6E2 オーディオレベルメーター(ヘッドホンアンプ付き)の作製

 

 

 大阪日本橋のパーツ屋“デジット”で見つけた“6E2”というマジックアイ。

これを使って、オーディオレベルメーター(ヘッドホンアンプのおまけ付き)を作ってみました。

 

@  先ずは回路構成です。

 レベルメーターのほうは、オーディオラインレベルからオペアンプで6E2を駆動できる程度に増幅し、ダイオードで整流して負の成分だけを6E2のグリッドに入れるという構成。

実はウチに、“LM324”というオペアンプが10個ほど(数年前から)余っていて、これを消費させたいという理由もあり、オペアンプはこれに決定。で、“LM324”は4回路入りなので、レベルメーター用に左右2回路使ってもあと2回路余り、この2回路でヘッドホンアンプを作ろうという魂胆。

ヘッドホンアンプのほうは、“LM324”で電圧増幅した後、トランジスタでダイヤモンドバッファを組みヘッドホンをドライブさせようという構成です。

・・・お気づきでしょうが、6E2以外ソリッドステートです。全て球かと思われた方、申し訳ないです。

 

←今回のメインパーツ“6E2”です。

  “デジット”で@¥650‐だったと思います。

 

A  6E2の光り方確認

 回路を決めるにあたり、6E2がどの程度の電圧でどの程度光るのかを確認しました。

その模様はこちらにて。。。

 

 

B  回路図。

6E2の動作を確認したところで、回路シミュレータSPICEと、カット&トライで決めた回路図です。

 

C  SPICEで回路の動作を確認する。

1)     レベルメーター部

←回路シミュレータSPICEで描いたレベルメーター部の回路図です。

 入力に1Vの正弦波を加えた場合の出力波形をシミュレーションしてみます。

 

↓シミュレーション結果の波形です。左から、周波数が100Hz1kHz10kHzです。

 

f=100Hz

f=1kHz

f=10kHz

 

 緑線は入力信号、赤線はオペアンプの出力、青線が整流して負(-)の成分だけを取り出したところ。(つまりはマジックアイの入力です。)

最終的な出力のピーク値は、-10V程度を目標としています。

オペアンプの後は半波倍電圧整流回路ですが、低い周波数では出力電圧が低くなっています。CR類の定数を変更すれば加減はできますが、普段聴く音楽には低い音、高い音が入り混じっているのが普通なのでこれでよしとします。

2)     ヘッドホンアンプ部

これも、回路シミュレータSPICEでシミュレーションしてみました。

←回路シミュレータSPICEで描いたヘッドホンアンプ部の回路図です。

 (トランジスタのQ1Q4が、実際に使っているものとは違いますが・・・実際に使っているトランジスタのライブラリが無かったもので・・・まあ、それほど変わらないと思います。)

レベルメーター部同様、入力に1Vの正弦波を加えた場合の過渡特性と周波数特性をシミュレーションしてみます。

 

↓過渡特性のシミュレーション結果の波形です。左から、周波数が50Hz1kHz15kHzです。

 

f=50Hz

f=1kHz

f=15kHz

 

 とりあえず、ヒトの可聴周波数から、周波数を50Hz1kHz15kHz3ポイントを見てみました。

緑線は入力信号、赤線はオペアンプの出力(ダイヤモンドバッファ回路の入力でもあります)、青線はダイヤモンドバッファの出力(ヘッドホン入力信号)です。入力信号が綺麗に出力されています。

10Hzから100kHzまでスイープさせた時の、周波数特性のシミュレーション結果の波形です。

 これも、緑線(いちばん下)は入力信号、赤線(いちばん上)はオペアンプの出力、青線(中間ほどの線)はダイヤモンドバッファの出力です。

 出力信号をみると、周波数が高くなるとレベルが低下していますが、この程度なら実使用上問題ないレベルでしょう。

 

D  基板製作です。

1)  基板製作

1-1)     なにはなくとも電源です!!

