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牛海綿状脳症(BSE)検査対応マニュアル

                        平成13年10月18日作成  
                        平成14年11月29日一部改正
                        平成15年3月28日一部改正 
                        平成15年6月25日一部改正 

T 目的
  このマニュアルは、牛海綿状脳症(以下「BSE」という)が国内に発生したことを受けて、牛海綿状脳症対策特別措置法(平成14年法律第70号。以下「BSE 特措法」という。」)、家畜伝染病予防法(昭和26年法律第166号。以下法という。)及びBSE 特措法第4条第1項の規定に基づく牛海綿状脳症対策基本計画に基づき、都道府県(以下「県」という。)が行うBSEの検査(と畜場における検査を除く。)及び発生時の対応を迅速かつ的確に実施することを目的とする。

U 病性決定までの措置

1 異常牛等の届出等
(1)家畜の所有者、管理者、獣医師等は、農場段階において治療に反応せず「性格の変化」、「音、光、接触等に対する神経過敏」、「頭を低くし柵等に押しつける動作を繰り返す」若しくは「歩様異常又は後躯麻痺」という進行性の臨床症状(以下「特定臨床症状」という。)を呈した牛(以下「異常牛」という)又はと畜場における生体検査で奇声、旋回等の行動異常、運動失調等の神経症状等により、と殺・解体禁止となった牛を発見した時は、その旨の届出を家畜保健衛生所長(以下「所長」という。)に行う。

(2)(1)の届出を受けた所長は、法第51条に基づき家畜防疫員が立入検査を行った後、届出事項(別記様式1)を正確に記録した上で、遅滞なく県畜産主務課に報告し、県畜産主務課は、農林水産省生産局畜産部衛生課(以下「衛生課」という。) に報告する。

(3)家畜保健衛生所(以下「家保」という。)は、(2)による立入検査若しくは家畜防疫員(以下「防疫員」という。)が行うその他の検査により、異常牛と判断された場合又は家畜防疫員が経過観察が必要と認めた牛について、BSE の患畜となるおそれがあるものとして21日間を超えない範囲内で法第14条第3項に規定する移動の制限の指示を行い、臨床症状を確認し、異常牛と判断された場合は、法第2条第2項に規定する疑似患畜として病性鑑定を行う。
 また、立入検査等に当たって、特定臨床症状が確認された牛の死体が確認された場合も、病性鑑定を行う。
 なお、BSE が否定された場合であっても、必要に応じて類症鑑別を行う。

(4)BSE の症状が確認できないような全身症状を呈するものであって、敗血症、高度の黄疸等の理由によりと殺・解体禁止となった牛について、県食品衛生主務課から通報を受けた場合は、必要に応じて家保の監視下による移動の制限を実施し、特定臨床症状を確認する。防疫員は、とう汰処分される24か月齢以上の牛が必ずBSE 検査を受け、陰性のもの以外が肉骨粉処理等に供されないことを確認する。

(5)県畜産主務課は、獣医師等関係者に対し、特定臨床症状、ヘモフィルス・ソムナス感染症、大脳皮質壊死症、ダウナー症候群等が疑われるものを含めた中枢神経症状を呈した牛及び起立困難又は起立不能を示し原因が特定できない牛を確認した場合には、速やかに家保に連絡するよう周知し、生産段階におけるBSE 検査の適切な実施についての協力を求めるものとする。

2 死亡牛の届出等
(1)届出の方法等
 県知事は、死亡牛を的確に把握及び処理するため、次のア及びイの事項について関係者に周知及び協力を依頼する。

ア 24か月齢以上の牛が死亡したときは、当該牛の死体を検案した獣医師(獣医師による検案を受けていない牛の死体については、その所有者)は、BSE 特措法第6条第1項に基づき、当該牛の死体の所在地を管轄する県知事へ文書又は口頭で遅滞なく届出を行う。

イ 死亡牛の運搬及び処理を行う者が、当該牛の届出及びBSE 検査が適切に行われていることを確認するため、。当該牛の死体の所有者等との連絡及び連携の強化を図る

(2)届出事項の報告
 県畜産主務課は、毎月20日までに前月の死亡牛届出状況(別記様式4)について衛生課に報告するものとする。

3 サーベイランスの実施
 家保は、生産段階におけるBSE の発生の確認のため、以下の牛を対象としてサーベイランスを行うものとし、BSE 検査を実施した場合には、衛生課あて別記様式3により報告する。

