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その12.「固定残業代」の正しい運用方法について(1)

こんにちは、社会保険労務士の吉田です。

今、従業員に支払っている給料の中から、残業代を捻出したいという狙いで、「固定残業代」の導入を検討されていたり、既に導入している社長は多数おられるのではないでしょうか?
今回は、その「固定残業代」の正しい運用方法についてお話ししたいと思います。

まず、残業代を固定化して支払うこと自体は違法ではありません。
ただし、「固定残業代」を導入するには、きちんとした手順を踏む必要があります。
あいまいな運用方法で固定残業代を導入していると、トラブルに発展した場合には、残業代をきちんと支払っているとは認められません。
たとえば、口頭で給与には残業代が含まれていると説明している場合や、就業規則や給与規定などに「基本給に残業代を含む」と記載しているだけでは不十分です。もし、このような方法で固定残業代を運用している場合は、今すぐに改善が必要です。
固定残業代がきちんと認められるためには、

・就業規則や給与規定において、固定残業代について明確に規定しておくこと。

・雇用契約書等で、基本給に含まれる固定残業代が何時間分に相当するのか、固定残業代を除いた基本給の額はいくらなのかを、従業員ごとに明確にし、従業員の署名をもらっておくこと。

・できる限り、給与明細にも固定残業代について記載しておくこと。

・固定残業代を越える残業時間があれば、超過分を必ず支払うこと

が必要となります。
昨今、残業代をめぐる従業員とのトラブルの相談が非常に増えてきています。
トラブルにならないよう、きちんと対応しておきましょう。

さて、次回は、残業が少なかった月の固定残業代の過払い分を、翌月以降に繰り越すことは可能か?についてお話ししたいと思います。