家庭内LANの敷設
計画編
はじめに
会社では、パソコンがLANにつながっていて効率的に動いています。MS-DOS
+ Netwareの時代はクライアントサーバーシステムでしたが、Widows95になってからは、クライアント間でファイルやプリンタの共有ができるようになりました。
ファイルの共有は、電子メールに添付して送ったり、サーバーを経由することなく、他のパソコンのデータを参照できるので、本当に便利になりました。これを家庭でも満喫したいというのが、新築の家にLANを引きたいと思った動機です。
これからの家庭のパソコン環境
我が家には、長女と長男の二人の子供がいますが、将来的には子供部屋にパソコンを置くことが予想されます。パソコンが2台以上あれば、パソコン同士は、LANでつながっていた方が何かと便利です。
また、パソコンの利用目的の第一候補にインターネットが挙げられます。ちょうど、家の新築計画中にISDNルーターが発売され、イーサネットさえ張ってあれば、どのパソコンからでもインターネットに接続することが容易になりました。それまでは、家庭でインターネットに接続するには、パソコンのある部屋に電話回線を引かなければなりませんでした。また、家族の一人が電話回線を使っていると、ほかの人は、インターネットに接続できないばかりか、電話も使えません。
また、プリンタやスキャナーは、共有することで、必要以上に買う必要もなくなります。
LAN敷設計画
以上のような背景で、新築する家には、LANを引くことを決意し、住宅メーカーにどのようにすればよいか提案を依頼しましたが、住宅メーカーの担当者もLANを敷設したような家は建てたことがなく(1997年後半ごろ)、殆ど提案してくれませんでした。その当時、松下電工から、各部屋にISDNのコンセントを各部屋に接続するためのものがあり、カタログを見せてくれましたが、私のイメージではありませんでした。仕方がないので、自分で考えることにしました。
自分で検討
LANを張るといってもどのようにするかいろいろと考えました。勤務先では、部門内は10Base-T、部門間は100Base-TXでつながっています。部門内には、50台以上のパソコンが10Base-Tでつながっているので、家庭内では、10Base-Tで十分だろうと判断しました。
他に10Base-5という同軸ケーブルを使用することもできます。10Base-5は敷設コストが安く、一筆書きで配線できるので、一見家庭向きのように思われますが、パソコンまでのケーブルが太くて硬いので、見送りました。
HUBの設置場所
10Base-Tを使う場合、どこかにHUBを置く必要があります。私の場合、HUBを置く場所に非常に悩みました。下図が家の簡単な見取り図です。10Base-Tの場合、HUBを中心にスター状にツイストペアケーブルを張るので、できるだけ家の中心部がいいのです。結局HUBの設置は、屋根裏部屋に決めました。しかし、詳しくは後で書きますが、屋根裏部屋のHUB設置はあまり正解ではありませんでした。
屋根裏部屋から各部屋の配管
屋根裏部屋にHUBを設置し、各部屋までの配管が必要です。壁の中に、ツイストペアーケーブルを通してしまうこともいいのですが、家を建てる時点では、10Base-Tがベターと判断しましたが、移り変わりの激しいご時世なので、空の配管だけをしてもらい、後からツイストペアーケーブルを通すことにしました。このようにしておけば、後になって10Base-Tよりもいいものが出現したときに容易にケーブルの交換ができます。しかし、これも後になって、大変なことになるのですが…・
というわけで、屋根裏部屋と将来パソコンを設置することが予想される各部屋とをパイプでつなぎました。具体的には、書斎、寝室、子供部屋×2、リビング(2箇所)、玄関の7箇所です。寝室とリビングの2箇所は思惑があります。リビングは、将来ノートパソコンを買い、食卓でパソコンを叩きたいと考えて1箇所目を考えました。そして、寝室とリビングの2つ目は、テレビのコンセントの近くに配置しました。
これは将来、インターネットとテレビがリンクするのではないとか考えました(今現在は、リンクしていませんが)。そして、玄関は将来、もしかしてという気軽な発想です。
電話の配線
