花四季彩- 花の見分け方

いずれが? 見分け考
16「キキョウソウ」と「ヒナキキョウ」の違いは?


キキョウソウの写真
ヒナキキョウの写真
キキョウソウとヒナキキョウは両方とも「キキョウ科」だが、属は「キキョウソウ属」と「ヒナキキョウ属」と別だ。簡単に識別できる。キキョウソウは「ダンダンギキョウ」といわれるように下から上へダンダンと咲き登る。「ヒナキキョウ」は茎が細く立ち上がり、頂花をつける。従って区別は至って簡単なのだ。「雛でないダンダン桔梗」と覚える。写真は両方とも明石城址で撮影。
キキョウソウ ヒナキキョウ


15「タカサブロウ」と「ハキダメギク」の違いは?


タカサブロウの写真
ハキダメキクの写真
両方ともキク科だが、属でいうと、タカサブロウはタカサブロウ属、ハキダメギクはコゴメギク属だ。この野草たちは山野で見ると、わかりにくい。しかし、花が咲いていれば、見分け方は簡単だ。タカサブロウは花に切れ目がないが、ハキダメギク二はある。それにしても「ハキダメギク」とはかわいそうな名前だと思う。
タカサブロウ ハキダメギク
頭花は直径1cm程度。まわり白い舌状花、中に緑白色の筒状花がつく。 頭花は直径5mm程度。まわりに舌状花が5つつく。中は黄色い筒状花が多数つく。。


14「トサミズキ」と「ヒュウガミズキ」の違いは?


トサミズキの写真
両方ともミズキ科トサミズキ属だが、トサミズキの花は7,8輪連なり大きい。ヒュウガミズキの花は3輪ぐらいで小さい。またトサミズキの葯は赤く、ヒュウガミズキは黄色いので、すぐ見分けられる。
トサミズキ ヒュウガミズキ
花は7,8輪大きい。
葯は赤い。
花は3輪小さい。
葯は黄色い。


13「エノキ」と「ムクノキ」の違いは?



エノキとムクノキは同じ「ニレ科」だが、その見分け方はまず、幹の肌でよくわかる。上の写真はエノキとムクノキの合体木だが、比較的つやつやした左側がエノキで、肌がニレのようにザラザラ剥がれそうなのが、ムクノキだ。
エノキ ムクノキ
実は赤い
実は黒い
葉の鋸歯は先から半分ほどしかない。
葉の鋸歯は全縁。


12ヒペリカムの仲間「美容柳」と「金糸梅」と「ヒペリカム・アンドロ・サエムム」の違いは?

■美容柳(ヒペリカム・キネンセ)
 属名ヒペリカムは[像の上]とか、 「幻影に勝つ」とかの意味で悪魔除けの植物だ。美容柳と右の金糸梅とでは美容柳の方が黄色の雄しべが目立つ。突き出た雄しべが特徴なのですぐ見分けがつく。
■金糸梅(ヒペリカム・パツリュム)
 金糸梅は雄しべの付き方が違うし、梅の花のように盃形となる。いずれにしても美容柳も金糸梅もオトギリソウ科ヒペリカム属だ。
■ヒペリカム・アンドロ・サエムム
 近頃、流通している赤い実のヒペリカム。生け花によく使われるようになった。赤い実が鮮やかでかわいらしい。他にハーブとしてはセントジョンズワート(セイヨウオトギリソウ=ヒペリカム・ペルフォラツム)がある。


11「ヤブツバキ」と「サザンカ」の違いは?

■ヤブツバキ Camellia japonica
 椿の原種「ヤブツバキ」と「ユキツバキ」の一つであり、日本の風土にあった椿といえよう。樹皮は灰白色だ。葉柄の上側に短い白い立毛がない。サザンカは立毛が粗生する。花びらが散らず、このまま落ちる。サザンカは散る。ただし「散り椿」という種類はツバキでも散る。ツバキの花が落ちた後はすべすべの玉と雌しべのみである。
■ サザンカHCamellia sasanqua Thunb.
 葉・種実とも椿より小さい。小枝(新枝)に細毛があるのが特徴、椿にはない。写真は蜘蛛の巣があるのでわかりにくいかもしれないが、毛(右の)あるいは斜上(左の)が見える。花びらは散る。花が落ちたあとの実に白い毛の帽子が、サザンカにはあるが、ツバキにはない。


10「ヤブカンゾウ」と「ノカンゾウ」の違いは?

