旬の-花四季彩

彩()2015.01.01

ヒマラヤザクラ 神戸・生田川寺
 田宮虎彦が卒業した旧制神戸二中のキャンバス跡地の生田川沿いを歩いていたら(2014.12.18)、ヒマラヤザクラが満開だった。春は着実に近づいている。桜の原産地はもともとヒマラヤ付近という説がある。
■残り柿とメジロ 明石・上の丸
 冬は花がなく、この欄の構成に悩むことが多い。紺碧の空に残り柿の風情は似合う。メジロが寄ってきて啄んでいた。残り柿は冬の季語。「木守柿」ともいう。

ナナミノキ 明石城址
 赤い小さな実が地面にこぼれていたので、上を仰ぐと、ナナミノキの高木に巡り会った。実の大きさは、モチノキやクロガネモチの実と比べるとずっと小さいが、美味らしく、地上には赤い実や葉が散乱していた。春夏秋冬、下を観て歩くと、高木が結構、話しかけてくる。
■トウワタ 明石・太寺
 
今年もあとわずか(2014年12月29日)。普通6月から9月にかけてが花期なのに、我が家のトウワタは花色が乏しい冬の今、咲いている。学名は「アスクレピアス」といい、「明日くれ、ピアスを」と覚える。学名の意味はギリシャ神話の医学の神アスクレーピオスとかギリシャの医者の名前とか諸説ある。唐綿は果実が弾けると、綿状の冠毛が出ることに由来。
   
■フデカキ 明石城址
 
普通の柿の一枝がこのように小さな実の柿がなっていた。原種への昔帰りはよくあることだが、おもしろい。柿本神社には、高木に育った「筆柿」が石柱の付きである。柿の学名はその栄養価が高く、美味なことから、
Diospyros kaki(ディオスピロス カキ)で神の食べ物という意味だ。追記:15.01.04この写真の実はすべて鳥に食べられていた。普通の柿よりうまいようだ。
■朝鮮ダリア
 田宮虎彦といえば、高知が舞台の『足摺岬』が代表作。神戸で育ち、旧制神戸二中出身の小説家だ。彼が神戸を舞台に書いた小説だ。「朝鮮ダリア」は通称「花笠菊」という。今が旬ではないが、ダリアの仲間ではなく、ルドベキアの仲間であることが分かった。忘れないうちにここに載せておきたい。
今は神戸高校(二中は前身)の村上春樹のほうがよく知られているが……。



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彩()2014.01.01

孟宗竹林の写真 明石城大手門の松の写真
■モウソウチク 京都嵯峨野天龍寺
 嵯峨野の竹林は有名だが、近年荒れ果てた様相の竹林も多く見受けられるようになった。写真は大龍寺の竹林だが、さすがに良く手入れが行き届いている。神渡しが通ったような倒竹もなくすっきりしていて気持ちが清々しくなる。これも神か仏のなせる技か?。
■クロマツ  明石城址大手門仕立て黒松 
 
梅にはまだ早いが、松なら明石城址大手門の黒松がある。門松は関西風というか、私が作った相楽園風でいうと、松、竹、南天、根締めは葉ボタンで、樽を荒縄で巻く。松は雄松と雌松の対で2本、竹は先を斜めに切って3本いる。門松は歳神さんを迎える依り代なのだ。
アメリカハナミズキの花芽と果実の写真 各種ヒョウタンの
アメリカハナミズキの果実と花芽 明石城址
 ハナミズキの実と花芽の見分け方は、現物では一目瞭然なのだ。赤いの果実。枝先の白く見えるのが花芽だ。晩秋に葉が落ちると、赤い果実はよく目立ち、注意して観れば、花芽もかわいらしい。
■ヒョウタン 京都府立植物園
 
瓢箪の形が見事なので、撮影した。隣のくびれていないのも、ウリの仲間だ、蛇のように長い紐のような「ヘビウリ」もある。糸瓜をヘチマと読むのは本来誤りだが、イトウリがトウリとなり、「ト」音は「へ」と「チ」の間の意から「へとちの間」となったという。
写真須磨寺の敦盛と直実戦い写真 
■須磨寺―敦盛と熊谷直実 渚の戦い
 冬は旬な植物が少ないので、須磨寺にある、『平家物語』「敦盛最期」で有名な平敦盛と熊谷直実との須磨浦の渚での戦いを表現した雄大な戦いの碑を紹介する。



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彩(初夏)2013.06.07

■イロマツヨイ 明石市人丸
 播種から育てた。名前のとおり花はカラフルで派手だ。やはり黄色の野生のオオマツヨイグサの方が品があっていい。市販では学名「ゴデチア」で呼ばれている。しかし諸説あり。今はクラーキア属とされている。現在、来年の種子を採取のため枯れた花も置いている。
■ミツバシモツケ(ソウ)  宇治市立植物園 
 
バラ科ミツバシモツケソウ属。葉は細かい鋸歯がある。花は白色で一枚の葉が三裂の三出複葉で互生だ。シモツケの名がついているが、葉は似ているが、花のイメージは違う。見た目の花のイメージはダイモンジソウやユキノシタかミゾカクシの花に似ている。
アスチルベ 宇治市立植物園
 ユキノシタ科チダケサシ属ショウマ、アワモリソウ、アケボノショウマなどの別名をもつ。astilbeはギリシャ語でaはnot,
stilbeは輝きの意味だ。すなわち、輝きのないという意味だが、この白やピンクの穂は遠くからでもよく目立つ。この名の意味がわからない。
■トキワネムノキ 宇治市立植物園
 
日本のネムノキに花は似ていますが、属がちがいCalliandraです。ギリシャ語のkallosは美しい、andros
は雄しべの意味だ。雄しべは美しくあるべきの見本と思う。人間以外は美しいのは雄なんだ。だから人間の女性は永遠に美しくあってほしい。

■ウツギ 宇治市立植物園
 
ウツギ(卯の花)は、すでに掲載しているが、近接の写真がとれたので、再掲したい。枝の中が空洞であることから、この名前がある。卯の花の匂う垣根に……の歌で親しまれる花は、よく見るととてもかわいい
 
■クマガイソウ 宇治市立植物園
 ラン科アツモリソウ属。花の形が、平安時代の馬に乗った武者が後からの矢を避けるためのマントのような幌に似ているところからこの名前が命名されたという。平家物語の平敦盛と熊谷直実のよる命名といわれるが、白花のアツモリソウをクマガイソウと呼ぶなど名前の由来は諸説がある。







彩()2013.01.01

■ビワノキ 明石市人丸
 あのビワの実は今頃、花が咲く。極めて地味な花の風情だ。宮本武蔵は琵琶の木から木刀を作ったという。材は凄く固く重たい。明石近くでは淡路島が名産だ。
■ヒヨドリジョウゴ  明石市人丸 
 実が透き通るようだ。ナス科ナス属だから、毒があることが多いので注意を要する。ヒヨドリの名を冠しているが、好んで食べるわけではなさそうだ。

コトネアスター 明石城跡
 バラ科だが、実は鮮やかな赤で爽やかだ。この園芸品種を初めて設計に採り入れた頃を思い出す。葉は紅葉する。横へ這うように広がる。故に種小名はholizontaris(水平)という。
■ヤロウ 明石城址
 アキレア属、葉は切り傷に効く。葉を潰して当てる。痛みが和らぎ、止血効果がある。このことはギリシャ時代から知られている。赤花、白花の他にピンクなどもある。.ドライフラワーにしてクラフトなどで使う。

■葉ボタン 紅孔雀 明石城址
 
かなり大きい。ちじれ葉に特徴がある。孔雀といわれれば、そうかな? という感じだ。紅孔雀と呼ぶらしいが、紅とは少し違う感じがした。
 
■サルビア スペルバ 明石城址
 冬枯れの花壇で紫が鮮やかに冴える。サルビアの学名は治療する、と言う意味だ。冬も咲いているサルビアは貴重だ。種小名のsuperbaは、superだから勝れたとか、気高いという意味だろうか?。



彩()2012.11.04

■シャジン(イワシャジン) 長野・小布施フラワーガーデン
 近縁種に「ツリガネニンジン」がある。別名「イワツリガネソウ」ともいう。主に崖地に自生する可憐なキキョウ科ツリガネニンジン属の野草だ。白とブルーとがあるが、私はやはりブルーが好きだ。漢字で「沙参」と書く漢方薬だ。秋の野で一番可憐な野草だと思っている。
■パープルファンティングラス 長野・小布施フラワーガーデン 
 この頃、イネ科の野草を修景に用いることが、イングリッシュガーデンなどに多い。特にチョコレート色したこのグラスが好まれる。確かに修景ポイントとしていい。なぜいいかというと、「風」を感ずることができるからだといいたい。私が最も好きなイネ科はコメだが、修景には使いにくいから、ラブグラス(風草)や麦を使う。

アロニア  長野・小布施フラワーガーデン
 英語名はチョークベリーというが和名はカマカツに似ているところから「セイヨウカマカツ」ともいう。 バラ科アロニア属で花はナシに似る。赤く熟すものと黒く熟すものがあるが、直接食用にはむかない。
■マユミの紅葉 長野・善光寺
 善光寺には、2012.10.24に行った。マユミ、ニシキギ、ドウダンツツジなどはすでに紅葉が始まっていた。関西と比べてマユミの紅葉の色が違うように感じた。少しピンクががっているように見えるのだが、目がおかしいのであろうか。.

■リンゴ 長野・小布施の路傍樹
 
 。
■園
 。



彩(初秋)2012.10.05

■ウコン(クルクマ) 西宮・北山植物園
 属名Curcuma(クルクマ)はアラビヤ語で「黄色」という意味だ。カレー粉の黄色はウコンの根{ターメリック」で色づけされたものだ。薬用にもなるが、花苞はなかなか美しい。園芸ようでは、クルクマという。
■オキシペタラム 明石・太寺 
 ガガイモ科のこの花は、別名ブルースターとも呼ばれて流通している。老化するとブルーが濃くなる。
学名はOxypetaram caeruleumだ。種小名のcaeruleumは青色の,という意味だ。

スイフヨウ(一重) 明石・太寺
 スイフヨウには、一重と八重がある。純白が次第に紅へ変わるのはそこはかとなく美しい。 
■スイフヨウ(八重) 明石・太寺
 スイフヨウは花が終わると、上のように赤く染まる。一日花である。.

オクラ 芦屋
 オクラもアオイ科で花はなかなか美しい。我が家から見える横の畑でも咲いているが、写真は芦屋の街頭花壇で咲いていた。実はみじん切りにして納豆に混ぜて食べるのが好きだ。あのなばねばが身体にいいらしい。
■オオカナダモ 西宮・北山植物園
 花びらは3枚。トチカガミ科といってなじみが薄い。写真の小さな葉は「ウキクサ」でこの花の葉ではないので、間違えないでほしい。水面下にいわゆる「金魚藻」という梅花藻と同じような形の本体がある。梅花藻はキンポウゲ科だ。花びらは5枚だ。



彩()2012.7.17

■ハマユウ(浜木綿) 神戸市中央区
 ヒガンバナ科で6月〜7月にかけて咲く。花はヒガンバナに似る。浜木綿は中国の大河の畔が原産地だ。洪水か何かの原因で球根が海を漂流して日本の浜辺に漂着した。このような植物を漂流植物という。写真は、華僑の学校「中華同文学校」で見つけた。学校の由来にふさわしい植栽だと思う。
■マサキの花 明石太寺 
 マサキはマユミやニシキギと同じニシキギ科だが、ニシキギのように紅葉、落葉しない地味な植物だ。しかし、秋には赤い実がなる。実はニシキギやマユミなどと同じ形をしていてかわいい。昔はよく生け垣等に使われたが、今は少ない。かつてはあまり好きな樹ではなかったが、今は気に入っている。

 ハマナスノミ 神戸・移情閣
 ハマナスは皇太子妃殿下雅子様のお印だ。このページでも何回かとりあげているが、移情閣を背景にして撮影した写真が気に入ったので再掲する。赤い実がいい。バラの仲間だ。この実はビタミンが多く薬用酒として飲まれている立派なハーブだ。実はバラ科特有の形をしている。 
■オレガノ ’ケント ビューティー’ 神戸・諏訪山
 オレガノは形態によって「オレガノ類」「マヨナラ類」「花オレガノ類」と3つに分類される。「ケント ビューティー」は花オレガノ類だ。観賞用の花オレガノは、葉の下につく苞葉が花より発達している。写真で説明すると、ピンクに見えるのが、花だ。花のような薄緑の部分は、花でなく苞葉だ。花よりも美しい

ナンキンハゼの花 明石城址
 明石城址の東堀端で自生しているが、花は久しぶりで見た。オカノトラノオのような形が特徴だ。秋から冬にかけ白い実をつける。これもなかなかいい。。
■ヒペリカム クリシナム 明石・人丸
 オトギリソウ科だ。キンシバイや美容柳などと同じ「ヒペリカム」だ。学名「ヒペリカム」は「幻影を断つ」という意味があり、欧米では魔除けとして使われている。クリシナムは小さい実が赤く染まるので、主として観賞用として好まれる。



彩(初夏)2012.5.25

■ ヤマボウシ・長岡京市
 ヤマボウシは5月の半ばごろ、白くよく目立つ。実は甘く食用になる。別名ヤマグワともいう。ハナミズキの花に似るが、総苞片先が尖るし、開花時期も違う。名の由来は花の中心の丸い部分と総苞片を頭巾に見立てて「山法師」を連想して付けられた。
■ ケマンソウ・長岡京市 
  名前の由来は寺の装飾の「(華曼(けまん)」に葉の形が似ることに由来する。またの名を釣り竿に鯛が懸かったように見えることから「鯛釣り草(タイツリソウ)」ともいう。ケシ科コマクサ属の毒草だ。

 ユリノキ・明石城址
 チューリップのような花が咲くことから、学名はLoriodendron tulipifera という。葉の形が半纏に似ていることから、「ハンテンボク」ともいう。樹形はまっすぐ天をつき、極めて美しい。花もなかなか趣のある美しさだ。うすみどりとオレンジのコントラストがいい。
■ハクウンボク・淀城
 エゴノキ科エゴノキ属で「エゴノキ」の仲間」だが、花はほぼ同じに見える。「エゴノキ」との違いは、ハクウンボクの葉は大きい。材は轆轤細工など使われる。種子から蝋燭を作る。白い花が咲く様子が白雲が棚引くように見えることに由来する。オオバヂシャともいう。写真は葉が大きいので「ハクウンボク」だ。 

■ ハクサンボク 大阪旧川口外国人居留地
 
スイカズラ科ガマズミ属でガマズミの仲間だ。葉はやや大きいが同種といわれている。実は同じ仲間の珊瑚樹に似て赤い。神戸の森林植物園にもあるが、都会の真ん中で見つけたので印象に残った。
 オルラヤ・グランディーフロラ 明石城址
 セリ科の毒草。白い集合花が美しいので「ホワイトレース」と呼ばれている。こぼれ種で容易に増える。 花の様子はイベリスに似ている。


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彩()2012.5.4

■ イチリンソウ・神戸市立森林植物園
 キンポウゲ科の毒草。花はニリンソウやキクザキイチゲに似ているが、他と比べて大きい。葉は切れ込みが多い。花びらの様に見えるのは、萼だ。名前は一輪だけ花を付ける事に由来する。
■ ニリンソウ・神戸市立森林植物園園 
  イチリンソウと比べて花も小さく、葉の切れ込みも小さい。若葉はキンポウゲ科唯一食用となるが、間違いやすいので、食べないようにしたい。先日も「トリカブト」を「ニリンソウ」と間違えて食べ、死亡事故が起きている。。

 メギ・神戸市立森林植物園
 
へらのような葉が特徴だが、枝の節ごとに棘がある。故に別名は「コトリトマラズ」という。葉や木部を煎じて洗眼薬とした。黒田(官兵衛)家の自家薬として有名なカエデ科の「メグスリノキ」とは別もの。
■ ヒカゲツツジ・神戸市立森林植物園
  六甲山では絶滅危惧種C。常緑の低木。山地の崖や岩の上に生育し、若枝や葉柄、葉裏に円形の鱗状毛があり、特に葉裏には密生する。葉は長楕円形で3〜8cm、先はとがり互生するが、枝先に輪生状に集まってつく。名の由来は谷沿いのやや日当たりの悪い場所に生えることから

■ 鬱金桜・神戸市立森林植物園
 先日、京都伏見の「黄桜」で「キザクラ」と称する鬱金桜を見たが、森林植物園と違って、黄色にほんのりと紅をさしていた。「黄桜」を飲んでちょっぴりほんのり紅さす感じで気に入った。しかし純な黄色の桜もなかなかいい。。
■ サラサレンゲ・神戸市立森林植物園
  ハクモクレンの変種で花の内面は白いが、外面は淡紅紫色となる。ハクモクレンとシモクレンの雑種で、ハクモクレンに近いものを「サラサレンゲ」という。シモクレンに近いものを「ソトベニハクモクレン」という。普通の「ハクモクレン」より遅咲きとなる。この写真は2012.4.27に撮影した。


彩()2012.1.1

■ ビデンス 大坂・服部緑地
 ウインターコスモスで一般に流通している。立ち生と匍匐生がある。初夏に切り戻すと、倒れないで花が咲く。立ち生には花弁先が白く染まるものもある。なお、ビデンス ピンクハートは桃色の花色となる。花のない冬に貴重な花材となっている。
■ イタヤカエデ 姫路・好古園 
  カエデの仲間で一番大木になる。秋には黄色に紅葉し、特有ある景観を創出できる。。砂糖カエデはアメリカが本来種だが、イタヤカエデからも砂糖を精製できる。

