日本海から白山日帰り


【登山日】H19.8.13
【コース】美川の海岸(1:34)→最終コンビニ(2:20)→瀬戸野(3:30)→白峰(4:15〜4:30)→市ノ瀬(5:15〜5:30)→別当出合(6:13〜6:30)→甚之助小屋(7:47)→黒ボコ岩(8:41)→室堂(9:05)→山頂(9:36〜9:48)→別当出合(11:39〜11:48)→美川の海岸(15:02)
【自転車】丸石エンペラー ツーリングマスター2003モデル


 手取川河口から白山を目指すこのコースは以前から考えていたコースであった。しかし、この前富士山に登ったばかりだし、やるなら9月中旬以降か来年かなと思っていた。そんな中、今年のお盆は珍しく4連休になり、前半2日目の夕方まで山に行く時間が取れることになった。そこで思い切って「きたぐに」に乗って北アルプスに行こうかと思って準備しようとしたのだが、そもそも中越沖地震で「きたぐに」は運転していないことを思い出し、いきなり頓挫する。クルマで北アルプスまで夜走りする気力もないので、遠出はあきらめて帰省して地元の伊吹山でものんびり登ろうかと思っていたが、せっかくだから白山まで足を伸ばして「日本海から白山日帰り」に挑戦することにした。

 海抜0mからの山登りシリーズ第4弾となるこのコース。最大の特徴は登山口までシリーズ最長の69kmもあることだろう。さらに、手取湖周辺は長いトンネルがいくつも続くので、自転車には快適な道ではない。その反面、自転車での標高差は1250mであり、前回の富士山より1100mも少ないので気が楽な面もあった。
 今回の相棒は丸石エンペラーにした。前回の富士山は軽量化を重視してロードバイクを持ち込んだのだが、やはり買ったばかりのロードバイクをこんな用途に使うのはもったいない。ランドナーの方が重くて遅いのは明らかだが、山チャリにはやっぱりランドナーが似合うのではないかと思い、エンペラーを相棒に選んだ。だが重さが気になるので、今回は泥除けを取り外して気休め程度の軽量化を図った。

 8/12はのんびり起きて、準備を始める。ランドナーと装備一式をクルマに積み込み、高速の渋滞が解消するのを狙って15:00に出発。京都東ICで降りて湖西道路を通り、敦賀から再び高速に乗ってETC通勤割引を利用する。出発地点となる美川の海に着いたのは日没直前であった。久々の日本海の夕日を眺めてから、明日の下見を行う。手取川河口からR157に最短距離で合流する道順を確認し、飯を食ってコンビニに寄って再び美川に戻ったら既に21時を回っていた。海には漁火が灯って風情があるが、高速道路が近いのとバーベキューや花火をする若人がうるさいのが難点である。缶チューハイを飲んで横になったのは22時を過ぎていた。前回は数日前から早寝早起きをしていたのだが、今回は夜更かしが続いていた上に今朝はノンビリ寝てしまったので全然眠れない。このままでは一睡もできないかも。

 
(今は白山市となった旧美川町だが、ダジャレ看板は健在)             (日没ギリギリに到着)


結局ウトウトしただけで、1:15に起床。ほとんど寝た気がしない。全然爽快ではない目覚めだ。前回ほどモチベーションも高くないし、行くのが嫌になってきた。なんでこんなことやってるんだろう?俺ってバカじゃないのかと重い頭で考えつつ、ここまで来て撤退するわけにもいかないので準備を整えて1:34に美川の海を出発する。

 夜の田んぼ道にライトを点しながら、まずはR157との合流地点を目指す。先は長いし、ツーリングペースで漕いで行く。微風向かい風なので、下ハンドルを多用する。なんか体がだるい。昨日冷房をかけて寝たから寝冷えしたのだろうか?頭がボーっとして、酒が残って二日酔いのような感じがする。缶チューハイを飲んだのは失敗だったようだ。ほとんど平らな道のりを走ってR157に合流し、しばらく進むと最終コンビニに到着。ここで食料と水分の補給を行いパッキングしていたら、パトカーが近づいてきた。まずい、多分来るだろうなぁと思っていたら、案の定「どこまで行くの?」と聞いてきた。夜中の2時に自転車に乗っている変なおじさんを見つけたら、やはり職業柄聞かざるをえないのだろう。説明が面倒なので「白峰まで行きます」と簡単に答えておいた。