■ヤブカンゾウ Hemerocallis fulva var. longituba
 カンゾウとは中国語で「緩草」と書く。憂いを忘れる草という意味だ。ノカンゾウとの違いは「一重」と「八重」の違いだ。「藪のように複雑なのがヤブ」と覚えれば簡単。属名のへメロカリスはhemero=一日+kallos(美)の意味で「一日花」だ。写真は「浄瑠璃寺」にて。
■ ノカンゾウHemerocallis fulva var. kwanso
 ノカンゾウにはもっと花の色が濃い、「ベニカンゾウ」がある。花は一重で分かり易い。同じ属の「ゼンテイカ」には生息地の名前で呼ばれている「ニッコウキスゲ」が有名だ。ヤブカンゾウは雌しべと雄しべが弁化して八重咲きになった。ノカンゾウの蕾や若葉は食べられる。


9「ミミナグサ」と「オランダミミナグサ」の違いは?

■みみなぐさ Cerastium glomeratum
 茎に小さな葉が対生している姿がねずみの耳に似ていることから、「耳菜草」という。英語でMouse-ear chickweed「鼠の耳のヒヨコの草」という意味だ。写真は日本の在来種。右の外来種との違いは花の柄が長い。比較してオランダミミナグサは花の柄がほとんどないので、区別は容易だ。茎も少し茶色い。
■ オランダミミナグサCerastium glomeratum
 帰化植物で花の柄がほとんどない。これは学名種小名glomeratumが<集まった、球状になった>という意味でも明らかだ。今、この外来種は日本の「はこべ界」に君臨しようとしている。至る所にはびこり始めているので、すぐわかる。この季節、花が終わって葉や茎が黄色がかって見える。


8「ろうばい」と「そしんろうばい」の違いは?

■ろうばい Chimonanthus praecoxの
ChimonanthusはChimon(冬)+anthus(花)で「冬の花」を意味する。蝋梅は、冬のさなかに咲く梅に似た蝋細工のような花は、寒風の中で見る人の心を暖かくする。蝋梅と素心蝋梅の違いは写真でも分かるように中が紅紫なのが蝋梅だ。一名唐梅(からうめ)。
■ そしんろうばい Chimonanthus praecox
form. concolor 素芯蝋梅はconcolorが示すように一つの色であることを示している。従って、内外すべてが単一の黄色、すなわち素芯なのだ。蝋梅との違いは一目瞭然だ。私は素芯蝋梅の方が清楚で好きだ。蝋細工のような風情を強く感じる。左の写真のように蝋梅の内側の花芯は紅紫だ。


7「.すいば」と「ぎしぎし」の違いは?

■すいば Rumex acetosaは花は赤く見える。赤いのはめしべだ。右の「ぎしぎし」とよく似ている。ともにたで科はだ。赤い穂は一般的には「すいば」、緑色は「ぎしぎし」だが、穂が赤い「ぎしぎし」も西洋種であるので、油断ならない。もっと簡単な見分け方として「すいば」は葉が茎を抱えるが、「ぎしぎし」は茎を抱えない。甘酸っぱい「すかんぽ」は腕白小僧のしのぎだ。 ■ ぎしぎし Rumex ajaponicus は「すいば」と同じ科のたで科だ。いぬたで、ひめつるそば、そばなどが仲間といえる。「すいば」とは非常に似ているが、下の写真のように葉が茎を抱えない。別々に見ると見分けにくいが、「げげ、すらっと、すいば、茎から水を落とさない、水盤の葉だ」と覚えよう。


6「.のげし」と「おにのげし」の違いは?

