日本脳炎ワクチンについて

 

 日本脳炎は、感染しても発病する頻度は、300-3000人に1人程度といわれていますが、一度発病すると17%が死亡し、49%に知能障害や麻痺といった後遺症を残す重篤な感染症です。国は個人防衛のために、予防接種法に基づいて日本脳炎ワクチンを定期接種として実施しています。
 平成21年6月、新型の日本脳炎ワクチンが発売になりました。より副作用の少ないワクチンとして開発されたものですが、まだ十分な量をメーカーが供給できないため品不足の状態にあります。そのため、ワクチン不足による混乱を避けるため、国はまだ積極的には勧めないといっています。
 また、新型ワクチンは新たにT期目のワクチンを受ける方には接種可能ですが、U期目の方にはまだ接種することが認められていません。残っている従来のワクチンの在庫がなくなるころにU期も認められるだろうとのことです。

  • 日本脳炎の患者数は減っているのでしょうか。 
      ここ25年間の日本での日本脳炎患者の発生件数は以下のようになっています。
日本脳炎患者数
1982-1991年 (10年) 308人
1992-2001年 (10年) 39人
2002-2006年 (5年) 29人
 表を見て分かるように、2002年以降日本脳炎の発生件数は増加傾向にあります。また、中国、四国、九州、沖縄のほか、アジアの各国は依然危険な地域といわれています。定期接種を受けなくなると発生件数がさらに増加することが危惧されます。

  • ワクチン接種によって脳脊髄炎(ADEM)の副反応はどの程度みられるのでしょうか。
      脳脊髄炎(ADEM)は種々の感染症の後にみられる重篤な病気です。様々なワクチン接種後にも合併することがあるといわれています。従来型の日本脳炎ワクチンでは、平成8年から平成16年の9年間に疑い例も含めて23例の報告されています。その間総接種数が3800万回を超えていたため、その頻度は165万回に1回程度と推計されています。(国の発表では、過去17年間の被害認定例は14人で、合併例は年間1人未満ということになり、その頻度は400万回に1回未満ということになります。)
      新型ワクチンについては、まだ始まったばかりでADEMについての情報はありませんが、ADEMの発生をより少なくすることを目的に作られたワクチンですから、さらに安全度が高いことが期待できます。

 日本脳炎ワクチンは、集団防衛を目指す他のワクチンとは違い、個人防衛を目的としています。よって、ワクチンを受けるか、受けないかは、その子どもの保護者の判断にゆだねられます。

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