 ここからは暗いR157をひたすら登っていく。今回は点滅式LEDを2個つけて、反射用タスキをつけているのでナイトラン対策はバッチリだ。アップダウンを繰り返しながら少しずつ登っていく。手取ダム手前から坂がきつくなったが、思ったほどの斜度ではない。上ハンドルを握って星空を眺めながらノンビリ登っていたら、流れ星が流れた。そういえば今日はペルセウス流星群の極大日であった。

坂を登りきると、いよいよ難所の連続トンネルに差し掛かる。このトンネル何が嫌かというと、ほとんど直線なのでクルマが80km/h以上のハイペースで走ることなのだ。深夜だからクルマが少なくて助かるが、たまにクルマに抜かれるとスピードが速いのでちょっと怖い。幸いトンネル区間はほとんど平らなので、危険地帯を素早く抜けるべく極力ハイペースで走った。

 4:15白峰で大休止。ここで標高480m。そろそろ薄明が始まった。ここから本格的に登りが始まる。でも川沿いの緩やかに登るから楽勝だと思っていたが、甘かった。小さなアップダウンがある上に、結構な向かい風に時折襲われてなかなか市ノ瀬にたどり着かない。精神的にもこの区間は辛かった。この風がなぜ吹くのか、後で思い知らされることになる。5:15ようやく標高830mの市ノ瀬に到着。既にかなり疲れてしまった。自販機でオレンジジュースを買って飲み、少し元気が回復する。

 
市ノ瀬に到着)                                              (別当出合に到着)


 市ノ瀬からはマイカー規制されているが、自転車は通れるのだ。ここからはバスしか通らないので、静かな登りである。思ったほどの激坂はないが、やはり汗がボタボタと流れ落ちた。樹林帯に入るので、風の影響はなく着実に登っていくことができるので精神的にはいい感じ。6:13、ようやく別当出合に到着する。出発から4時間39分かかった。
 登山モードになり6:30に出発。今回は自転車姿そのままで登るので、準備は早かった。今回は暑そうなので長袖長ズボンは持参せず、半そで・半ズボン(ジャージ)で登ることにした。しかし、これが失敗のもとだった。

 
(雲行きが怪しい)


 お盆だけあって、登山者は多いようだ。砂防新道をマイペースで登っていくが、どうも雲行きが怪しい。稜線を見ると雲の動きがかなり速い。やがて風が強くなってきた。甚之助避難小屋辺りまで来ると、風に加えて霧雨が混じるようになり、だんだん寒くなってきた。明らかに登っても天気は悪そうである。雲に包まれた山頂方面を見ると、モチベーションが下がってくる。今日の天気では高山植物も花を閉じていることが多く、陽も当たらないのでイマイチ綺麗ではない。霧雨に打たれて寒くなったのでカッパを上下とも着るが、登っていると今度は暑くなり再びカッパを脱ぐ。すると、さらに霧雨と風は強くなり、体感温度は一気に下がっていった。やがてくしゃみを連発し、風をひきそうになったので再びカッパを着る。しかし、カッパズボンは歩きにくいので、再び下だけ脱いだのだが足や指先は冷えてしまった。やっぱり長袖長ズボン姿で登るべきだった、山をなめていたと反省する。

 
(霧雨のの弥陀ヶ原)                                        (室堂手前のイブキトラノオ)


 9:05、室堂に到着。室堂ではストーブを焚いていた。霧雨が強くなってきたので再びカッパの下を着る。白山比盗_社にお参りして頂上へ向かったが、やがて霧雨は止み、時折陽も差すようになった。また暑くなってカッパの下を脱ぐ。一瞬ガスが晴れて奇跡的に山頂が見えた。でもすぐにガスってしまい、山頂には9:36着。登り2時間45分を目標にしていたが、終わってみれば3時間6分と遅くてがっかりする。ここまで出発から8:02経過していた。

 
(陽が差してきて高山植物も輝きだす)                            (奇跡的に一瞬晴れる)


