そもそも就業規則って?

ここを読んでおられる方のなかには就業規則って何?って方もおられるかもしれません。 就業規則自体は知っていても自身の会社では整備されていない方もいるでしょう。
また、就業規則をきちんと作っておられる方でも、どこかのホームページ等からダウンロードされたひな形をそのまま使用されている場合もあるかもしれませんね。
労働基準法89条によりますと
『就業規則とは、常時10人以上の労働者を使用する事業場の使用者が労働基準法によって作成することを義務付けられている、 その事業場における賃金、労働時間、退職等の労働条件等に関する成文の事業内の規則である』
となっています。ここでいう労働者にはパートさんやアルバイトといった方も含まれます。
つまり、会社で正社員、パート、アルバイトに関わらず常時10人以上を使用している場合、 給料や勤務時間などについてきっちり文書にして定めておきなさいよ、ということです。

就業規則を作成する意味

このように常時10人以上を使用している会社では、法律上、就業規則を作る必要があります。
「ちっ、また法律上か・・・。めんどくさいな。そもそも就業規則なんか作って、会社に何かメリットはあるの?」
と思われたと思います。
一般的な就業規則のイメージは「会社の憲法」などと呼ばれ、社員をルールで縛り、 労使間のトラブルを未然に防ぐために作成するものという認識を持たれている方が大多数かと思います。
実際、就業規則にそういった側面があるのも事実ですが、 就業規則を整備する本当の目的は「スタッフが安心して仕事に打ち込め」「の業績を上げる」ためにあるのです。
よく「モチベーションアップにつながる就業規則作成をお手伝いします!」といったキャッチコピーを見かけますが、 私としては「ほんまかいな!?」と思っています。いくら就業規則を整備したところで、 それが直接スタッフのモチベーションアップにつながるとは考えにくいです。
「1日の所定労働時間は8時間」「残業代はこれこれのルールに従って支給」「労働時間内に1時間の休憩時間をもうける」等の条項を整備したとて、 スタッフにしてみれば、「へー、そうなんだ」といった感想しかないと思います。
これは、会社を我々が住んでいる日本という国に置き換えてみれば分かりやすいでしょう。
ご存知の通り日本国は大変優れた法治国家であり、我々が安心して日々の生活を行い、経済活動を行えるのも、 憲法および法律に基づいて国が正しく運営されているからに他なりません。
しかしながら、普段我々が、そういった法治国家である日本を省みて、 「この国は法律が整備されているおかげでバリバリ仕事ができてモチベーションがあがるゼー!」となるかというと、 (中にはそういう方もおられるかもしれませんが、)大多数は気にも留めた事がない方がほとんどと思います。

ただ、我々が海外に旅行に行く場合や、移住する場合、何に重きを置いて場所を選ぶかというと、 やはりその国が安全であるか、正常な法治国家であるかといったことが重要な選択材料となっているのではないでしょうか。

無法の地や、独裁者が支配するワンマン政権の国などは、よほど物付きな方以外は敬遠されると思います。 またそういった国は得てして経済活動もままならず、国民の心も荒廃し疲れきっているように見受けられます。

つまり、就業規則そのものは直接従業員のモチベーションアップにつながるような、即効性のあるものではありませんが、 しかしながら会社の根幹をささえる最も重要な役割を果たすものなのです。
就業規則が正しく運営され会社の秩序が保たれているからこそ、従業員は安心して日々の仕事に打ち込めますし、良い人材もおのずと集まってくるのです。
ひいては就業規則を正しく整備し運用する事は、会社の業績をあげることに他なりません。

事業の実態と合っていない就業規則は逆効果

一番最初に述べましたように、就業規則は作っていても、どこかのホームページ等からダウンロードされたひな形をそのまま使用されている店舗をときどき見かけます。 こういった就業規則はその会社の実態と合っていないことが多く、会社の業績をあげるどころか、トラブルを誘発する元になります。
もちろん外部から入手した就業規則がすべて自社に合っていないということはありませんが、それをそのまま採用することは避け、 「自社の実態」に合わせて見直しをするべきでしょう。