陽だまり絵本通信 
NO,182  2015・7・1















  
                      戦争が現実味を帯びてきた 

 戦争の文字が、少し現実味を帯びて感じられます。時の政権が代われば、憲法解釈も変わる。なんてもありの時代に入るのか、心配でなりません。まだ小さな孫を見ていて、この子が戦争に行くなんて許せるわけがありません。あの時代を忘れたのかと言ったところで、あの時代を体験した人がどれほど残っているのか。今の国会議員を見ていて思いました。体験のない人たちに未来を託すのですから、体験者が声を大にして叫ばねばなりません。その総指揮者である安倍という人。国会の答弁がいつも同じこと。これでは討論にならず、見ている方もいらいらします。手元に資料もなく、あってもちらっと見るだけ、横の防衛省長官や外務大臣の方が資料に付箋を貼って、まだしも真面目というのは情けないです。
 こんな大事な局面に、野党が分裂しては、なんとも言いようがありません。
 戦争にかかわる絵本を、二冊お届けします。


 おひさまとおつきさまのけんか   せなけいこ  ボブラ社

 おひさまが昇ってくるのが遅いと、おつきさまが怒って、そんな些細なことで喧嘩が始まったのです。せなさんは、おひさまとお月さまの顔を大きく張り絵にしていますので、怒っている表情がよくわかります。あんまり怒られたので、謝られなくなったおひさま。「ふん」といって、沈んでしまったのです。
 つきの日、おひさまが昇っていくと、お月さまはね「ぷん!」と言って、しずんでいきました。張り絵のおひさまは、ぺっとつばをはいています。「おひさまは威張り好きだ。やっつけろ。これは正義の戦争だ。」星たちがお月さまの応援をします。戦争って、いいはずはないのに。
 お月さまって、生意気だ。絶対やっつける。おひさまの応援は、雲たちです。おひさまも戦争をする気です。おひさまは,熱い息をかけて、お月さまは、冷たい息をかけて。そして、皆燃えちゃった。おひさまもお月さまも、星たちも。雲たちは、お月さまの冷たい息で、粉みじんになってしまった。
 真っ暗な空の下で、小さな生き物たちがないています。私たちの地球では、こんなことはないよね。まさか、まさか、まさかねーーーー。小さな子には、戦争ってわかりません。せなさんの張り絵でも、これはおひさまとお月さまの話で終わりです。しかし、小さな生き物は、私たちだよと話してやらねばなりません。戦争を繰り返していると、戦争をしている人たちも,私達も、みんな居なくなってしまうと、この絵本は訴えているのです。


 
お兄ちゃん、死んじゃった イラクの子どもたちとせんそう
         詩 谷川俊太郎 絵 イラクの子どもたち 協力 日本国際ボランティアセンター 教育画劇

 古い絵本です。しかし、イラクの子どもたちの思いしる中で、戦争というものが持つ、人間の愚かさと罪悪が余すところなく描かれていると思ったのです。「お兄ちゃん、死んじゃった」という表題のページでは、「戦争を許す、あなたと同じと思わないでください」とあります。イラクの子どもたちは、悲しみも、喜びも、怒りも新しい。それは、戦争を許す側が、そんな人間の当たり前の感情を、感じなくなっているからです。国会の討論を聞いていて、そう思いました。
 この絵本は、イラクの子どもの絵に、谷川さんが詩をつけたものです。「生きていてほしいんです。兵士は、生きていてほしいんです。兵士の靴が知らずに踏みつけた蟻も。」いま、国会で議論している年齢層は、戦争を体験した人ではないのです。だから、戦争や死が机上の空論で、聞いていて手ごたえがないのです。送り出す自衛隊員の家族、その子どもは、イラクの子どもたちと同じ気持ちを持つでしょう。「過ちを繰り返すことができる。後悔を繰り返すことができる。たが、人の命は繰り返すことはできない。」あのイラク戦争で、大量破壊兵器があると、イラク戦争に加担をした人たちが、いま集団的自衛権という名のもとに、進んで戦争に加担しょうとしている。私たちは、そんなことを許してはならないのです。
 イラクの子どもたちは、いまどうしているのでしょうか。そして、その後に続く内戦と闘う地域の子どもたちはーー。

 百田尚樹という人。言ってくれましたね。自民党の「文化芸術懇話会」での発言は、およそ文化や芸術を語るに値しない人です。広告料を断てだの沖縄の新聞社をつぶせなど、これはかなり後をひきますよ。更迭される青年局長は、何も言ってないのに首になり、他の出席者はどうなのよと言いたい。これが、安倍さんの親衛隊だと言うこと。悲しくなるよね。それにしても、参加者は三十人を越す人だから、何の反対発言も出なかったというのは、もう終わっています。

 

                           
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