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口蹄疫防疫要領

(平成14年6月24日 、14生畜第1816号生産局長通知)


改正履歴:

目     次

第1章 基本方針
 1 殺処分について
 2 移動の規制及び家畜集合施設の開催等の制限について
 3 予防注射について
第2章 防疫措置
T 異常家畜発見の届出から病性決定までの措置
 1 家畜防疫員及び家畜保健衛生所の措置
 2 県畜産課、衛生主任の措置
 3 衛生課の措置
 4 病性の決定
U 口蹄疫(患畜又は疑似患畜)の病性決定時の措置
 1 発表
 2 防疫対策本部の設置
 3 防疫員の動員
 4 国からの防疫専門家の派遣
 5 公示、報告又は通報
V 現地における防疫措置
 1 一般緊急措置
 2 と殺の指示及び評価
 3 殺処分
 4 死体の処理
 5 消毒等
 6 汚染物品等の処分
 7 人員の確保
 8 防疫従事者の入退場時及び退場後の留意点
W 接触したおそれのある感受性動物の追跡
 1 追跡調査
 2 調査に基づく措置
X 移動の規制及び家畜集合施設の開設等の制限
 1 通行の制限又は遮断
 2 移動制限地域
 3 搬出制限地域
Y 立入検査、血清疫学調査等
Z 予防注射
[ 原因究明のための調査
\ 防疫対策組織
 1 現地対策本部(家畜保健衛生所)
 2 県対策本部(都道府県)
 3 中央対策本部(農林水産省)
第3章 附則
附−T 家畜の検査と主な病変
 1 牛
 2 豚
附−U 病性鑑定用材料の採取と送り方
 1 水疱材料が得られる場合
 2 水疱材料が得られない場合
 3 血液採取
 4 材料の運搬
附−V 動物衛生研究所の行う病性鑑定
 1 ウイルス学的検査
 2 血清学的検査
 3 その他
附−W 口蹄疫以外の海外悪性伝染病における本要領の準用
別記様式1〜12


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口蹄疫防疫要領

第1章 基本方針

 口蹄疫清浄国の防疫原則に則り、殺処分方式により口蹄疫の撲滅を図って常在化を防止する。

1 殺処分について

(1)口蹄疫が発生した場合は、家畜伝染病予防法(昭和26年法律第166号以下「法」という。)第16条第1項の規定に基づき、患畜及び疑似患畜のと殺を早急に実施させる。

(2)死体は発生地(患畜又は疑似患畜の所在する場所を含む。以下同じ。)において焼却又は埋却することを原則とするが、その数量、現地の地形等によって発生地で実施困難な場合は、病原体の散逸防止に万全を期しつつ他の場所(化製場を含む。)に輸送し、焼却、埋却又は化製(疑似患畜に限る。)する。

2 移動の規制及び家畜集合施設の開催等の制限について

 家畜等の移動の規制及び家畜集合施設の開催等の制限は、口蹄疫のまん延防止を図る上で極めて重要な手段であり、規制の徹底を期すため、関係者の理解と協力を得て効果的に履行を確保する。

(1)発生地は、法第15条に基づき、通行の制限又は遮断を行い、応急的な防疫措置(予備的消毒、家畜の殺処分その他の病原体の散逸防止のための措置)が終了するまでの間、人を含めすべての物品の移動、搬入及び搬出を禁止又は制限する。

(2)移動制限地域(原則として発生地を中心として半径20km以内)の規制は、法第32条第1項、第33条及び第34条の規定に基づき、都道府県知事が規則を定めて行うが、制限が広範囲の地域、長期間に亘る場合等必要があるときは、法第47条の規定に基づき、農林水産大臣が都道府県知事に対し、これらの規制措置を実施すべき旨を指示し、又は、法第32条第2項の規定に基づき、農林水産大臣が自ら区域を指定し、家畜等の移動を制限する。

3 予防注射について

(1)予防注射は、殺処分と移動制限による方法のみではまん延防止が困難であると判断された場合であって、早期の清浄化を図る上で必要がある場合に、法第31条に基づき、実施することとし、接種を行った家畜については、接種を行った旨の標識を付し、その移動を制限する。

(2)国は、予防液の購入及び備蓄を行うとともに、注射関連資材の備蓄に努め、予防注射の実施に当たっては、法第49条に基づき、都道府県(以下「県」という。)に譲与又は貸付する。また、県にあっては、緊急時の防疫資材の入手方法等を検討するとともに、最低限の備蓄に努めるものとする。

第2章 防疫措置

T 異常家畜の発見の届出から病性決定までの措置

1 家畜防疫員及び家畜保健衛生所の措置

 家畜の所有者等から口蹄疫の症状を呈する異常家畜(以下「異常畜」という。)を発見した旨の届出があった場合には、次に掲げる対応を行う。また、法第5条、第31条又は第51条の検査時に家畜防疫員(以下「防疫員」という。)が異常畜を発見した場合にあっても、これに準じて措置するものとする。

(1)届出を受けた防疫員は、届出事項を別記様式1により正確に記録し、緊急的な措置について次の指導及び依頼を行うとともに、現地到着予定時間を連絡する。

ア  異常畜の所有者(管理者)に対する指導事項

(ア)口蹄疫という極めて悪性の伝染病に似ていることを周知させること。
(イ)確実な診断が得られるまでの間、すべての動物(偶蹄類以外の動物(犬、猫、馬及び鶏)を含む。)をけい留及び隔離するとともに、飼養場所の排水口は、適切な消毒措置を講じるまでの間、閉鎖すること。
(ウ)当該家畜の飼養場所(以下「農場」という。)の出入口を1箇所のみとし、消毒槽を設け、防疫関係者以外の者の立入をさせないこと。
(エ)応急的な消毒を行うこと(人に対する消毒も含む。)。
(オ)急病等の緊急かつやむを得ない場合以外は外出をせず、農場及びその関連施設の外に物を搬出しないこと。また、万が一外出する場合は、イの(イ)の規定に従うこと。
(カ)当該家畜の生乳、精液等の生産物及び糞、教科等の排泄物は他の家畜、人及び物と接触することがないよう措置すること。

イ 異常畜を診断又は検案した獣医師等に対する指導及び依頼事項

(ア)防疫員の現地到着まで当該農場にとどまり、アの事項を履行するよう助言及び指導すること。
(イ)当該農場を去る前に、身体、衣服、眼鏡その他の携行用具の消毒並びに車の洗浄及び消毒を行い、当日は直ちに帰宅するとともに、帰宅後は、更に車、携行用具、衣服等の完全な消毒を行い、入浴して身体を十分に洗うこと。
(ウ)異常畜が口蹄疫でない旨の連絡があるまでは、偶蹄類の動物と接触しないこと。なお、口蹄疫と判明した場合は、異常畜を診断又は検案した後7日間は偶蹄類の動物と接触しないこと。

ウ と畜場において異常畜が発見された場合の措置事項

(ア)と畜場での家畜及び畜産物の搬出入を緊急的に停止すること。
(イ)異常畜の出荷農場を直ちに特定し、アの指導を行うこと。
(ウ)異常畜を発見したと畜場において、と畜検査員と相談の上、と畜場内や立入者、車両等の適切な防疫措置を行うとともに異常畜以外に搬入されている牛の出荷農場の特定を行うとともに経過観察等の防疫措置を講じること。

(2)届出を受けた防疫員は、家畜保健衛生所長に届出のあった旨を報告し、届出事項を記入した別記様式1を県畜産主務課(以下「県畜産課」という。)の家畜衛生主任者(以下「衛生主任」という。)にファクシミリ等で送信するとともに、その概要、現地到着予定時間及びその後の連絡方法について電話で連絡する。

(3)家畜保健衛生所長は、直ちに防疫員を現地に急行させるとともに、発生農場に立ち入る防疫員、家畜保健衛生所及び衛生主任の間の連絡担当者の設置、現地周辺の家畜の飼養状況等の関連資料の準備を行う。 なお、防疫員の現地携行用具は次のとおりとする。

