〓 | 化学探偵キュリーを読んでいるうちに、もっと化学を知りたくなった。というか化学は暗記項目が多いので敬遠していたが、面白さを味わいたいと思うようになった。この本はそんなに化学式も出てこないので、読み物のように読めた。ちょっと前にやっと読み終わった『マンガ+要点整理+演習問題でわかる 高分子化学』と同じ著者であったことも良かったのかもしれないが。もうちょっと齋藤さんの他の本も読んでみよう。 |
〓 | 会社再建の手法を物語とともに解説した本。会社の改革には、8つのステップがある。1.成り行きのシナリオを描く。2.切迫感を抱く。3.原因を分析する。4.改革のシナリオを作る。5.戦略の意思決定する。6.現場へ落とし込む。7.改革を実行する。8.成果を認知する。これらを順番にキッチリ&一挙にやることが大事なんである。言いっぱなしではなく、戦略を考えた者が実行すること。そしてリーダーはしつこくフォローしていくこと。なるほど、と思った。実際、言いっぱなしが多いんじゃがな。 |
〓 | 「整体的…」なので、整体のやり方の本ではない。身体そのものについても説かれているが、「衣・食・住」全般に書かれた本で、なかなか実用的だ。面白いと思ったのは、ぼやっとした善人のポジティブ・ローテンション(睡穴)より、嫌われるのを覚悟したネガティブ・ハイテンション(汚穴)を薦めていること。一番いいのは、ポジティブ・ハイテンション(互穴)で、最悪はネガティブ・ローテンション(閉穴)ということだ。自分のやって欲しいことを他人にするのは落とし穴があること。守るべきは他人との約束より自分自身との約束、無理な感謝は身体に悪い!など。食事・住居についてもまるごと身体的な解説で、面白い本だった。 |
〓 | <人間は生き、人間は堕ちる。(中略)自分自身の武士道、自分自身の天皇をあみだすためには、正しく堕ちる道を堕ちきることが必要である。堕ちる道を堕ちきることによって、自分自身を発見し、救わなければならない。>ところで、正しく堕ちる道とは? |
〓 | 坂田信弘のゴルフ上達の書。単に技術解説にとどまらないのが、坂田信弘の真骨頂。なるほど、と思わせるやり方がうまい。経験に裏打ちされた具体的な数字を示していること。言い回しに独特のリズムがあること。そして何よりも、坂田信弘の世界がそこにある。面白いものは小説だけではない。やはり物書きのプロだな。ゴルフ界の金八先生。 |
〓 | 角川oneテーマ21の一冊。坂田信弘と斎藤孝の生い立ちも語られているのでなかなか興味深かった。貧乏で中学の頃から肉体労働に励んだ坂田と、自信満々で東大を受験したものの落っこち、大学を卒業してからもマトモに稼げるようになるまでの葛藤があった斎藤。両者が口をそろえて言うのは、社会は簡単には金をくれない、ということだ。これからは入試に合格する為の教育ではなく、働くための力をつける教育が必要だという。一人で生きていける力を与えるのが愛情なのだ。 |
〓 | 熱き男、プロゴルファー坂田信弘。トーナメントプロとしては、名が知られていなかったが、ゴルフ理論、指導の面では有名人である。「坂田塾」で無償のゴルフ指導を行うかたわら、漫画『風の大地』の原作者でもあり、現在雑誌等に多くの連載を持つ。京都大学中退で、あの森毅教授にゴルフを勧められ、生活の為プロゴルファーとなった。しかし、元来が作家志望であったらしい。本書でもその語りは熱く、読むものを引き込む力強さがある。<負けても下手にはなりません。が、弱くなっていく。その弱さを突き抜けてしまうと、下手なっていく。だからゴルフは強くならなければいけないのです>。この辺りの言い回しは感心する。タイトルの『6番アイアンの教え』というのは、使用できるクラブの中で丁度真ん中の長さのクラブであり、「坂田塾」の塾生には、これで徹底的に基本を教え込むそうだ。坂田信弘は最後に言う<年をとってくると分かります。単純に生きることがどれほど難しいことか。そして単純に生きるということがどれほど勇気を必要とすることか。そして単純に生きるということがどれほど力強いものか、ということが。…>。坂田信弘は天性の教育者であると思う。 |