 カマツカ 姫路・好古園
 
バラ科カマツカ属で写真の赤い実は小鳥が好むが、美味しさは大関格らしい。 ウメモドキが横綱名格だ。名前の由来は、
「鎌柄」で「ウシコロシ」ともいう。この木の枝で牛の鼻輪を作るからだ。
■ ウメモドキ 姫路・好古園
  
モチノキ科モチノキ属で雌雄異株。花は、わずかに紫を帯びる。クリスマスのとき飾るホリーは、「セイヨウヒイラギ」というが、ヒイラギの仲間でなく、ウメモドキの仲間だ。小鳥はすこぶるこの実を好む。ウメモドキ→モチノキ→カマツカ→サンシュウの順でだんだん不味くなるようだ。ホントかどうかは鳥に聞いてみな。
■ スイカズラ 神戸・須磨離宮公園
 蕾は「金銀花」という生薬で化膿の緩和作用があるといわれている。、秋から冬にかけて葉茎は「忍冬」と呼ばれ、抗菌作用、解熱作用のある漢方薬としても知られている。「忍冬」は冬でも葉が落ちないことに由来する。
■ サルビア インウォルクラータ  神戸・須磨離宮公園
  
サルヴィアSalviaの属名をもつセージの仲間だ。セージには園芸種で花を主体としてサルヴィアの属名をもたないセージ類もある。原産地はメキシコから中央アメリカで、葉は英名「ローズセージRose-leaf sage」があるように卵形。一番の特徴は蕾を包むローズピンクの球形の苞葉だ。インウォルクラータは「内包した」を意味する。



彩(初秋)2011.9.22

■ チェロネ 西宮・北山緑化植物園
 なにしろおもしろい形の花なので、よく目立つ。チェロネとはギリシャ語で「亀」の意味だそうだ。蕾が亀の頭に似ているからという。そういえば、そうか。花言葉は「田園の憧れ」直射日光に弱いので、半日陰がいい。ゴマノハグサ科チェロネ属だが、科が同じなので、花は「キンギョソウ」に似ている。別名リオン、スピードリオン、ジャコウソウモドキなどと呼ばれる。
■ トレニア 西宮・苦楽園口 
  これも「ゴマノハグサ科」だ。一見スミレの花のように見えるので、「夏菫」とも呼ばれている。他に「ツルウリグサ」とか「ハナウリグサ」とも呼ぶ。夏のかなりポピュラーな花となっている。花言葉は「可憐な欲望」「温和」「華奢」など。水やりはこまめにし、夏の終わりにカットしてやると、これから秋にかけてまたたくさん花をつける。

ムラサキナツフジ 西宮・苦楽園口
 
 野生のナツフジは普通白色・クリーム色だが、園芸種のようで少しどぎつい紫色だ。マメ科のつる性で幹はフジと同じ肌色をしており、つるの巻き方も同じだった。もう少ししたら、マメ科特有のササゲのような実ができると思う。花の咲き方を観察したところ、初めは花序が垂れず、上を向いていて、やがて花の重さで写真のように頭を下げるようだ。下垂性ではない。
■ ハナセンナ 奈良・当麻寺  
  アンデスノオトメという可憐な別名をもっている。どちらでも覚えやすい。「そんなこと、ハナセンナ」と覚えればいい。花はマメ科の特徴がよく出ているのでわかりやすい。「カッシア・コリンボサ」という呼び名もあるが、覚えにくい。Cassiaとは香料植物桂皮のことだが、のちにマメ科植物の呼び名に転用されたという。ハナセンナのセンナはSennaという属名に由来している。
■ エボルヴルス 西宮・北山緑化植物園
  一般的には、「アメリカン・ブルー」という呼び名で流通している。ヒルガオ科だ。朝顔を小さくしたような可憐な花をつける。半つる性なので、ハンギングバスケットなどに使うと、風情がでる。花言葉は、「清潔感」など。陽がよく当たり、水をたっぷり与えれば、夏中咲き続ける。この花のブルーは清涼感があって上品な感じがする
■ ルリタマアザミ  西宮・北山緑化植物園
  アザミのような葉と花が名前の由来だ。花は上から咲き始めやがてブルーに変わるので、「ブルーボール」というかわいい別名もある。花言葉は「権威」「傷心」とか。葉がとげとげしいからだろうか。学名の「エキノプス」で呼ばれることもある。意味は「ハリネズミのような」から来ている。しかし、「ルリタマアザミ」の方が愛らしくて覚えやすい気がする。「瑠璃珠薊」。

                                     
彩(
(2011.4.8)

■ ショウジョウバカマ 加茂・岩船寺
 岩船寺の狭い境内の至るところに咲いていた。ショウジョウバカマは「猩々袴」と書くが、花が猿のような赤い顔の中国の想像上の動物に似ていることからこの名前がある。袴はロゼット状の葉のイメージからつけられた。ユリ科の珍しい植物だ。2,3年で枯れるが、葉先に孫芽ができて更新する。
■ モクレン 神戸・元町
 別名シモクレンともいうが、モクレンはこの紫色の花が本当だ。白花はハクモクレンという。モクレンもコブシと同じように花の下に一枚葉が出る。例年モクレンは少し遅く咲くが、今年は厳しい寒さだったせいか一斉に満開になった。

アオモジ 加茂・西小
 
クス科クロモジ属だが、黄色い花がかわいい。加茂当尾の山に咲く黄色の雲は桜と違った新鮮な印象だった。この写真は2011年3月21日だ。4月6日にも行ったが、さらに鮮やかだった。
■ アセビ  加茂・浄瑠璃寺
 堀辰雄の『浄瑠璃寺の春』の中にも出てくる馬酔木は堀夫人が手の上に載せるシーンはこの花の可憐さを一層高めた。ツツジ科では「ドウダンツツジ」と並んでスズランのような花がかわいい
■ リュウキンカ 京都・千本今出川
 春はキンポウゲ科の黄色い花がよく目立つ。リュウキンカはその中でも開花が早い。しかし、葉はハート型で深い切れ込みのある葉が多いキンポウゲ科で珍しい。いずれにしても有毒なので注意したい
■ ヒサカキ  加茂・東小
 ヒサカキは日本庭園の岩組の根締めに使われるし、榊のない地方では「サカキ」と呼ばれて用いる。しかし、今小さなかわいい花が満開だ。なかなか可憐でかわいいよ。



彩((2011.1.1)

■ ヒイラギ 明石・太寺
 名前は葉の棘に由来する。ひいらぐ(痛い)からきている。家の門口に植えて魔除けにするのも棘が魔物を排除する意図か。節分には鰯をかけたりする。花は晩秋に咲き、香がある。欧州では、ホリーを使う。

■ バコパ 大阪・島本町
 別名ステラという。ステラはラテン語で「星」という意味だ。花びらの先は丸が茎が地を這うように繁殖し、地被類として有効な材料だ。花も長期間咲く。


ディアスシマダンサー  大阪・島本町
 ゴマノハグサ科ディアスキア属。花期が長いので人気がある。バコパも同じ科だ。茎が伸びすぎたら、切り戻せば、また花を咲かせる。
■ リナリア  大阪・島本町
 これもゴマノハグサ科。別名ヒメキンギョソウの方がよく知られている。しかし、よく似ているが、キンギョソウの仲間ではない。花言葉は<私の恋を知ってほしい>
■ タニウツギ  大阪・島本町
 タニウツギに花期は5月だが、撮影は12月3日だ。返り花としては「ハコネウツギ」の写真を撮ったことがあるが、この系統は季節外れの花を咲かせる性格があるのだろうか。
■ ワレモコウ   姫路・好古園
 バラ科ワレモコウ属だが、とてもバラ科とは思いにくい。漢字で「我木香」と描く。名前はキク科の木香に由来する。キク科であれば、花弁のない花も結構ある。



彩(
(2010.10.30)

■ イシミカワ 伊丹・稲野町
 たで科もいろいろあって、さすがに蓼食う虫も好き好きといえそう。棘があって近づきにくいが、実がすばらしくいい。緑から薄桃色へ、赤から花田色へ変化する。その黒真珠のような照りが見ていて飽きない。葉の中を茎が突き抜けるのもおもしろい。
■ ママコノシリヌグイ 大阪・富田林寺内町
 とてもかわいそうな名前がつけられている。茎に下向きの棘があって、さわるとかなり痛い。これで継子の尻を撫でていじめたのだろうか。今問題の継母や継父の継子いじめの道具の草か。花は白からピンクが混じる。

ミゾソバ  芦屋・芦屋川
 葉の形が牛の顔に似ていることから、「牛の額」という別名もある。ミゾソバの名前は、湿った溝に生えることに由来する。花は萼と花びらの区別がない五弁花だ。
■ コルチカム  明石・明石城
 秋になって温度が下がると、突然咲き出すゆり科の花だ。ピンクが鮮やかに映える。写真はハイビャクシンの上で咲いている。球根は土なしでも開花する。別名はイヌサフランという。何年かに1回株分けが必要。
■ ハブランサス  明石・太寺
 タマスダレ(ゼフィランサス)と同じように雨が降ると、開花するので、レインリリーといわれるヒガンバナ科の一日花で、漏斗状の花を斜めに咲かせる。耐寒性の春植え球根だ。ひとつの球根から2,3本の家計が立つ。
■ ベニアオイ   大阪・富田林寺内町
 普通、「ローゼル」といっている。アオイ科の1年生植物だが、花は他のアオイ科の花と似る。写真の赤いのは実。酸味があり、ジャム・ゼリーなどにする。茎から繊維が取れる。葉は野菜として食べる。生け花にも使用されている。
■ サポナリア  芦屋・芦屋川
 ナデシコ科とすぐわかる茎や葉の出方だ。ソープワートと呼ばれるようにヨーロッパでは貴重な布を洗う最も自然な(天然の)石鹸材料として使っている。石鹸液は乾燥根を煎じて作る。サポナリアは八重咲きなど種類も多い。
■ スカエボラ  芦屋・芦屋川
 花の形はキキョウ科ロベリア属の「ミゾカクシ」に似ているが、この花は、「クサトベラ科スカエボラ属」で、通称「ブルーファンフラワー」と呼ばれている。花びらが片側にあり、半分欠けているように見えるのが、特徴だ。


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彩(夏2

(2010.08.14)
■ セイヨウニンジンボク 明石・明石公園
 明石城の天守台への登り口にあった。葉がチョウセンニンジンに似ていることからこの名前がある。学名はVitex(ハマゴウ属)で「結ぶ」という意味がある。芳香のあるホルモン調整の効能があるハーブだ。
■ セイヨウリョウブ 京都・東寺
 東寺へ行く途中でピンクの花に魅せられて撮った写真。リョウブは野生の樹木と思っていたので、びっくりした。特に幹はサルスベリやカゴノキやカリンなどのように鹿子文様になる野が特徴だ。野生の花は白色である。

ダールベルグデージー 明石・明石公園
 暑さと乾燥に強い。今年の夏など打ってつけだ。ちょっとした隙間にも成長する。葉は細く針のようだ。花言葉の「可愛い恋人」「率直」などはその小さな可憐な花のイメージから考えられたのでしょうか?
■ ストケシア  明石・人丸
 別名ルリギクという。花言葉は「たくましさ」。花茎の先端が3〜4本にわかれて先端にヤグルマソウに似た花をつける。白、紫、青、ピンク、淡黄色などの花色がある。繁殖力旺盛で丈夫な花だ。
■ ルコウソウ  明石・太寺
 水草の中をゆらゆらと泳ぐ金魚をイメージできる花だ。涼しい感じだ。漢字で書くと、「留紅草」となる。コスモスのような繊細な濃緑色の葉がなかなかいい。炎天下の夏に咲き続ける。

■ ヒメイワダレソウ 明石・明石城
 地被類として有効なクマツヅラ科イワダレソウ属の花だ。花は同じ科のランタナそっくりでなかなかかわいい。日当たりを好むが、他の植物を排除する物質を出すようだ。最後にはあたり一面に繁茂する。


彩(

(2010.05.24)
■ コナスビ 明石・明石公園
 実がナスに似ていることが名前の由来だ。サクラソウ科トラノオ属だが、サクラソウの仲間とは、ましてオカノトラノオと同じ属とは信じがたい。明石城の剛の池の東にあった。
■ ノアザミ 京都・宝ヶ池
 初夏くらいまでのに咲くアザミはほとんどがノアザミなので間違えることは少ない。6月に茨木でヒレアザミを見たが、ヒレアザミは「アザミ属」ではない。ノアザミは花の下がネバネバしているのが特徴だ。

ナンテン 明石・明石公園
 ナンテンの赤い実はポピュラーだが、花の中心がバナナのように黄色く見える。のどの薬とされているが、平岩弓枝の『お夏清十郎』では煎じ薬として多用すると、心不全を起こすとされている。
■ ヒナギキョウ  明石・明石公園
 6月中旬ごろ、かわいく咲く。小さな花だが、そよ風に揺れる様子は美女の如し。ひなの名にふさわしい。茎は細く、縦の筋がある。キキョウより繊細なところがいい。
■ コバノズイナ  神戸・東灘
 これは珍しい樹種、ユキノシタ科イテア属の落葉低木で、別名ヒメリョウブとかアメリカズイナともいう。花はリョウブに似た芳香がある。本種は図鑑に載っていることが稀で神戸市立森林植物園に同定を依頼。

■ フェイジア 三宮・ハーブ園
 フトモモ科熱帯果樹でパイナップルとバナナと中間ぐらいの芳香がある。生食の味はそれほどいいものではない。花はよく見ると、奇っ怪な形をしている。生垣材として最近よく用いられている。


                                

彩(初夏

(2010.05.24)
■ アグロステンマ(麦仙翁)  芦屋
 ナデシコの仲間の園芸種でこのアグロステンマやビスカリア(小麦仙翁)やサポナリア(道灌草)が好きだ。もともとカスミソウが好きだったからで、開園当初の布引ハーブ園にはカスミソウの人気フォトスポットがあった。麦仙翁はピンクの花びらの筋が特徴だ。
■ オランダガラシ(クレソン) 芦屋・芦屋川
 阪急芦屋川駅すぐ下の右岸では花が群生し見頃だった。肉料理の添え野菜として使う。清潔な水辺のものは食べられる。花はアブラナ科と同じで十字の四葉でタネツケバナの花に似ているが、雄しべの根元に馬蹄型の蜜腺がある。

ノビル 芦屋・芦屋川
 ノビルは小鱗茎をもち、群落をつくる。さらにヌカゴ(珠芽)もつくり、繁殖する。花だけ咲くもの、ヌカゴと花両方のもの、ヌカゴだけのものとがある。ラッキョのような 鱗茎はみそをつけて食すと美味い。。
■ ハイコヌカグサ  芦屋・松の内緑地
 ここは公園の緑地帯なので、ギョウギ芝系だ。花は小さく地を這い、糠をまぶしたように見えるので、この名前がある。花が満開のときはぼーっと霞んだようでそこはかとない雰囲気がある。
■ ユーフォルビア キパリッシアス  芦屋・松花町
 トウダイグサ科ではクリスマスに飾るポインセチアが有名だが、写真は別名マツバトウダイともいう。名前は松葉のような葉に由来する。海岸の岩場等に生息する「イワタイゲギ」も似ている。群生して株立ち状になる。非常に珍しい植物として見える。

■ ムラサキツユクサ 芦屋・開森橋
 花びらが3枚なのが特徴だ。科はツユクサ科であり、花言葉は「適応である。荒れ地や半日陰でも育ち、病虫害も少ない
。花期は短く、先日見たからと訪ねてももう終わっている馬場いが多い。紫色が人々を惹きつける。


                                 

彩(

(2010.04.22)
■ カルセオラリア  神戸・フラワーロード
 和名は「巾着草」という。属名Calceolariaはラテン語のスリッパに由来する。花の形がおもしろく、白、赤、黄、橙などの花の色も豊富。花の付き方の多少などもいろいろある。原産地はチリ、ペルー、メキシコが原産だ。私はスリッパより茸を思い浮かべた。
■ カラタチの花  明石・明石城趾
 カラタチの花が咲いたよ、と歌で有名だが、なかなか花が咲いた時期に撮影できなっかった。暗い森で白く見えた。むずかしいう別名は、「枳殻」(きこく)という。枝が扁平でトゲがあるのが特徴といえる。京都の枳殻邸は屋敷の周囲にあったカラタチに由来。

カリン 明石・明石城跡
 カリンもなかなか花の写真を撮影できなくて機会を狙っていた。ようやく美しい花に出会えた。花びらが丸まって咲くのがかわいい。花はバラ科の中でも桃や梅に似ているように思える。樹皮にも特徴があり、鹿子のようなまだら模様になる。
■ ミツバツチグリ  京都・松尾神社
 初めは「キジムシロ」だ、と思った。しかしよく見ると、葉が三枚しかない。「キジムシロ」は5〜9枚ある。属はキジムシロ属だが、違うようだ。キジムシロとは、葉の広がり方がさっきまで雉が座っていたように思えることに由来する。ツチグリは土栗と書く。
■ シラユキゲシ  神戸・フラワーロード
 白雪のように白い花を咲かせることに由来するケシだ。英語でSnow poppyという。蕗のような葉も特徴かもしれない。初め花はシュウメイギク似、葉はキク科と思ったが、図鑑にはなかった。学名はEomecon
 chionanthadeで「東方のケシ」を意味している。
■ シロガネスミレ 京都・梅宮大社付近
 
道路脇の駐車場の橋に群生していた。葉は細くひれもあり、原種のスミレに近い。花は白地に紫色の筋がある。タチツボスミレ系に花が白い「オトメスミレ」があるが、これも違う。取りあえずスミレの種内変種ということにしておく。諸氏のお教えを乞う。