ア 農場立入用衣類:長靴、防疫衣類、手袋等。

イ 臨床検査用器材:タワシ、体温計、保定具、ロープ(保定用)、白布(1mX30cm)、鎮静剤、プロパング、懐中電灯等。

ウ 病性鑑定材料採取用器材:外科用ハサミ、材料送付ビン、材料保存手夜、採血器具(採血針、採血管)、保冷資材、クーラーボックス、病性鑑定材料輸送箱等。

エ 連絡及び記録用器材:携帯電話、事務用具、各種様式用紙、地図、デジタルカメラ、画像送受信機等。

オ 消毒用器材:バケツ、消毒薬、噴霧消毒器等。

カ その他:ビニール袋、着替、食料品等。

(4)防疫員は、現地到着後、車を農場施設の外に置いて、防疫衣を着用し、現地携行用具をもって施設内に入る。

(5)検査は、附−Tを参考にして−般臨床所見を中心に実施するとともに、疫学的調査も併せて行う。

(6)口蹄疫が否定される場合には、防疫員は次に掲げる対応を行う。

ア 防疫員は、別記様式2の事項及び判断の根拠を家畜保健衛生所の連絡担当者に電話で連絡し、連絡担当者は家畜保健衛生所長に確認の上、衛生主任に電話連絡するとともに、別記様式2を速やかに作成し、ファクシミリ等で送信する。

イ 衛生主任から家畜保健衛生所長を通じて特別の指示があれば、それに従う。衛生主任は、口蹄疫が否定されることを確認した場合には、飼養農場等に対する指示を解除する。

(7)口蹄疫が否定できない場合には、防疫員は次に掲げる対応を行う。

ア (6)のアと同様に衛生主任に連絡し、その後の指示を求める。

イ 適切な病性鑑定用材料を採取し、独立行政法人農業技術研究機構動物衛 生研究所(以下「動物衛生研究所」という。)に搬送する。(搬送について は、あらかじめ現地に急行する防疫員を定めておく。ただし、継続的に発 生する場合には、症状からもその病性が明らかな場合等は採取を不要とすることがある。)材料採取の要領は、附−Uによることを基本とし、必要に応じて、県畜産課又は農林水産省生産局畜産部衛生課(以下「衛生課」という。)を通じ、動物衛生研究所に技術的な助言を求め、又は、専門家の派遣等を要請する。

ウ 防疫員は、病性決定までの時間、殺処分の場所、焼却又は埋却の別等その後の防疫の段取りを検討する。

エ 防疫員は、衛生主任の指示があるまで現地を離れてはならない。

オ 初発の場合には、防疫員は現場の所見のみで直ちに口蹄疫と決定してはならない。

2 県畜産課及び衛生主任の措置

(1)異常畜届出時

1の(2)の防疫員の届出に基づき、患畜又は疑似患畜の発生の場合を想定し、準備に着手する。

ア 次に掲げる場合には、至急、衛生課に電話で連絡するとともに、別記様式1をファクシミリ等で送信する。

 (ア)発症家畜が複数あること。
 (イ)発症後数日で群内に広がりがあること。

イ 緊急防疫に必要な防疫員の待機状況、各家畜保健衛生所等における緊急連絡網の整備状況(電話、ファクシミリ、メール等)及び防疫用資材の調達計画を点検する。

(2)口蹄疫が否定される場合

ア 1の(6)のアの連絡があった場合には、否定されると判断する根拠について、十分に質問し、それを確認する(疑わしい事項があれば、更にその追求を指示する。)。

イ 口蹄疫が否定されると確信する場合には、防疫員の待機を解除することとするが、(1)のアにより衛生課に連絡を行っている場合には、衛生課にその旨を電話で連絡するとともに、別記様式2をファクシミリ等で送信し、指示を受けた後、防疫員の待機を解除する。

(3)口蹄疫が否定できない場合

ア 1の(7)のアの連絡があった場合には、病性鑑定材料の採取・送付、臨床所見、疫学所見等診断の参考となる追加情報の収集、防疫措置の実施・準備等について必要な指示を与える。

イ 衛生課にその旨を電話連絡するとともに、別記様式2をファクシミリ等で送信する。必要であれば現地の防疫員から直接異常の状況等について衛生課に連絡させることとし、その際はデジタルカメラ等を用いた通信画像も活用する。

ウ \の口蹄疫県防疫対策本部及び口蹄疫現地防疫対策本部の設置を準備する。

(4)(1)のアの(ア)又は(イ)の場合には、衛生課に確認した上で、県内関係市町村担当者及び隣接県の衛生主任に対しても別記様式2により連絡することとするが、連絡を受けた市町村及び県は、この時点の情報の取扱いには、慎重を期する。

(5)周辺市町村の家畜の飼養状況等衛生関連情報の整理を行うとともに、発生 農場との関連場所(家畜の移動、人の出入り、集乳車・飼料輸送車関係の出入り等)について、風評等に配慮し、情報管理に慎重を期しつつ調査を開始する。

(6)初発の場合には、1の(2)に基づく現場からの報告のみで直ちに口蹄疫である、と県畜産課及び衛生主任は断定してはならない。

3 衛生課の措置

(1)2の(1)のア又は(3)のイにより県畜産課から報告を受けたときは、直ちに動物衛生研究所に電話で連絡し、別記様式2をファクシミリ等で送信するとともに、衛生主任に病性鑑定材料の採取・送付、臨床所見、疫学所見等診断の参考となる追加情報の収集、防疫措置の実施又は準備等の状況を確認し、必要な指示を行う。

(2)2の(1)のアの(ア)又は(イ)の場合には、その旨を動物医薬品検査所、動物検疫所等に連絡し、協力体制の準備を依頼するとともに、係官の派遣を検討し、口蹄疫中央防疫対策本部の設置を準備する。

(3)動物衛生研究所の行った病性鑑定の成績を直ちに病性鑑定依頼を行った県畜産課と動物医薬品検査所、動物検疫所等に連絡する。

(4)防疫措置終了までの間、必要に応じ、衛生課、動物衛生研究所、動物医薬品検査所、動物検疫所、学識経験者等で構成される防疫技術委員会を開催する。

4 病性の決定

 衛生課は、現地調査結果、疫学調査結果及び動物衛生研究所の病性鑑定の成績を基に、必要に応じて、防疫技術委員会の意見及び助言を聴いて病性を判断することとし、口蹄疫の患畜又は疑似患畜と診断することが適当と判断した場合には、直ちに病性を決定し、その結果を病性鑑定依頼を行った県畜産課に連絡する。続発する場合も、原則として同様とするが、口蹄疫が発生した県畜産課の判断に委ねる場合は、その旨を衛生課からその県畜産課に連絡する。

U 口蹄疫(患畜又は疑似患畜)の病性決定時の措置

1 発表

(1)発表内容は、別記様式3を基本とし、衛生課と県畜産課で調整する。

(2)発表に先立ち、発表の概要、今後の防疫の対応方向及び協力要請の内容について、衛生課は地方農政局畜産課及び関係府省の担当部局等関係機関に、県畜産課は衛生課と調整した上で、県警察本部、県食品衛生担当部局等関係機関、県内市町村及び関係団体に連絡し、防疫活動についての協力を依頼する。

(3)発表は、農林水産省と県の両方で同時に行う。この場合、発表内容は、あらかじめ、整備している情報提供ルートに沿って関係者に周知する。

(4)県畜産課及び衛生課に広報担当者を置く。

(5)新たな発生、移動の規制等の事実関係は、必要に応じ、その都度資料として新聞社、テレビ局等の報道機関に送付するほか、定期的に広報用資料を作成し、関係者に配布する。

2 防疫対策本部の設置

(1)\に定めるところにより、農林水産省に口蹄疫中央防疫対策本部(以下「中央対策本部」という)、口蹄疫の発生県に口蹄疫県防疫対策本部(以下「県対策本部」という。)及び家畜保健衛生所に口蹄疫現地防疫対策本部(以下「現地対策本部」という。)をそれぞれ設置する。

(2)各対策本部には、緊急用専用電話及び専用ファクシミリを備えつける。

(3)各対策本部の設置を公表し、現地対策本部においては、必要に応じチラシ(別記様式4)を配布する。関係機関(市町村、農協、警察、家畜市場、と畜場、農業共済団体、県獣医師会、開業獣医師、人工授精所、牛乳工場、食肉加工場、飼料会社等)には、文書で各対策本部を設置した旨を通知し、防疫活動についての協力を要請する。

3 防疫員の動員

 県畜産課及び家畜保健衛生所は、必要な人数の防疫員に対して集合を命じ、その他の防疫員についても当分の間(約2週間)、常時その行動や所在を把握する。その後の発生状況等に応じて、口蹄疫が発生した県の防疫員では対応が困難と判断される場合には、衛生課に対して、不足員数、派遣要請期間及び予定活動内容を連絡し、他県の防疫員の派遣について調整を依頼する。