(1)Vの1の(2)の規定により疑似患畜とされた牛(疑似患畜と決定する以前に病性鑑定を行った牛も含む。)

(2)BSE を疑う中枢神経症状等を呈した牛

ア Uの1の(1)の規定により異常牛と判断され、疑似患畜とされた牛

イ と畜場における生体検査で奇声、旋回等の行動異常、運動失調等の神経症状等により、と殺・解体禁止となり、死亡し又はとう汰された牛

(3)BSE 特措法第6条第2項の規定により、BSE 検査を受けることとされた死亡牛((2)のイに該当するものを除く。)
 なお、当該牛の実態を正確に把握する必要があるため、次のアからウまでのいずれかの区分を別記様式3に記載するものとする。

ア ヘモフィルス・ソムナス感染症、大脳皮質壊死症、ダウナー症候群等が疑われるものを含めた中枢神経症状を呈した牛及び起立困難又は起立不能で原因が特定できない牛で上記(2)のア以外のもの

イ と畜場における生体検査で上記(2)のイ以外の理由により、と殺・解体禁止となり、死亡し又はとう汰された牛

ウ (1)、(2)並びに(3)のア及びイ以外の牛であって死亡し又はとう汰されたもの

注)BSE 特措法第6条第1項及び牛海綿状脳症特別措置法施行規則(平成14年農林水産省令第58号。以下「。BSE 特措法施行規則」という)第2条により届出が除外される死亡牛(と畜場でと殺された場合を除く。以下同じ。)についても、法第16条の規定によりと殺された場合及び防疫員が病原体を散逸させるおそれがあると判断した場合を除き、原則としてBSE 検査を実施するものとする。

(4)その他
 (1)、(2)及び(3)以外の牛であって防疫員が必要と認めたもの。具体的には24か月齢未満のものであって、(3)のアからウまでのいずれかの条件に該当する牛等。

4 と畜場への出荷牛
 と畜場への出荷者に対し、防疫措置を的確かつ迅速に実施するため、と畜場法施行規則(昭和28年厚生省令第44号)第5条第1項に規定すると畜検査申請書の提出に当たっては、以下のとおり指導することとする。

(1)検査を受けようとする牛の出荷者及び飼養者の氏名、住所等について、当該牛が万一患畜となった場合に速やかに出荷農場が特定できるような内容について申告すること。

(2)あらかじめ子牛登記証明書[(社)全国和牛登録協会〕、血統登録証明書[(社)日本ホルスタイン登録協会]の写し(これらの書面が入手できない場合は、これに代わる個体情報(「家畜個体識別システムの構築に係る基本方針」の策定とシステムの構築について」(平成13年10月31日付け13生畜第4203号農林水産省生産局畜産部長通知)に基づく個体識別番号、名号及び農場名等)の記載された書面)等申請に係る牛の個体情報が確認可能な書面を添付すること。

5 検査及び連絡体制
(1)検査体制

ア 家畜保健衛生所
(ア)家保は、「牛海綿状脳症検査に係る解剖及び採材方法」(別添1)により解剖及び採材し、エライザ検査(スクリーニング)を実施する。当該検査の結果、陽性の場合には、独立行政法人農業技術研究機構動物衛生研究所(以下「動物衛生研究所」という。)に検体材料を送付する。

(イ)死亡牛については、あらかじめ次の事項に留意して必要な管理等の手順を定めるものとする。ただし、県畜産主務課が、あらかじめ衛生課と協議した場合にあっては、この限りでない。

@ 施設の要件

a 死亡牛のストックポイント、( 検査材料採材施設及びこれらに附帯する施設以下「ストックポイント等」という。) 、は他の場所と明確に区分されていること。

b ストックポイント等は、洗浄及び消毒が可能な構造及び設備となっていること。

c 廃水及び廃棄物は必要に応じて消毒が行える構造及び設備となっていること。

d 作業員及び作業車輌の消毒のための設備を備えていること。

e 病原体の散逸を防ぐための措置を適切に講じることができること。

A 管理等の手順

a 防疫員又は県が指定する者(以下「防疫員等」という。)は、保管場所において検査対象牛の死体と届出事項を確認し、採材を行い、検査中の適切な管理について自ら行うとともに、関係者に対して必要な指示を行うこと。また、患畜の研究利用を促進するため、家保におけるBSE 検査が陽性となった時点で頭部を直ちに冷凍保存する等の必要な措置を講ずるよう努めること。