Back Number


彩(新春2

(2010.02.06)
■ ナルキスス カンタブリクス 京都・府立植物園
 原種のスイセンが霜の降りた花壇で咲いていた。種小名カンタブリクスはスペインの原産地の名前だ。主に地中海沿岸が原産だ。属名はギリシャ神話の水に映る自分の姿に魅せられて焦がれ死にするナルシサスに由来する。厳寒に咲く姿は健気に見えた。
■ ナルキスス ロミエウクシー 京都・府立植物園
 これも原種のスイセンだ。簡易な温室の中で鉢植えにされていたから左の「カンタブリクス」より若干寒さに弱いのかもしれない。黄色が目に滲みる。ここでは見かけなかったと思うが、黄花ではシクラメンのような咲き方の「ナルキスス キクラミネス」もある。

フサザキスイセンア 京都・府立植物園
 これも属名はNarcissusだ。スイセンは地中海沿岸地方が原産地と言われているヒガンバナ科の花だ。日本スイセンも遠い昔、中国から黒潮に乗って渡来した漂流植物とか、人の手で伝来とかの説がある
■ ラケナリア  京都・府立植物園
 南アフリカが原産地で、原種は50〜100種類ぐらいあるといわれている。別名アフリカヒヤシンス、冬に咲くのがいい。花言葉は移り気、変化などがある。属名ラケナリアはスイスの植物学者の名前にちなむ。
■ ウナズキヒメフヨウ  京都・府立植物園
 「ハイビスカス」などフヨウの仲間は多いが、花が下を向いている感じがうなずいている風情に似ているところからついた名前らしい。写真でも分かるように蕾は上を向いているが次第に下を向く。花びらは雌しべに巻き付いているので、花は開かない
■ オオベニゴウカン 京都・府立植物園寺
 
カタカナだと何だか分からないが、漢字で書くと、
「大紅合歓」となる。大きな紅色のネムノキという意味だ。ボリビア原産でマメ科の合歓の木の仲間。毛のように飛び出しているのが雄しべだ。白花もある。しかし、日本の合歓の木の花の方が趣があるね。


彩(新春

(2010.01.01.)
■ フユアヤメ 大阪・野崎観音
『野崎小唄』で有名な野崎観音に行ったことがなかった。年の瀬に時間ができたので、訪れた。大阪の町が見える飯盛山の山麓は初詣を迎える準備の最中だったが、小さな「フユアヤメ」も少し寒い風にも凜として咲いていた。
■ ミヤマフユイチゴ 京都・石清水八幡宮
 石清水八幡宮から松花堂庭園に行こうと山を下りた。そのハイキング道で見つけた。森林に密閉された谷筋に生息していた。冬枯れの落ち葉の上に赤い実が目を引く。ひっそりとした赤なんてないだろうけれど、静寂に似合う赤だと思った。

球根ベゴニア 淡路島・夢舞台
 温室の花も少なくなって、球根ベゴニアが鮮やかに映える季節になった。華やかさはどんな花にも負けないと思う。華やかすぎてかえって損をしているのではないか。艶やかで色気さえ感じる花なのに……
■ アホニア・ナリヒラ 京都・上七軒
 メギ科ヒイラギナンテン(mahonia)属コンフーサだ。葉は「ヒイラギナンテン」と比べて手で触ってもそれほど痛くない。花や実は垂れずに上を向く。南天と同じく「難を転じる」に通じると縁起物の木
■ アリドオシ  京都・祇王寺
 このホームページの花の見分け方で「万両」「千両」「百両」「十両」まで紹介しているが、やっと「一両」の写真を撮ることができた。これも赤い実が澄んでいる。京都・祇王寺では一両から万両まで紹介していた。「十両」は今号のトップを見てほしい
■ 皇帝ダリア 明石・太寺
 
先号のトップを飾っていたが、トップは保存していないので、ここにあげてBack numberに加えておこうと思う。ダリアにもいろいろあるもんだ。ふと田宮虎彦の『朝鮮ダリア』のダリアはどんなものかと日頃から知りたいと思っていることが頭に浮かんだ。



彩(

(2009.12.06.)
■ ダイモンジソウ 淡路島・夢舞台
 ユキノシタ科ユキノシタ属で学名の Saxifraga は
「Saxum(石)+frangere(砕く)」結石を砕くとか、岩石の割れ目に生息するためとか、の諸説がある。花の形はまさにユキノシタだ。鴨足にも似ていることから「ゆきのした」を鴨足草ともいう。
■ キヨスミシラヤマギク 京都・嵯峨野
 京都嵯峨野の個人宅の玄関にひっそりと置かれていた。紫色が冴えて素晴らしい。写真より濃い紫が人目を誘う。ヨメナに近いような気がする。 いずれにしても野菊には種類が多い。まとめて野菊で分かり易くていいと思う。しかし知りたくなる。

イトラッキョ 淡路島・夢舞台
 長崎県平戸あたりで人気のあるラッキョだ。実は食べられるが、長崎では絶滅危惧種になっている。名前は葉が糸状に細いのが由来とか。私は花の雄しべが糸のよう飛び出しているからと思った。
■ ソラナム・ラントネッティア 神戸・生田川
 何しろ気に入った。とても綺麗な紫だ。6月から現在までまだ咲き続けている。ほとんど年中楽しめる。少し水揚げが悪い。ナス属の中では一番花が可憐な気がする。葉の葉脈はわりとはっきりしている。
■ シオン  淡路島・夢舞台
 
秋の終わり荒ぶる神のようにどう猛に咲いている。写真はまだ青さが残った葉がついているが、やがて黄色に変わっても花はしばらくの間、元気に咲き続ける。冬を招いているように見える。属名はAsterは
「星」を意味し、種小名tataricusはダッタンの意味。
■ ビデンス 神戸・しあわせの村
 キバナコスモスに似ているが、花びらの先が白くお洒落な花だ。Bidensは「2・歯」の意味で、Biを英語読みすれば、「バイ」、densをデンテストと関連づければ、すぐ理解できる。
果実に2本のトゲがあることによる。日当たりがよくて水はけのよいところを好む。



彩(

(2009.9.22.)
■ プルメリア 大阪・彗光院
 別名インドソケイというキョウチクトウ科のメキシコからパナマ辺りが原産の植物で、レイやコサージュに使う。ハワイやタチヒではレイとして使われている。ジャスミンの強い香りがする。ソケイ(素馨)とはジャスミンのこと
■ ゴールテリア 奈良・万葉苑
  ヤブコウジの仲間だ。万葉苑で売っていたのは万葉集で「やまたちばな」というからか。タチバナという名前は葉がミカンの古名タチバナに似ているからという。昔から正月の縁起物として飾られた。実千両万両百両十両のうち十両に当たる

ルリトラノオ 奈良・万葉苑
 学名Veronica longifoliaでゴマノハグサ科。瑠璃色が目に滲みる。属は「クワガタソウ属」となっているが、このルリトラノオのように茎の先が穂状になるものを「ルリトラノオ属」とする考え方もある。 
■ イワタバコ 奈良・万葉苑
 星形の花がかわいい。セントポーリアも同じ仲間。葉が煙草に似ていることから、「岩煙草」という名前がついた。日本では種類も少ないが、世界では150-160属2000-3200種に達する大きな科である。
■ アワ 奈良・万葉苑
 
あわは古名も同じ。「淡しい」が語源とか。ウルチとモチがあり、共に食用となる。万葉集では粟を蒔くシーンのみが歌われていてユニークだ。有名な歌は、<ちはやぶる神の社し、無かりせば春日の野辺に粟蒔かましを>だ。
■ ヒオウギ) 奈良・万葉苑
 
万葉集ではこの美しい花より黒い実を尊ぶ。62首も出てくる。実を「ぬばたま」といった。ヌバとは「黒い」という意味だ。種の苞が弾けると、黒真珠のような漆黒に光る実が出てくる。その光沢は計り知れない美しさで古人を魅了したのだろう。



彩(夏2

(2009.7.29.)
■ ハス(金輪蓮)京都・法金剛院
 蓮華の命は四日。写真は二日目だろうか? 早朝に咲き、午前中に半開きのまま閉じる。その奥ゆかしさとじれったさも感じさせながら、白い花びらの先をうっすらと紅色に染める風情がいい。私は半開きの蓮華が好きだ。
奥ゆかしい少女を思わせる。
■ キイチゴ 京都・花園
 法金剛院の待賢門院の御陵に詣でたあと、近くの民家の下記で見つけた。黒く熟れた実も赤い実も啄む鳥を待っているように見えた。人間が摘んでしまっては惜しいという思いでいっぱいになった。

時計草 京都・法金剛院
 学名Passifloraは、情熱の花の意味だ。磔にされたキリストを雌しべが現しており、花はキリストの後光だという。時計草は写真のとおり時計に似ているから。毎年時の記念日に話題になる花だ。
■ コマクサ 神戸・六甲高山植物園
 高山植物の女王といわれている。けし科の多年草。人が近づけない岩場に咲く孤高の花だ。高嶺の花とはこの花のこと。摘んではならない花。花の様子が子馬に似ていることから「駒草」と呼ばれた。
■ コウホネ 神戸・六甲高山植物園
 コウボネは平安神宮で名前を知った思い出の花だ。漢字で書くと、「河骨」。川に育ち、根茎が白く、白骨のように見えるからという。あまりいい名ではないように思える。池面から20〜30cm花茎を伸ばして黄色い花をつける。季節にはよく目立つ
■ アノマテカ(ヒメオオウギ) 神戸・長田区前原町
 何人かの人に名前を聞かれたが、分からなかった。花びらの半分に濃い紅をさしたような可憐な花だ。あやめ科には、梅雨に美しく咲く花が多い。覚え方は、「あのー、待ってんか。この花なんちゅうの?
」と語呂合わせで覚える。


彩(

(2009.7.)
■ ゴウヤ 大阪・JR百舌鳥駅界隈
 軒まで紐や網で蔓植物を牽引して陰を作るには、昔は朝顔がよく使われたが、近頃、人気なのは「ゴウヤ」和名「ニガウリ」だ。生長も早く、収穫もできるからだろうか? 西洋朝顔の日陰棚より趣がある。
■ アップライトブルー(ロベリア) 大阪・大仙公園
 都市緑化植物園の入口にあった。ブルーが印象的で目に付く。ロベリア(みぞかくし属)の仲間であることはすぐわかったが、あまり出回っていないのか初めてお目にかかった。立ち性の
株で見栄えがする。
モナラベンダー(プレクトランサス) 大阪・大仙公
 南アフリカ原産の園芸種。シソ科プレクトランサスで葉はダークグリーン、葉裏は紫色だ。名前はラベンダーに似た紫色の花をつけることに由来する。。セージに感じが似ているが、属が違う。
■ ミッキーマウスツリー 大阪・大仙公園
 南アフリカ原産のオクナ科の植物で、写真で分かるように名前は果実がミッキーマウスに似てることに由来する。黒いの石果だ。春から夏にかけて黄色い花を咲かせる。赤いところは萼が変化したものだ。
■ オオバオオヤマレンゲ 神戸・六甲高山植物園
 マグノリアの仲間だ。同じ時期に「タイサンボク」「ホウノキ」の花が咲く。赤いの雄しべ、白っぽいのが雌しべだ。モクレン科の花は構造が単純で古代からある植物といわれている。濃厚な芳香は一度嗅ぐと忘れられなくなる。好き嫌いは別として……。
■ コリダリス・フェレクスオサ 神戸・六甲高山植物園
 流通名は「ヒマラヤエンゴサク」とか、ケシ科の「エゾエンゴサク」に似ている。しかしこの花も含めて「ヒマラヤアオゲシ」などヒマラヤブルーと呼べそうな独特なブルーは比べられそうにもない。「ムラサキケマン」「ジロボウエンゴサク」なども「コリダリス属」Corydalis。



彩(2)

(2009.3.29)
■ キバナノアマナ 利尻島・ペジ岬
 まだ寒い利尻島のペジ岬の草むらで点てんと春を見つけたときは嬉しかった。。ユリ科アマナは漢字で「甘菜」と書く。鱗茎は甘く、食べられることに由来する。これから岬一面の花畑を思い浮かべた。
■ エゾエンゴサク 利尻島・ペジ岬
 先週(09.4.15)、宇治でジロボウエンゴサクやムラサキケマンを見たあとなので、この花を見ることができた感激はひとしおだった。周辺を見渡すと、ぽつぽつと咲き始めていた。
漢字は「蝦夷延胡索」と書く。
■ エゾムラサキツツジ 小樽・小樽運河
 小樽は何年ぶりだろうか? 運河の中央橋の上にある花壇で満開だった。紫色が独特で完全に落葉せず、赤くしもやけしたような葉が残る。
■ ボタン 明石・太寺
 家の玄関に置いてあった鉢で例年のとおりボタンが咲いた。雨が心配で傘をさしかけたくなったが、じっと我慢して自然に任すことにした。蕾も元気だ。
■ シュロガヤツリ 神戸・大石川
 野の草の「カヤツリグサ」は子ども頃から先日同じ仲間エジプトのパピルスなどを学校で習って興味があった。先日、大石川(都賀川)でかなり大きなシペラス(カヤツリグサ属)を見つけた。鑑賞用に栽培されていたが、野に逃げ出した帰化植物だ。
■ リキュウバイ 京都・宇治川アジロギの道
 4月の初めと中旬にこの花を見た。バラ科ヤナギサクラ属だ。日本ではあまり見かけない。名前の由来のとおり茶花として用いる。葉は互生、先端は丸い。水揚げには切り口を四つ割にする。なかなか清楚な花だが、日本で普及しないのはどうしてだろうか?
■ アケビ 明石・錦城
 ノミの夫婦なっていうけれど、アケビも大きいの雌しべ、小さくて貧弱なのは雄しべだ。何か最近の人間界を象徴しているような気がする。アケビの花はよく見ると、なかなかかわいい。しかしどこかエロチシズムを感じるのだが、いかが?
■ モチノキ 明石・明石城
 野鳥が好きな赤い実はよく知られているが、春先に咲く花はあまり知られていない。薄い黄色の花はよく見ると、なかなか愛嬌を感じる。「モチノキ」の名前はご存じのように樹皮からトリモチを作ったことに由来する。


彩(

(2009.3.29)
■ レウイシア 神戸・布引ハーブ園  
 ヘラ形のロゼット葉の間から花茎を伸ばして花を咲かせる。白、サーモンピンクなど美しい花を咲かせる。暗い木の下影が冴える。ロックガーデン向きと言われているが、ハーブ園ではグラスハウスのい中にあった。葉は多肉でスベリヒユの仲間だ。
■センテッドゼラニュウム(パイン) 神戸・布引ハーブ園
 センテッドゼラニュウムは香料を採るためのニオイゼラニュウムでストラス系、フルーツ系、スパイス系などさまざまな種類がある。布引には九州開聞岳山麓から仕入れた約30種ほどがある。レモン、ナツメグ、、チョコレート、アップルなどの香がする。最近市販されている蚊取草などもある
■バイオレットクレス 神戸・布引ハーブ園
 アブラナ科の特徴である十字型の花がほんのりと紫色に染まっているところが名前の由来だ。ポルトガル原産。クレスは辛しの意味で、クレソン(オランダガラシ)も同じ。群生する。グランドカバーにいい。
■ワトソニア 明石・天文町 
 アヤメ科のヒオウギズイセンの仲間だろうか? 自信がない。知っている方は教えてほしい。花の色はローゼルで美しい。葉は剣状で硬い。
■ オオシマザクラ 神戸・ポートアイランド北公園
 山桜と同じように開花と一緒に葉もでる。公害に強く原種に近いサクラといわれている。ソメヨシノはこのオオシマザクラとエドヒガンの交配種だ。オオシマザクラの葉は、香りがいいことから桜餅の葉として珍重されている。花は白だ。
■アンズ 神戸・布引ハーブ園 
 2月の終わりに大阪城の梅林を見てきたが、アンズとの交配種とされる肥後系の梅はこれからという感じだったが、今は盛りを過ぎたことだろう。アンズは梅よりも花が大きく、艶やかだ。紅入りにそまる風情がいい。



彩(春近し

(2009.2.6)
■ アロエ 京都・壬生  
 アロエは古くから緩下(かんげ)作用や火傷の治療に利用された民間療法の薬用植物だ。この写真は、 「キダチアロエ」だと思う。アリストテレスはアレキサンダー大王に貴重なアロエの原産地ソコトラ島を占領するよう願ったほどだという。花はちょっと見はグロテスクに見えるが、よく見ると、なかなかかわいい
■仏手柑(ぶっしゅかん)の実 京都・壬生・光縁寺
 新選組総長山南敬助はじめ18人の隊士が眠る壬生の光縁寺で奇妙な柑橘類を見つけた。(財)農水産技術情報協会のHPによると、果実の形が手の指の形をしているのでこの名があるという。千手観音の手のような姿、形から果物とは信じ難い。原産地は釈迦の生まれた国インド東北部で、シトロンの一品種で、生食はできない。 以前はお茶会などでよく使われた。黒潮と太陽にはぐくまれた優雅な香り持ち、仏の手を思わせるこの実は一つの芸術品だ。果実は砂糖漬けにする。
■松虫草(スカイビオサ) 京都・七条通
 七条通りで季節外れのマツムシソウを見つけた。 属名Scabiosa(スカビオサ)は、ラテン語の「scabiea(疥癬(かいせん))」が 語源(かゆみの病気)だ。 松虫草は皮膚病に効く薬草として 使われていたことに由来する。エッセイスト九条武子は『六甲山上の夏』で薄紫の松虫草は大空の星が落とした花のようだと書いている。
■ノリウツギ(サビタ)・糊空木 神戸・森林植物園 
 北海道ではノリウツギのことを「サビタ」という。「サビタ」といえば、『挽歌』で有名な原田康子の『サビタの記憶』がある。昔話に男にとって悲しい話がある。慕う娘に求婚したが、「この花が散ったら」と約束した。しかし、花はいつまで経っても散らなかった。ノリウツギの名前は楮和紙を漉くときの糊を樹皮の下から採取することに由来する。
■ コウヤボウキ(高野箒) 神戸・森林植物園
 コウヤボウキはキク科に珍しい木本のキク科だ。名前は高野山の僧がこの枝を束ねて箒としたことに由来する。正倉院御物「子日目利箒(ねのひのめとぎほおき)」もあり、柄に金糸が蒔かれている。
■ウグイスカグラ(鶯神楽) 神戸・森林植物園 
 名前はスイカズラ科の落葉潅木で鶯の鳴き始めるころに花が咲くことに由来するというが、諸説があるので定かでない。開花は普通3月中旬〜4月中旬だが、今年、森林植物園では一部咲き始めた。淡いピンクの花はなかなかかわいい


