しているのか。。弟子は離れて完成する。 |
〓 | 野村の考える、真のエースとは。古くは杉浦、稲尾、江夏、最近ではヤクルトの伊藤智仁を上げている。現役では、ダルビッシュ有、川上憲伸。エースの品格がないのは、誰とは言わんが、力はあってもチームワークを乱す独りよがりのピッチングをしたり、一言多かったり、損得を重視したりする奴ということになる。野村自身は、「カベ」と呼ばれる使い捨てのキャッチャーとして南海ホークスへ入団。しかし<心技体、そして頭脳のすべてを捧げてきた>という。何の為に野球をしているのかを考えられるかどうか。結果ではなく、プロセス重視。これが品格を生むのだ。是非とも全日本の監督になって欲しい。 |
〓 | 試合後のインタビューなんかではわかりにくい野村監督の本音がじっくりと聞ける。阪神の監督をしていた時代は思い出すのもいやな三年間であったと言っているが、実はいろいろ言いたいことはあったのだ。なんせその後の星野監督になってから急に元気づいたのだから。伝統の重みを感じる巨人と、その重みを感じられない阪神との差はどこにあるか、星野監督のどこが良かったのか、また岡田監督に替わった今の阪神はどうかなど、野村監督の評価は面白い。自分と星野監督の違いに言及している箇所では、星野にあって自分にないものの中に「政治力」を挙げている。<「きみの話はもっともだが、抽象論が多いのだよ。星野の話はつねに具体的なんだ」>とオーナーに言われたそうだ。ちょっと意外な一面であった。でもやはり、プロ野球の解説を一番聞いてみたいのが、野村監督だ。今楽天はAクラスで頑張っている。楽天を応援するというよりも野村監督を応援する。 |
〓 | 優勝するチームには2種類あると著者は言う。「優勝するべくして優勝する」チームと「優勝するにふさわしい」チームだ。前者は誰もが認める大本命である。後者はというと、優勝すると「なるほど」と思えるチームである。言い換えれば、優勝する為にやるべきことをしっかりやっているチームである。それが著者の目指すチームなのだ。巨人のV9時代を理想とする著者が川上監督から学んだことは、「人間教育」であった。それが無形の力となり、伝統と呼べるものになるのだ。川上監督に学び、王、長島をライバルとし、常にアンチ巨人としてきた野村監督、楽天で頑張ってほしいのだ。 |
〓 | 今をときめく(?)阪神タイガースの監督の野村克也であるが。考え方に突飛なところはない。あたりまえのことを言っている。<世の中に存在しているものにはすべて理があるという原理原則を知識として導入して、これを自分流にアレンジしていくというのが私の生き方ですから>。弱肩、三振王の野村が三冠王をとったり、チームを優勝に導いたりしたのは、当り前のことを当り前にやったから、なんておっしゃる。しかし世の中には当り前のことが何かがわかってる人間とそれをやることができる人間は少ないように思う。強さの秘密、それは原理原則にのっとり、動機付けがしっかりとなされていることかな。愛読書は『呉子』らしい。 |
〓 | けっこい濃いですね。事件の証拠として、主人公(清原奈津美)が書いた日記をかなり長く読むことになる。女性が書く日記と言うものを、著者(男)が創作しているのを思い浮かべるとなかなか愉快。自分で反省したり、励ましたり。。。まあ考えりゃ、男も女もそんな変わらんかもしれん。人にはその相手によって隠しておいてもいい事と、まずい事がある。相手によって、知ってもらうべき範囲を考えんといかん。現状が心地よくても、あとで自分で自分を苦しめることになる。てな話です。本文中や、あとがきに坂口安吾が登場する。読み返してみたくなった。 |