生活習慣病(高血圧・糖尿病・高脂血症・痛風
なぜ健康診断(健診)が必要でしょうか?
生活習慣病は自覚症状の出現が遅いために健診による早期発見がたいへん重要ですが、病気によっては早期発見しても治せない病気もあります。このため病気を未然に防ぐ事のほうが 早期発見以上に重要です。元気な時から市民健診などをうまく利用して積極的に病気を予防しましょう。
 身体の具合が悪いから健診を受けるという考えは大きな間違いであり、健康で元気な時から利用するべきです。コレステロール、中性脂肪が増える大きな原因のひとつは、中年になって消費エネルギーが減っているのに、エネルギーを多く摂る食習慣が改善されないことにあります。男性では運動不足、お酒をよく飲む人、女性ではホルモンの関係で閉経以後の人は注意が必要です。

高血圧・肥満・高脂血症・糖尿病が重なると「死の四重奏」といわれ脳・心血管病のリスクが高くなります
高脂血症とは?
高脂血症は血液中の脂質が増えて起こる病気です。コレステロールは細胞膜の成分やホルモンのもととして、中性脂肪は筋肉の重要なエネルギー源として、身体には欠かせません。しかし多すぎると動脈硬化をひきおこし、脳梗塞・心筋梗塞の原因になります。今までは、高脂血症が脳卒中の危険因子としてあまり強く認識されていなかったので、血圧の治療に比べると、高脂血症の治療はそれほど強くされていないように思います。
コレステロールには悪玉コレステロール(LDLコレステロール)と、血管中の余分なコレステロールを肝臓に運び動脈硬化を防ぐ善玉コレステロール(HDLコレステロール)があります。たとえば総コレステロール値が高くても、HDLが高くLDLが正常範囲内の場合は治療の必要はありません。中性脂肪もエネルギーとして使われますが、必要以上に摂りすぎると内臓脂肪としてたまり、高脂血症の原因になります。
今話題の「血液サラサラ」というのは血液がスムーズに流れる状態のことで、これがドロドロになると毛細血管が詰まって酸素や栄養が行き渡らなくなったり、血管の内側が傷んで、さらに無理に血液を全身に送ろうとして心臓にも負担がかかります。血液をドロドロにする大きな要因はストレスです。ストレスが溜まると、感情が興奮状態となり、アドレナリンを分泌して細胞を活性化させます。すると白血球や血小板の働きが亢進して血流を妨げてしまいます。納豆キムチ、タマネギだけで血液がサラサラになるという話を聞きますが、全ての人にとって効果のある食べ物はありません。迷信です!その人の食生活に応じて効果のあるモノは違うのです。バランスの良い食事を心がけることが大切です。
表 このような数値だったら要注意 要注意値
血清総コレステロール 230mg/dl以上
中性脂肪(トリグリセリド) 150mg/dl以上
LDLコレステロール(悪玉) 140mg/dl以上
HDLコレステロール(善玉) 40mg/dl以下
(総コレ−HDLコレ)÷HDLコレ=動脈硬化指数 4.0以上
LDL÷HDL>2.0 危険
 LDLコレステロールの計算の方法
総コレー HDLコレ−(中性脂肪÷5) =LDLコレステロール
生活習慣病(高血圧・糖尿病・高脂血症・高尿酸血症)の防ぎ方(厚生労働省Breslow7つの健康習慣)
1)喫煙をしない
2)毎日適度な運動をする--
1日1万歩目標
3)深酒をしない--
現在より半減〜休肝日をつくる
4)規則的な7〜8時間の睡眠をとる
5)適正な体重を維持する --- 
BMI(肥満程度)=体重(Kg)÷身長(m)2=22±2未満
6)朝食をきちんと食べる
7)間食をしない

1日に摂るエネルギーの目安=標準体重×(25〜30)Kcal  Brocaの変法標準体重=(身長ー100)×0.9
(脂肪の量を総カロリーの4分の一以下=目安は500キロカロリー以下とする)