彩(

(2009.1.1)
■ 冬薔薇 大阪・靭公園  
 靭公園に梶井基次郎の『檸檬』(レモン)の文学碑を探しに行った。見事な薔薇園に冬薔薇(ふゆそうび)が咲いていた。寒風の中に咲く薔薇はきりっとしていていい。谷村新司の『群青』を思い出した。品種は
「Golden medaillon]という。
■ナツハゼの実 大山崎・大山崎山荘美術館
 山荘美術館の庭の流れ沿いで見つけた。ツツジ科スノキ属で黒い実は食べられる。甘酸っぱい。シャシャンポ、ブルベリー、コケモモも同じ属だ。誰かに食べられるか、と聞かれたが、山荘美術館の実を食べられると困るので、わからない、むやみに食べない方がいい、と伝えた。
■センダンの実 大阪・平野
 晩
春に薄紫色の花が集まって咲く。花が咲き乱れる樹の下では、強い香りに包まれる。ジャコウアゲハやアオスジアゲハなど昆虫が集まってくる。「センダンは双葉より芳し」はこの樹でなくビャクダンのことをいうのは後存じだと思った。葉はニワウルシに似るが、小葉に蜜腺がない。
■クサギの実 大山崎宝積寺 
 野に自生するクマツヅラ科の落葉低木、葉に悪臭があるが、花や実はなかなか趣があると思う。花は香りがよく、蝶が集まってくる。赤い星形に開いた萼と藍色の実との色のコントラストがなかなかいい。花は白く、萼は赤い感じもユニーク。
■ ノボタンン 大阪・平野
 ノボタン科ティボーキナ属だが、この写真は雌しべが紫色なので紫紺野牡丹のようだ。普通の「ノボタン」は雌しべが黄色いが、俗称でまとめてノボタンとした。
■ネリネ 奈良・吉野山金峯山寺 
 ヒガンバナ科だが、ヒガンバナのリコリス属でなく、ネリネ属。花言葉は「芯が強い人」という。ネリネはギリシャ神話の水の妖精の名に由来する。思わぬ所に咲く。



彩(仲秋

(2008.10.1)
■ ヤブラン 姫路・書写東坂  
 ヤブランの接写写真が撮影できたので、アップする。よく見ると、とても可愛い花だ。やがて黒い光沢のある種子ができる。ランというが、ユリ科だ。ランの「シュンラン」に似ているのが由来らしい。
■ウバユリの実 書写山円教寺
 特徴のある実だ。花は7〜8月に咲く。他のユリ科は平行脈のある細い葉が多いが、ウバユリは卵形でかなり大きい。名前の由来は、花が咲くとき、葉が枯れるからという。「葉がない」を「歯がない」にかけて姥としたという。
■センニンソウ 姫路・書写東坂
 もう何年か前に布引ハーブ園に自生していた。学名はClematis、クレマチスの仲間だ。キンポウゲ科のつる性植物で、茎や葉に皮膚がかぶれる有毒植物だ。また三つ葉の葉が丸いので、「ボタンヅル」ではない。根は利尿、鎮痛の漢方として「威霊仙」と呼ぶ
■ヌスビトハギ 書写山円教寺 
 薄紫色の小さな花をつける。マメ科だが、豆果でなく、節果といってサングラスのような実をつける。その節果の形が盗人の足先の足跡に似ていると見立ててつけられた名前だ。花は小さく目立たないが、うっすらとピンクがかってかわいい。円教寺摩尼殿の階段周りで見つけた。
■ ソラナム・ラントネッティ 神戸灘・成徳公園
 ナス科ナス属特有のよく目立つ美しい花だ。野坂昭如が通学した神戸市灘区にある成徳小学校に隣接する成徳公園で見つけた。
■アニソドンテア 神戸垂水・五色山公園 
 堀辰雄の親友神西清が書いた小説『垂水』の舞台「五色山」界隈で見つけた。アオイ科の花だが、他の花と違って透き通るようなピンクが美しく、清楚さを感じる。


Back Number


彩(初秋

(2008.8.24)
■ アンゲロニア 京都・比叡山  
 この花の群れを見て、私は印象派の画家マネとモネの同名の絵画『草上の昼食』を思い出していた。モネの絵はマネの作品に構想を得て描かれたと言われている。両方とも平地の深い森林の中でピクニックを楽しむ男女が描かれている。ゴマノハグサ科の花は美しい。
■ミッドナイトムーン 京都・比叡山
 オパール色の葉に満月色の花。「何でミッドナイトムーンなの?」若い娘が恋人に言っている。「葉の色が深夜を表現し、花が満月さ」「そうかな? 満月に見えないわ」
「満月の晩に咲き始めるんや」恋人は苦しげに応えた。
「だって、花のイメージは昼間なんだもん」「いやミッドナイトさ。真夜中の満月を黙って見たいね。君と……」。
■ロシアンセージ 京都・比叡山
 
名前が分からなかったので、ガーデンの手入れをしていた若い娘に訊いた。花の剪定作業をしていた手を休めて教えてくれた。過ぎゆく夏の日射しを冷やしてくれそうなクールな色だ。サマーラベンダーともいう。
■ハンゲショウ 京都・比叡山 
 半夏生は澄んだ小川の畔が似合う。でもモネの池の端でも間近に見ることが出来て楽しい。日射しが葉にさしたようにほっと明るい。何年か前、淡路の環境園芸学校のせせらぎで見つけたのを思い出した。
■ クロホオズキ 京都・比叡山
 ナス科の特徴を示す花や葉だ。風船のような実もなかなかおもしろい。赤いホオズキは同じナス科のトマトを思い出させるけれど、クロホオズキはナスそのものを連想させる。夕べ食べたなすの漬物はうまかった。
■フェンネル 京都・比叡山 
 幼いときに病院で嗅いだ消毒薬のような、また成人して飲んだ濃い酒のアブサンのような、香が懐かしい。肉料理の匂い消しに有効とか? 漢方では茴香(ういきょう)と呼ばれている。イノシシが大好きなセリ科植物だ。


彩(

(2008.8.2)
■ ルドベキア 明石・太寺  
 我が家の仏壇用にこぼれ種をそのままにしたら、庭中に繁茂して、通路に溢れて雨の日は服が濡れて困った。茎が固いので仏壇用花としては最高、2,3週間は軽く持つ。群植がいい。学名Rudbeckia hirta
■キカラスウリ 神戸・三の宮
 前から夕方に咲く「カラスウリ」の花の写真を撮りたいと思っていた。なかなか機会に恵まれないでいる。しかし、「カラスウリ」ではないが、昼間でも咲くこの花に都会の真ん中で出会った。街路樹に絡まっていたのだ。
■ネジキ 京都・金福寺
 
つつじ科の「ネジキ」は名前のとおり樹皮が捻れているように見えることに由来するが、花は「ドウダンツツジ」にて可憐だ。葉の縁が波打つのも特徴だ。この幹を使った冠木門(かぶきもん)もなかなか趣がいい
■ツキヌキニンドウ さいたま新都心 
 埼玉の「さいたまスーパードーム」周辺の歩車道境界のフェンスに絡まって咲いていたつる性植物だ。名前の由来は茎が葉を貫いているように見えるからだという。花言葉は「言い表せない想い」とか。
■ アルゲモネ 西宮・北山植物園
 ケシ科の特有の美しい花だ。花はキンポウゲ科のアネモネにも似ている。しかし花のつきかたはポピーの仲間とは著しく違う。清楚な白い花が気に入った。
■ゲラニュム 西宮・北山植物園 
 このところ日本でいう「風露」あるいは「ゲンノショウコ」「アメリカフウロ」に凝っている。特に「アメリカフウロ」の種子の付き方が気に入っている。イヤリングのような種の付き方がおもしろい。写真は「風露草」、紫の花がいい。



彩(初夏

(2008.5.10)
■ しらー ひすぱにす 明石・人丸  
 朝、通勤の途中、民家の玄関先で咲いていた。和名は「つりがねすいせん」といい、花は円錐状の釣り鐘形をしている。花色は淡い青色が目立つ。学名のHispanicaはスペインの意である。
■なんじゃもんじゃ 和歌山・和歌山城
 正式な和名は「ひとつばたご」といい、もくせい科で学名はChionanthus retusus といい、Chionは雪、nanthusは花を意味する。満開になると、雪が降り積もったように見えることから。
■こもちまんねんぐさ 和歌山・和歌山城石垣
 
べんけいそう科で、学名はSedum bulbiferumといい、「せだむ」はラテン語のsedoすなわち英語のsit座るの意味で石に座っている状態を示している。名の由来は葉の基部に小さな葉である珠葉を持つことから
■きしょうぶ 和歌山・和歌山城二の丸庭園 
 学名はIrisで「虹」を意味するギリシャ語で「あやめ属」をいう。写真はジャーマンアイリス系の園芸種だろうか。あるいはヨーロッパ原産のきしょうぶと日本原産の花菖蒲をかけた黄色系花しょうぶかもしれない。
■ つたがらくさ 神戸・大石川(都賀川)
 ごまのはぐさ科はいろいろな属があっておもしろい。さぎごけ属には「むらさきさぎごけ」「ときわはぜ」などがあり、「おおいぬふぐり」「かわぢしゃ」などはくわがたそう属(Veronica)だ。これはしんばらりあ属で、「つたばうんらん」ともいう。学名はCymbalaria muralis。
■源平小菊(エリゲロン) 神戸・石屋川 
 ハルジョンやヒメジョンと同じErigeron(むかしよもぎ属)に属する。白から赤へ花色が変化する。神戸の石屋川やそれより少し東の天神川の石垣護岸に群生している。花群れの風に揺れる風情が格別といえよう。紅白が入り交じって源平の戦いか? その可憐さは神戸に似合う。



彩(初春

(2008.1.1)
■ べにばなときわまんさく 東京・浅草寺  
 このシリーズ(初春)版にも掲載したが、今、関西で白や紅いずれも満開だ。この写真は三月の浅草寺、すでに満開だった。やはり東京は暖かい。(2008.3.26.撮影)。
■ばいもゆり 鎌倉・長谷寺
 日本最大の木造観音菩薩像のある大寺だが、野草園といっていいほど野草の宝庫だ。「ばいも」は「貝母」と書く。恋の花「くろゆり」はこの仲間だ。
■きらんそう 明日香・高松塚古墳
 
高松塚古墳近くの野道に咲いていた。葉の緑は濃く,つやもある。別名「地獄のふた」「医者殺し」ともいうが、それは切り傷や胃腸薬など万病に効くと民間でいわれこの名がある。漢字では「金瘡小草」と書く。
■ひゅうがみずき 明日香・高松塚古墳 
 春のはじめ、淡い黄色が心を和ませる花だ。高松塚古墳壁画館から高松塚古墳へ行く道の端に造園的に植えられたものだ。花は葉が開く前に穂状花序を出し、1〜3個の淡黄色はかわいい。
■ ひめうず 明日香・亀石付近
 さわさわと風に揺れる風情ははかなく小さな白い花だ。花はオダマキによく似ている。花は小さいが、さすがキンポウゲ科とても美しい。とても品がある花だ。時として群生する。
■のじすみれ 明日香・酒船石付近 
 日当たりのいい田圃の畦で見つけた。はじめ「すみれ」と思ったが、葉の柄にひれが小さいので、「のじすみれ」と思う。「たちつぼすみれ」などの葉は丸いが、細いのですぐわかる。


彩(秋1

(2007.9.29)
■ もろへいや 伊丹・稲野  
 古代エジプトから食べられている野菜だ。ミネラル分を豊富に含み、栄養豊かな野菜だそうだが、私は正直言って美味いとは思っていない。どろどろで、納豆みたいなのがきらいだ。しかしモロヘイヤの意味はアラビア語で王様のものというらしいから貴重な食べ物だと思う。
■にら 龍野・
<龍野へ三木露風の文学散歩に行ったとき、道ばたの斜面に咲いていた。古事記では「かめら」と言ったらしい。ご存じのように独特の臭気があるが、身体によい植物で日本では野生なのか、野菜なのか定かでない。ニンニクも先端に同じような散状花をつける。
■つぼさんご 龍野・如来寺  
 
龍野藩士の菩提寺の如来寺に三木露風の歌碑と筆塚を見に行ったとき、日陰にひっそりと咲いていた。「ゆきのした」に似た葉からゆきのした科の植物であることはすぐわかる。しかし花は違う。花が珊瑚色で壺のようになっているところから、その名がある。
■やぶみょうが 龍野・如来寺  
先年、滋賀の高浜城に行ったとき、城の斜面に群生していたのを思い出す。ちょっとした薄暗がりに花が白く群れ咲く様子は印象に残った。そして今年は龍野の如来寺で出会った。「つゆくさ」とは近縁。
■ しょうじょうそう 龍野市内
 一見して「とうだいぐさ科」で「ぽいんせちあ」の仲間であることはわかったが、名前はわからなかった。とりあえず 「ぽいんせちあ」の属名で「ゆーふぉるびあ」で呼んだ。それでまちがいなかったが、調べたら「しょうじょうそう」というらしい。バイオリンのような葉が特徴だ。
■ざくろ 奈良・元興寺 
 人肉の味がするという「ざくろ」の実だ。「ざくろ」は食べたことがあるが、人肉は食べたことがないので真意のほどはわからない。広大な七堂伽藍を誇っていた元興寺が今は一つの僧坊のみの寺になっている悲哀を感じているときに見つけた。なぜか哀れだ。



彩(夏3

(2007.8.14)
■ かくとらのお 神戸・六甲ガーデンテラス  
 去年の秋京都嵯峨野で紅葉とともに見た「かくとらのお」が咲き始めていた。若い女に似て透き通るようなピンクの花びらが愛らしい。花の名前は花穂が四角ことに由来する。白花もあったが、やはり薄紅色がいい。日本の伝統色の名前で言うと、「薄桜色」といえるだろう。
■まつむしそう 神戸・六甲ガーデンテラス
<薄紫の可憐な松虫草は、大空の星が落とした花のような塵にもまみれず、爽やかな夏の朝を、高原のそこここに咲いていた。>これは大正時代のエッセイスト九条武子の「六甲山上の夏」の書き出しだ。かっては六甲山に自生していたらしい。学名スカビオサ。
■げらにゅむ 神戸・六甲ガーデンテラス  
 
茶花の「風露」の園芸種だ。園芸種は属名で呼ぶことが多いが、Geraniumは「鶴」を意味する。分果が鶴の嘴に似ているからという。花は清楚で美しい。私はこの花が好きで離宮公園の花のガーデンに植えた。今も季節がくると、美しい花を咲かせている。
■げんのしょうこ 神戸・六甲ガーデンテラス  
野草に思う3」でも取り上げたが、「げんのしょうこ」は属名も同じGeraniumで野生の薬草だ。乾燥したものを煎じて下痢止めや整腸に用いる民間薬として名高い。
■みそはぎ 神戸・六甲ガーデンテラス
 祭事に用いることから、「禊ぎ」に由来するという。また湿地を好むことから「溝萩」とも書く。盆の季節に咲くので、別名「盆花」ともいう。この花は子孫を残すために三段構えの雌しべを持っているのが特徴だ。
■デルフィニューム 神戸・六甲ガーデンテラス 
 花の形が「いるか」に似ていることから、属名は「いるか」を意味するDelphiniumとなった。美しいブルーが印象的だ。きんぽうげ科の花は美しいが、有毒なものが多い。人間界も美しい花は恐ろしいこともある?。



彩(夏2

(2007.7.27)
■ ふうせんとうわた 神戸・東灘区  
 事務所近くの街路で見つけた。「ががいも科」で学名はGomphocarpus fruticous はギリシャ語でGompho「こん棒」、carpus「実」の意味だ。実に痛くないとげがたくさんできることからとげのあるこん棒のイメージだろうか。花は星形でかなり美しく見えた。
■むらさきしきぶ 龍野・如来寺
 
秋にあのむらさきの実をたわわにつける「むらさきしきぶ」は夏にピンクのかわいい花を咲かせる。美しい実の色は暑い夏を越すからだろうか? この花はなぜか御寺に似合う。私は淡い葉の色が好きだ。
■ あがばんさす 神戸・三宮  
 