〓 | たまに昔読んだ本を読み返すのも楽しい。1991年に書かれたものだから今から16年前となる。坂田信弘の写真も若い。尾崎将司が絶好調の時で、弟の尾崎直道、中島、倉本らが未だブイブイ言わせていた。デビット石井なんてのもいた。川岸良謙なんて新人だ。個性豊かな男子プロが多くいた。この頃ゴルフ人口が増えたようだ。打ちっぱなしに行っても女の子が目立つようになった。今や宮里藍をトップに女子プロがブイブイ言わしている。坂田が試合に出ている選手に順番にメンチを切っていると、トレビノだけが睨み返してきた。風呂場でバレステロスの背中の筋肉に驚愕した。自分より下手だと思っていたウェイン・グラディが全米プロで優勝した。ツアープロであった坂田の目が面白い。 |
〓 | 会議室で椅子を一掃して時間短縮をなしとげ、パソコンの使用ルールを徹底することで、社員が遊ぶ時間を少なくした。キャノン電子で実際に行った赤字からの脱却の一例だ。その他、情報漏洩を防ぐには、社内失業者をつくらないこと。アウトソーシングを止めることで外部流出金を防ぐ。設計者はスペシャリストではなく、ゼネラリストになれ。指令を出すだけではなく、自主性に委ねることの重要性、不良品は工場内の移動距離に比例して増える等、覚えておきたいことが多い。特に色んな事例においての、人との接し方がうまいと思った。 |
〓 | キャノン電子・社長の酒巻氏の自伝的仕事術。『キャノンの…』というよりも、『酒巻さんの…』と言うべきものだと思う。会社の中での起こる数々の問題に対する対処の仕方、心の持ち方について、著者の性格が色濃く出ており、生き生きとしたものになっている。キャノン電子として国内の雇用にこだわったり、社員が本当に喜んで働ける職場づくりを考えたり、会社第一優先ではない、人を大事にする生き様が見えるいい本だ。会社員には特にお薦め。 |
〓 | 著者が23歳のときにはじめて25歳で終了させた連載エッセイをまとめたもの、だそうだ。1992年から1994年のこと。ソウルへ韓国語の勉強に行った話や、ロサンゼルスへ行った話などが、日記風になっている。酒好き、麻雀好きで、バカ話も多いが、女1人暮らしで、なんか頑張ってるなーって感じ。こっちも元気が湧いてくる。愛車キョーカ君に乗って、今日も行くぞ!?(ちっとは洗車せえよ)。 |
〓 | さぎさわめぐむ、と読むらしい。名前をよく間違えられるそうである。そうやろうなあ。我が「ことえり」君も「萠」は文字パレット開いて、くさかんむりのところで選択せなあかん。ちなみに「鷺」は一発で出た。サギサワ・メグムだ。自身の今までの怒りネタを集めたそうである。なかなかいいこと言っている。<現代を生きる親たちよ、決して「友だちみたいな親子」なんて目指したもうな。エバれ。エバり散らせ>。そして、彼女も、十六、七歳の頃には戻りたくない、<今のほうが百倍いい>と言っているが、同感じゃ。あんな頃には戻りたいない。 |
〓 | 知的障害の兄との肉体関係をもち、クスリを飲まされて、集団強姦されるアミは、精子ドナーNo.307によって出生した。宮台真司が推薦していた小説で、以前から気にはなっていた。「売り」をやっている子に小説化を薦めたのが、宮台真司である。「世界を受け切れられない」アミも「閉じた円環」から「開かれた円環」への移行を欲しているのだ。 |
〓 | テレビドラマでやっていた。阿部サダヲと深田恭子が夫婦役、そして娘・香織をやっていた山田美江羽がまたなんともよかった。面白かったので、原作も読んでみた。この親子、いいですね。熱いですねえ。父親の熱い中にも、自分を冷静に見つめ反省する態度は素晴らしいし、何よりも娘といっしょに勉強するところがいい。父親が娘に体調を訊くと、<ずっと座っているから背中も腰も痛い。父さんみたいにわたしもシップ貼りたい>なんて言う。娘も一緒に頑張っている。一緒にやるから頑張れる。わかると嬉しいし、勉強も楽しい。最難関を目指し、諦めなかったからの結果であったと思う。 |
〓 | <「現役ナース」の書き下ろしノベル>だそうだ。主人公はアルカディア病院付属看護学校の1年生、鶴巻俊平。全寮制で、女だらけの中の<白一点>(て言うのか?)。厳かな戴帽式までの10日間を描く。しかし、汗や涙や努力や、それによる感動を期待してはいけない。のっけからエロの連続だ。青春物語<性春篇>だ。さすがに白1点はもてるな、っていうか一気に成長した。うらやましい。エロさbPは、スパルタ教師、真藤先生の補講に決定。 |
