私は古ぼけた時計のように戸惑いながら逃げようとしたことがある
酸素をボストンバックにつめこんで
暗い宇宙への脱出を計画するあなたは無表情でした
宇宙では人間の名前が通用しないから
早く行くのだと 強い声であなたは話した
あなたは偽善者の面をかぶる子羊
だからそっぽを向いて笑っている
あなたの話すことをあなたが軽蔑していることを
いつ頃からか知った
相づちを打つ私もあなたも上の空で
言葉をはきだしていた
シャボン玉で作られたこわれやすい理想
打ちよせる波のごとくそれ以上進まない現実
到着点を知らないあなたの言葉は
よたよたとあなたの胸に帰っていった
あなたが笑ってくれるのをまちながら
私は黙ってあなたの眼を見つめた
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