一年を耐えたように初夏から夏にかけて花茎を立ち上げ、その頂点に瑠璃色の花を咲かせる。すらっと伸びる花茎と花は蒸し暑さを吹き飛ばすイメージを感じる。神戸のフラワーロードはこの花の名所だ。あまり管理しなくても忘れずに花を咲かせ、しかも清楚だ。夕方そよ風に揺れる姿は神戸に似合う。
■あめりかふよう 龍野  
 龍野文学散歩の下調べで城下町を散策しているとき、民家の門先の奥にふと見つけた。学名はハイビスカスと同じHibiscusだ。しかし一際大きな花が目についた。花は一日花で、朝咲き、夕にしぼむ。一日花は何かしら無常を感じる。
■ ばーべな&おにのげし 龍野
 寂れたコンクリートの三和土の割れ目に咲いた二つのたくましい生は、寂れた城下町になぜか似合っていた。「おにのげし」は小さく慎ましやかだった。バーベナはこれから晩秋まで花を咲かせ続けるだろう。何年か前から
「ど根性○○」がはやっているが、私はあまり好きでない。「健気」というか、そんな言葉の方が似合うように思う。
■まんりょう 明石・太寺
 正月の飾り花として「せんりょう」とともにあの赤い実がおめでたさを煽る。また「まんりょう」「せんりょう」「かきどうし」は縁起ものとして庭先に植える。実は有名だが、花はあまり知られていない。実と同じようになかなかかわいい。黄色の実のものあり、「きまんりょう」という。花は今(6〜7月)咲く。



彩(

(2007.7.3)
■ るりやなぎ 京都・法金剛院  
 古くから珍花奇花を植え、天皇の行幸を仰いだ寺だという。瑠璃柳(るりやなぎ)は花から想像がつくようにナス科の植物だ。葉が柳に似ているためこの名がある。ブラジル原産といわれている。しかし葉は銀色ぽくキョウチクトウに似ているように私は思う。
■とけいそう 京都・法金剛院
 
花の名の由来は、形が時計とその針に似ていることから。よく見ると、少しグロテスクな感じもする。6月10日の「時の日」の頃、咲くことからメディアによく取り上げられている。ジュースにされているパッションフルーツも同属だ。
■ぎんぱいそう 京都・東林院  
 
銀盃草はへらのような葉が特徴だ。花が盃のようなところからこの名がある。東林院の入り口の飛び石沿いに可憐に咲いていた。園芸店では属名の「ニーレンベルギア」と呼ぶ場合が多い。グランドカバーとしておもしろい材料だと思う。この花も形からわかるようにナス科に属している。ナス科には美しい花が多いが、有毒なものも多いので、気をつけたい。例:ダチュラ
■あかんさす 神戸・東灘  
 属名のAcanthusは「とげ」があるという意味だ。葉がとげ状になっている。和名は「はあざみ」という。古代ギリシャの神殿の円柱のコリント様式の柱上装飾モチーフとして有名だ。ギリシャの国花でもある。乾燥させてドライフラワーにすると、おもしろい。
■ なつつばき 京都・東林院
『平家物語』の冒頭、「祇園精舎の花の色、諸行無常の響きあり。沙羅双樹の花の色盛者必衰の理を現す。……」はあまりにも有名だ。あの沙羅双樹は「なつつばき」でなく、「ふたばがき科」の南洋樹だ。「なつつばき」は朝咲いて夕にしぼむ一日花。世のはかなさを表徴している。東林院は花の季節のみ特別公開している。
■えごのき 京都・花園
 子供のころ、我が家の玄関にあった。樹姿や白い花が清楚な感じだが、有毒だ。実を砕くと、泡がでることからシャボン遊びなどした。しかし口にすることは厳禁だ。昔は毒性を利用して実を砕いてその液を川に流し、魚を捕ったという。万葉集巻11の「イチシ」は 「えごのき」ではないかという説が有力だ。


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彩(2)

(2007.5.11)
■ くろゆり 伊丹 山野草展  
 毎年に春秋2回ぐらい伊丹のラスタホールで「山野草展」が開催されている。その中でなぜか「くろゆり」が気になる。歌が言うように恋の花だからか? 黒というより濃い紫だと思うけれど、私に恋人がいたら、もっと可憐で色鮮やかな花を贈りたい。
■きらんそう 奈良・柳生
 
別名「じごくのかまのふた」はむかし著しい薬効があると信じられて地獄の釜の蓋を閉じて死者を追い返したという伝説による。属名のアジュガは「配偶者がいないという意味だ。
■くさのおう 奈良・柳生  
 茎や葉を切ると、黄色い乳液が出る。この乳液にはアルカロイドを含み、有毒だ。けし科で中国ではアヘンのかわりに用いたという。鎮痛、鎮静の効能もある。また皮膚病にも効くことから「瘡の王」(くさのおう)とも言われているが、定かでない。私は野辺に咲く風情が好きだ。花姿もこのうえもなくいい。やはり毒のあるものは美しいのだろうか?
■ときわはぜ 奈良・柳生  
 よく見かけるのは同じ仲間の「むらさきさぎごけ」だ。よく似ているが、花の色は「ときわはぜ」のほうが白っぽい。「ときわはぜ」は花茎が立つ。 「ときわ」のいわれは一年中葉や花も咲かせるという意味だ。ポイントは花の色や花の形が異なる。すなわち、花の上唇の先端の割れの小さいのが、「ときわはぜ」だ
■ たねつけばな 奈良・柳生
 先週、水上勉『桜守』ゆかりの武田尾へ行った。「かすみざくら」と「さとざくら」が満開で染井吉野の満開と違った桜を満喫できた。そのとき、「なずな」に似たこの花を見つけたが、今週、柳生の里で見事な花を撮影できた。花の白さが水の畔で映えていた。
■ずみ 奈良・柳生
 柳生新陰流を生んだ山里の柳生家菩提寺「芳徳寺」の本堂と宝物殿の間で純白の花が咲いていた。「ずみ」としたが遠目で定かでない。ご存知の方のご教示願いたい。その白さはみごとだった。。


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彩(

(2007.3.11)
■ ふき 明石・太寺  
 毎年、この季節には蕗の花を掲載しているが、今までは雪の間からとか、地面に這い蹲ったロゼット状で草丈も低いとかだった。写真の草丈は約30cm以上もあった。頭花も白く雌花だけだろうか? ふきは雌雄異株。それぞれの花に違った性の花をつけるが、結実しない。
■じんちょうげ 明石・太寺
 
我が家の沈丁花の香りも匂い立つ。とても繊細な樹だ。初めは玄関近くの地に植えられていた。しかしなぜか枯れた。次は表に植えた。それも五、六年で枯れた。そこで植木鉢に植えてみた。小さいけれど、これで十年目ぐらいだ。葉に黄色い縁取りがある。
■ゆきやなぎ 明石太寺  
「こでまり」や「しもつけ」などと同じ仲間だ。春、雪が積もって枝がしなやかにたわんでいるような風情はなかなかいい。花の重みのたおやかさはどことなく春を華やがせる。
「でも、早いんだよね。咲くのが……」誰かが顔を下に向けたまま言った。「ああ、一ヶ月かな?」と隣の人が首を傾げる。本を見ると、花の季節は四月と書いてある。そして私はまた、地球の何処かで異変が起こっていると思う。
■むすかり 明石・太寺  
 「むすかり」だって早い。もう使われていない廃墟のビニールハウスの草むらで咲き始めた。「むすかり」とはギリシャ語の「麝香」に由来する。麝香鹿の股間の匂い袋から出る、雌をおびき寄せる匂いだ。いい匂いだという人もいれば、とんでもない臭いだ、と顔をしかめる人もいる。香りとはままならない。好きな人の匂いってどんなだろうと思う。確かめたことはないけれど
■つるにちにちそう 明石・太寺
 もう何年も前から正月あたりからぼつぼつ咲き始めるようになった。少しずつ様子を見ながら花の時季を窺っていたが、今年はすごい。今日見たら、いつもの田んぼの土手一面が春めき立っていた。学名はVinca Major というが、ラテン語の意味はビンカが「巻きつく」で、マージョールは「おおきい」ということだ。長く茎を伸ばして増えることに由来するのだろうし、マージョールは葉が大きいという意味だ。葉の小さい種類をVinca minor(ミノール)という。
■くんしらん 明石・太寺
 我が家の「きみがよらん」もご乱心だ。たしか4月になってから颯爽とシュートを出して、その先に橙色の頭花をつける。写真はもう花の色をしている。いつシュートが伸びて花が咲いてもおかしくない状態なのだ。今年はいたるところで春が反乱を起こしている。これは人間の悪行に対する世界の生物たちの大いなる叛乱なのだろうか。4月半ばに好んで咲いていた「すみれ」たちもあの可憐な紫色を披露し始めた。



彩(

(2006.12.31)
■ ふゆざくら 京都・勧修寺(かじゅうじ)  
 秋から冬に咲く桜、花のない冬の庭に咲く姿はひそやかという言葉がぴったりだ。今咲く桜は八重は「じゅがつざくら」、一重はヤマザクラ系の「ふゆざくら」だと思う。「ふゆざくら」は「やまざくら」と「まめざくら」の雑種といわれている。他に一重で初冬と春に二回咲くエドヒガン系の「四季桜」がある。1月頃にいち早く咲く淡紅色の一重の桜は「おおしまざくら」と「かんひざくら」の雑種「寒桜」だ。
■せり 明石・明石城の小川
 
春の七草のひとつ。水田、小川、湿地に「競り」合って群生することから、「せり」の名がある。秋に新芽で増える。七草だが、よく似た「どくぜり」など有毒植物もあるので同定できない、あやふやなときは決して食べないようにしたい。花の季節は7から8月だがあくが強く、しかも固いので食べられない。図鑑で知る白い花の群生を一度見てみたいが、まだ未体験だ。
■中国ひいらぎ(チャイニーズホリー) 明石太寺  
 ホリーはクリスマスリースにかかせない。あの赤い実の鮮やかさは心を暖かくさせる。日本の柊は門近くに植えたり、節分に鰯と一緒に飾ったりするが、いずれも魔よけの意味だ。西洋ひいらぎも同じ魔よけの意味がある。葉のさきに刺があるからだろうか。しあわせを呼ぶ樹でもある。ホリーには西洋ひいらぎといってイングリッシュホリー、アメリカンホリー等もある。
■すずな(だいこん) 神戸・伊川谷  
 春の七草のひとつ。今頃の大根は大根おろしが美味い。水炊きにポン酢とよく合う。土からせり出して早く食べてほしいと言っているようで面白い。先日、干し大根を漬けた「はりはり漬け」を買った。冷蔵庫に隠して秘かに食べようと思っていた。「あれ、何処で買ったの?」次の朝、彼女は私に訊いた。娘は見つけ出しひとりで全部食べてしまったらしい。
■まさき 高松・玉藻公園
 高松城址の玉藻公園は海に面した日本三大水城の一つだ。堀には海水が引き込まれており、船から直接、出入りできる城門もある。しかし国道のために堀は埋め立てられわずかしか残っていないのは惜しい。その庭園の中門の際で「まさき」がかわいい薄紅色の実をたくさんつけていた。内堀にはたくさんの大きなチヌの魚影を見た。
■さねかずら(ビナンカズラ) 高松・栗林公園
 栗林公園の垣根に使われていて、ツル植物のように見えなかったので、初めは珊瑚樹と間違えた。ある方からのご指摘により、再確認したところご指摘のとおりだった。お詫びして訂正する。写真のようなかわいい実をつける。珊瑚樹とは実のつきかたが違う。




彩(

■むすかり 明石・太寺 むすかり(muscari)は学名と呼び名が同じでギリシャ語の『麝香(じゃこう)』がその名の由来だ。個体によって芳香があり、その香が麝香に似るという。麝香は神戸の布引ハーブ園「香の資料館」に古代の香として展示されているが、ジャコウジカの麝香嚢から製した香で雌ジャコウジカの催淫を促す効果があるらしい。人間に効くかどうかは不詳だ。私には「香」でなく「臭」と感じるが、どうであろうか? 私は花の清楚なブルーに魅せられている。(05.3.13 撮影) ■ふき 明石・太寺 ほろにがい春を告げる味覚といえば、まずは「ふき」だ。早春、アマゴやイワナの釣りが解禁される3月の初めに渓流に入ると、まだ雪の残る岸に枯れ草を根元に敷いて群生しているのに出会う。その様子をみると、釣果がよくなくても、釣り人の心をなぜか浮き浮きさせてくれる。枯れ草となごり雪と「ふき」の淡い萌葱色(もえぎいろ)の色合いは早春の気分を高揚させる。私は茎を酒、醤油、味醂で煮付けた「きゃらぶき」が好きだ。酒のあてとして美味い。(05.3.13撮影)
■河津(かわず)さくら 東京・本郷 久しぶりで東京大学の三四郎池や樋口一葉の旧居跡などが点在する本郷あたりを散策した。私の第3小説集『八景』を出版してくれた「審美社」も本郷5丁目にある。この桜は本郷菊坂へ至る途中の鎧坂の斜面に咲いていた。河津さくらは1月下旬から1ヶ月間以上を花を楽しませてくれる早咲きのさくらだ。「おおしまざくら」と「かんひさくら」の自然交配種と推定されている。原木は伊豆河津町にある。(05.3.5撮影) ■においすみれ 明石太寺 学名は「Viola」でパンジー、ビオラも同じで香料、薬用、料理、クラフト、化粧品などハーブとしてギリシャ時代から親しまれてきた。葉はハート形をしている。花は砂糖漬にして菓子の飾りにしたりする。花の後ろに「距」が突き出し、そこに密が分泌され昆虫を引きつける。19世紀のロンドンでは『マイフェアレディ』のイライザのような花売りがスイートバイオレットを街角で売っていた。私は俗人なので、スミレというとすぐ宝塚歌劇団を思い出す。(05.3.13撮影) 
■クリスマスローズ 明石太寺 私はこの花を布引ハーブ園で知った。数ある「きんぽうげ科」の花の中でも冬から春にかけての花のないときに貴重な種といえる。触れると、かぶれる人もいるので、注意したい。春咲きのレテンローズは育てやすく花色も多いので人気がある。写真は我が家のクリスマスローズだ。白さが目立つので、原種に近い種類だろうか?(05.3.13撮影) ■ ユリオプスデージー 明石太寺 
学名の「Euryops]は原産地のギリシャ語で大きな目を持つ、という意味に由来する。花茎が伸張してトップに頭状花をつけるが特徴だ。花はマーガレットの黄花種に似るが、濃い。冬から春の終わりまで咲き続ける花期の長さが花の少ない時期に貴重だ。私の第3小説集『八景』にも主人公「龍一」と「サチエ」の会話に出てくる。(05.3.13撮影) 

旬の-花四季彩
■相楽園ライトアップ・ランタン               

彩(春2

(2005.4.17)
■しゃが 神戸・相楽園 学名はIris japonicaであやめ科の仲間。japonicaとあるが、日本産は3倍体で結実せず、増殖はすべて根茎による。したがって中国原産説もある。暗い林床に多く見られる。その様子はよく似合う。相楽園でも暗い林の中に群生して今が盛りだ。和名は中国の「ひおうぎ」の中国名「射干」を誤ってつけたという。林間の陽の当たらないところで美しく咲くのを私は気に入っている。(05.4.16 撮影) ■どうだんつつじ 神戸・相楽園 「ひらどつつじ」や「くるめつつじ」が鮮やかに咲く前にちょうど山の中に「やまつつじ」やこばのみつばつつじ」が咲く頃、白く清純に咲くのがこのドウダンツツジ」だ。属は違うがつつじ科であることは確か。花はスズランのように可憐で、風に揺れる様子もさわさわと音が聞こえてきそうでおもしろい。朝、開花し夕にしぼむ。(05.4.16撮影)
■おとめつばき 神戸・相楽園 3月の半ば頃から急に満開になった。それまでは蕾のまま落ちてしまうのかと心配だったけれど、どうにか咲いてくれて感謝している。落花は見事だ。汚くなって落ちるものもあるが、ともすると写真のままのような状態で小径の上に落花する。その風情をどう表現したらよいのだろうか。私は落花を手のひらですくい上げるように拾い、薄い皿に水を張って浮かべた。
そして今日も落花を拾う。
(05.4.16撮影)
■すみれ 伊丹稲野 稲野のエッセイ教室へ行くとき道ばたで見つけた。コンクリートとアスファルトに挟まれた道ばたに育っていた。学名は「Viola」でパンジー、ビオラも同じで香料、薬用、料理、クラフト、化粧品などハーブとしてギリシャ時代から親しまれてきた。前回掲載した「においすみれ」と違って、葉はへら形で葉柄にひれがある。相楽園の除草作業では摘まない野草の一つだ。他にも「むらさきさぎごけ」「母子草」などは除草しない。(05.4.9撮影) 
■れんげ 神戸・北野 私久しぶりで北野を歩いてみたら、街角の花壇いっぱいに植えられて?いた。私が育った故郷(東京)では水田が少なく、れんげをあまり見かけなかった。多摩川の支流の根川近くで見たくらいだった。しかし、大学のとき行った万葉旅行で壮大なレンゲ畑を見た。私の家庭教師で先輩の憧れの人がレンゲを摘んで腕輪などを作ってくれた。あの人は今、奈良の何処におられるのだろうか?(05.4.17撮影) ■ 春さかり 神戸・県庁前 花名:るぴなす・マーガレット・スイートアリッサム・パンジー・ノースポール等
JRの元町駅西口を降りて、古い県庁舎に向かう道は相楽園への道でもある。JRの元町駅は昔「三宮駅」だったらしい。石川達三の『蒼氓』に出てくる、諏訪山の「神戸移民センター」には旧三宮駅を降り、トアロードの一つ西の道「移住坂」を上がったらしい。JR「元町駅」南口と移民センター跡にはブラジルの国歌「いぺ」が記念植樹されている。。(05.4.14撮影) 


彩(春3

(2005.5.7)
■ひらどつつじ 神戸・相楽園 
 5月5日現在、相楽園の「平戸つつじ」は満開だ。しかし、まだ十分楽しめる。花びらが地面に敷き詰められる風情もいい。このあとはさつきつつじが咲き始める。もうすでに「さつき」の園芸品種は開花しつつある。これから徐々に「さつき」の季節。農家では田植えの時期と重なり、花見遊山にも行けないといわれた「さつき」、それゆえに盆栽作りが盛んなのだろうか。相楽園では大刈り込みの「さつき」を鑑賞できる。(05.4.29 撮影)
■らいらく(りら) 伊丹・稲野
 
