老いた愛犬

         

    マル あなたは私が帰るたびに老いていく
         
    あの日の元気はどこへ行ったの

         

    散歩にお使いに

    私と駆けて行った元気は

         

    でもあなたの目の輝きは変わらない
         
    私が叱られた時
         
    私がころんだ時
         
    すぐに駆けてきてじっと優しく

    潤んだ目で見守ってくれた
         
    その目と少しも変わりはない

         

    なにもかも悟りきった顔をしてすわっている
     
    私がマ〜ルと呼ぶと
         
    どうしたのですかというように振り向く

         

    目に輝きがあっても体の衰えは
         
    あまりにも大きい
         
    マル マル
         
    私はあなたの悟りきった顔なんか見たくない
         
    元気なマルと
    <      
    昔のようにレンゲ畑をかけて
         
    母に叱られたいのだ
                
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