陽だまり絵本通信 
NO,192 2015・12・15
















             優しくて美しいそんなクリスマスの絵本をどうぞ

 クリスマスまで二週間。私が本屋さんで見つけた絵本です。表紙のスノードームがとてもきれいでした。雪がいっぱい降っているスノードームの空を、サンタさんのそりが飛んでいきます。下には青や緑の屋根がならんでいます。中表紙の雪の降りしきる静かな町並みが、とても美しい絵本です。







 
 
『クリスマスのよるに』ーーーあべ はじめ・作  BL出版

 男の子が窓から外を見ています。クリスマスイブの町は、人々が行き交い、とても賑やかです。でも、男の子は一人ぼっち。
男の子のお母さんは、町の小さなレストランて゜はたらぃています。イブの夜、男の子は一人ぼっちです。おかあさんが作ってくれた夕食をすますと、スノードームをのぞき込みます。このスノードームはお母さんが大事にしているもの。小さなレストランでおかあさんが働いているのが見えるような気がします。ところがーーー。
 スノードームを見て悲しくなった男の子か゜、「お母さん」とつぶやくと、雪がいっぱい降りだして、ドームの空にサンタクロースがそりに乗って浮かび上がりました。男の子のびっくりした顔。そのそりがドームの外へ飛び出したのです。そりは部屋をとびはじめて、男の子に言ったのです。「いっしょにおいで」気がつくと、男の子はそりに乗っていました。パジャマのままで。
 きれいな絵です。「え、えっーー、これって、本当のーー」小さなレストランから、おかあさんがゴミ入れを抱えて出てきました。そりのふちから顔を出して、男の子が言いました。ドームの町ではなく、本当の自分の町の空です。サンタクロースは、男の子を赤い服で包み込み、サンタクロースの手伝いをすることになったのです。煙突から入ってとどけるのですから、顔は煤だらけ。大きな煙突には、サンタクロースが。小さな煙突には、男の子が。煙突のない家には、窓の傍に置いてきました。プレゼントヲ配り終えると、男の子はぐっすり眠ってしまいました。アパートに戻ると、サンタクロースは窓から男の子を下ろし、トナカイがすすで汚れた男の子の顔をなめました。また、来年来るからねと耳元で囁いて。 
 赤いケーキの箱を持って、おかあさんが帰ってきました。「おかあさん、ぼく、すごい夢を見たよ」と言いかけて、急に話すのをやめました。スノードームの中に、サンタクロースがいなかったのです。でも、両手は煤で汚れていて。サンタとトナカイと僕の3人の秘密だねと、心の中で言いました。 男の子は、どんなプレゼントを貰ったのかな。きっと3人の秘密の約束。それだったのでしょうね。後ろの表紙には、食べた後のお皿が仲良く並んでいます。

 

 本屋さんに行くと、たくさんクリスマスの絵本が並んでいてびっくり。絵本が軽減税率の対象になるのかどうか、心配です。いらないところにばかり税金を使って、必要な所には少しも行き届きません。絵本の高価なことが、若いおかあさんたちの購買意欲を削いでいることはわかり切ったこと。もう少し安くできないものかと思います。

              
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