香がいいので、神戸の布引ハーブ園の中央園路沿い中程、山側に何本か植裁したのを覚えている。白もピンクもあるけれど、この花はやはり淡紫色がいい。私が好きだった人の清楚さに似ているからだろうか? そして北海道で見たリラの街路樹が忘れられない。和名の「むらさきはしどい」もなんかはにかんでいるような名前で気に入っている。 
 私は稲野のラスタへ行く途中でこの懐かしい香に久しぶりで出会った。
(05.4.30撮影)
■おにたびらこ 明石・太寺 
 私にはとても耐えられそうもないアスファルトとコンクリートの隙間に健気に生きていた「おにたびらこ」の写真を撮った。すっくと立った茎が特徴だ。春の七草の「ほとけのざ」いわゆる「こおにたびらこ」はロゼット状に地を這うからこの野草とすぐ区別がつく。それにしてもとても不幸な環境で暮らすこの野草に喝采を贈りたい。そして生命力の偉大さにも……
(05.4.30撮影)
■せいようたんぽぽ 明石・太寺 
「たんぽぽ」もたくましくしたたかな野草だ。「せいようたんぽぽ」としたが、日本固有の「たんぽぽ」との混血種かもしれない。近年の研究ではこの交雑は日本種が生き残るためにしたたかに行われているという。でもよくこんな環境で生きているものだ。子孫を残すための執念に似たすさまじさを感じた。どうにもならないコンクリートの器の中でこの野草は何を考えているのだろうか? (05.4.30撮影) 
■はごろもじゃすみん 伊丹・稲野 
 伊丹のエッセイ教室に行くときだった。阪急の稲野駅はJRの事故のせいか、いつもより乗客が多いように思われた。鉄道事故の痛ましさを我々は久しぶり思い出さされた。危機に対して心身がいかに円滑に作動するかはまさに普段の意識が大切なのだ。私はそんな事故や事件に遭遇したとしたら、恥ずかしくない行動が取れるかはなはだ心許ない。現場から逃げ出していく自分が見える。
 ふと、ジャスミンの濃厚な香りに私は白昼夢から覚めた。
(05.4.30撮影)
■ ははこぐさ 神戸・相楽園
 このホームページの「野草の思う3」で取り上げたが、このごろ「ははこぐさ」を見かけなくなった。そのせいかあまりいい写真もなかった。しかし、相楽園には多い。「蘇鉄園」の蘇鉄のほの暗い陰で見つけた。春の七草ではこの野草を「ごぎょう」という。昔はヨモギのように草餅の原料でもあったようだ。父子草の地味さからすると花もさっぱりして淋しげなところが私は好きだ。この野草が芝生に生えると、見苦しく見えるが、できるだけ残していくよう心がけたい。(05.4.29撮影) 


彩(初夏1

(2005.5.21)
■ききょうそう 神戸・相楽園 
 「つつじ遊山」のリーフレットをみると、今年から相楽園では6月半ばから7月初旬にかけて「ききょう遊山」を計画しているらしい。その相楽園で「ききょう科」の野草を見つけた。芝生に群生していた。小さな花だが、とても可憐で涼しげに見えた。属は違うが、 「だんだんぎきょう」の別名があるように、段だんに 「ききょう」に似た花をつける。北アメリカ原産の帰化植物で1年生草本。芝生を刈るのと同時に刈られてしまうのが惜しい。(05.5.20 撮影)
■ひめこばんそう 神戸・相楽園
 
これも涼しげで軽やかな野草だ。そよ風とともにさやさやと揺れる。その音から別名「すずがや」という。日本人は風流な名前を考えるものだ。もうみんな忘れてしまったかもしれないが、日本人は自然と一緒に暮らしてきた。森羅万象すべてに何かを感じて生きる。しかし、今そんな心映えは何処へいってしまったのだろうか? 竹筒に野草を生けるのも趣があっておもしろい。「何という草?」と聞かれるのを野草は待っている。花の形が小判や俵に似る。(05.519撮影)
■ゆきのした 明石・太寺 
 このホームページの「野草に思う5」で京都・神護寺への道で見つけて写真を載せているが、あまりいいとは言えない。ふと散歩の途中で気に入った写真が撮れた。「鴨足草」は夏の季語、鴨の足に似た花をうまく撮影したかった。私の育った家の厠まわりにたくさんあったが、花の記憶はない。窓の外を密かに思う人が通ったのは覚えているのに……。
(05.5.20撮影)
■じしばり 大津・滋賀県立近代美術館 
「じしばり」は地を這い、地を縛る「地縛」に由来する。学名のIxens stoloniferaの「ストロニフェア」は地這うランナーのこという。まろやかな葉の形と色が見る人の心を穏やかにしてくれる。岩の間にも生え、よく似合うので、「いわにがな」という名もある。相楽園にもたくさん自生しているが、そのまま育つように考えた方が風情があって面白いかもしれない。 (05.5.22撮影) 
■ えごのき 大津・滋賀県立近代美術館
 「えごのき」の樹は私の育った家の玄関にあった。「しゃぼんのき」と呼んでいた。花は白、清楚で可憐だが、果皮にはサポニン(saponin)を含む。シャボンと同系の語源だ。実をすりつぶして水を混ぜると泡立ち、石けんの代わりになる。「えご」の語源も実が喉にえぐいことに由来するという。なおサポニンには赤血球を破壊する溶血作用があり、魚にも毒であるらしい。かっては漁に「えごのき」の果皮を用いたという記録もある。(05.5.22撮影)
■ ガルテンツァーバー 神戸・中山手街園
 「薔薇」は夏の季語。春と秋に花を楽しめる。私は
「薔薇」という漢字が好きだ。しかし読めるが書けない。パソコンならすぐ出てくるけれど、手書きなら辞書を見ながらになる。花びらの様子と漢字の佇まいが似ているし、今にも心地よい香がしてきそうな字面なのだ。県庁東の街園は今が盛りだ。時間があれば、王侯貴族の薔薇を収集している須磨離宮公園にも行ってみたい。このホームページでは俳句のコーナーで 「冬薔薇」を扱った。
(05.5.19撮影) 



彩(

(2005.7.30)
■やぶかんぞう 京都加茂町・浄瑠璃寺 
 一眼レフのデジカメを買ったので、久しぶりで浄瑠璃寺へ行った。この寺は浄土式平安庭園として古式の庭園だが、野趣味があって好きだ。三重塔も平安時代の三重塔はこれしかない。その寺の飾らない小さな山門前に「やぶかんぞう」はひっそりと咲いていた。トンボがとまっている写真もあるが、花姿のいいものにした。「属名のhemerocallisは一日美しいと言う意味。「のかんぞう」や「にっこうきすげ」などこの仲間は朝咲いて夕方しぼむ一日花だ。「にこうきすげより」より花の色は濃い。(05.7.15 撮影)
■ のあざみ 京都加茂町・浄瑠璃寺 
 
山門を入ってすぐのところで見つけた。「のあざみ」の花は雄性花と雌性花の時期がある。この写真は花粉を出し終わって花柱が伸びた雌性期に入った雌性花だ。総苞は鐘形となり、総苞片は反り返る。春から夏にかけてのアザミはたいてい「のあざみ」か「野原あざみ」が多い。海岸沿いだったら、「はまあざみ」も考えられる。平安時代の様式の庭園と「のあざみ」はなぜか似合う。素朴な花の風情がそう感じさせるのだろうか。下世話になるが、「あざみのうた」を口ずさみたくなった。(05.715撮影)
■ かわらなでしこ 京都加茂町・浄瑠璃寺  
 浄土式庭園の岸沿いにあった。花弁の先が糸状に裂けているのが特徴だから、すぐ分かる。秋の七草のひとつだ。七草のひとつ「ききょう」もすでに咲いている。秋と言うが、まだ夏、しかし陰暦で考えれば、さほど奇異ではないように思える。温暖化の影響は一ヶ月近く花期を繰り上げたのだろうか。それにしても優雅な佇まい、「やまとなでしこ」に譬えられるそんな日本女性にお目にかかりたい。最近とみに少なくなったという風聞を聞く。
(05.7.15撮影)
■ひつじぐさ 京都加茂町・浄瑠璃寺  
 睡蓮の仲間で日本に元来自生するのは、この「ひつじぐさ」だけだった。あとは中国から入ってきた。浄瑠璃寺の阿弥陀堂のほの暗い堂からでてふと厠への道の途中にあった。寺の僧侶から「すいれん」の原種だよ、と説明を受けた。写真を撮っていると、直射日光の当たる花弁に蜂が蜜を吸いにきた。名前は花が「未の刻」、今の午後2時頃咲くということにちなんだ命名だ。しかし実際は必ずしもそうではない。朝早くでなく遅く咲くという意味か。 (05.7.15撮影) 
■ るりまつり 明石太寺
 浄瑠璃寺にちなんで我が家の「るりまつり」を紹介する。夏の暑い盛りに涼しげに咲くこの花が私は好きだ。瑠璃色はもちろんいいが、白もいい。この花の瑠璃色はどちらかというと、白がかったブルー、その薄青色が清楚で私を魅了する。学名はPlumbagoと覚えやすい。意味は鉛という意味か? (05.7.22撮影)
■ あさがお 神戸・下山手
 「朝顔に つるべとられて もらい水」のようにつるべが取られるくらい元気な朝顔を最近あまりお目にかかれない。昔はよく屋根まで伸ばして遮蔽のれんみたいになっていたが、最近は見たことがない。この朝顔は神戸中央区の民家の塀から顔を覗かせていたのを撮った。日陰と肥料が効iいているせいか花も葉も色が濃かった。(05.7.13撮影) 


彩(

(2005.9.15)
■まつよいぐさ 岡山邑久町・夢二生家 
 今年の中秋の名月は9月18日だいう。いつも天気の都合ででなかなか思ったように見ることができない。本年はその日が仏滅でないので、本当の満月だが、いい仲秋の名月が見れるだろうか? そこで昔の人は中秋の名月前後に名前を付けて風流をいつでも楽しめるようにした。たとえば、十三夜とか十六夜とか待宵など。俳句の世界では待宵草、宵待草、大待宵草などは一般に月見草といいならわしている。この写真は葉の形を見ると、鋸歯が小さいし、しぼんだ花の色が赤いので、「こまつよいぐさ」でなく普通の「まつよいぐさ」だ。(05.8.23 撮影)
■ きばなこすもす 岡山邑久町・民家の庭 
 
夢二の生家へ行くとき隣の裏の畑で見つけた。色が普通の秋桜より鮮やかなのですぐわかる。普通の秋桜より早く咲き始めて秋の終わりまで咲き続ける。花は橙黄色、黄色、赤、レモンイエローがある。この写真に見えるのはすべて「きばなこすもす」のようだ。遠くからももしかしたら夜目にもはっきり映えるのではないかと思う。花の使い方としては鑑賞花というより高速道路ののり面など、マスで眺めるようなところが好ましいように思える。私はもちろん本来の秋桜の方が色も姿も淡くはかなそうに見えるので好きだ。(05.8.23撮影)
■ ぶどう 岡山邑久町・夢二生家  
 夢二の生家の玄関に向かって右側に壁がある。昔は納屋の壁だったのではないかと思う。今は小さなギャラリーになっている。その外壁は土壁で煤けた柱がアクセントになっておもしろい。そして、その壁に「ぶどう」が似合う。ふと一粒採ってほおばりたくなるほど美味しそうに見えた。どういう意図で葡萄が植えられているのかしらないけれど、大正ロマンのイメージと葡萄唐草文様と合うような気がする。私が感動したのは葡萄と壁と柱の色の取り合わせだった食用とワイン用では葡萄の種類が違うが、ワイングラスに葡萄酒を注いで飲みたくなった。赤ワインだと血が騒ぐという心美しい人を知っているが、どうなるのだろうか? 一度試してみたい。
(05.8.23撮影)
■ほおずき 神戸元町・相楽園  
 今年、相楽園では「ききょう遊山」に引き続き、「ほおずき遊山」を初めてした。「鬼灯」と書く「ほおずき」は浅草のほおずき市がよく知られているが、関西では珍しい。笛作りは幼き日を思い出させる。笛を作るにはかなりの忍耐が必要だが、実を揉んでいると小さかったときが次つぎと目の前を通り過ぎる。先祖を迎える「盆棚つくり」にも参加させてもらった。
 かなり面白かった。ほおずきを灯火のように縄に吊す。先祖はその灯火をしるべに現世に帰ってくるとか、そんな詩的な思いはもうとっくに滅んでしまったようだ。しかしなんとかして後世へ伝えたい。
 私は、最盛期のほおずきの鮮やかな朱に魅せられた。 
(05.8.13撮影) 
■ あけび 京都加茂町 当尾の道
 浄瑠璃寺へ行ったとき、附近の野仏を見て廻ったとき、当尾(とうお)の道で見つけた。あけびは「通草」と書く。実は熟すと紫色になり、甘みがあって子どもたちに人気がある。普通は5葉だが、三つ葉通草は3葉で甘味が多く、通草より美味い。「むべ」も同じ科だが、むべ属と属が違う。「あけび」は落葉、「むべ」は常緑の違いもある。日本産はすべて蔓性だ。
 
(05.7.15撮影)
■ あべりあ 神戸元町・下山手
「あべりあ」は属の学名「Abelia」そのままだ。和名は「こばのつくばねうつぎ」という。うつぎという名を含むが「うつぎ」の仲間ではなく、「すいかずら科」だ。小さな葉が互生につき羽根つきのつくばねのように見えるところからこの名がある。花は白が多いが、赤みがかったものもあり可憐だと思う。5月から11月頃まで咲き続ける。匂いも濃いが、好き嫌いは分かれる。私はあまりいい匂いとは思っていない。(05.9.14撮影) 

彩(

(2005.9.15)
■つるぼ 明石・明石城址 
 明石城に剛の池側から登った。秋の初めの陽射しがまだ暑い。内堀の際を通って辰巳櫓や天守台のある城の台地に上がる。「つるぼ」が石垣の上に群生していた。大群落の風情は見るものを驚かす。私はその可憐さに少し戸惑った。花序が公家が従者に持たせた参内傘に似ていることから別名「さんだいがさ」ともいう。城の石垣を背景にすると、何でも映える。私だけの感性だろうか。群咲く花もいいが、個々の花も一度見ると忘れがたい。漢字は「蔓穂」と書くが、語源ははっきりしない。鱗茎は卵形でネギの匂いがする。(05.9.28 撮影)
■おなもみ 明石・太寺
 
幼き日、好きな女の子にこの実をひっつけてよく遊んだ。今もきゃきゃと甲高い楽しそうな声が聞こえてきそうな気がする。ひっつき虫は今も生きていた。太寺に今も残る畑の片隅でかわいい女の子が通るのを道ばたで待っている。私はふっと後ろを振り返る。黒い髪の女の子が目の端をよぎったように思えた。遠い秋の日、原っぱですすきで切った手に美佐子が葉を揉んでつけてくれた。「よくきくのよ」そんな声が聞こえてくる。菊科だが、たいていの菊科は虫媒花だが、「おなもみ」は風媒花だ。古い時代に大陸から渡ってきたと言われている。(05.9.28撮影)
■でゅらんた 明石・太寺  
 夏から秋へ長い期間鑑賞できる。藤色、淡紫色というかブルーの花は、この季節「るりまつり(プルンバゴ)」がある。私はこの二つの花の名前を長いこと取り違えていた。恥ずかしい限りだ。最近ようやく見分けがつくようになった。まったく異なった花だ。「でゅらんた」は和名を「はりまつり」という。ブルーに白の縁取りがくっきりなかなか端正だ。花序は下垂する。南米ブラジルなどを原産とする常緑低木で、丈夫で成長が早い。家々の庭先でよく見かける。
(05.10.9撮影)
■ふうせんかずら 明石・太寺  
 家の近くを散歩していて見つけた。名前がなかなか分からなくて困った。白く小さいのが花だが、紙風船のような実がおもしろい。思わず摘み取って息を吹き込みたくなる。花は地味だが、実がなっている様子なかなかかわいい。むくろじ科の1年生蔓性草本だ。白い花の中心部は黄色い。邪気を起こして、風船をつぶすと、ぽーんと音がしてくすりのぽちぽちをつぶすようでこの草には悪いが、楽しい。つるがからまるようすにも興味を持った。 (05.10.2撮影) 
■しゅうめいぎく 京都・嵯峨野
 化野から嵐山に向かう道にある組紐屋の横の玄関にひっそりと置かれていた。「きく」と呼ばれているが、きく科ではなく、「あねもね」の仲間だ。毒草の多いきんぽうげ科で、茶花としてよく使われる。
学名はanemone hupehensis var.japonica
英名はJapanese anemone 少し日陰に地植えにすると、毎年よく花を咲かす。玄関まわりの無駄のない簡素な造形がいい。
(05.10.9撮影)
■むらしきしきぶ 京都化野・念仏寺
 これも常寂光寺へ見に行く途中の念仏寺で見つけた。野仏の集うこの寺にもよく似合う。光と影のいたずらで実の紫に濃淡が出た。その偶然が気に入った。属は違うが、上の「でゅらんた」と同じ「くまつづら科」だ。初夏には紫の花を、秋には紫の実を楽しめる。紫の実のジュエリーのような光沢は目を涼やかにする。野仏を祀る線香のけむりが眼にしみた。小さなお堂に手を合わせる。(05.10.9撮影) 