〓 | この間トップランナーに出演していた桜庭一樹。女だった。もちろん格闘技もやらない(と思う)。着物姿もよかった。で本屋で見つけたので読んでみた。なかなか面白い。読める本はストーリーが面白いというのもあるが、文章を読んでいて面白いというのもある。これ重要。この本は後者だ。文章を読んでいて面白いのは、読み手が次の言葉を容易に想像できる、というのではなくでちょっと捻ってあるというところ。そうそう、そう言って欲しい、と思えるところ。これ重要。宮乃下静香からばりばりの殺人者に認められた大西葵。おめでとう。 |
〓 | 3DCG技術とVR技術によって生み出される世界の可能性について語った本。そこで生み出される世界は、リアルな世界に近くなっていくということ。また複数の世界が創れるので、それぞれにアバターを置けば、複数の人格を持てるということ。著者はメタバース世界を1つの生態系と捉え、その創り方を解説しているところが面白い。生態系が有機的に動き、成長していく為には、ヒエラルキーがあり、不安定さ、不確実さ、複雑さ、不明瞭さが大事な要因であるという。メタバース世界でいろんな社会実験が出来、それを検証した上でリアルな世界に落とし込める。宇宙開発においても、仮想空間で条件を模した世界を創ってシュミレーションできる。仮想空間では失敗をしても許されそうなところがいい。 |
〓 | しつこい小説である。描写がねちっこい。架空の王国イラハイで、架空の時間に紡がれる、縦横無尽のストーリー。第5回日本ファンタジーノベル大賞受賞作。 |
〓 | <意志の力は不可能を可能にする力ではない。手段でもなく、目的でもない。それはひとが、「ある」ための力なのである。> をキーワードにすべての登場人物(蟹も含む)と人間というもののおろかさと悲しみを笑とばす小説。 |
〓 | エコノミクスとはギリシャ語のオイコノミクス(共同体のあり方)からきたそうである。これでちょっと経済学の見方が変わった。ちょっと面白そうかな、と。タイトルに会議とあるが対談である。佐藤雅彦が質問して、竹中平蔵が答える。わかりやすい。この2人の対談でアメリカが見える。会社というものの見方も変わる。ケンカをふっかけることで、傍から見たら相手と対等に見えてしまうというのも面白い。ブレイクスルーすると、いろんな問題が一挙に解決する、というのも面白い。その面白さは、人間の思惑とか、気分、思い込みとかで決まる要素が多いからだ。当然、予測とかコントロールするのは難しい。経済ってのはギャンブルである。 |
〓 | 眼医者(止めたらしいが)で猫と暮らすチョンガー。私より5つ年上。やもめ暮らしのさびしさや自由を短歌で綴る。猫をネタにし、自分をネタにする。ちょいと淋しがりやだが、ひょうひょうと暮らすとこがいい。猫好きの人もどうぞ。アイドルの吹石一恵の愛読書でもあるそうな。 |
〓 | 名前は「さむかわねこもち」とよむ。「猫持」の方はもちろんペンネーム。バツイチでチョンガーの眼医者(止めたらしい)、ポルシェを乗り回し、猫を抱く歌よみである。大阪は河内の生まれ、現在45才(1953年生まれ)。本書はうた(短歌)入り随筆集。いい感じである。人生の少し先輩であり、同じ大阪人なので親しみがわくやんけ。なかなかええ男で、猫好きなんてのが少々にくたらしいやんけ。なんでかと言うと著者の『猫とみれんと』が、女性の心をつかむからやんけ。なんとアイドルの吹石一恵もファンであったりする。くやしいので、次のうたを紹介する。<「いやじゃーありませんかチョンガーは、パンツ脱いでもすることがない」「ミポリンが「誰かいい人いませんか」、ボクに言ってる CMだけど」>へへ、ざまあみろ。こんなのもある<「軽さだけやたら強調されるけど、そう簡単に軽くはなれぬ」>。他人事とは思えまへん。 |
〓 | かなり面白かった。カンボジアに行ったイザワケイゴ。友人譲原の金を騙しとったネパール人、ダマスを見つけた。そして彼をつかまえようとするが、誘拐犯に仕立て上げられ、投獄される。金でどうにでもなるカンボジア。警察官も裁判官も金で動く。金の為、生きていく為なら、殺人も平気だ。カンボジア人は言う。「カンボジア人には気をつけろ」と。本来豊かな土壌を有し、おだやかな人種であったカンボジア人をそのような状態にしたのは、その歴史、ポルポトによる同人種への大虐殺があった。そしてその裏で糸を引く強欲な毛沢東。カンボジアの歴史を知る上でもおもしろく、読み応えがある。牢の中のさまざまな奴ら。ポンの拷問は、人間と言うよりは、生物が死に面した時のおびえだ。その必死さが伝わってくる。生物であるから生きる。そして果てしない騙し合い。主人公イザワケイゴがどのようにして牢を出たかは読みどころ。 |