4 国からの防疫専門家の派遣

 衛生課は、必要に応じ、動物衛生研究所、動物検疫所等の協力を得て防疫の専門家を当該県に派遣し、防疫に関する技術的助言を行う。

5 公示、報告又は通報

県畜産課は、法第13条第4項に基づき口蹄疫の発生を公示するとともに、関係機関に通報を行う。

V 現地における防疫措置

1 一般緊急措置

(1)(1)現地の防疫員により措置する場合は、現地対策本部長等を総括責任者として定め、かつ、それぞれの業務分担及び指拝命令系統を明らかにしておく。

(2)家畜所有者に対し、口蹄疫の概要、法の趣旨、所有者の義務、県等の協力方針、家畜伝染病予防法52条の2の規定により「行政不服審査法」(昭和37年法律第160号)に基づく不服申立てに制限がある旨等について説明を行う。

(3)殺処分、死体処理、消毒、隔離等に必要な人員、資材、薬品等の準備並びに関係機関及び団体への連絡は、現地対策本部で実施する。このため、現地の防疫員は殺処分予定頭数(畜種別)、殺処分の方法、死体処理方法、家畜共済への加入の有無、消毒面積等防疫措置に必要な事項について同本部に確認し、指示を受ける。

(4)畜舎の外部の見やすい場所に発生の標示と立入禁止の掲示を行い、門を閉じるか綱を張るなどし、出入口数を必要最小限に限定する。当該出入口には、消毒槽及び噴霧消毒施設を設ける。

(5)すべての動物の隔離及び繋留並びに排水口の閉鎖を再確認する。

(6)ウイルスに汚染するおそれのあるすべてのもの(庭及び道路を含む。)に十分な消毒液を散布する。この場合において、家畜の管理等に使用した衣類、飼育管理用器具等についても同様とする。

(7)カラス、ネズミ等野生動物を駆除するとともにその侵入防止対策を講じる。

2 と殺の指示及び評価

(1)防疫員は、3の(6)による殺処分の対象とされた家畜の所有者に対し、と殺指示書(別記様式5)を交付する。

(2)評価人の現地到着を待って、殺処分予定畜の評価を行う。評価人は、評価を行う場合には、防疫衣を着用し、ウイルスの散逸防止に細心の注意を払う。

(3)殺処分に先立って、評価人の評価を基に、防疫員はへい殺畜等手当金交付規程(昭和32年農林省告示第119号)別記様式第2号による「動物評価意見具申書」に準じた評価書を作成し、殺処分を進める。手当金交付の適正を期すため、個体(ただし、多頭群飼育されている育成家畜、肥育豚にあっては群ごとの代表的な個体。)ごとに写真を撮影しておく。

3 殺処分

(1)原則として、所有者の責務として実施する。その実施に当たっては、防疫員は積極的に協力することとするが、飼養規模等から所有者が限られた時間内に適切に実施することが困難な場合等には、防疫員が4に規定する死体処理も含め患畜又は疑似患畜の殺処分を行うことができる。

(2)殺処分を行う場所は、畜舎内又はその後の死体処理に便利な場所のいずれでも構わないが、なるべく公衆の目に触れない場所を選定する。

(3)畜舎外で殺処分する場合には、柵等を用意し、又は十分な保定を行い、家畜の逃亡を防止しなければならない。

(4)殺処分は、発症家畜に対して優先的に行い、薬殺、電殺等の方法により迅速に行うものとする。

(5)と殺後、個々の家畜について口腔、鼻腔、蹄部等における病変の有無を調べ、記録する。

(6)殺処分の対象家畜は、患畜及び原則として次のアからウまでに該当する疑似患畜とする。

ア  畜と同じ農場において飼養されている牛、めん羊、山羊、豚、水牛、しか及びいのしし(以下「偶蹄類の家畜」という。)の全部。

イ 患畜の飼養管理者が同一に管理している他の農場において飼養されている偶蹄類の家畜の全部。

ウ その他ア、イに準ずるものとして防疫員が認める偶蹄類の家畜(県畜産課と事前に協議する。)。

(7)複数の畜種で発生があった場合には、原則として、豚の殺処分を優先する。

4 死体の処理

(1)防疫員の監督の下、原則として、現地又はその付近において焼却又は埋却する。

(2)(1)の用地の確保が困難な場合には、原則として、と殺後、適当な焼却若しくは埋却場所までコンテナ車両を用いるか、不浸透性のシートで包み運搬して処理するか、又は十分な処理能力を有する化製場において化製する(ただし、化製の対象は、疑似患畜の死体に限る。)。

(3)運搬に当たっては、次の点に留意する。

ア 積込み前後に車両表面全体の消毒を行う。

イ コンテナ車両がない場合は、床及び側面を1枚のシートで覆い、更に死体積載後、上部もシートで覆う。

ウ 車両には、消毒液を搭載するとともに、防疫員が処理する場所まで同行する。

エ 運搬後は、車両及び資材を6に準じて直ちに消毒、焼却又は埋却する。

(4)焼却又は埋却する場所の選定に当たっては、所有者及び関係者と事前に十分協議する。埋却の場合は、土質、地下水の高低、水源との関係、臭気対策等を関係機関と協議する。焼却の場合は、火災予防に留意し、消防署等と協議する。

(5)埋却の場合

 埋却する穴の深さは4〜5mとし、埋却された家畜の死体の上に2mの覆土ができるようにする。地形が許す限り、牛2頭程度を併列で細長く埋却する。
備考:成牛20頭、豚又はめん羊60頭を埋却するためには、約10mを必要とする。
準備器材:ブルドーザー(整地、穴掘り、トラック牽引)、パワーシャベル(穴掘り、死体つり上げ)、ダンプ(死体運搬)、給水車、消毒器、チェーン、シャベル、夜間照明灯等

(6)焼却の場合

 家畜伝染病予防法施行規則(昭和26年農林省令第35号。以下「規則」という。)別表第2の基準による。

(7)化製の場合

 常法によるが、運搬車両から原料搬入口までは、シートを敷詰める等により汚染が最小限となるよう留意し、防疫上の安全性確保及び化製製品の円滑な流通確保の観点から、原料置場と製品置場とを隔てて設置し、消毒実施状況を確認するため、設備及び資材の消毒が終了するまでの間、防疫員が立会いを行う。

5 消毒等

(1)現地での消毒は、口蹄疫ウイルスに有効な苛性ソーダ(2%)、苛性カリ(2%)、炭酸ソーダ(4%)、ホルマリン液(10%)、消石灰(有効なpHを確保できること)、蒸気等により行う。

(2)一農場の出入口を−箇所のみに制限し、消毒槽及び噴霧消毒器を備え付ける。

(3)消毒に取り掛かる前に作業員の被服は消毒済みのものと取り替える。

(4)家畜に接した又は接したおそれのある器具及び衣服を集め、消毒液に浸すか又は煮沸する。

(5)農場全体を十分に消毒する。

(6)農場の下水及び排水溝に消毒薬を投入する。

(7)農場でのネズミ等野生動物の駆除を実施する。

(8)殺処分、死体及び汚染物晶の処理が完了した時点で、口蹄疫ウイルスに有効な消毒薬、蒸気等により繰り返し消毒を実施(少なくとも1週間間隔で3回以上)する。

6 汚染物品等の処分

 汚染物品は、患畜及び疑似患畜の排せつ物並びにこれらに接触した又は接触したおそれのあるものを言い、原則として、次のとおり焼却、埋却又は消毒により処分する。

(1)家畜防疫員の指示に従い、疑似患畜の死体を解体した一部(肉、骨、臓器、皮等)は、焼却又は埋却する。

(2)家畜の生乳、精液等の生産物は、酸化又はアルカリ化した後、死体等とともに埋却する。

(3)家畜の糞、敷料等の排泄物は、焼却又は埋却を原則とする。これが困難な場合には、散逸防止措置を行った上で堆肥化する(発酵消毒)。

(4)飼料、乾草及びわらは、焼却又は埋却を原則とする。これが困難な場合には、家畜及び飼養者が接触した部分を焼却又は埋却する。また、感染源でないことが確実と判断できるものであって、サイレージ以外のものは、薫蒸等の方法で確実に消毒したもののみ、発生農場での利用を認めることとする。

(5)畜舎及び農作業に用いた車両器具類は、清掃後消毒する。

(6)家畜管理用具類は、金属製用具等消毒が容易なもの除き焼却又は埋却する。

7 人員の確保

 現地における防疫措置に必要な人員は、現地対策本部が、市町村、関係団体等の協力を得て確保することとなるが、想定を超える規模の発生があり、防疫措置の遅延によりまん延が拡大すると見込まれる場合は、事前に自衛隊災害担当窓口に対し、発生状況、派遣を希望する期間、区域、活動内容等について連絡する等の手続を行い、衛生課と協議の上、県知事より自衛隊への派遣要請を行う。

