ずうっと疑問だったのが、堺市学童集団下痢報告書です。
 なぜ、かいわれ大根からO157が検出されなかったのに、当時の厚生大臣の菅 直人大臣が、かいわれ大根原因報告をしたのか。
 しかも、最高裁判所に上告するとは。
 以下は、上記のサイトからの抜粋です、

3) 食中毒調査票等による調査
潜伏期間を考慮し、その時点で患者発生の確認されていた7月11日以前の7月1日から7月10日までの献立を原因と推測した。
給食の保存食等の検査を実施するとともに、喫食者全員について、食中毒調査票に基く喫食調査、欠食学童の調査、教職員の調査等を実施した結果、示唆された。

4) 食材の流通および検査の状況
食材が広範囲に大腸菌O157に汚染されていたものと推測される。曝露日における共通の食材の検討をすると、加熱工程が加わらないものは、「貝割れ大根」「牛乳」「パン」の3点である。このうち、「牛乳」「パン」は複数業者が納入しており、「牛乳」については製造施設に管轄保健所より立入りし、殺菌処理記録が確認されている。
また、各納入業者の配送分布と発生校、非発生校の分布が一致しないことから、この2品が原因となり得るとは考えられず、可能性として「貝割れ大根」が残った。
また食材等の検査は、全国的に実施され、食材については、985検体(362施設)、施設のふきとりや使用水、排水などは724検体(253施設)の計1,709検体(615施設)について細菌検査を実施したが、
大腸菌O157は検出されなかった。        5) 総合評価

  1. 原因献立については、入院患者が全員出席した日が北・東ブロックが 8日、中・南ブロックが 9日のみであること。
  2. 喫食調査の結果からも 8日及び 9日の両日の献立が疑われ、それらの共通の非加熱食材が特定の生産施設の貝割れ大根のみであること。
  3. 中・南ブロック及び北・東ブロックの有症者の便から検出された大腸菌O157DNAパターンが一致したこと。
    (2)
    大阪府は、貝割れ大根を出荷した生産施設に関して、施設内の井戸水、排水、種子、培養液、貝割れ大根等について検査を実施したが

    大腸菌O157は検出されなかった。
    (3)
    厚生省は、推定原因施設の施設、栽培水、種子や周辺環境を含め、徹底調査をした結果、汚染源、汚染経路の特定はできなかった。
  1. 実験により、貝割れ大根の生産過程における大腸菌O157による汚染の可能性があること、および保管の過程における温度管理の不備により、食品衛生上の問題が発生する可能性が示唆されたことから、さらに詳細な分析結果を含め総合的に判断して「堺市学童集団下痢症の原因食材としては、特定の生産施設から77日、8日、及び9日に出荷された貝割れ大根が最も可能性が高いと考えられる。」と発表した。
    (4)
    堺市学童集団下痢症対策本部としても、原因究明プロジェクトによる各種調査及び検査の結果を検討したが、すべての検体から原因菌が検出されなかったため、原因食材の断定には至らなかった。


 推察した、示唆された、と言った結果報告が基本となっていて、検出されなかった、断定にはいたらなかった、と結論が出ているのに、かいわれ大根が、最も怪しいとしているのは、先に結論ありきで判断しているように思える。
 どう考えても、牛乳と、パンを除外するのはおかしいと思う。
 牛乳は管轄保険所の立ち入り検査があったとあるが、無作為抽出であるだろうから、除外する根拠としては弱い。
 かいわれ大根からO157の検出がなかったのだから、次に怪しい牛乳、パンも疑わなければ科学的調査とは言いがたい。どんな理由があれ、疑わしい食材があれば、すべて調査するのが疫学調査ではないのか。
 そのひとつでも調査されないのであれば、何一つ調査していないことになるどころか、かえって混乱を起こすと言う典型ではないだろうか。
 配送分布と発生校が一致しないと言うが、原因食材を食べたら確実に発病するのならまだしも、生徒の体調で大きく左右されるし、牛乳、パンは、毎日食するのだから、何日かに渡って汚染されていたのなら、分布が違ってくるのは当たり前なのではないか。
 意識的かどうかわからないのだが、推論推察=確定事項 として話が進んでいるようだ。
 推察に推察を重ねると言うことは、うその上塗りをしていると言うことであって、何の説得力も感じないのは、私だけだろうか。
 厚生省と言うのは、科学的な判断能力がない訳ではないだろうから、なんとも不気味なところだなあと思ってしまう。
 歯科診療にかかわっていると、いやでも厚生労働省とかかわっていくのだが、歯科医にとって、保険治療という飴と鞭の両方をもたれている絶対権力ともいえる。
 学校歯科医をしていると、文部科学省や、教育委員会などの影が見えるが、これもこの頃気色悪い。
 自分自身、清廉潔白かというと、たたけば埃だらけになる体、あんまり公的機関の悪口を言うと目を付けられるのが怖くて、黙っていることが多い。
 情けない次第であるとおもいます。