新築するなら絶対ISDNと考えていました。そうすると、TA(ISDNルーター)の設置場所を決める必要があります。私の場合、NTTからのISDN回線を一旦書斎に引き、ここで、アナログ回線に変換して、1階のリビングに送るようにしました。将来、ISDNをやめてアナログ回線に戻すときは、コンセントをショートするだけです。また、書斎とリビングには、アナログ電話(コードレス)を設置し、その子機を寝室と玄関に置いています。
実践編I
家が完成したのは、1998年9月です。この時点では、我が家にはパソコンが1台だけで書斎に置きました。ISDN回線を引き、書斎にISDNルータ(富士通NetVehicle-fx3)を置き、パソコンには、イーサネットボードを付け、パソコンとルーターを1:1でつないでいました。これでも、インターネットをするには、ダイヤルアップの必要がなく、とても快適でした。また、NetVehicle-fx3には、アナログ回線同士の内線機能があり、1Fと2Fの間での通話もできます。
ここまでは、特に平凡な話ですから詳しくは書きません。
実践編U
2000年の春に単身赴任から戻る前に、2台目のパソコンとHUBとLAN用のモジュラジャックを買いました。2台目のパソコンはリビングに置き、2FのパソコンとをLANでつなぐ日がついにやってきました。HUBやLAN用モジュラージャックは、どんどん価格が下落するので、LANを敷設するまでは、買いませんでした。とくにモジュラージャックは、家が完成したころは、電話のモジュラージャック(4P)が180円くらいに対してLAN用は1800円くらいしていました。
2台目パソコンとLAN設置で用意したもの
機材 | 概要 | 価格 | 購入先 |
パソコン | Celeron400MHz RAM128MBキット | 約70,000円 | Faith(秋葉原) |
HUB | コレガのCG-THUB8(10Mbps/8ポート) | 4,500円 | ヨドバシカメラ(新宿) |
LAN用モジュラージャック | 松下電工のNR3130 | 1450円 | 愛三電機(秋葉原) |
圧着工具 | オーム電機製L-2809 | 1800円 | ヤマダ電機姫路店 |
LAN用ケーブル | 友人からどこかの会社の廃棄品を譲り受ける | 0円 | |
LAN用モジュラープラグ | (RJ-45) Justy EAL-01 10個入り | 380円 | J-ZONE岩端店 |
松下電工 NR3130 | 圧着工具 |
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他にもいくつかのメーカー製品があるようですが、私がたまたま見つけたのがこれです。2年前は非常に高く、店頭でも見かけませんでした。 | 本格的なものは高いが、家庭内であれば十分です。 ->後日談を参照 |
ケーブルの配線
今回必要なのは、屋根裏部屋<=>リビングと屋根裏部屋<=>書斎の2本です。それ以外は、必要に応じて順次配線します。
失敗その1
配管(パイプ)の中には、針金が通っているので、これにLANケーブルを結んで、線を通そうとしました。しかし、リビングと屋根裏部屋の距離が意外と長く、途中のカーブで詰まってしまいケーブルが通りませんでした。
思い切り引っ張った勢いで、針金とケーブルが切れてしまいました。これは、かなりのショックでした。これで、私のLAN計画はおしまいかと、すっかり落ち込みました。
失敗その2
1週間後、ホームセンターでステンレスのワイヤーを買い、これを配管に通すとすんなり通りました。ステンレスのワイヤーとLANケーブルをつなぎ、再度挑戦するも、もう一息のところで、詰まってしまい、挫折。
最終の手段
そして、最後の手段にでる。LAN用のツイストペアーケーブルは、8芯で、ゴムの被覆をかぶっています。特にシールドしている訳ではないので、被覆がなくても特に問題はない筈と考え、ケーブルの被覆を剥がしました。
鰻の背中を裂くようにカッターナイフで被覆を剥がしました。
被覆を剥がすと、8芯のツイストケーブルは、すんなりと屋根裏部屋からリビングまですんなりと届きました。ほっとしました。
続けて、屋根裏部屋と書斎間もLANケーブルの被覆を剥がして通しました。こちらは距離も短くすんなりいきました。