8 防疫従事者の入退場時及び退場後の留意点

(1)入場時は消毒済みの作業着、長靴等を着用する。

(2)退場時には、身体、衣服及び眼鏡を消毒後、入場時着用した作業着等を脱ぎ、手洗い、洗顔及びうがいを行う。場内で着用した作業着等は、消毒液に浸漬した後ビニール袋に入れ、外装を噴霧消毒した後持ち帰る。

(3)農場出入口に仮設テントを設置する等、(1)及び(2)の措置が円滑に実施できるよう配慮する。

(4)帰庁(宅)後、移動に利用した車の消毒、着用していたすべての衣服の洗濯、入浴及び洗髪を行う。

(5)現地防疫従事者は、原則として、作業後7日間は発生農場以外の偶蹄類の動物に接触しないこととし、やむを得ず接触する場合には、事前に防疫員の指導を受け、(4)の措置を再度実施することとする。なお、作業員の雇用に当たっては、あらかじめ、家畜飼養の有無を調べ、偶蹄類の動物を飼養している場合は、口蹄疫のまん延防止の観点から、慎重を期する。

W 接触したおそれのある感受性動物の追跡

1 追跡調査

(1)Tの1により防疫員が現地調査を行った結果、口蹄疫が否定できない場合には、過去21日間の家畜の移動(出入りを含む。)及び過去7日間の人の出入りその他の接触を調べ、別記様式2の不明疾病現地調査票により、連絡担当者を通じて衛生主任に通報する。

(2)衛生主任は、通報のあったすべての情報について、それぞれの所在する場所を管轄する家畜保健衛生所に追跡調査の準備をするよう指示し、発生農場でTの2の(1)アの(ア)又は(イ)の場合には直ちに、これ以外の場合には口蹄疫と決定された後、調査を行わせる。調査にあたっての措置については、Tの1に準ずる。

(3)衛生主任は、家畜の移動、人の出入り、集乳車・飼料輸送車関係等について、関係者の協力を得ながら状況を把握し、病性決定後、直ちにその協力を得て調査を開始する。

(4)関係場所が他県に亘る場合には、衛生課に連絡の上、当該県に連絡する。
当該県は(2)と同様に追跡調査を行わせる。

2 調査に基づく措置

 防疫員は、患畜又は疑似患畜と接触した、又は接触したおそれのある偶蹄類の動物について隔離を指示し、原則として、以下のとおり患畜又は疑似患畜となるおそれのある家畜に対して防疫措置を行う。

(1)患畜と接触した獣医師、人工授精師、削蹄師等が病性決定までに他の偶蹄類の家畜に接触した場合は、当該家畜を疑似患畜として殺処分し、その畜舎を消毒し、その後3週間は家畜の搬入及び人の出入りを行わないよう指導する。

(2)患畜と病性決定から過去7日以内に接触したことが明らかな偶蹄類の家畜は、疑似患畜として殺処分及び焼却又は埋却処分を行い、その畜舎を消毒し、その後3週間は家畜の搬入及び人の出入りを行わないよう指導する。

(3)その他(2)以外の家畜にあっては、接触の程度、経過日数その他参考となる事項を基に、衛生課と電話で協議し、処置する。

(4)患畜となるおそれのある家畜として隔離を指示したものについては、臨床症状の観察とともに、接触後の2週間を経た後に血清検査を実施し、感染の有無を判断する。

(5)殺処分の場合は別記様式5、隔離の場合は別記様式6の指示書を当該家畜の所有者に交付する。

X 移動の規制及び家畜集合施設の開設等の制限

 移動の規制及び家畜集合施設の開設等の制限は、移動制限地域と搬出制限地域に区分し、法第32条、第33条及び第34条により行うほか、発生地については、法第15条により通行の制限又は遮断を行う。

1 通行の制限又は遮断

(1)範囲

発生地及びその周辺に限定する。

(2)規制の期間

 72時間以内(応急的な防疫措置、すなわち、予備消毒、家畜の殺処分、その他病原体の散逸防止のための当面の措置が完了するまでの期間とするが、72時間を超えてはならない。)に限定する。

(3)規制の内容

 人及び物品を含めたすべてのものの移動、搬出及び搬入を制限する。通勤・通学、医療、生活必需品確保、郵便等のための人の通行については、適当な消毒等(靴底消毒、畜産関係者の着衣の消毒、通行路の制限等)の措置を行った上で認める場合を除き、不要不急の通行は禁止する。

(4)手続、標示等

 通行遮断の手続、標示等については、家畜伝染病予防法施行令(昭和28年政令第235号)第2条に基づき行うこととし、事前に市町村の協力を得る等、関係住民に対し、その概要及び必要性を説明するとともに、管轄の警察署長に対し周辺の混乱防止について協力を要請する。

2 移動制限地域

(1)地域の範囲

ア 原則として、発生地を中心として半径20km以内の地域とし、発生状況等から伝播力が弱いと判断される場合には、最小半径10km以内の範囲で衛生課と協議して定める。

イ 区域の設定は、最小行政単位(市町村)の区域、又は道路、河川、鉄道、その他境界を明示するのに適当なもので定める。

(2)規制の期間

 発生の確認後速やかに規制し、その規制時間は、原則として、最終発生例の殺処分完了後3週間までとする。この期間は、発生の推移に応じて増減する。

(3)規制の内容

ア 生きた偶蹄類の家畜の移動は禁止する。

イ 原則として、偶蹄類の家畜に関する次に掲げるものについては、病原体をひろげるおそれのある物品として移動を禁止する。

(ア)発生地及び患畜の発生するおそれの大きい近接農場で搾乳された生乳(ただし、陰性が確認された近接農場は除く。)。
(イ)使用された家畜管理用具、教科、飼料、糞尿等(ただし、敷料及び糞尿については、防疫員が当該農場の家畜に臨床的な異常がないことを確認し、かつ、環境保全上やむを得ないと認める場合は、その移動経過を記録の上、移動制限地域内の処理施設、畑地等へ移動することができる。)。
(ウ)家畜の死体(ただし、移動制限地域外で死亡したもの及び移動制限地域内で死亡したもののうち、Vの4の(2)及び(3)に掲げる方法で運搬されるものであって、防疫員が、当該家畜の飼養されていた農場の他の家畜に臨床的な異常がないことを確認し、かつ、環境保全上移動させることがやむを得ないと認めたものについては、移動制限地域内の処理施設に移動することができる。なお、移動制限地域内で死亡したものを移動する場合には、その移動の経過を記録するものとする。)。
(エ)移動制限地域内で採取された精液及び受精卵。

ウ と畜場及び家畜市場は閉鎖する。

エ 家畜人工授精は、中止する。ただし、家畜の所有者又はその雇用者が移動制限地域以外の家畜人工授精所で採取した精液を用いて行う場合は、この限りでない。

オ 新たな放牧は、中止する。

(4)規制の除外例

 原則として、規制後3週間は、例外を設けないこととするが、3週間経過後、次により例外を設けることができる。

ア 移動制限地域内のと畜場及び家畜市場の再開(発生地から半径5kmの地域内を除く。この場合には、家畜市場で取り扱う家畜は、その地域内のと畜場でと殺する目的のもののみとする。)。

イ 移動制限地域外からの偶蹄類の家畜の移入。

ウ 発生地から半径5kmより外の地域で移動制限地域外の家畜人工授精所で採取した精液を用いて行う人工授精の再開。

(5)移動制限地域内での指導事項

ア 偶蹄類の家畜飼養場所への畜産関係者の出入りの自粛及び入出場時の消毒。

イ 生乳輸送時の生乳輸送車の消毒、生乳タンク排気口の消毒薬で濡らした布による被覆、集乳ルートの検討(ウイルス散逸の危険の小さい地域から大きい地域)等のウイルス散逸防止措置及び集乳経路の記録。

ウ 飼料輸送時の輸送車の消毒、配送ルートの検討、飼料受渡し場所の制限等のウイルス散逸防止措置及び配送ルートの記録。

エ 獣医師が偶蹄類の家畜の診療を行う場合の最小限の器具及び薬品の携行、農場入出場時の身体、器具、車両等の消毒、消毒又は廃棄が容易な診療衣、診療器具等の着用・使用、診療車両の農場敷地内への乗入れ自粛等のウイルス散逸防止措置及び診療経路の記録。

オ 以上の指導事項の履行を容易にするための移動制限地域境界付近及び移動制限地域内における共同車両消毒施設の設置。

カ 生乳の家畜への利用中止。

キ 死亡獣畜取扱場、化製場及び食肉加工施設における入出場車両の消毒(なお、必要に応じ防疫員が施設に立ち入り、その履行状況を監視することで円滑な生産物の流通を確保する。)。

