26号
2003年4月23日 発行
全港湾神戸支部
本四海峡バス分会
会社は争議解決を拒否!
「出勤に及ばす!」賃金は大幅減額

会社と海員組合は、「3名の解雇は違法無効」「全港湾は団体交渉の地位にある」とする大阪高裁の控訴審判決を不服とし、最高裁への「上告受理申立」をおこなっていました。この申立に対し、最高裁判所第一小法廷は2003年2月27日付で、裁判官全員一致で「上告審として受理しない」として、門前払いの「上告棄却決定」を下した。この「最高裁決定」によって、本四海峡バス闘争の根因とも言うべき不当解雇と全港湾否認による団交拒否は「解雇は違法無効」「全港湾は団交の地位にある」と、司法の最終判断が下され確定したことになる。さらに、同日付で近藤・古川両運転士への懲戒処分無効訴訟についても「最高裁決定」が下され、両名への懲戒処分が「違法無効」であることが確定した。

解雇無効を勝取った3名
 「最高裁決定」が下され会社は、「3名の社員としての地位身分を認める」としつつも、「出勤に及ばず」と3名の就労を拒否し、「働かないのだから固定給のみになる」と対決姿勢を鮮明にした。また、全港湾の団交地位についても「最高裁が団交の地位にあるというから交渉している、これもすべて団体交渉である」と、「最高裁決定」を容認したかのようにうそぶいたが、「海員組合から脱退の通知がないから社内に全港湾組合員は認知できない」と、これまでの方略を踏襲した。さらに、「会社だけでは解決できない」と解決を拒むことで、これまでの方針に固執した。
 しかし、この「最高裁決定」により、条件面で問題が残るものの、被解雇者3名が社員として復帰を果たしたことは、厳然たる事実である。
 会社と海員組合は争議が始まって以来、「被解雇者3名の復帰」と「全港湾との団体交渉」は「絶対にない」とする姿勢を、いまだに固守している。これは「最高裁決定」を事実上無視する脱法行為であり、社会倫理上も許されないことは、誰の目にも明らかである。全港湾は、「海員ビル前40日間座込み闘争」で、全港湾を潰せないという事実を会社に知らしめ、「最高裁決定」では、3名が会社への復帰を果たした。全港湾本四海峡バス分会は「団結」を守り抜き、「最高裁決定」という不変の骨格を完成させ、闘争戦線を大きく前進させた。そして、闘争は新たな局面へと進展した。
責任者は誰だ!
 私たちは会社に対し、3月3日と6日の両日「最高裁決定」への対応について、「申入れ」をおこない団体交渉を求めました。3月14日、タワーサイドホテルにおいて、玉城常務と吉野部長が「最高裁決定」を蹂躙する前記会社方針を明らかにしました。この方針に対し私達は、3月17日会社への抗議をおこないました。
 その中で玉城常務は、「3名の解雇無効と社員の地位は認める」「懲戒処分無効は認める」と言明しました。しかし、団体交渉については「海員組合から通知がないので社内に全港湾組合員がいるとは認知していない」と、遠い昔に聞いた坪根専務や元井上常務らのご口上が復活してきました。そして、玉城常務はさらに進化したご口上も披露してくれました。会社はこれまで「被解雇者3名は全港湾組合員であることを認知している」と、裁判所や労働委員会の場で何度も証言してきましたが、社員の地位を認めた途端に「3名は全港湾と一緒に行動しているが全港湾かどうかは知らない」などと、七転八倒の新見解をお示しになられました。会社は、裁判所や労働委員会で偽証したのかな? また、団体交渉地位についても「合意事項があっても調印はしないが、これは団体交渉である」「団体交渉をする前の団体交渉である」と、すでに化石化したご主張もなされました。玉城常務は、座り込みのときに「折衝を団体交渉などと姑息な事は言わないよ」と、明言したのをお忘れなのかな?また、「緊急命令」についても「罰金を払えば違法じゃない」「罰金を払い続ければ会社がもたない」「当然従業員にも影響は出るでしょうな」などと他人事のような返答に終始しましたが、違法を承知で過料(罰金)やむ無しの会社方針を決めたのは、川真田社長をはじめとする、あなた方経営陣ですよ。
【ここは大切だから覚えておこうね】  2003年3月14日(会社方針)

