シリブカガシの森
信太の森の面影は、聖神社の社寺林によく残されています。
その社寺林は、シリブカガシがひときは目立ち、高木の90%を占めてています。
シリブカガシは和泉地方の古代の植生を残しており、環境庁の「緑の国勢調査」(s59年)でも、
その価値の高さと保護の必要を述べています。
大阪では、堺市の美多弥神社(大阪府天然記念物指定)、富田林市の春日神社
和泉市の松尾地区、貝塚市の蕎原地区などに自生しています。
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花は9月に咲き、実は11月に熟す、熟して落ちた実、シイ等のように食べられます |
貴重な400本あまりの森
シリブカガシは、ドングリのなるブナ科植物の仲間でブナ科マテバシイ属に入ります。
ブナ科のなかでも暖地性の植物で、近畿地方が北限とされています。
1983年、いずみ地方の子ども達の研究・学習グループ「いずみの自然と歴史を学ぶ友の会」が調査したとき、面積1200u、個体数400本(1m以上)を数えました。そのうち高木(胸高直径10センチ以上)層240本、樹高10m以上のもの209本、最大経57.3cmなど、自生林の規模や質においてわが国のシリブカガシ林のなかでも最大規模のものと指摘しています。
開発から守られたが、今、保全の必要性が高まっている
子ども達の学習グループ「友の会」の調査の際、この森に道路建設計画があることが判明しました。森に続く宅地造成の土地への進入道路を造るという計画でした。貴重な森を守れの声は、文学者、植物学者、歴史学者、市民など各界から起こり、「シリブカガシを守る会」も結成されました(1983年)。3年あまりの運動でこの道路計画は変更されかろうじて森は守られました。
地元の氏子のある古老は「聖の神が子ども達を呼び寄せたのだ。」と述懐しました。
その後、森の一部にテニスコートを建設する計画がだされましたが大阪府が認可しませんでした。しかし、今日周辺の宅地化による林縁の破壊や台風の被害などで荒廃がすすんでいます。特に林縁部のシリブカガシの樹勢が弱まっています。今、抜本的な保護対策が強く求められています。