ク 野生動物と偶蹄類の家畜の接触が想定される地域にあっては、接触防止のための畜舎出入口の囲障の設置、放牧家畜の囲い込み等。

(6)その他

ア 移動制限地域については、その設置に関し、その都度関係機関に通知するとともに、報道機関等を通じて広報し、その境界の主要道路にその旨を標示する。

イ 規制の履行の監視及び共同車両消毒施設の円滑な運用を図るため、警察等の協力を得るほか、運送業者等への連絡を行う。

3 搬出制限地域

(1)地域の範囲

 原則として、移動制限地域に外接する発生地を中心として半径50km以内の地域で、発生状況等を踏まえ必要に応じ衛生課と協議して定める。区域の設定方法は、移動制限地域の場合に準ずる。

(2)規制の期間

 原則として、初発後3週間までの期間とする。

(3)規制及び指導の内容

ア 生きた偶蹄類の家畜の搬出制限地域以外への移動を禁止する。

イ 生きた偶蹄類の家畜の導入先において14日間以上けい留する(と畜される家畜を除く。)。

ウ と畜用以外の家畜を入場させる家畜市場の開催を中止する。

エ 共進会その他家畜を集合させる催物の開催を中止する。

オ 偶蹄類の家畜飼養場所への畜産関係者の出入りを自粛し、入出場時の消毒を励行し及びその実施を容易にするための共同車両消毒施設を設置する。

カ 生乳の家畜への給与を中止する。

(4)その他

ア 搬出制限地域については、その都度関係機関に通知するとともに、報道機関等を通じて広報し、その境界の主要道路にその旨を標示する。

イ 規制の履行の監視及び共同車両消毒施設の円滑な運用を図るため、警察等の協力を得るほか、運送業者等への連絡を行う。

Y 立入検査、血清疫学調査等

 関係県は、移動制限地域及び搬出制限地域内の偶蹄類の家畜の飼養場所、移動制限地域及び搬出制限地域から発生前21日以内に偶蹄類の家畜を導入した場所のほか、必要に応じ衛生課が指示した場所について、速やかに立入検査を行い又は診療獣医師の協力を得て、臨床上の異常の有無の確認、家畜の移動の有無等の疫学的調査を行うとともに、必要に応じ衛生課が指示する方法により血清疫学調査を実施する。

Z 予防注射

 予防注射については、実施が必要であると衛生課が判断し、指示した場合のみ実施する。

1 予防液及び注射関連資材の備蓄場所は、動物検疫所(横浜)、同神戸支所及び門司支所博多出張所とし、発生時に必要に応じて発生地域を含む関係県の施設等に移送する。

2 衛生課から予防注射を行う旨の連絡があった県は、免疫構成地帯や接種頭数について、衛生課と協議し決定する。

3 予防液及び注射関連資材は、法第49条に基づき該当県に譲与又は貸付する。該当県は、譲与又は貸付の申請書及び受領証(別記様式7)を農林水産大臣に提出する。

4 予防注射は、法第31条の規定に基づき実施することとし、原則として、免疫構成地帯から発生地側に向けて迅速かつ計画的に実施する。

5 予防注射を実施するに当たっては、譲与された予防液の用法及び用量に従い、対象動物の異常の有無及び発生地との関係を確認する。注射事故があった場合には、衛生課に連絡しその指示に従う。

6 予防注射を実施した家畜は、規則第13条の規定に基づき標識を付し、と畜場以外への移動を当分の間禁止することとし、その後の発生状況に応じその取扱いを衛生課で検討する。

7 予防注射実施後は、予防液使用報告書(別記様式8)を農林水産省生産局長に提出する。

[ 原因究明のための調査

 県畜産課及び衛生課は連携し、関係県、動物衛生研究所及び動物検疫所の協力を得て、W及びYの調査及び検査結果を基礎とし、家畜、人及び車両の移動、飼料の利用、物品の移動、渡り鳥及び野生動物との接触の可能性、気象条件等を網羅的に調査し、感染経路の究明に努める。

\ 防疫対策組織

1 現地対策本部(家畜保健衛生所)

(1)組織及び任務

ア 次に掲げる組織により防疫に当たることとする。

 本部長の下に次の各班を置くとともに、管内の市町村、関係機関及び団体による管内連絡会議を逐次開催し、防疫の円滑な推進を図る。
 総務班関係機関との連絡調整、管内連絡会議の開催、管内の防疫活動の計画・調整、現地で必要な人員・資材の確保、文書管理経理及び防疫資材の出納事務を行う。
 病性鑑定班届出、調査等により入手された情報により現地に急行し、検診する。また、病性鑑定のための採材、搬送等を行う。
 発生地班発生農場に常駐し、当面の防疫が一段落するまでの防疫措置(立入禁止、殺処分、消毒等)を指揮する。
 評価班殺処分家畜等の評価を行う。
検診班発生地周辺地域の緊急検診及び摘発検査を実施する。
追跡班発生家畜と関係のある家畜の疫学調査及び防疫上の指示を行う。
移動規制班移動の規制、と畜場・家畜市場等の監視、移動許可書の発行等制限地域内の防疫措置に係わる指導を行う。

イ 組織の運営に当たっては、次の事項に留意する。

(ア)業務の分担、責任区分及び指揮命令系統を明確にしておく。
(イ)現地対策本部の勤務時間は、原則としてヾ平常どおりとするが、当分の間は、宿日直を置き、毎日24 時間執務体制をとれるよう配慮する。
(ウ)現地対策本部要員の健康管理に十分留意する。
(エ)病性鑑定班及び評価班の班員は、同一日に発生地班に移動できるが、その他の班の班員は、同一日に他の班への配置換えを行わないものとする。

(2)準備事項

ア 専用電話、ファクシミリ及び携帯電話の準備。

イ 防疫衣等の消毒用具(ガス滅菌、薬液又は煮沸消毒)。

ウ 消毒用の薬品及び資材の準備。

エ 管内の関係機関、施設等のリスト(電話番号、ファクシミリ番号)。

オ 県一円及び管内の地図、道路地図、家畜の飼養状況等が記載された資料。

カ 防疫員用告知板。

キ 文書指示及び報告用の各種様式類。

ク その他事務用器材、用品等。

(3)活動要領

 各班の分担任務のうち、特に留意すべき事項は次のとおりとする。

ア 総務班

(ア)県対策本部及び管内関係団体・機関との連絡並びに管内関係者からの問い合わせの対応者を明確にし、連絡及び回答の概要は記録する。
なお、報道関係への対応は、原則として、県対策本部で行う。
(イ)県対策本部の指導の下、管内の防疫活動の計画及び調整を行い、その結果を、防疫員告知板を用いて本部内へ周知する。
(ウ)現地からの連絡を基に県対策本部と連携して、管内関係団体・機関の協力を得て、人員の確保及び派遣並びに資材の確保及び供給を行う。
(エ)次の庶務を行う。
・各種の文書報告、指示等の様式の作成及び発送
・備品の保管・借り出し及び借出台帳の管理・保管
・消耗品出納台帳の管理と出納事務
・防疫員、雇用した獣医師その他の勤務台帳の管理
・経理台帳の管理
 (オ)発生農場ごとの防疫措置状況(別記様式9)及び一覧表(別記様式10)を作成する。

イ 病性鑑定班

(ア)発生を疑う通報は直ちに別記様式1に記載し、待機中の班員を現地へ急行させる。その後の措置はTの1に準ずる。既に同地域で発生が確認され、県対策本部が開設されている場合は、特に必要がある場合を除き、直接県畜産課への通報を要しない。
(イ)病性を決定し、口蹄疫と決定した場合は、発生地班の任務にあたる。

ウ 発生地班

(ア)Vに基づいて行動するほか、毎日1回定時に現地対策本部に連絡する。
(イ)防疫員の農場への出入りは、殺処分、死体処置及び予備消毒が完了するまでの間、最小限とし、防疫員のうち最低1人は必ず現地に常駐する。
(ウ)発生地班の業務を終了した場合は、Vの8による消毒を行う。

エ 評価班

 あらかじめ、地区ごとに選定していた評価人を速やかに招集し、Vの2に基づき評価を行う。

オ 検診班

(ア)巡回による人為的なウイルスの伝播防止措置に特に留意する。
(イ)検診台帳(別記様式11)は毎日の業務終了時に本部長に提出するほか、異常を認めた場合は、別記様式2に記載して本部長に提出し、その判断を求める。
(ウ)口蹄疫のおそれのある家畜を発見した場合は、直ちにTの1の(7)に準じた措置をとり、電話で現地対策本部に通報する。
(エ)検診の途中、午前及び午後の各1回、定期的に現地対策本部と電話で連絡をとる。