■のげし Sonchus oleraceu は葉が「けし」に似ていることに由来する。秋に花が咲く「あきののげし」に対して春に咲くので「はるののげし」ともいう。中国では苦采とか苗苦采と言い、少し苦いが昔は食用にしたらしい。葉は茎を抱くが、羽状に切れ込み、鋸歯には刺がある。しかし触っても痛くない。「おにのげし」は鋸歯が鋭く痛い。花期は4〜7月。茎を折ると、白い乳液が出る。 ■おにのげし Sonchus asper は「のげし」と同じ生態系に生息する。名前は「のげし」より全体の感じが荒々しい。葉は「のげし」と同じように茎を抱くが、葉面には光沢がある。「のげし」は光沢がないのですぐ分かる。鋸歯の刺は鋭く痛い。花期は4月〜10月。まとめると、大きな違いは葉の光沢あるなし、鋸歯の刺の痛さ加減ですぐ分かる。


5.「もちのき」と「くろがねもち」の違いは?

■もちのき Ilex integra  常緑高木、雌雄異株。 実は日本のもちのき属の中で最も大きい。鳥が好み、食餌木で暖かい地方の民家周りの防火樹として使われ、とりもちや染料としても使われてきた。くろがねもちと比べると、葉はやや細く、実は大きいが鮮やかな赤ではない。実がなっている様子は「くろがねもち」の方が気のせいか豪華に見える。 ■くろがねもち Ilex rotunda 和名の「くろがね」は枝が暗紫色であることや葉が黒みがかっていることに由来しているといわれており、「もちのき」と異なる。また雌木になる実はもちのきの実より小さいが赤が鮮やかだ。木の皮はとりもちや染料に利用できる。庭園木としてよく使われているが、鳥が好んで実を食べ至る所に実生が繁殖する。


4.「こぶし」と「もくれん」の違いは?

■こぶし Magnolia kobus  早春の白花は目立つ。右隣及び左下の「もくれん」と較べて花弁が細長く開き、6弁が普通だ。 六甲山の北側に多い「たむしば」Magnolia salicifoliaは「こぶし」より花は小さく弁も狭い。花期の最後に葉が覗く。 ■はくもくれん Magnolia denudata  中国原産。花は白色で花弁は丸みを帯び、厚く9弁。こぶしと較べて花も大きく華やかである。「はくもくれん」と「しもくれん」の雑種といわれるソトベニハクモクレンもある。葉の開く前に開花する。
■もくれん(しもくれん) Magnolia liliflra 花が紫色で花弁は大きく、ユリの花に似る。よく寺院や墓地に植える。「しでこぶし」もある。日本人の趣味にあうのだろうか。 ■こぶしとはくもくれん同株 神戸市役所前にある、極めて珍しいMagnolia。「こぶし」の台木に「はくもくれん」を接いだため、根元から「こぶし」の枝が出て、両方の花が咲いている様子。

3. 日本古来の「タンポポ」と「セイヨウタンポポ」の違いは?

■かんさいたんぽぽ 日本古来のタンポポ。有性生殖で種の保存が不利のため、セイヨウタンポポに押されている。相違は総苞片が垂れるか、垂れないか? ■せいようたんぽぽ ハーブとして利用価値が高い。単為生殖で、受粉しなくても繁殖できる。春の生葉はサラダ、花弁はワイン、根はコーヒーとして利用。

■2004年4月3日付け朝日新聞夕刊『春たんぽぽごちゃごちゃです』によると、上記のように
在来種と外来種を見分けるのに総苞片が反り返るか、返らないかで識別してきたが、どうも
一概にそうとは云えなくなったようだ。今までの定説は<強い外来種のタンポポに生育地を
奪われ、在来種のタンポポは姿を消している、という説明が以前はされていた。しかし雑種が
勢力を伸ばし、今では純粋な外来種さえ見つけにくい>というのが真実らしい。日本の在来
種は混血によって秘かに生きながらえていたようだ。

2.いずれが「アヤメ」? 「カキツバタ」?

■カキツバタ 神戸市立森林公園

1.万両・千両・百両・十両とは?

■まんりょう(万両)実が下がる。「やぶこうじ科」 ■せんりょう(千両)実が上につく。「せんりょう科」黄実を「キミノセンリョウ」という。
■ひゃくりょう(百両)中国原産の「からたちばな」をいう。  ■じゅうりょう(十両)「やぶこうじ」という。「まんりょう」も同じ「やぶこうじ科」

■いちりょう(一両)「アリドオシ」という。はりがあるのでわかりやすい。