彩(

(2005.11.28)
■ だちゅら 神戸・花隈 
 毎朝JRの神戸駅から元町まで健康のために歩いている。コースはその日の気分による。元町通りのアーケード下をひたすら元町駅まで歩くこともあれば、モダン寺を上へ上がることもあるし、JRの暗い高架下を下を見つめて歩くこともある。この写真はモダン寺コースで見つけた。そろそろ戸外では寒さが堪え出す頃だ。写真では分からないかもしれないが、花の先が少ししなび、色が変わり始めていた。この花は別名“チョウセンアサガオ”という。ナス科で花もかわいいが、毒だ。英名は花の形から“エンゼルス・トランペット“と呼ばれている。挿し木でも増える。(05.11.8 撮影)
■嵯峨菊 神戸・相楽園
 
古い菊は嵯峨菊、肥後菊、奥州菊などがあるが、可憐さはその華奢な花姿から私は嵯峨菊だと思う。葉の付け方も密で風に揺れる様子は古来の日本美人を思い起こす。毎年行われる相楽園の菊花展覧会では嵯峨菊と肥後菊が展示されている。また今年は”切り花”だが奥州菊の白いこぶしを見た。写真を撮ったはずだが、どうしても見つからない。当サイトの訪問者の方へお見せできないのが残念だ。嵯峨菊はえんじ色もなかなかいい。(05.11.13撮影)
■すとっく 大阪・法善寺  
 私の文学仲間”八月の群れ”の人たちと先日の日曜日”なにわ文学散歩”を楽しんだ。南海電車の難波駅に集合し、織田作之助や藤沢桓夫や開高健などゆかりの大阪を歩いた。道頓堀は往時の面影はすでになく、ただ行き交う人の流れに戸惑うばかりだった。開高健の『新しい天体』に出てくる”たこ梅”は廃業していたが、かろうじて当時をしのばせる店構えが残っていた。その家の佇まいが昔の道頓堀の風情なのだろうか、私はなぜか明石の蛸が日本海まで旅をしたというコンテンポラリーアートの島袋道浩氏の作品と川上弘美氏の『北斎』を思い出していた。
(05.11.27撮影)
■こぎく 神戸・相楽園  
 大菊や懸崖もいいが、私は小菊が寄り添って咲く様子が好きだ。何にも飾らず主張しないような、自然に咲いている感じが心を揺るがせる。どんな色の菊と隣り合わせになっても不思議と色が馴染むのがすごい。近頃、スプレー菊といってショッキングカラーの菊も出来ているが、人工の花のような気がしてなじめない。人間の世界だったら、こんなに個性的な人たちが集まったら諍いや派閥が出来なかったらおかしいとみんなは言うに違いない。しかし小菊たちは限りなく色が溶け合っていてお互いを引き立てている。 (05.11.3撮影) 
■あぶちろん 明石・上の丸
 あおい科の花で写真は”あぶちろん”でも”ウキツリボク”という。花形が特徴だ。この名前はもちろん花の形状からきている。しかし私は小人や妖精を思い浮かべてしまう。また魚釣りに関連した連想で”釣浮草”フクシャも思い出した。フクシャはミニスカートを、アブチロンはロングスカートをはいた妖精をイメージした。日当たりと水はけのよいところを好む。熱帯植物だが、比較的耐寒性があり、明石では戸外で越冬する。(05.11.3撮影)
■管物菊 神戸・相楽園
 この写真は大菊仕立ての管物だ。切り花ではこの花びらを一本一本丁寧に伸ばし整える。種類は太管、間管、細管、針管などがある。いずれにしても繊細な花姿だ。管物の大菊仕立ては最後まで花を二本仕立てにして肥料のバランス計り最後に一輪にする。その間合いがむずかしい。それにしても管物の千輪つくりはすごい。一本の苗から約200輪近い花を咲かす。
「名前の通り千輪もできますよ」とこの道のベテランは笑った。
(05.11.3撮影) 


彩(新春

(2006.1.22)
■ げんしょうこ 神戸・森林植物園 
 「げんのしょうこ」はまだこの写真のように花の季節ではないが、私は一昨年の春、森林植物園のトンネルを出たところで落ち葉の下で秘やかに息づいているのを見つけた。ご存じのようにこの野草は下痢止めの民間薬として有名だ。名前は薬効がすぐあることに由来する。ふうろそう科ふうろそう属で日本には12種が自生する。花は7〜10月。私の好きな花の一つだ。花の紅紫色がなんともいいがたい。花柱は五つに裂け、種子を1個ずつ巻き上げ、御神輿の屋根のように見える。ゆえに「御輿草」ともいう。
■ぼけ 宇治・平等院
 
ぼけの花は結構早く花を咲かせる。私は何年か前に明日香の甘樫の丘で2月の終わりに蕾を見たのを覚えている。この写真は京都・宇治・平等院の「ぼけ」だ。俳句のページに全体写真を掲載している。春の景色を薄紅梅色に感じさせる。甘樫の丘にあったのは確か白色であったように記憶している。
「これが木瓜の花なのね」美佐子は花をのぞき込む。小説ではそんな感じで書きたい。
「これで木瓜酒を作って月夜の晩に飲んだら美味い」私はきっとそう答えるのではないか。
■白梅 神戸・須磨寺  
 須磨寺の「山本周五郎文学碑」の背景に白梅と紅梅が対で植わっている。この写真も白梅の後ろに紅梅が幽かに匂う。今年の1月12日所用で京都に行ったが、もう蕾がほころびの準備をしていた。カメラを忘れたので、撮影できなかったのが惜しい。梅と言えば、綾部、大阪城、万博記念公園、須磨離宮公園、須磨綱敷天満宮、岡本公園など思い出が多い。一つひとつの梅にまつわる逸話を書いてみたい。今あの人はどうしているのかな?
「わたしのファーストキスは大阪城の梅園なの……」
 あたなは確かそんなことを言ったような気がする。
■やぶつばき 明石・明石城  
 明石公園の剛の池畔に緑の相談所がある。そこの手水に一輪の「やぶつばき」が生けてあった。わたしもこんなさり気ないもてなしが好きだ。椿は樹に咲く様子ももちろん自然でいいのだけれど、これは一輪なのもいい。なぜか水が澄んでいく感じがする。茶道では茶室に生ける花は蕾がいいらしい。これから咲く花がどんな風情かしのぶのもよいが、私はやはり我慢をしないで咲いる花の方が好きだ。それの方が分かりやすい。江戸の粋な人は蕎麦を食べるのにだしをあまりつけず食べるのが通な人だ、というがやはりつゆはたっぷりが美味いよ。  
■ちゅりっぷ 神戸・県庁公館前
 この写真は1年前の震災記念日に県庁公館前を飾っていた花だ。それで犠牲者を悼んで白い「ちゅりっぷ」だった。ことしは11年目、やはり次第に風化している。記念行事の参加者も減った。あの震災のとき、現役でばりばりやっていた者も年老いた。いや、そんな悲しい考えはだめだ。あのとき生まれた赤ん坊はもう11歳になろうとしている。震災の教訓を若い人たちへ伝えよう。わたしも張り切ってやっていこうと思っている。前向きに生きることがいつ来るか分からない災害への大きな心の準備になると私は思う。
■ふき 村岡・矢田川
 昨年は3月1日の解禁を待ってあまご釣りに行った。釣果は水温が低く今ひとつだったけれど、岸辺の「ふき」に出会うことができた。それだけで楽しい。私は釣りが下手だ。川の畔の植物を見るのが好きだ。そしてあまり釣れないが、いつも釣るのは10匹までとしている。それ以上釣っても食べられないからだ。釣ったその日の内に5匹ぐらいは食べるが、後は干物か薫製にする。娘と私は櫻で燻した薫製が好きだ。干物にするかしないかは娘が家にいるかいないで決まる。干物の方が好きな者がひとり我が家にいる。


彩(

(2006.2.18)
■ しらかんば 神戸・森林植物園 
 「しらかんば」が育つには神戸の森林植物園は厳しい。南限に近い。この植物園は生育区ごとに自然の形で植物を見せるというのが特徴だ。しかしこの「しらかんば」林はあまり成長していないように見える。私が学生の頃、実習でこの林沿いの園路で同じかばのき科の「くましで」や「あかしで」の観察をしたのは覚えているが、「しらかんば」林があったか、定かでない。「しらかんば」は純林を作るが、これも学生時代に北アルプスの薬師岳が見える森で純林を見たような気がする。しかし、春や秋の早朝、この林越しに見える青空を私は気に入っている。好きな人と歩いてみたい。
■たいわんぼだいじゅ 神戸・森林植物園
 
枝の上にうっすらと雪が載っている。すかし葉のように見えるのは葉ではなく、総苞だ。葉脈が残ったみたいな透かしが雪の朝に似合っていた。菩提樹はドイツ語で”Lindenbaum"(りんでんばうむ)と呼ぶ。ヨーロッパでは花と苞からハーブティを作る。消化、強壮、鎮静に効能ありという。またこの花から採れる蜂蜜は良質だ。
 ”愛”と”やさしさ”の樹とも言われる。ドイツでは昔はこの樹の下で誓い、誓約が行われたという。今でも街角にリンデンの大木を見かける。神戸ではトアロードが菩提樹の並木だ。”泉に沿い〜て 繁る菩提樹……”と合唱した青春を思い出した。
■らくうしょう 神戸・森林植物園  
 長谷池畔に植えられた「らくうしょう」は春ともなれば、柔らかく淡い葉が芽吹く。この写真はその気根だ。五百羅漢が池畔に佇むようでおもしろい。落ち葉の中に身を寄せ合って立っている。雪模様が羅漢の影のようであり池の水もひときわ澄んでいる。「らくうしょう」は湿地を好むが五百羅漢が酸素を樹へ供給している。森林植物園の名誉園長・真野響子さんは、椿を片手に和服を着てこの池畔に佇む幻想的な写真を『婦人画報』に掲載した。私の知り合いの音楽家もこの池畔が似合う。「らくうしょう」は「あけぼのすぎ属」、生きていた化石「メタセコイア」も同属だ。”あけぼの”とは何となく希望が湧いてくる。
■そしんろうばい 神戸・森林植物園  
 花弁全部が黄色いのが「そしんろうばい」だ。「ろうばい」はしんが赤紫色に近い。花は透き通った蝋細工のように見える。冬のさなか、葉が出る前に花が咲き、春の訪れを知らせる。今年は蕾は早かったが、開花するまでがなかなかだったという。この厳寒のせいであろうか。地球は苦しさを人に伝えようとしているのであろうか。至る所ですさまじい異変が起こっている。異変が異変でなくなる日が恐ろしい。台風やハリケーンも遠く及ばない巨大な低気圧が近い将来に発生する恐れがあるらしい。地球温暖化にともないにローランド・エミリッヒ監督の『ザ デイ・アフター・トゥモロー』の世界が現実になりつつある。  
■やまこうばし 神戸・森林植物園
 雪を被った「やまこうばし」の写真が撮れたので掲載する。「やまこうばし」はくすのき科クロモジ属だ。和菓子を食すときに使う「くろもじ」の楊枝と同じ仲間で冬になっても葉がなかなか落ちないのが特徴。枯れ葉はだめだが、緑葉は噛むとショウブのような香りがする。「もちしば」と呼ぶ地方もある。粘りの少ない穀物の粉に混ぜてつなぎとしたので、「もちしば」と呼ぶそうだ。
 雪が重たげな様子だ。葉が落ちる頃には次の花芽と葉が育っていることだろう。若葉の下面には毛があるが、成葉はない。
■ななかまど 神戸・森林植物園
 「ななかまど」の名前の由来は七回かまどにくべても燃えないとか、炭にならないとかから来ているという。ヨーロッパでは神聖な樹として墓地の十字架を作る。
 秋の紅葉もいい。北国から届いた荷物の中から出てきた一葉の紅葉に驚かされたこともある。北国の冬の間近を知って思わぬ季節の移ろいを感じ、送り主の真心が伝わってくる。またこの写真のような実も格別だ。冬の花の少ない時期、冬の青空に冴える。氷のように透き通った赤のさんざし、それのホリーの赤い実も冬枯れの森に映える。


彩(2)

(2006.3.12)
■ あせび 神戸・相楽園 
「あせび」は漢字で「馬酔木』と書くように葉や花に毒がある。馬も食べると酔う木なのだ。つつじ科アセビ属(常緑低木)だが、同じ科のドウダンツツジ属(落葉低木)とは花もすずらんのようで似ている。花は白が多いが、紅色もある。奈良の飛火野の「ささやきの小径」は鹿が「あせび」を食べないので、「あせび」の径になっている。ちょっと薄暗い感じの雰囲気でときおり鹿たちが思いがけないところから人間の行動を秘やかに窺っていたりして面白い。相楽園には白花も紅花もある。紅花は正門前と茶室浣心亭から少し東の休憩所横にある。
■あいりす 明石・明石公園
 
園芸種のアイリスで春先、葉の出る前に花が咲く。一般的なのはあやめ色の紫色だ。イリスIrisはすみれの香りとか、虹を意味するギリシャ語とか、出典の本によって違う。ギリシャ神話の虹の女神イリスに由来するらしく、天の神ゼウスと地上の神ヘラの橋渡しをする女神の名前だ。あやめ、はなしょうぶ、かきつばたも同じ属のIrisだ。この写真は明石公園剛の池の西畔にある屋上庭園で撮影した。まさに春を告げる開花だった。そばで紫色の花もそっと咲いていた。
■クリスマスローズ 明石・明石公園  
 長雨のあと、「クリスマスローズ」は下を向いた花が多い。この花だけはなぜか前を見ていた。お辞儀をした花も何枚か撮影した。「クリスマスローズ」はすでに掲載したが、いい写真が撮れたので再掲したい。「クリスマスローズ」は花のない冬に咲くので貴重な花だ。近年、急速に一般に普及している。これも「きんぽうげ」科に多い毒草で触れると皮膚炎を起こす恐れがある。しかし根に「ヘレボリン」を含有し、強心剤や利尿剤として使われ、ハーブとして位置づけられている。神戸の布引ハーブ園にもあるが、多様な種類が一般に出回っている。
■みつまた 明石・明石公園  
 新しい枝が3本ずつ分かれて成長するので、「三股」が由来だ。早春、まだ花のない季節に貴重な花だと思う。「ジンチョウゲ」科で、「じんちょうげ」に花の付き方がよく似ている。そばで小豆色の花が咲き始めていた。今日は雨のせいか香りが聞きにくい。あの甘い匂いがしない。200年前からガンピとともにお札などあまり伸縮しては困る和紙原料として珍重されている。また皮を使った後の茎は白く晒して生け花に用いる。先月(2月12日)神戸・森林植物園で雪を被った「みつまた」の花を見た。それから1ヶ月、花も満開になった。  
■ゆきわりそう 明石・明石公園
「雪割草」は早春の雪解けのあと花が咲くところにその名前の由来がある。写真は園芸種で、花は開いていないのが残念だ。葉が他に見られない形からミスミソウとも言う。雪割草の葉は常緑で冬は落ち葉の陰で越冬する。私は早春にいち早く花が咲く野草が好きだ。なんとなく元気が出てくる。厳寒を耐えて健気に咲く姿に励まされる。花を見ていると、元気の出るクラシック、ヴィバァルディの『四季』より協奏曲第1番「春」第1楽章アレグロみたいに心が弾んでくる。春を感じることができるから……。
■からんこえ 明石・明石公園
「からんこえ」は多肉植物の「べんけいそう」科だ。布引ハーブ園のグラスハウスにセント・バレンタインゆかりのイタリア・テルニ市から「愛の像」の寄贈を受ける仕事をしたことがあった。そのとき「愛の像」の背景に「からんこえ」の花で壁を作った。ヴァレンタイン・デーの前から4月終わりまで長持ちしたのを覚えている。花は小さいが可憐だ。まとまると、想像以上の効果を発揮した。この写真は明石公園の緑の相談所で撮影した。椅子の上にさり気なく置かれていた。それがいい。

彩(3)

(2006.4.15)
■ おきざりす  明石・太寺 
 野草の「かたばみ」の園芸種だ。朝陽の光とともに咲き、夕方花を閉じ眠る。これを睡眠運動という。葉も同じ運動をする。花色はこの黄色始め紫、紫紅色、白、ピンクと多彩。写真は私の散歩道で撮影した。いつも眠っているときしか遭遇しなかったので、散歩の時間をずらして行ってみると、目覚めていた。「おはよう。ご機嫌かい?」と聞いてみる。野生種だったら、種を弾いて返事をしたかもしれない。別種だけれど、四つ葉のクローバーに似た「ラッキークローバー」という「おきざりす」もある。
■しだれさくら 京都・平安神宮神園
 