リビングと書斎にはモジュラージャック(松下電工のNR3130)取り付けます。NR3130の場合、工具なしにケーブルと圧着できます。また、コネクタ部にケーブルの色が印刷されているので、ピン番号を間違うことはありません。
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松下電工のNR3130とLANケーブルの圧着の要領は、松下電工のホームページ にも載っていません(2000.8)。私は、購入時に施工説明書を入手してください。 基本的には、ケーブルの色と接点の色を合わせれば、間違うことはありません。 |
屋根裏部屋の方は、モジュラージャックを使わずに、LANケーブルをそのまま突き出して、モジュラープラグを取り付けました(モジュラジャックが高価)。こちらは、ケーブルとピン番号の色分けはないので、愛三電機のホームページで調べました。(パイプの中は、被覆を剥いでいますが、外は、被覆を残しています。
なお、LANケーブルの配線パターンは、T-568AとT-568Bがあり、両端は統一する必要があります。したがって、すでにモジュラープラグがついたLANケーブルを買ってきた場合、T-568AまたはT-568Bを確認してから、モジュラージャックの圧着をする必要があります。
モジュラージャックの圧着は、最初は少し戸惑いますが、2,3回やればコツはわかります。プロが使う圧着工具は、5000円〜10000円以上しますが、今回はケチってプラスチック製を買ったので、8ピン中2本くらい失敗するケースがありましたが、そのまま再圧着すれば、モジュラージャックを無駄にすることなく、うまくいきました。家庭内のLAN敷設であれば、この安い工具で十分でしょう。(しかし、結果的には・・・・)
これで、書斎のパソコンとリビングのパソコンが、屋根裏部屋のHUBを介してつながりました。
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屋根裏部屋のHUB (今は2本だけ) |
書斎のコンセント 左上からCAT5(LAN),ISDN,アナログライン |
リビングのモジュラジャック |
我が家のLANのブロック図は次のようになります。将来的には、子供部屋にもう2台つなぐことにしています。テレビとインターネットの接続についてはどうなるかわかりませんが、日の目を見る日を楽しみにしています。
良かったこと・反省点
HUBの設置場所
屋根裏部屋に設置しましたが、実際に家が建ってみると、屋根裏部屋よりいい場所がありました。それは階段下の物置です。拙宅の場合テレビは、共聴システムになっていて屋根にはアンテナはありません。屋外のポールから一旦地中を通って階段下の物置に入り、そこで各部屋に分岐しています。将来CATVが来て、ケーブルモデムを使ってインターネットをする場合、LANとTV配線は近くにあるほうが都合がいいのです。また、ケーブルの総延長も短くなると思います。
配管
配管は、内径が10mmくらい細いものを使っていますが、前述のように途中で詰まってしまったので、これから配管をされる方は、できるだけ太いパイプを使うべきでしょう。
LANケーブルの被覆
私の場合、やむを得ずケーブルの被覆を剥ぎましたが、ゴム系の被覆の場合、パイプに融着して、ケーブルが抜けなくなると思います。新しい規格ケーブルが登場して、通しなおすときに抜けないのは致命的です。
これからの新築される方へ
最近、無線LANや無線式のルーターが、製品化されています。私のように新築に合わせてISDNを引く場合はともかく既存の家でスムースにインターネットを楽しむには便利なものと思います。しかし、無線技術が進歩したとはいえ、まだコスト、性能とも有線式にはかないません。
できれば、子供部屋、書斎、リビングは、何らかの形で、LANが引けるように配管をされておくことをお勧めします。配管だけでしたら、大したコストはかかりません。
余談
ISDNルーター+イーサネットは、非常に快適ですが、ISDN機器は非常に雷に弱く、去る2000年5月の大きな雷で、拙宅のNetVehicleもお亡くなりになりました。また、同じ日に息子の通う保育所のTAも同じ目に遭ったようです。ISDNはじめちゃん 小遣い貯まったらもう一台
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