 ±(プラスマイナス)電源がなければ、今回の回路は動きません!!ので、電源製作です。

←出来た、約±8Vの電源です。

 

 回路は回路図をご覧ください。

 調整箇所が一箇所あり、正電圧を、負電圧と同じ電圧になるように調整します。

1-2)      レベルメーター&ヘッドホンアンプ部

 ユニバーサル基板に組んだ、レベルメーター&ヘッドホンアンプ部です。

だいたい中央から左がレベルメーターの回路、右がヘッドホンアンプの回路です。

そして、中央から上が片チャンネル、下がもう片チャンネルです。(LchRch

 

 再び回路は回路図をご覧ください。

2) 動作確認。

本格的なシャシ工作をする前に、とりあえず適当な板にパーツ類を取り付け、動作を確認することにしました。

← 動作確認のためにこさえた試作的(?)システム。

 レベルメーターの動作はこちら

 ヘッドホンアンプの音もけっこう好いです。

 

E  シャシ加工です。

 動作確認もできたところで、シャシ加工です。

←今回使用するシャシです。

 サイズは、幅200mm×高さ50mm×奥行150mmという、比較的小さいサイズです。

 メーカーは不明。たしか貰い物だったかと。

 既にマジックでケガいていますが、今回とは関係なしのケガキです。(以前使おうと思ってケガキを入れたのですが、結局使わなかった跡です)

回路図からも分かるように、電源トランス3個使用というかなり重たい設計をしてしまいました。

(レベルメーター&ヘッドホンアンプ回路用、6E2ヒーター用、6E2高圧用)

(上手くトランスを選べば、数を減らせるかも知れません)

3個ともシャシ内部に収めるのはスペース的に無理なので、2個はシャシ上面に、1個をシャシ内部に入れることにしました。

シャシ上面に取り付けるトランス用に、トランスカバーを買いました。

 フロービスという店の、ハンパ物 トランスカバーの、88mm×84mm×(h)85mmサイズのものです。

←シャシ上面のパーツレイアウトを決めているところ。

 とは言え、上面にはこのパーツしか配置しないのですが。

←シャシの穴あけ加工がほぼ終わったところ。

←上面に取り付けるトランスは、左の写真のように取り付けました。

 トランスカバーの取り付けパネルに既に開いていた穴は使わず、半ば無理矢理チックな取り付け方法になってしまった。

 とは言え、カバーを取り付けると右の写真のように(中は見えなくなるので)良しとしましょう。

 

F  塗装&パーツ取り付け、です。

塗装の前に、シャシ表面に#1000番程度の細かいサンドペーパーをかけておきます。

穴あけ加工の時に付いてしまったキズを誤魔化す(?)と共に、全体的にある程度キズを付けることで、塗料を喰い付きやすくさせます。

 一方向にキズを付けるのが綺麗に仕上げるコツです。

 アクリル(水性)スプレー(黒色)で塗装しました。カラースプレー2度塗りの後、インレタで文字を入れ、更にクリアつや消しスプレーを2度塗りしました。

 シャシの手前に写っているのは、スイッチ、ジャックの取り付けナットをフロントパネルに露出させないための、サブパネル的なものです。アルミのアングルと端材で作りました。

←サブパネルは、真空管ソケットを取り付けるネジを利用して、このように取り付けました。

←パネル表面を見ると、こんな感じ。

内部に、基板以外の主要な部品を取り付け、配線途中の図。

 

 

G  組立て&完成!!

←基板を取り付け、更に配線。

←シャシ上面にも、電源トランスを取り付け、配線します。

←配線が終わった!!の図

←トランスカバーを取り付け、完成です!!(^-^)

 

 

完成品の、レベルメーター動作はこちら

後日談ですが・・・

さて、今回は、汎用OPアンプ“LM324”の手持ちがかなりあったという個人的理由から、“LM324”を使ってみましたが、後日、このオペアンプをオーディオ用HiFiオペアンプ“LME49740NA”(4回路入り、LM324とコンパチ)と入れ替えてみたら、更に音が好くなった気がします。ということで、今は“LME49740NA”を使っています。

 ん〜。結局“LM324”は消費できなんだ (^^

LME49740NAは、秋月電子通商にて扱っておられます)

 

 

 

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