音波実験台プワワークベンチ
MOD音楽実験標本集
[lunokhod]
1.アルテミス 2.白夜の道 3.千面蝶パピィ 4.Bisonoid2([白亜の雨]Mix)
5.月の庭へ 6.ツクヨミ 7.pre-circus([さよならサーカス]test case) 8.サイハテ旅団
[Special Track] Numbo(一日千秋 十日で万慕)

実験の概要
Amiga ProTracker形式に準拠した標準MODファイルのローエンドな
スペックで、いかに「歌」モノの楽曲を構築するか。
それが今回の実験のテーマです。
標準MODには次のような物理的制約があります。
音質=8bit
トラック数=4
最大サンプル数=31
最大サンプルサイズ=131072バイト
音域=C1-B3
「歌」モノを組む場合、データサイズの制約から、ただストレートに
歌トラックを流し込み、数分の曲を仕立てるということはまず不可能
です。いかにデータサイズをケチるか知恵を絞らなければなりません。
本格的な歌MODの製作に先立ち、いくつかの手法が試されました。
このCDは、その実験結果としての楽曲を収録した標本集です。
なお、実験の過程で意図的に音質を落としていたり、楽曲として未完成
であったりする曲がありますが、あらかじめご了承下さい。
「おおおお おおおお 月を虚空に 突き落とす大女」
(詞・曲:ハスヲ)
歌声データを、言葉の区切り方によって生じるダブルミーニングと
スキャットへの応用によって最小限に留めてみる試み。昔のヒーロー
ソングによくある擬態語や掛け声フレーズを繰り返す曲がヒント。
「(原詞) ひかる道標 時は旅ゆき こごえる朝のいろ たよりに発つ
こわれた翅 はばたくように あたためてた掌の 熱い血潮
おもいだして ツンドラの空解かしてゆくの
あのしろい氷の嶺へ ひかる道標 夜とともに行く」
(詞:gadget 曲:ハスヲ)
原詞から抽出した数フレーズを用い、組み合わせを入れ替えながら
パズルのように再構成して、歌を拡張してる試み。今回は文意が破綻
してしまっているが、パズル化を前提とした作詞に可能性を見出す。
「月光遮る千面蝶の群れ 舞え千面蝶 ほほほほ はははは」
(詞・曲:ハスヲ)
歌声も含め、全ての音色がてんでバラバラに自己主張している
フレーズが同じ周期でループすることで、そのうち音楽的に
聴こえてくるかもしれないという試み。不快な方はすいません。
Bisonoid2([白亜の雨]Mix)/BISON2.MOD
「来たる声明(タヤン)にチカラを得て
コロナの環(かん)に戻りゆく今」(「白亜の雨」より抜粋)
(詞:gadget 曲:ハスヲ)
既成のMODに別の曲のために用意された詞をねじ込んで、変異体を
造り出してみる試み。MODファイルは、音楽作品であると同時に、
音色もシーケンスも自在にエディットできる音楽素材でもある。
我々は、このようなMOD変異体の乱造を大いに推奨してきた。
「夜が囁けばガラス窓あけて ひかり降り注ぐ月の庭へ
鏡の池の縁つたい あなたのもとへ
醒めない眠りの魔法ほどきにゆくの」
(詞:gadget 曲:amadam / midget)
歌をきちんと前面に押し出して、まっとうな歌モノとして聴かせよう
とする試み。歌声データの音質をできるだけ保ったままサイズを削る
ことを課題とした。ちなみに本CDのタイトル[lunokhod(ルノホート)]
は、この曲の詞から着想したイメージ。月の庭に降り立ち、「あなた」
の眠りを解きにいくのは、漆黒の中銀色に輝く無人月面探査車であった。
「月を写し 記憶する陽」
(詞・曲:ハスヲ)
1つの歌フレーズだけで1曲もたせてしまおうとする試み。
たとえAメロからBメロに展開しても、歌は頑なに変化を拒む。
pre-circus([さよならサーカス]test case)/CIRCUS.MOD
「あんなに揺れてたブランコも いまは静かに眠るだけ
あかりの消えた天幕の屋根には しろい星ひとつ
いつかここで また遭える日が来るなら 今日はさよなら
微笑み交わして 千年のあとで」
(詞:gadget 曲:midget)
素敵な歌声トラックをのせ、まっとうな歌MODとして成就させるべく
温存中のテストテイク特別収録。これを歌うのはキミかもしれない。
「A:ハテ? B:サテ?」
(詞・曲:ハスヲ)
極めて短いコトバだけでもってなんとかしてみる試み。わずか2文字の
コトバの掛け合いであるが、その分オケで舞台背景を説明し、物語性を
表現しようとしている。というか、これ「歌」じゃないよな。。。
[Special Track] Numbo(一日千秋 十日で万慕)/NUMBO.MOD
「(1) 一日の 不束なる密会 強がりは 何時かの報いか
何かを夜は 言の葉で問うた」
「(2) 一日…二日…三日…四日…五日…六日
…七日…八日…九日…十日」
(詞・曲:キノ〜ビ)
音声を部分的にミュートすることで、同じサンプルデータから、
全く意味の異なる別の歌詞が浮かび上がってくるという、
だまし絵的言葉遊びの実験教材。
プワワークベンチ参加者(主なヤクワリ)
gadget(コトバ)・amadam(コエ)・かがみもち(コエ)・midget(オト)
nakira(コエ)・ハスヲ(オト)・キノ〜ビ(オト)・その他覆面作業員
プロデュース:ツイフォニウム
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