b 採材及び保管に際しては、病原体の散逸防止のため、保管、洗浄、汚水の消毒等を適切に実施すること。

c 防疫員等は、検査終了後の死亡牛に検査済みの標識等を行い、当該標識等の付されたもののみが保管場所から搬出、処理されるよう措置すること(BSE の感染が確認された場合は直ちにVに基づく措置をとること。)。

d 検査済みの死亡牛の移送、肉骨粉処理若しくは化製場等に関する法律(昭和23年法律第140号)に基づく埋却若しくは焼却、又は肉骨粉の焼却等が適切に行われ、かつ、確実に確認できること。

e これらの措置が確実にとられたことを記録として残し、個体ごとに確認できること。

f その他防疫員等が必要と認めた事項に関すること。

イ 動物衛生研究所
 家保から送付されてきた検体材料については、原則としてウエスタンブロット法及び免疫組織化学的検査により確定検査を実施する。また、必要に応じて、確定診断のための「牛海綿状脳症(BSE)に関する技術検討会」を開催する。

(2)検査手法及び診断
 家畜伝染病予防法施行規則(昭和26年農林省令第35号)別表第1及び別添2 「BSE 検査チャート」により実施するものとする。

(3)死亡牛検査の実施状況の報告等
ア 所長は、死亡牛検査の実施状況を取りまとめ、県畜産主務課に報告し、県畜産主務課は所長からの報告を別記様式4により取りまとめ、毎月20日までに前月分を衛生課へ報告するものとする。

イ 特措法第6条第1項及びBSE 特措法施行規則第2条により届出が除外される死亡牛のBSE 検査結果については、法第4条第1項、第4条の2第1項及び第13 条第1項に基づくものは県知事へ、その他のものは衛生課へ報告するものとする。

6 患畜決定までの連絡及び通報体制
(1)異常牛等の届出があった場合

ア 家畜の所有者、獣医師等から異常牛等の届出を受けた所長は、直ちに、当該県畜産主務課(以下「検査県畜産主務課」という。)に連絡するとともに、異常牛と判断された場合は病性鑑定(エライザ検査)を実施し、異常牛が飼養されていた農場等における防疫措置(移動の自粛等、と畜場由来のものは出荷農場の特定等)に着手する。
 なお、出荷農場が当該県外であることが確認された場合には、出荷農場が所在する県の畜産主務課(以下「出荷県畜産主務課」という。)に連絡し、連絡を受けた出荷県畜産主務課は、直ちに、出荷農場の特定等を行うとともに出荷農場における防疫措置(移動の自粛、疫学調査等)に着手する。

イ 家保は、病性鑑定(エライザ検査)の結果が陽性であった場合には、検査県畜産主務課に連絡する。連絡を受けた検査県畜産主務課は、直ちに、県食品衛生主務課、出荷県畜産主務課及び衛生課に連絡するとともに、動物衛生研究所へ確定検査の依頼(病性鑑定依頼書、別記様式2、3)を行う。出荷県畜産主務課は、引き続き出荷農場における防疫措置(移動の自粛、疫学調査等)を実施する。

ウ 動物衛生研究所は、確定検査の結果を衛生課及び検査県畜産主務課に連絡する。連絡を受けた検査県畜産主務課は、検査県食品衛生主務課及び出荷県畜産主務課へ、衛生課は、出荷県畜産主務課及び厚生労働省へこの旨を連絡する。また、BSE と診断された場合は、確定診断の結果を公表する。県は、家保、市町村、団体等との連携を密にし、現地の防疫措置を強化する。

(2)サーベイランス検査の場合

ア 家保は、エライザ検査の結果が陽性となった場合には、検査県畜産主務課に連絡する。連絡を受けた検査県畜産主務課は、県食品衛生主務課、出荷県畜産主務課及び衛生課に連絡するとともに、 動物衛生研究所へ確定検査の依頼(病性鑑定依頼書、別記様式2、3)を行う。

イ 衛生課は、厚生労働省及び出荷県畜産主務課に陽性結果を連絡する。連絡を受けた出荷県畜産主務課は、出荷農場における防疫措置(移動の自粛、疫学調査等)に着手する。

ウ 動物衛生研究所は、確定検査の結果を衛生課及び検査県畜産主務課に連絡する。連絡を受けた検査県畜産主務課は、、検査県食品衛生主務課及び出荷県畜産主務課へ衛生課は、出荷県畜産主務課及び厚生労働省へこの旨を連絡する。また、BSE と診断された場合は、確定診断の結果を公表する。県は、家保、市町村、団体等との連携を密にし、現地の防疫措置を強化する。

