2003.4.25

 新世界を独り歩いていると、道端にただ ぼんやりと野良犬か飼い犬かも判然としな い一匹がごろりと転がっていた。それは、私 を見てもいっこうに吠えるわけでも、おも ねるわけでもなく、ただただ其処にあり私を 見るともなく見ていたのだ。私はその目が それがそこいらにいる人間と同じ目をして いる様な気がして訳もなく恐ろしくなり、 その前をできるだけ速く通り過ぎようとだ け思い、足を動かすことに集中しようとした。 すると、それは私がちょうど目の前に来た時 に、さも大儀そうに顔を上げて、

「本当の負け犬はお前の方じゃないのか」

とだけ言った。

 そんな一日。