≪200フトオ(行為):(社員は)33サンザン:(会社):14イシ≫
不当行為、社員は散々、会社意思

 さらに、玉城常務は、社員の地位身分を認めた3名の扱いについて「出社におよばず」と、就労を拒む一方で「働かないのだから賃金は固定部分だけになる」などとし、働かさない理由についても「理由は無い訳じゃない、あることはあるんだよ」「就業規則には当てはまらないが会社の決定なんだよ」などと、凡人には難解な会社決定を、臆面もなくご披露なされました。
 あっ、それから「会社は争議解決について、無条件で海員組合中央にすべて一任している」「労々の中央で政治解決しないと、会社だけでは事態は動かせない」と、忘れかけていた名句もご披露なさいました。
 何はさておき、会社と筆頭株主(海員組合)は、高額な罰金を覚悟の上で法律違反を続け、争議解決を拒む涙ぐましい努力を続ける事を決めたようです。いつまで続けられることやら・・・・・・
 元海員組合支部長の玉城常務は、いろいろな事を蹂躙していることに気づいてますかぁァ〜??

勘違い、雲霞の賢者、嘆きけり、
      知って云へぬと、皆知に語らう
                 不明

【追伸】
 働かないで給料を貰えるのやったら「僕も『出社におよばず』にしてくれ〜」という希望が、殺到していま〜す。

beacon
 争議の根因である「3名の解雇」「全港湾否認」について、「3名の解雇は違法無効」「全港湾は団体交渉の地位にある」とする「最高裁決定」(2月27日付)が下された。また、東京地裁が発した団体交渉を命ずる「緊急命令」の不履行に対し、会社が法律違反として過料(罰金:1日につき最高10万円)を科せられる事態に直面している。しかし、筆頭株主の海員組合は、争議の解決を拒み暴走を続けている。
 そして、それを組合員総意の組織決定と堅持する。このことは、労働者が長い歳月をかけ、多くの犠牲の上に勝ち取ってきた「労働者の権利」を否定することに、つながりはしないだろうか?
 漂流する巨大船「全日海」、労働組合という推進器の回復が急がれる。
隆盛を極める韓国民主労総全国労働者大会前夜祭
脱法行為に新たな訴訟
 会社と海員組合は、2002年7月30日に言い渡された大阪高裁判決を不服として、最高裁への上告受理の申立を行っていた。これに対し最高裁判所第一小法廷は、「上告審として受理しない」として「上告棄却決定」(2003年2月27日付)を下した。この決定により「3名の解雇は違法無効」「全港湾は団体交渉の地位にある」とする神戸地裁の初審判決が確定するところとなった。
 しかし会社は、3名の社員としての地位身分は認めるが「出勤におよばず」と、3名の就労を一方的に拒否し、辞令も出さないという対応をとっている。さらに、賃金についても「働かないのだから固定給になる」として、1999年8月の不当解雇当時の基準内賃金を支払ってきた。これは、裁判継続中の賃金の6割程度で、手取り額にして約16万〜17万円という金額である。これは、会社裁量により3名とその家族の生活を奪うと同時に、精神的なダメージを意図した酷薄非道な、許されざる行為といわざるを得ない。また、団交についても「社内に全港湾組合員は認知できないが労働委員会や裁判所がそう言うからやっている」「これは団体交渉であるが全港湾とは労使関係が無いので誤解しないように」と、事実上の団交拒否方針を表明した。会社は、裁判判決が就労や団交応諾まで言及しないことをいい事に、最高裁決定を逆手に取ることで新たな脱法行為へと足を踏み入れた。
 争議の根因について、最高裁決定が下され争う大儀名文を失い、団交拒否の「緊急命令」の罰金が焦眉に迫っているにもかかわらず、争議の解決を拒み続けるという、他に例を見ない法律や社会倫理を意に返さない悪質な会社となった。それも、海員組合という労働組合が筆頭株主という会社においてである。
 戦後初であろう会社と海員組合の確信的な悪質行為は、不当労働行為の極みというべきものであり、働く者として、労働組合として絶対に看過し得ないものである。この前人未到の脱法行為を白日の下で明らかにする為、4月16日、本来支払われるべき3名の賃金請求を会社に、不法行為による3名の損害と団交拒否による全港湾関西地本及び神戸支部への損害について、会社と海員組合に支払いを求め神戸地裁に提訴した。
 これは、海員組合の呪縛の下、解決の方途を喪失した会社と、他方それを矜持してやまない海員組合への新たな訴訟である。全従業員と会社役員、はては株主や関係各社・監督官庁など、全ての人や関係各所が異口同音に争議の早期解決を望む中、解決に畏怖を抱き、頑なに拒むのは筆頭株主の海員組合だけではなかろうか。
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