(3)と畜検査における場合

ア 検査県畜産主務課は、検査県食品衛生主務課からと畜検査(エライザ検査)での陽性結果及び出荷県等について連絡を受けた場合は、直ちに衛生課及び出荷県畜産主務課に連絡する。

イ 出荷県畜産主務課は、直ちに出荷農場の特定等を行うとともに、出荷農場における防疫措置(移動の自粛、疫学調査等)に着手する。衛生課は、出荷県畜産主務課に陽性結果を連絡するとともに、出荷農場の特定状況等を確認する。

ウ 厚生労働省から確認検査の結果について連絡を受けた衛生課は、速やかに検査県及び出荷県畜産主務課にその結果を連絡する。また、確定診断の結果、BSE と診断された場合は、同様にその結果を連絡するとともに、その結果を厚生労働省と連携して公表する。県は、家保、市町村、団体等との連携を密にし、現地の防疫措置を強化する。

《両省の連絡・通報体制のフローチャート》

1異常牛等の届出等について(pdf)

2 サーベイランス体制等について(pdf)

3 と畜検査(解体後検査)について(pdf)

V 発生時の対応

1 患畜、疑似患畜の範囲
(1)患畜
  家保によるBSE 検査又はと畜検査員によると畜検査の結果、陽性と確定診断された牛は患畜とする。ただし、と畜検査により確定診断された牛については、法第58条の手当金の対象にはならない。

(2)疑似患畜
ア 患畜との同居歴等から疫学的な関連性が高いと判断される次の牛については、疑似患畜とする。

(ア) 当該牛が1歳になるまでの間に、生後12か月以内の患畜と同居したことがあり、患畜と同じ飼料を給与された牛。ただし、飼料の給与歴についての調査結果が得られない場合は、患畜の生まれた農場(牛群)において、患畜が生まれた日の前後12か月の間に生まれた牛。

(イ) 患畜が発病する前2年間以内及び発病後に患畜から生まれた産子。

イ 家保によるBSE 検査又はと畜検査員によると畜検査の結果、陽性とも陰性とも確定診断することができない牛については、疑似患畜とする。

2 患畜発生農場等における措置
(1)防疫員のうち、現場を総括することが可能な総括責任者を定め、それぞれの業務分担及び指揮命令系統を明らかにして、現地の防疫員による措置をとる。

(2)防疫員は、同居牛の隔離等の家畜防疫上の指示を行うとともに、体系的な疫学調査を進める。疑似患畜については、順次、殺処分を行い病性鑑定を行うとともに死体は必ず焼却する。

(3)同居歴により疫学的な関連性がある牛(疑似患畜を除く。)及び中枢神経症状等から患畜となるおそれがある牛については、家保の監視下により移動の制限(法第14条第3項)を行い、特定臨床症状が確認された場合は病性鑑定を実施する。特定臨床症状が確認されなかった場合には、移動の制限の期間が終了した後は通常の取扱いとする。

(4)防疫員は、個体ごとの疫学情報等を収集し、原因究明等の防疫措置を講ずることとし、次のチェックリストを参考に患畜の発生農場、導入元等における情報を徹底して収集する。また、国、関係県及び関係機関と連携して、飼料の製造、流通や動物用医薬品等段階における肉骨粉等の使用の有無等については確実に把握する。

チェックリスト(pdf)

(5)消毒などの措置
当該農場等は、法第25条に基づき、十分に清掃、水洗及び消毒を行う。

(6)汚染物品の範囲
 患畜の特定部位又は異常プリオン蛋白質による汚染のおそれがある物品は汚染物品とする。なお、患畜生存時の患畜に由来する糞尿、生乳、精液、受精卵及び未受精卵は、汚染物品にはあたらない。

(7)防疫員は、1の(2)のイの疑似患畜を発見した場合は、1の(2)のアの(ア)及び(イ)を準用して当該疑似患畜との同居歴等から疫学的な関連性が高いと判断される牛について、(3)に準じた措置を講ずる。また、当該牛が死亡し、又はとう汰された場合は、Uの3によるBSE 検査の結果を確認する。