 展望がないのでさっさと下山する。一気に黒ボコ岩まで下ると、だんだん天気が良くなってきた。下りは観光新道を降りることにする。いつもながら、高山植物は見事ある。特にマツムシソウとハクサンシャジンがこんなに咲くところを他に知らない。ただし、風は相変わらず強く、花がヘビメタバンドのように激しく頭を振るのでなかなか写真は撮れなかった。それよりも天気は完全に回復し、遮るもののない観光新道には強烈な日光が差し始めた。さっきまで寒かったのに、今度は暑くてしょうがない。高度が下がると温度も上昇していき、余計に暑く感じる。これでもかというくらい階段地獄に苦しめられながら、9:36に別当出合着。やっと着いた!結構バテバテだ。暑いので水をがぶがぶと飲んだ。下りは1時間55分かかったが、これも目標より遅いタイムだった。結構疲れたものの、これからは自転車で下るだけだから楽勝だ!と思ったのだが、それは甘かった・・・。

 
(山頂に到着)                                             (ハクサンフウロはいつも豊富)


 
(マツムシソウ)                                            (白山釈迦岳はいい天気) 


 別当出合から市ノ瀬までは快適な下りだった。市ノ瀬からは時折アップダウンもあるもののスムーズに下れた。しかし、白峰につく頃にはかなり気温が上がってきた。思ったより水の消費が速い。これからのトンネルに備えて再び反射タスキを装着し、デュアルLEDを点滅させてトンネル区間へ入っていく。トンネルは臭いが涼しいからいい。幸い金沢方面へのクルマは時間的にまだ少ないのでラッキーだった。トンネルをいくつも抜け、手取ダムの坂を下るところまではスムーズだったが、そこから先は困難が待ち受けていた。

 
(百万貫岩にて)                                           (手取湖にて)


 とにかくメチャメチャ暑い!電光掲示板は35℃を表示していた。瀬戸野を過ぎてからクルマの多いR157を嫌ってわき道に入る。下り基調ながら向かい風となり、漕いでも22〜23km/hしか出ない。水をガブガブ飲んでいたら、あっという間に水が残り少なくなってきた。下りはあまり水はいらないだろうとボトル1本だけしか水を詰めてこなかったのだが、これは大失敗だった。1万円札しかないので自販機でペットボトルも買えない。ずっと先のコンビニまで補給できないので、水を節約して走っていく。熱風に抗って下ハン握って我慢の走りをするが、とにかく暑くてかなわない。たまらず木陰で休むがちっとも涼しくない。しかし、財布の中を良く見ると、偶然にも150円を発見した。なんだ、問題解決だと思ったが、今度は自販機が見つからない。ようやく途中で自販機を見つけて水を補給し少し生き返った。でもまだまだコンビニは遠い。再び我慢の走りを続ける。

 やがて遠くの田んぼの向こうにローソンの青い看板が見えてきた。それはまるで砂漠の中のオアシスのようだった。ローソンの看板を見つけてこんなに嬉しかったことはない。ペースアップしてコンビニに駆け込んだ。あ〜〜涼しい!でもしんどさはなかなか治まらず、思わず床に座り込んでしまった。さらにヨーグルトを探すふりをして頭を冷蔵棚に突っ込んで頭を冷やしたら、ようやく復活してきた。熱中症になりかけていたのかもしれない。もう少しこまめに休憩すべきだった。その後、人目ほはばからずにコンビニの前に座り込んでざるそばを食べ、牛乳を飲んだら大分回復した。ローソンの力を借りて復活した僕は、再び海を目指した。ありがとう、ローソン!

 再びR157に合流し、やがてR157を外れて美川の海を目指す。不思議なことに標高の低い平野部の方が1〜2℃涼しかった。あとはマイペースで走り、15:02についに美川の日本海に到着した。出発から13時間28分を要した。自転車の下りはなんと3時間7分もかかってしまった。自転車を担いで砂浜に入り記念撮影をする。夏の日本海はとても綺麗だった。暑さにフラフラになったが、日本海を眺めていると僕の心は満足感で満たされていった。


15:02 日本海に到着)

 振り返ると寒さと暑さに翻弄された山行だった。特にこの暑さはかなり手ごわかった。あと準備不足も目立った山行だった。もう少しコンディションを整えて、涼しくなってから行ったらもっと楽に行けただろう。でも、大好きな白山を新たな方法で登れて満足であった。

【今回のコース】

【今回のデータ】
自転車登り:4:39(正味3:52) 平均17.8km/h (距離69km)
登山 登り:3:06
登山 下り:1:55
自転車下り:3:07(正味2:28) 平均27.8km/h (距離70km)
登りトータル:8:02 下りトータル:5:14

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