カ 追跡班

(ア)発生農場と直接的又は間接的に関係した農場を調査し、別記様式12により記入し、毎日、本部長に提出する。
(イ)口蹄疫のおそれがある家畜を発見した場合は、Tの1の(7)に準じた措置をとり、電話で現地対策本部に通報する。

キ 移動規制班

(ア)移動規制は、管轄警察署の協力を得て、的確に実施する。
(イ)移動規制地域の標示を行う場合は、所轄市町村と十分に連絡する。
(ウ)移動の規制及び家畜集合施設の開設等の制限を設けるに当たっては、防疫員により措置判断が異なることがないよう、あらかじめ、適用例の内容等を十分に決定しておく。
(エ)規制地域内の生産者その他の関係者が行うべき防疫活動について、啓発するとともに、これら相互協力の指導等を行う。

2 県対策本部(都道府県)

 本部長の下に次の各班を置くとともに、関係部局を構成員とする庁内連絡会議を開催し、防疫の円滑な推進を図る。

総務班:防疫方針の策定、予算編成・執行、情勢分析、国、関係機関との連絡調整及び庁内連絡会議の開催を行う。
情報班:発生情報の防疫情報の授受及び収集、広報資料の作成、広報連絡及び問い合わせの対応を行う。
防疫指導班:現地調査、防疫措置の企画及び指導並びに発生原因その他の疫学調査を行う。
病性鑑定班:病性鑑定用材料の採取、同材料の受入れ及び送付並びに病性鑑定を行う。
防疫支援班:焼埋却消毒等防疫用の資機材の調達及び配布、防疫要員の動員、関連事業の調整及び機動力の確保を行う。
流通調査班:家畜、畜産物、飼料等流通状況の調査及び調整を行う。
庶務班:所要経費の確保、手当金等の支出に関する事務を行う。

3 中央対策本部(農林水産省)

 本部長の下に次の各班を置くとともに、防疫専門家で構成される防疫技術委員会を設置するほか、省内関係部局で構成する省内連絡会議の開催及び関係地方農政局との連携を通じて、円滑な防疫の推進を図る。また、動物衛生研究所に対しては、病性鑑定、疫学調査の実施、防疫措置に係わる援助等を行うための対策本部の設置を要請する。

総務班:防疫方針の企画及び決定、予算の編成及び執行、会議の開催、情勢分析、関係機関との連絡調整及び防疫技術委員会、省内連絡会議の開催を行う。
情報班:情報の授受及び収集、国民への周知並びに問い合わせの対応を行う。
防疫指導班:発生現地の調査、防疫措置の指導、病性鑑定に関する県及び動物衛生研究所との調整並びに疫学調査を行う。
防疫支援班:ワクチンの準備、消毒資材等の確保、防疫員の動員及び関係事業の調整を行う。
庶務班:予算の措置、手当金等の支出に関する事務を行う。

動物検疫所:輸出入検疫強化、防疫措置支援及び疫学調査支援を行う。
動物医薬品検査所:ワクチンの検査及び防疫措置の支援を行う。

第3章 附則

附−T 家畜の検査と主な病変

 以下、典型的な口蹄疫の症状に対応した検査と主な病変を示すが、ウイルス株のタイプによっては、鼻・口部のびらん、潰瘍等軽度の症状しか示さないことがあることにも留意し、症状の経過、群内での広がり、疫学調査結果等を踏まえ判断する必要がある。また、その判断に際しては、現地の臨床疫学的情報を充分に収集した上で衛生課及び動物衛生研究所と協議する。必要に応じてデジタルカメラ等を用いた通信画像も協議に活用する。

1 牛

潜伏期:通常2〜8日(1〜21日の範囲)

臨床症状:発熱、過度の流涎、岨しやく困難、急性の跛行、著明な一般状態の悪化。妊娠牛ではまれに流産がおこる。泌乳牛では乳量の減少がみられる。幼若牛は本病の特徴的な症状を示さず死亡することがある。老令牛では発生率は高いが、死亡率は2〜3%である。

検査法:異常畜及び同居畜の少なくとも10パーセントについて体温を測定する。側杵応用法及び鼻鉗子で牛を保定し、口腔の検査を行う。保定の際、ロープ又は鼻鉗子が病変を隠さないように注意する。滅菌済みの軍手等を使用して舌を引き出し、口がい、頬部、鼻中隔及び舌を検査する。乳房及び乳頭を同時に検査し、陰門の状態にも注意をはらう。蹄を検査するため必要に応じて牛を倒し、できれば検査前に蹄を洗ったほうがよい。圧痛に注意する。破裂していない水疱を見い出すには数多くの牛を検査することが必要である。

口腔の病変:水疱は発病後6〜8時間以内に現われ、通常24時間以内に破裂するので、破裂する以前の初期病変を見い出すことは容易ではない。30時間までは、上皮には灰白色の斑点があり、この上皮はたやすくはがれ、爛斑となる。病変の回復は非常に早い。発病後5日を過ぎると、最初の病変を見い出すことは困難となるが、2〜4週間後でも、瘢痕を見い出すことができるものもある。

蹄の病変:口腔の病変と同一時期に現われる。水疱は6時間目には明らかに認められ、10時間目までは数多くの水疱が趾間に発生する。水疱形成は広範囲に起こり、24〜30時間以内に破裂する。病変は蹄冠部にも存在する。蹄病変部には2次感染がしばしば起こるが、良好な状態のもとでは、回復は早い。蹄に手をふれると著明な疼痛症状を示す。

乳房の病変:水疱は12時間以内に乳頭、乳房に現れる。水疱は30時間以内に癒合し、破裂する。乳房及び乳頭では上皮が剥離し、爛斑となるが、回復は早い。

その他:子牛は、症状を示さず突然死亡することがあり、その場合水疱は死後検査により第一胃壁に発見される。

2 豚

潜伏期:通常2〜10日(1〜21日の範囲)

臨床症状:豚では、病変は蹄部に多く見られ、このため政行が最も気付きやすい。口腔粘膜及び鼻鏡の病変は非常に小さい。幼豚では、通常急性胃腸炎及び心筋の変性が起こる。感染子豚は哺乳を嫌い、弱くなり、元気消失し、悪臭を伴う下痢をする。子豚の死亡率は60パーセントにもおよぶことがある。成豚では跛行がひどく、歩くことを嫌う。

検査法:豚は通常、蹄の疼痛性病変により歩くことを嫌う。口腔を十分に検査するためには、麻酔を行う必要があり、ペントバルビタールナトリウムの耳静脈内又は腹腔内注射あるいは塩酸ケタミンの筋肉内注射を行う。豚開口器の使用は口腔粘膜及び舌の検査のためにはよい方法である。趾間を離しておくために包帯が使用される。病変部は、著明な圧痛がある。

口腔及び鼻鏡の病変:口腔、鼻鏡に形成される水疱は一般的に小さいものが多いが、ウイルス株によっては大きな水疱を形成する。水疱は上皮が破裂後痂皮ができ、通常1〜2週間で回復する。

蹄の病変:水疱は蹄の趾間、蹄冠部に現われ、そのほか中手骨(腕前骨)の部位にも現れる。水疱は、通常24時間以内に破裂し、蹄のはくりが起こり、しばしば完全に蹄が脱落する。蹄の再生は早く数週間で回復するが、落蹄等を伴う重症例では起立や歩行が困難で廃用となるものもある。

附−U 病性鑑定用材料の採取と送り方

1 水疱材料が得られる場合

(1)材料:水疱上皮1g以上(異常畜の舌又は口内のものが最良であるが、蹄部のものでもよい。水疱上皮は新鮮な破裂前のものが望ましく、同一群であれば複数頭から集めてもよい。発病当日のものであれば理想的である。)

(2)水疱上皮の保存液:0.04Mのリン酸緩衝液とグリセリン液を等量混和し、pH7.2〜7.6に調整する。

(3)材料の処理:病性鑑定材料を保存液に入れた送付容器に入れ、密栓し、容器の外側は4%炭酸ソーダ液で消毒し、破損や水漏れがないよう更に包装を厳重にして、氷を入れた容器に収めて運搬する。

2 水疱材料が得られない場合

(1)材料:プロバング、病変部ぬぐい液等(水疱材料が得られない場合には、プロバングテストによる食道咽頭粘液、病変部拭い液又は扁桃拭い液等を採取する。プロバングについては、採取後広口びんに入れ、性状を観察し細胞成分が含まれていることを確認する。胃内容物や血液が混入した場合には、水又は緩衝液で口腔を洗浄し再度採取する。)