谷崎潤一郎の『細雪』にも、<門をくぐった彼女たちは、たちまち夕空にひろがっている紅の雲を仰ぎ見ると、皆が一様に「あー」と、感歎の声を放った>と書かれている。神苑は池泉回遊式で小川治兵衛の作庭だ。私は紅枝垂れも好きだが、栖鳳池(せいほうち)や白虎池にところどころ植えられた白い花の大島桜? も気に入っている。池の水面に映え、趣を新たにする。桜の季節、神苑は混んで騒がしい。しかしそれも花に魅せられると、気にならなくなるのが不思議だ。やがて暮れなずむ頃、そこはふたりの世界になる。
■ひかんさくら 神戸・総合運動公園  
 花は染井吉野より早く早春に咲く。写真のように下向きに咲き、とても控えめに見える。花色は緋色がよく目立つ。十分に咲き切らずに散るのがもの悲しい。運動公園も平安神宮も樹下に咲ききらない花がそのまま花びらとならないで敷き詰められていた。色は際立っているのにどこか淋しい風情は他の桜と違って潔さを感じない花姿だからか? 。しかし春の訪れを確実に告げる桜としてもう一度見なおしてみたい。
■あーもんど 神戸・総合運動公園  
 昔、神戸の埋め立て地第四工区に入る幹線道路の街路樹として植えた経験がある。近くに木の実を商品としている会社があったし、病気に弱い桜より強い何かがないか、と検討され、「あーもんど」に決まった。アーモンドもいばら科だから、花も桜と似ている。しかし花の大きさは桜より大きくて派手な気がする。種子はご存じのように美味い。あの種子の中に人を惹きつける美を隠していると思うと、いとおしくなる。花の芯がほんのりと紅色に染まっているのもいい。この色がナッツの旨味だろうか。  
■おおでまり 神戸・総合運動公園
「こでまり」は家庭の庭でもよく見るが、「おおでまり」はあまり見かけないような気がする。私は「こでまり」の方が小振りで好きだ。この写真は満開を過ぎてそろそろ終わりに近い。なんだか侘びしさを感じたから、撮影した。地下鉄の総合運動公園駅から南東に体育館へ行く園路にひっそりと咲いていた。1985年、神戸グリーンエキスポが開催されたとき、整備された道だ。名前は写真のように白い花が手まりのように咲くことから名付けられた。普通花期は4月から5月といわれている。この個体は少し早いようだ。
■こばのみつばつつじ 神戸・総合運動公園
 早春の六甲山系に入ると、登山道沿いにこの紫紅色の雲がたなびく。冬枯れの山を登るハイカーの心を一気に浮き浮きさせる。名前は三枚の小さな葉(小葉)が輪生するところに由来する。花は小さいが色鮮やかで本当に春を感じさせる。総合運動公園の地下には山陽新幹線が走っている。そのため馬蹄型のトンネルの壁から30mはトンネルの崩壊に繋がりかねないので、土を削れなっかった。それで豊かな自然が公園の真ん中を縦断するよう残っている。公園計画調査のため山の上で食べたにぎりめしを思い出した。


彩(初夏

(2006.6.4)
■ しちだんか  明石・太寺 
 六甲の名花とかまぼろしの花とかいわれるあじさいが、我が家で咲いている。昨年、森林植物園のあじさい散策へ行ったときに買ったものだ。育てるのは実にこれで三回目だ。別に著しく難しいわけでもないのに過去二回枯らしてしまった。面目ない。今は咲き始めだからまだ花数も少ないが次第に上がってくるだろう。シーボルトが発表してから130年間後に再発見された。神戸市立委森林植物園にはその再発見種の挿し木増殖により3,000株がある。晴れの日もいいが、雨や霧にも映える花だ。
■おおきんけいぎく 神戸・総合運動公園
 
今頃の季節になると、道路沿いの斜面に群生する黄色い花はたいていこの花だ。なおこの写真で白い花はフランスギクらしい。1989年(平成元年)神戸・「しあわせの村」が開村したとき、北入口斜面が黄色いと白一色になった。初夏から夏までそよ風になびく風情はなんともいえない。陽当たりさえよければ、どこでも丈夫だ。一度播種すると、放置しても毎年にぎやかに咲いてくれる。しかし他の種を排除するような強靱さは生態系を脅かしむやみに増やすのは問題かもしれない。
■がうら 神戸・総合運動公園  
 花の様子から別名「はくちょうそう」ともいう。学名のGaura は、ギリシャ語の「華麗な」という意味に通じる。長い花穂の先に白い花が咲き上がる。やがて花穂は弓なりになる。風に揺れる様子は可憐で風情がある。北アメリカ原産で「やまももそう」とも言う。
■ききょうそう 芦屋・芦屋市役所横歩道  
 そのうちに「野草に思う」で取り上げたいと思っている。本来のききょう属とは属が違うが、花は小振りながらなかなかいい。清楚だ。この写真は歩道のアスファルトを突き破って咲いていた。美しいだけでなく生きようとする心意気を感じる。ききょう科は美しい花が多い。  
■せいようのこぎりそう 神戸・総合運動公園
「やろう」と呼ばれるハーブだ。切り傷に潰した葉を当てると、鎮痛効果や止血効果があると古くから言われている。この写真は白花なので、原種に近い。他に黄色、ピンク、赤などもある。ドライフラワーとしてもいい。ヨーロッパ原産で、初めは輸入されたが、次第に各地で野生化した。。
■しもつけ 神戸・海岸通り
 一見「のこぎりそう」のように見えるが、ばら科だ。名前の由来は最初の発見地栃木すなわち「下野」に由来する。切り花、鉢花としても使う。学名Spiraeaから「こでまり」「ゆきやなぎ」なども同じ仲間だ。前はよく公園樹として使ったが、最近あまり見かけなくなった。



彩(初夏

(2006.6.4)
■ しちだんか  明石・太寺 
 六甲の名花とかまぼろしの花とかいわれるあじさいが、我が家で咲いている。昨年、森林植物園のあじさい散策へ行ったときに買ったものだ。育てるのは実にこれで三回目だ。別に著しく難しいわけでもないのに過去二回枯らしてしまった。面目ない。今は咲き始めだからまだ花数も少ないが次第に上がってくるだろう。シーボルトが発表してから130年間後に再発見された。神戸市立委森林植物園にはその再発見種の挿し木増殖により3,000株がある。晴れの日もいいが、雨や霧にも映える花だ。
■おおきんけいぎく 神戸・総合運動公園
 
今頃の季節になると、道路沿いの斜面に群生する黄色い花はたいていこの花だ。なおこの写真で白い花はフランスギクらしい。1989年(平成元年)神戸・「しあわせの村」が開村したとき、北入口斜面が黄色いと白一色になった。初夏から夏までそよ風になびく風情はなんともいえない。陽当たりさえよければ、どこでも丈夫だ。一度播種すると、放置しても毎年にぎやかに咲いてくれる。しかし他の種を排除するような強靱さは生態系を脅かしむやみに増やすのは問題かもしれない。
■がうら 神戸・総合運動公園  
 花の様子から別名「はくちょうそう」ともいう。学名のGaura は、ギリシャ語の「華麗な」という意味に通じる。長い花穂の先に白い花が咲き上がる。やがて花穂は弓なりになる。風に揺れる様子は可憐で風情がある。北アメリカ原産で「やまももそう」とも言う。
■ききょうそう 芦屋・芦屋市役所横歩道  
 そのうちに「野草に思う」で取り上げたいと思っている。本来のききょう属とは属が違うが、花は小振りながらなかなかいい。清楚だ。この写真は歩道のアスファルトを突き破って咲いていた。美しいだけでなく生きようとする心意気を感じる。ききょう科は美しい花が多い。  
■せいようのこぎりそう 神戸・総合運動公園
「やろう」と呼ばれるハーブだ。切り傷に潰した葉を当てると、鎮痛効果や止血効果があると古くから言われている。この写真は白花なので、原種に近い。他に黄色、ピンク、赤などもある。ドライフラワーとしてもいい。ヨーロッパ原産で、初めは輸入されたが、次第に各地で野生化した。。
■しもつけ 神戸・海岸通り
 一見「のこぎりそう」のように見えるが、ばら科だ。名前の由来は最初の発見地栃木すなわち「下野」に由来する。切り花、鉢花としても使う。学名Spiraeaから「こでまり」「ゆきやなぎ」なども同じ仲間だ。前はよく公園樹として使ったが、最近あまり見かけなくなった。





彩(

(2006.7.2)
■ あじさい  明石・太寺 
 赤いあじさい。私は赤はあまり好きではない。シーボルトがそのブルーに憧れて持ち帰ったブルーのあじさいは改良されて西洋あじさいとなった。彼らはブルーの薔薇がほしくて極東のジパングのあじさいに憧れたのだ。しかし赤いあじさいも、テストとしては面白い。この西洋あじさいは去年までブルーだった。市販のあじさいの色を変える薬が花の色を変えた。女心とはこんな感じなのかなあ。そんな薬がほしい。
■おかとらのお 神戸・総合運動公園
 
花序の様子が虎の尾に似ているところに由来する。丘陵と平地の林縁部の陽当たりのよいところに育つ。花は小さいが、よく見ると雄しべと花冠の裂片は対生している。「さくらそう科」の特徴だ。この花が咲いていたのは駅に近い事務所の裏山だ。陽当たりがいいとはいえない環境で健気に生きていた。しかしやはり花序の形はもっと優雅であってほしいと思った。ふと華麗な虎の尻尾を思い浮かべた。
■あがぱんさす 神戸・総合運動公園  
 花茎が伸びてその上に花火のようにブルーの花が咲く。今年は花の立ち上がりが二週間以上遅れていると思う。
 今、花茎が上がり出したところだ。写真のようにまだ開花はわずか。神戸市の三宮フラワーロードが一番の名所だと思う。近いうちに見に行きたいと思っている。あまり世話をしなくても毎年、季節を忘れず天に花火をあげる。
■ペチュニア 明石・太寺  
 バイオで花付きをよくし、病気や水に強い改良したペチュニアだ。みごとに咲いている。昨日かなりの雨量があった次の日の状況だ。改良前の品種だったったら、花びらがべちゃべちゃだったと思う。町の中が明るく感じられる。この写真は花たちが口を合わせて太陽を仰いで歌っているように見えないかなあ?  
■あかばなゆうげしょう 明石城・堀端
 朝、出勤するとき、堀端の道沿いにいつも今頃咲いている。「野草に思う」4でも取り上げた。厳しい環境でも美しい花をつける。私はこの花が好きだ。漢字で書くと、「赤花友化粧」となる。夕方に赤く化粧をする花という意味だろうか。なぜか色気を感じる。私は野生化したこの花をなんとかして庭で栽培してみたいと思っている。水揚げは悪い。
■あすちるべ 明石・太寺
 闇が一瞬、白く輝く。Astilbeとは、「色が華やかでない」という意味」だが、アメリカで改良され、今は赤、ピンク、サーモンピンクなど花も色も多彩になり、日本に帰ってきた。私はこの花の名前を「明日散るべー」と覚えた。学名と一緒に覚えられるし、こんな美しい花だから、散るという惜しいイメージが記憶力を増した。





旬の-花四季彩

彩(2)

(2006.8.15)
■ ぽーちゅらか  神戸・総合運動公園 
 赤い蝋細工のような花で、午後3時頃にはしぼむ一日花だ。暑い夏の陽射しを受けて咲き乱れる「すべりひゆ科」の園芸種。名前は学名の属名そのままだ。野生種は「すべらひゆ」という。今日は61回目の終戦記念日だが、朝から小泉総理大臣が靖国神社を参拝したとマスコミは大騒ぎだ。私たちの大方は野生種の「すべらひゆ」などを食べて飢えをしのいでいたのだ。
■ひまわり 神戸・総合運動公園
 
夏はひまわり。そろそろ種子ができかけている。種子から良質のリノール酸を含んだ油が取れる。幼い日、種をいって食べた。これもひもじさを忘れる技だ。蕾はあざみのハーブ、「アーティチョーク」のようにうでて食べた。神戸市の阪神淡路大震災10周年の復興感謝と新しい世紀を迎えたイベント、神戸21世紀・復興記念事業のシンボル花でもあった。
■くり 神戸・六甲山系東おたふく山  
 この山の草原はかって山火事があり、それが復元をする過程の草原だ。今は笹の原だが、現在は松などの陽樹が草原に入り込み始めている。この栗もそのひとつだが、もちろんは実は小さくて食用にはならない。酷暑の夏、ふと草原で見つけた秋。やがてこの草原も落葉樹林に遷移するだろう。
■さぎそう 姫路・好古園  
「さぎそう」はこのごろよく栽培したものを見かける。しかし、湿原で自然に咲く風情がいい。白鷺城にちなんでの栽培だと思うが、それにしても花のたたずまいは空を飛ぶ白鷺に似ている。本当の鷺は鯉を食べたり、悪さをして困りものだけれど、餌を狙う立ち姿も含めて美しい鳥であることは間違いなさそうだ?  
■おみなえし 姫路・好古園
 「おみなえし」は秋の七草の一つだ。「はぎ」「くず」「なでしこ」「おばな・すすき」「ふじばかま」「ききょう」「おみなえし」。この頃、野生種が著しく減少しているらしい。この写真は、好古園の「苗の庭」にあった。漢字で「女郎花」と書くが、語源は定かでない。漢方では「おとこえし」とともに「敗醤根」と呼び、消炎、排膿等に用いるという。
■むくげ 明石・明石城址
 夏の花はやはり「むくげ」がいい。城の暗い森の縁にひっそりと咲いていた。属名はHibiscus。あの南国の「はいびすかす」と同じだ。他に「ふよう」もある。
「むくげ」は韓国の国花だ。夏の盛り、散っては咲き続ける華やかな花が韓国人の歴史と性格を表していると韓国観光公社公式サイトは言っている。

旬の-花四季彩

彩(

(2006.10.01)
■ まんでびら  京都・嵯峨野 
 花は鮮やかで人目を引く。キョウチクトウ科特有の花の形だ。「残紅葉と『平家物語』の女たち」の小旅行講座の下調べで嵯峨野へ行ったとき、道に迷った。そのとき、道標のように民家の玄関に咲いていた。花は白地がうっすらとピンクに染まっている。そのほのかな様子がいい。原産地は熱帯アメリカだと思うが、上品な雰囲気もある。花の姿が気に入っていった。
■とりかぶと 京都・祇王寺
 
有名なきんぽうげ科の毒草だ。花は綺麗だが、アルカロイドを含む猛毒である。アイヌは矢毒に使った。この花の蜜を吸った蜂蜜も危険という説に賛成したい。漢方薬では「附子(ぶし)」といい、根を用いる。強心作用、鎮静作用があるが、毒性が強いので素人は決して使ってはならない。我が家にもあったが、そっと抜いた。
■かくのとらのお 京都・常寂光寺  
 秋の初め、嵯峨野でよく見かけた。園芸種だが、野趣があっていい。茎や花穂が四角く、花序は尾のように先が細くなるのが名前の由来だ。百人一首で有名な小倉山の中腹にある常寂光寺は私の好きな寺のひとつだ。どことなく寂れた風情を感じるのだが、どうか? 京都屈指の紅葉の名所だ。
■はす 長浜・長浜城  
 明石城東堀の白い蓮も好きだが、長浜城の白い蓮もなかなかいい。あまり人に知られていない、思いがけない場所に咲き乱れていた。しかし写真は撮りにくかった。「はす」は少し上から花を撮る方が好きだ。中国から渡来したと言われているが、日本で化石が発見されていることから古来種という説もある。
■はつゆきそう 神戸・西出町
 高田屋嘉兵衛の本店があった兵庫津・西出町を調査中に民家の庭先で見つけた。花ばかり撮影しているとき、カラーリーブスに出会うと、とても新鮮に感じる。園芸種では「氷河」という名前もある。雪とか氷とかのイメージである。学名はEuphorbia marginata(ユーフォルビア・マルギナータ)だが、「はつゆきそう」より学名で流通している。
■わるなすび 明石・明石城址
 わるなすびは地下茎で猛繁殖する。この写真のところも一面、白紫の花に覆われていた。しかし花は食用なすやじゃがいもと同じようになかなかいい。「なす科」の植物はジャガイモ、トマト、ナス、タバコ、トウガラシなど有用なものが多い。観賞用としては「ペチュニア」も同科だ。

旬の-花四季彩

彩(晩秋

(2006.12.15)
■ 額縁花壇 神戸三宮フラワーロード 
 三宮の国際会館はす向かいの南西のコーナー花壇だ。この地区は屋外広告物規制区域で、この額縁はその景観にマッチするよう作られた掲示板だった。あまり使われずに廃れたが、花壇の額縁として使われているのは頼もしい。メキシカンセージやゼラニュームがうまく使われている。それにしても額縁の効果は絶大だ。ブロンズの額に納まったたたづまいはなかなかいい。
■コトネアスター 神戸・総合運動公園
 
バラ科であることはすぐわかったし、葉はコトネアスターだ。しかし私の知っているコトネアスターは匍匐性で葉も小さい。確信が持てない。神戸市立森林植物園に同定をお願いした。Cotoneaster laclea かと? 葉が大きいので間違いないと思う。学名Cotoneはマルメロのこと+aster(似て非なるもの)→マルメロに似ているが違うの意。
■のじぎく 神戸・総合運動公園  
 秋に総合運動公園で二巡目の国体が兵庫県であった。県の花「のじぎく」にちなんで『のじぎく国体』と名付けられていた。写真は会場の「のじぎく」だ。本当は野辺に咲いている方が野趣があっていいが、手持ちの野草ライブラリーになかったので、撮影した。間近で見ると、なかなかシンプルでいい。
■がまずみ 神戸・総合運動公園  
 梅雨のときに白い花が咲いていたから秋にまた来ようと思った。透き通るような赤、もちろん食べられる。しかし鳥たちも好きなので、残しておいてやろう。そしてまた思わぬところに「がまずみ」が芽吹いたらこんな素晴らしいことはないと思う。天然の食用染料として漬け物の色づけに使ったりする。
■いぬたで 神戸・総合運動公園
 秋の終わりに蕎麦が白い花をつける頃、同じ仲間の「いぬたで」もかわいらしい花をつける。別名「あかまんま」ともいい、こどもたちのままごとに欠かせない野草だ。「今日は美代ちゃんの誕生日だから、あかまんまを炊こうね」そんな声がどこからか聞こえてきたような気がした。この花は活けるときに他の野草の根締めにいい。
■おおもみじ 京都・嵐山宝厳寺
 白楽天の漢詩や『平家物語』「紅葉」の高倉上皇のいわれを思い出す写真だ。<林間に酒を煖め紅葉を焼く、石上詩を題して緑苔を掃ふ>は有名。高倉上皇は酒を暖めるため紅葉を焼いてしまった掃除係を叱るどころかこの漢詩を引いてその風流を誉めた。写真の緑は杉苔だ。赤とのコントラストは素晴らしい。