3 疫学関連農場の措置
 患畜が飼養されたことのない農場における疑似患畜については、移動の制限を実施するが、その他の牛については特段の措置を講じない。

4 と畜場における発生時の措置
(1)エライザ法で陽性と判定された場合

ア と畜場の所在する県の畜産主務課は、県食肉衛生検査所等を通じて出荷農場の特定を行うとともに、当該牛から生産された全てのもの(枝肉、内臓、蹄等)とその所在を特定し、と畜場外に搬出されていないことの確認を行うものとする。

イ 当該牛の出荷農場が所在する県の畜産主務課は次の措置を講ずるものとする。

(ア) 当該農場の同居牛について、移動の自粛の要請、飼養状況、飼料給与状況等の事前把握。

(イ) 疑似患畜の焼却方法、、同居牛の病性鑑定運搬方法等についてあらかじめ検討。

ウ 当該牛から生産されたものが所在する県の畜産主務課は次の措置を講ずるものとする。

(ア) 当該牛から生産されたもののうち汚染物品となる可能性のあるものの留保の指導、確認。

(イ) 汚染物品の焼却方法等についてあらかじめ検討。

(2)患畜と診断された場合

 当該と畜場の所在する県の担当家保は、と畜検査員が指導して行うと畜場の消毒患畜の焼却の確認を行うものとする。

イ 患畜の出荷農場が所在する県の担当家保は、出荷農場の同居牛について、疑似患畜を特定し、当該所在県の畜産主務課はVの2に定めるところにより病性鑑定、焼却処分及び消毒を行うとともに、肉骨粉飼料、動物用医薬品等の給与及び投与状況等の疫学調査を進める。

ウ 患畜から生産されたものが所在する県の畜産主務課は、次の措置を講ずる。

(ア) 患畜から生産されたもののうち汚染物品の留保。

(イ) 汚染物品の焼却方法の指示。

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(別添1)

牛海綿状脳症検査に係る解剖及び採材方法

1 服装、器具
 フード付きディスポーザブルのつなぎを着用する。、頭部はつなぎのフードをかぶりマスクとフェイスシールドを着用する。二対のディスポーザブルグローブの間に切創防止用インナーグローブを着用し、作業着の袖口と一番外側の手袋はテープで固定する。刀等は出来る限りディスポーザブルのものを使用する。

2 採材箇所
 次のいずれかで行う。

(1)脳のみを採材する。延髄の一部を密閉容器に入れ(バッファー等は使用しない)4℃(氷詰)保存し、残りの部分は右半分を4℃(氷詰)保存し、左半分を10%中性緩衝ホルマリンで固定する。

(2)大孔法により、脳幹部のみを採材する。

(3)脳が融解液化していると考えられる場合は、大孔法に準じて脳幹部のみを採材する。

※BSE を疑う中枢神経症状等を呈した牛については、開頭法により脳全体を採材することとする。脳は正中で縦断して、右半分を生材料、左半分を中性緩衝ホルマリン固定材料とする。

3 術式

(1)大きなシートの上又は施設及び汚水が消毒可能な場所で解体し、死体は全て焼却する。ただし、疑似患畜以外のものにあっては、陰性が確認された後に肉骨粉処理を行い、焼却し、又は化製場等に関する法律に基づき埋却若しくは焼却することを妨げない。

(2)生体は可能な限り全身麻酔下で放血殺する。放血にはカニューレを用い、血液はビニール袋等に出来る限り回収する(大孔法による場合及び死亡牛については、この限りでない)。回収した血液は焼却処分するが、陰性が確認されたもののみであれば他の衛生的な処理を行うことも可能である。

(3)脳のみを採材する。組織片の飛散を避けるため、開頭には鋸その他家畜防疫員が適当と認める方法を用いる。主病変は脳幹部に存在するので、この部位を破損しないよう十分注意する。大孔法による場合には、別紙1により、脳幹部を採材する。

(4)別紙2により、延髄の一部を4℃(氷詰)保存用に採材する。小脳及び脳の残りの部分は正中で縦断して、右半分を4℃(氷詰)保存し、左半分を10 %中性緩衝ホルマリンに侵漬する。