痛風発作のかげに高尿酸血症あり!!
痛みが激しい”ことから、なまえがついたともいわれる痛風。
しかし、ほんとうに恐ろしいのは『痛み』ではありません。むしろ痛風発作を起こすもととなる『高尿酸血症』が、無症状のまま推移したほうが恐ろしいといえるのです。痛みもなく、高尿酸血症に気付かず治療しないでいると、次第に痛風発作が頻発するようになり、腎障害尿路結石、さらに心筋梗塞や、脳梗塞まで起こすことが多くなるからです。尿酸は新陳代謝の際に生まれる古い細胞の残りかす、といえるもので、毎日一定量でき、一定量排泄されます。ところがなんらかの原因で、尿酸が過剰に生産されたり、排泄率が低下すると体内の尿酸の濃度が高まってしまいます。プリン体を多く含む食品、酸性食品の摂取を控え、節酒、とくにビールの制限をこころがけ、水分を十分取り1日尿量やく2リットルぐらいになるようにしましょう
高尿酸血症の定義→血清尿酸値7.0mg/dlを超えるもの。
血清尿酸値のコントロール
血清尿酸値を6.0mg/dl以下にコントロールするのが望ましい。 産生阻害剤(ザイロリック)排泄促進剤(ユリノーム)
                                        
                                       

糖尿病の診断基準

糖尿病の診断――@HbA1c≧6.5%  A糖尿病を有する糖尿病型
         B糖尿病網膜症の存在 C別の日に行った検査でも糖尿病型を示した場合
         D過去に高血糖を示したことのある場合
糖尿病の三大合併症糖尿性網膜症・糖尿性腎症・糖尿性神経障害

血糖コントロールの評価

不可

HbA1c(%)

5.8未満

5.8〜6.5

6.6〜7.9

8.0以上

空腹時血糖(mg/dl)

100未満

100〜119

120〜139

140以上

食後2時間血糖値(mg/dl)

120未満

120〜169

170〜199

200以上

                                 (糖尿病治療ガイド−日本糖尿病学会)

高血圧症で見られる症状は?
高血圧になっても自覚症状があらわれないことが多く、特徴的な症状が少ないのです。
そういった中で、
脳障害から来る症状として頭重感、頭痛、めまい、耳鳴り、のぼせ、吐き気さらに高度になると手足のしびれ,意識焼失、言語障害が見られます。また心臓障害から来る症状として動悸、息切れ、脈の乱れ、さらに高度になると呼吸困難、手足のむくみ、白い泡状の痰を伴う咳がみられます。高血圧がさらに高度になると腎障害を起こしそのとき出る症状として手足のむくみ、目の障害として視力低下などがあります。高血圧を発病させる悪い生活習慣(環境因子)としては、塩分のとり過ぎ,肥満、運動不足、過度の飲酒、喫煙、ストレスなどがあります。
高血圧は、高血圧以外の危険因子が重なると心臓病に対する危険度が高まります。
---高血圧とその他危険因子を併せて---

脳卒中、心筋梗塞を起こす危険性の表(WHO/ISH)
危険因子 血圧(mmHg)      上段:収縮期圧
              下段:拡張期圧
他の危険因子および既往症 正常値
130〜139
 85 〜89
軽症高血圧
140〜 159
90〜 99
中等度高血圧
160〜 179
100〜 109
重度高血圧
≧180
≧110
@他に危険因子なし 低リスク 低リスク 中等リスク 高リスク
A1〜 2つの危険因子 低リスク 中等リスク 中等リスク 超高リスク
B3つ以上の危険因子あり、あるいは左室肥大など臓器障害、糖尿病 中等リスク 高リスク 高リスク 超高リスク
C虚血性心疾患、腎障害など
すでに合併症あり
超高リスク 超高リスク 超高リスク 超高リスク
他の危険因子:60才以上、男性、心臓病の家族暦あり、喫煙、総コレステロール高値、糖尿病など
リスクは5年以内に脳卒中、心筋梗塞、を起こす確率低リスク(5%以下)中等リスク( 7〜 10%)
                        高リスク(15%),超高リスク(20%あるいはそれ以上)
           (出典Journal of Hypertension、1999/ハートニュース日本財団発行1999)