(2)食道咽頭粘液の保存液:0.08Mのリン酸緩衝液に牛血清アルブミン0.01%、フェノールレッド0.002%、抗菌性物質(ペニシリン1,000単位、ストレプトマイシン1,000μg/ml、フアンギソン2.5μg/ml)を添加し、pH7.2〜7.6の範囲に調製する。

(3)材料の処理:食道咽頭粘液は、採取後直ちにその2mlを等量の保存液が入った送付容器に入れて混和密栓する。容器の外側は4%炭酸ナトリウム溶液で消毒し、ドライアイス又は液体窒素により急速凍結する。病変部拭い液又は扁桃拭い液の綿棒等で採取した拭い液は、綿棒等が確実に浸る量の細胞培養液(pHは中性に調製)を入れた送付容器に綿棒等のままつけ込み、密栓して外側を4%炭酸ナトリウム溶液で消毒し、ドライアイス又は液体窒素により急速凍結する。凍結した材料は、ドライアイスを詰めた運搬容器等を用いて、解凍させない状態で、動物衛生研究所(海外病研究部:東京都小平市)まで運搬する。

3 血液採取

 患畜及び同居動物から採血する。

4 材料の運搬

 動物衛生研究所への運搬は、事前に連絡のうえ、直接連絡員が持参する。空輸等最も早く確実な運搬方法を選ぶ。検査材料には必ず調書(別記様式2)を添付する。

附−V 動物衛生研究所の行う病性鑑定

国際獣疫事務局(OIE)の定める口蹄疫の診断方法に基づき、動物衛生研究所において次の検査を実施する。

1 ウイルス学的検査

(1)ウイルス分離:材料を、組織培養(初代牛腎細胞、初代豚腎細胞、IB-RS2細胞、BHK-21細胞等から発病動物種を勘案して選択)又は乳のみマウスに接種する。細胞変性効果(CPE)又は発病死亡がみられない場合は継代培養する。

(2)抗原検出ELISA法又は補体結合反応:病変組織乳剤、水疱液、プロバング材料(被検材料を接種し、CPEを起こした培養液又は発症した乳のみマウスの筋肉乳剤を用いる場合もある。)

(3)RT-PCR検査

2 血清学的検査

 必要に応じて特異的な抗体を検出するためELISA又は中和試験を実施する。

(1)血清は常法により採取し、密栓試験管に入ったまま凝固させる。いかなる血液凝固防止剤(ヘパリン等)も用いないこと。

(2)外側を4%炭酸ソーダ液で消毒し、破損しないように包装を厳重にして、容器に納めて、保冷(非凍結)して運搬する。

3 その他

 必要に応じ、水胞性口炎又は豚水胞病等の口蹄疫類似疾病の検査を実施する。

附−W 口蹄疫以外の海外悪性伝染病における本要領の準用

 口蹄疫防疫要領の策定に伴い、海外悪性伝染病防疫要領(昭和50年9月16日付け50畜A第3483号農林水産省畜産局長通知)は廃止するとともに、口蹄疫以外の海外悪性伝染病については、個別の防疫要領が策定されるまでの間、本要領に準じて対応することとすることとする。

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別記[様式1]

不明疾病の発生届出(記録用)
                              ○○家畜保健衛生所

1 届出受理年月日時間:  年 月 日 時 分

2 届出者
  氏  名:                       (職業:      )
  住  所:                       (電話番号:    )

3 発生農家
  住  所:                       (電話番号:    )
  所有者氏名:

4 届出事項
  (乳牛、肉牛、豚等の畜種別、繁殖、育成又は肥育等の用途別に聞き取る)
  飼養頭数:
  うち異常頭数:
5 およその症状、病歴:

6 すでにとった応急措置:

7 その他関連事項(疫学、耳標番号等〕:

8 届出者への指示事項:

9 届出受理者氏名:

10 処置
(1)通報(時間)
   所長:          県畜産主務課:
(2)現地調査
   氏名:          出発時間:


[様式2]

不明疾病、現地調査表(電話報告用)
                ○○家畜保健衛生所
発生No.

1 報告者
  氏名:            年月日:  年 月 日 時 分
2 家畜所有者
  氏名:
  住所:                       (電話番号:      )
  畜舎の所在場所(家畜所有者の住所と異なる場合):
3 現地調査の時間:  年  月  日  時  分
4 飼養頭数:
  (乳牛、肉牛、豚等の畜種別、繁殖、育成又は肥育等の用途別に報告する)
5 病畜頭数(畜種別、用途別、耳標番号):
6 病歴、症状、病変の大要:
7 診断:
8 病鑑材料の採取※:ウイルス用(部位、検体数)、その他(部位、検体数)
9 当面の措置状況:
  出入口の閉鎖、家畜の繋留、消毒槽の設置、排水口閉鎖、その他(  )
10 過去21日間の当該農場における家畜の移動:
  移出                              
  移入
11 給与飼料の種類、産地:
12 残渣物給与の有無、内容:
13 最近の海外渡航者の有無:無・有(国名、渡航目的            )
  〃  海外からの物品の有無:無・有(国名、品名            )
14 過去7日間に接触した者の有無:立ち入った獣医師、家畜人工授精師、削蹄師、家畜商等
15 畜主の管理する他の畜舎:(所在地、畜種用途別飼養頭数)
16 付近の畜産農家の有無:
17 生乳:集乳所の所在地               出荷先
18 発生の原因※:
19 殺処分予定頭数※:
  死体処分方法:焼却、埋却、その他(                )
20 その他参考となる事項:
  県畜産課からの指示事項:
   (                )

 (注)診断が陰性の場合は、※印は記入の必要なし


[様式3]
プレス・リリース (例)

                           平成   年   月  日   時
                           生 産 局 畜 産 部 衛 生 課
                          [○  ○  県 ○  ○ 課]

口蹄疫の(疑似)患畜の確認について

 悪性の家畜伝染病である「口蹄疫」の(疑似)患畜が○○県[県内]で確認された。

1 発生場所
  ○○県○○市○○に所在する(飼養形態)農家(飼養頭数○○頭)

2 確認の経過
(1)○○月〇○日、○○から○○である旨、○○家畜保健衛生所に通報。
(2)同日、○○家畜保健衛生所の家畜防疫員が現地調査を行うとともに、独立行政法人農業技術研究機構動物衛生研究所に病性鑑定材料を送付した。
(3)現地調査では、約○○頭の○○に○○、○○等口蹄疫を疑う症状が見られ、また○○月○○日、動物衛生研究所の○○検査及び○○検査で陽性となったことから、口蹄疫の(疑似)患畜と確認した。

3 当面の措置
 家畜伝染病予防法及びこれに基づく防疫要領に沿って、
(1)確認農場においては、○○及び○○等を実施。
(2)確認農場の周囲半径○○km以内を移動禁止地域、○○km以内を搬出制限地域として家畜の移動禁止、家畜市場の閉鎖等を実施。
(3)周辺農場及び関連農場の立入検査等を実施。
(4)現地家畜保健衛生所、○○県庁及び農林水産省生産局畜産部にそれぞれ口蹄疫防疫対策本部を設置。

4 その他
(1)口蹄疫は人に感染することはなく、また、感染牛の乳肉が市場に出回ることはありませんが、仮に感染牛の乳肉を摂取しても人体に影響はありません。
(2)今後、報道機関には発生状況や防疫対策の進捗状況について適時情報提供に努めることとしますので、生産者等の関係者が根拠のない噂などにより混乱することがないよう、ご協力をお願い敦します。

                                                  問い合わせ先
○○○○○○○
電話番号:
担当者:  


(参考)

口 蹄 疫 と は

1 原因(病原体)
  口蹄疫ウイルス(Picornaviridae Aphthovirus)

2 感受性動物
  牛、水牛、めん羊、山羊、豚、しか、いのしし

3 症状
  突然40〜41℃の発熱、元気消失に陥ると同時に多量の流涎(よだれ)がみられ、口、蹄、乳頭等に水疱やびらんを形成し、食欲不振、跛行(足をひきずる)を呈する。
 乳牛では泌乳停止。

4 潜伏期間
  牛では通常2〜8日(1〜21日の範囲)

5 伝播様式
 感染動物との接触(飛沫感染)、感染動物の生産物、汚染物品等により伝播

6 発生状況
(1)国内
  1908年(明治41年) 東京,神奈川,兵庫,新潟 522頭
  2000年(平成12年) 宮崎、北海道 4戸患畜・疑似患畜740頭
(2)外国
   アジア,アフリカ,中南米、ヨーロッパ他

7 診断法
(1)水疱材料等からのウイルス分離、ウイルス抗原の検出を行う。
(2)臨床検査とあわせて、血清学的検査により抗体の確認を行う。

8 予防準
 常在地等を除き発症牛の淘汰による清浄化を推進するとともに、緊急接種用の不活化ワクチンを備蓄。我が国では厳重な検疫を実施(発生国からの畜産物等の輸入禁止措置等)。

9 治療法
(1)なし。
(2)発生した場合は、家畜伝染病予防法に基づき、まん延防止のためと殺が義務づけられている。


[様式4]

口蹄疫発生現地防疫対策本部開設の通知

(文例)

 家畜の伝染病でもっとも恐れられる口蹄疫が発生し、県では下記に現地防疫対策本部を設けました。
 畜産農家や関係者の方々は、次のことに注意して下さい。

1 元気がなく、飼料をたべず、乳量が減り、よだれを出し、肢が痛そうな歩きかたをする牛、めん羊、山羊、豚、水牛、しか、いのししはこの病気にかかっているおそれがありますので、すぐ現地防疫対策本部に通報して下さい。

2 発生地域周辺は、法に基づき家畜の移動などが制限されています。主な制限内容と対象地域は次のとおりです。

  移動制限地域
   牛、豚、めん羊、山羊等の移動禁止
   敷料、糞尿等汚染したおそれのある物の移動禁止
   と畜場、家畜市場の閉鎖
   人工授精の禁止
   ○○市、○○町・・・・・

  搬出制限地域
   牛、豚、めん羊、山羊等の地域外への移動禁止
   と畜用以外の家畜市場の閉鎖
   ○○市、○○町・・・・・

3 農場への不要な人、車の出入りは避け、農場の入出場時には、靴、衣服、車の消毒を励行して下さい。なお、以下の地点に共同車両消毒施設を設置し、関係車両の消毒を行っています。
  ○○町国道○号線〇〇、・・・・・・

  この病気は伝染がはげしいので、早く届けて処置をしないと思わぬ地域までひろがることがあります。
 不審な点があれば現地防疫対策本部に問い合わせて下さい。

                              口蹄疫現地防疫対策本部
                              (〇〇家畜保健衛生所内)
                              電話:          
                              夜間連絡も上記で受け付けます。


[様式5]

と 殺 指 示 書

  番   号
                            年   月   日

○○ 殿

                                      ○○家畜保健衛生所
                                     家畜防疫員 〇〇 印

 あなたが所有する(管理する)次の家畜は、口蹄疫の患畜(疑似患畜)と決定されたので、家畜伝染病予防法第16条の規定に基づき、下記によりと殺することを指示する。

家畜の所在する場所

家畜の種類、頭数、耳標番号

                     記

1 と殺を行う場所

2 と殺の方法

3 その他

備 考
1 この指示については行政不服審査法(昭和37年法律第160号)による不服申立てをすることはできません。
2 この指示に違反し冬場合は、3年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられます。
3 この指示によりと殺された家畜については家畜伝染病予防法第58条の規定により手当金が交付されます。


[様式6]
(表 面)

家 畜 隔 離 の 指 示 書

                                     番   号
                                     年 月 日

○○殿

                                  ○○家畜保健衛生所
                                    家畜防疫員 〇〇 印

 あなたが所有(管理)する下記の家畜は、口蹄疫となるおそれがあると認められるので、家畜伝染病予防法第14条第3項の規定により、別途通知するまで隔離を行うことを指示する。

 家畜の所在する場所
 家畜の種類、頭数、耳標番号

備 考
1 隔離の方法等は裏面を参照下さい。
2 この指示については、行政不服審査法(昭和37年法律第160号)による不服申立てをすることはできません。
3 この指示に違反した場合は、30万円以下の罰金に処せられます。

(注)指示書は正副4部作成し、それぞれに被指示者の捺印をとり、正を被指示者に、副を所轄家畜保健衛生所長、警察署長にそれぞれ送付する。

 (裏 面)

隔離に当たっての注意事項

1 家畜の搬出入は、家畜防疫員の許可する場合を除いて、行ってはならない。
2 飼料、敷料、家畜管理用具等病原体に汚染したおそれのある物を持ち出してはならない。
3 家畜の管理者及び家畜防疫員以外の者は畜舎に立ち入ってはならない。
4 あなた及びあなたと同居する人は、他の家畜を飼養する場所に立ち入ってはならない。
5 家畜の生産物は、家畜防疫員の許可する場合を除いて、持ち出してはならない。
6 畜舎又は放牧場の出入口は1カ所のみとし、消毒槽を設けること。
7 あなた及びあなたと同居する人が外出する場合は、手足、衣服を消毒すること。


[様式7]

受    領    書

                                平成  年  月  日

分任物品管理官              殿
動物検疫所神戸支所長

都道府県知事 氏 名        印

 平成  年  月  日付け農林水産省指令  生畜第   号口蹄疫予防液使用及び譲与指令書に基づき、下記の物品を正に受領いたしました。

                       記

品  名  口蹄疫予防液
数  量  型(ロット番号)    本(  ドーズ)


[様式8]

口 蹄 疫 予 防 液 使 用 報 告 書

                                  平成 年 月 日

生 産 局 長  殿                             

                 都道府県知事  氏 名

 平成  年  月  日に譲与を受けた口蹄疫予防液の使用について、口蹄疫防疫要領(平成○年○月○日付け○生畜第○号生産局長通知)第2章のWに基づき、下記の通り報告いたします。

1 数 量           型(ロット番号)
                本( ドーズ)

2 注射実施状況

実施市町村名 実施時期 注射頭数   備   考
(注射反応、耳標番号等)
家畜の種類  頭  数
    月   日
  〜
  月  日
乳用牛
肉用牛

その他
   
         
県 計   月  日
  〜
  月  日
乳用牛
肉用牛

その他
   

※ 家畜保健衛生所において、住所、農場、使用者、接種畜リスト(個体番号)等について記載した個票を備えておくこと。


[様式9]

発生農家の防疫措置状況

       発生No.   

1 飼養者の住所氏名:
                                                     電話番号(     )
2 畜舎の所在場所:
3 届出者、届出月日:
4 現地立入実施者:
5 病性鑑定材料送付:送付材料       送付月日
6 病性鑑定成績:
7 病性決定月日:
8 推定発生原因:
9 診断書作成者:
10 現地防疫措置担当者氏名:
11 殺処分の指示月日:
12 殺処分、汚染物品処理
(1)殺処分、焼埋却:

畜種・用途 飼育頭数 と殺頭数 病変頭数 処理方法 処理月日 備 考
             

(2)汚染物品焼埋却:

物品名 数量 処理方法 処理月日 備 考
         

(3)評価人氏名:
(4)評価額:家畜    円  物品    円
13 消毒完了日:
14 再消毒指示月日:
15 手当金等申請:
  申請月日: 月 日
 ・殺 手 当:     円 ・棄却物品手当:    円
 ・焼却、埋却費:    円 ・評価人手当等:    円
16 その他特記事項:


[様式10]

防 疫 措 置 一 覧

発生No. 住所氏名 決定月日 と殺月日 と殺頭数 手当金額 消毒完了月日 防  疫担当者名 再消毒
月 日
解除月日 備考
(耳標番号等)
 

 

 

 

                   

[様式11]

検 診 台 帳(パトロール)

本部記入用

                                         ○○防疫対策本部
                                         防疫員氏名 ○○

1 検査月日

2 検診の理由       (発生No.    との関連)

3 市町村名

住   所 氏  名 飼 養 頭 数 検査 採血頭数 疫学関連事項その他
乳用牛 肉用牛 その他
 

 

 

 

 

             

注:検査欄には、全頭検査の場合は○、部分検査は△、異常を認めたものは×とし、部分検査の場合はその理由及び検査頭数を「疫学関連事項その他」に記入する。異常を認めたものについては様式2の事項を電話報告をする。


[様式12]

追 跡 調 査 表

                                     ○○防疫対策本部
                                     防疫員氏名 ○○

1 検査月日

2 所有者住所氏名 <畜舎の所在>

3 追跡の理由 (発生No.   に関連した)
 近隣、家畜移動、獣医師、人工授精師、飼料、生乳、人の移動

4 検査

  飼 養 頭 数 検 査 頭 数 備    考
外   見

個   体

成牛
子牛
水牛

めん・山羊
       

※ 全頭数を検査しない場合はその理由

5 検査所見

6 講じた措置(隔離の指示等)

7 その他参考となる事項 

注:異常を認めたものは、様式2に記入し、電話報告する。


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