(5)脳が融解液化していると考えられる場合は、大孔法に準じて別紙3により、延髄5g程度を4℃(氷詰)保存用に採材する。

※ 解体時は、出来る限り血液や内容物が散乱しないように注意し、回収して焼却処分する。

4 終了後の洗浄、消毒

(1)解剖器具は焼却可能な布等で汚れを落とした後、2N NaOH に2時間以上浸漬し、その後水洗する。

(2)解剖室は有効塩素濃度2%の次亜塩素酸ナトリウムで消毒する。

(3)ディスポーザブル用品は全て焼却する。長靴については履いたままブラシを用いて次亜塩素酸ナトリウムで洗浄した後、更に次亜塩素酸ナトリウムに一昼夜漬けて消毒する。(4)器具等については、1 134 〜 138 ℃、3気圧、8 分間のオートクレーブ滅菌も可能である。

5 動物衛生研究所への材料の搬入

(1)県畜産主務課を通じ、衛生課に連絡するとともに、原則として家保においてエライザ検査を行う。エライザ検査が陽性の場合は、動物衛生研究所へ材料を病性鑑定依頼書及び別記様式3を添えて搬入する。

(2)搬入材料

ア 生材料:別紙2に準じ、縦に分割した延髄約5 g を採材し、閂部約3pとその前後を別の密閉容器に入れる、。、なお容器は密栓した上周囲を2N NaOH で消毒し、さらに頑丈な輸送用の容器に収める。この輸送用容器ごとクーラーボックス中に収めて冷蔵にて動物衛生研究所に搬入する。検体を送付する場合には下記の検体の郵送に当たっての注意に従う。延髄生材料をやむをえず長期間保存する際は密閉容器に入れて-80 ℃保存する。なお、エライザ検査に供試した乳剤の残りについても動物衛生研究所に送付する。

検体の郵送に当たっての注意
 郵便規則(昭和22年逓信省令第34号)第8条第2号及び第3号に基づき、国連規格容器による適切な包装等を行い、送付すること。
 なお、差出しにあたっては、当該郵便物の輸送方法を自所の配達を受け持つ集配郵便局(以下「受持郵便局」という。)に照会し、輸送方法により次のとおり措置の上、当該郵便局に差し出すこと。

1 送達の途中で航空機による輸送が行われない検体在中郵便物
次の様式の紙片に必要事項をすべて記入し、郵便物の表面の見やすいところに貼付すること。

品名:牛の組織等「危険物」※
差出人:
   自治体名:
   検査所名:
   住所:
   電話番号:
   資格:家畜防疫員(獣医師)
   氏名:

※:朱記すること。

2 送達の途中で航空機による輸送が行われる検体在中郵便物
(1) 次の様式の紙片に必要事項をすべて記入し、郵便物の表面の見やすいところに貼付すること。

品名:牛の組織等「危険物」※1
国連番号:
差出人:
   自治体名:
   検査所名:
   住所  :
   電話番号:
   資格  :家畜防疫員(獣医師)
   氏名  :
ドライアイス○○s在中※2

※1:朱記すること。
※2:ドライアイスを入れて送付する場合は朱記すること。

(2) 検体を格納する容器は「国連規格容器」とすること。

(3) 1容器当たりの内容量は、液体の場合は1,000ml 未満、個体の場合は50 gを限度とすること。

(4) 郵便物の表面の見やすいところに輸送許容物件表示ラベル(分類番号:6.2)を貼付すること。(注2)

(5) 国連規格容器の外側にドライアイスを入れダンボール等で包んだ場合は、郵便物の表面の見やすいところに輸送許容物件表示ラベル(分類番号:9)を貼付すること。(注2)

(6) 上記(5 )の場合は、郵便物の引受時に、検体が国連規格容器に格納されているかどうかを確認するため、郵便局職員が外側のダンボール等の開示を求める場合があるので、これに応じること。

(7) 危険物申告書を2部作成し、小包とともに差し出すこと(注3)
 なお、小包には、「危険物申告書在中」と記載した開封された封筒を貼付すること。郵便局において危険物申告書の内容を確認した後、返付されるので、郵便局職員立ち会いのもと、当該封筒に封入すること。

(注1) 航空機による輸送の場合、航空法第86条、航空法施行規則第194条及び関係告示等による規制を受ける。
(注2)ラベルの様式は参考2のとおり。(受持郵便局に必要分を請求すること。)
(注3) 危険物申告書は別記様式5のとおり。(なお、当該申告書については、今回の検体輸送用に郵政事業庁・各航空会社間で特別に定めたものであり、他には使用できない。)

イ 固定材料(病理組織学的検査及び免疫組織化学的検査に使用する10。):10 %中性緩衝ホルマリンで固定する。固定容器の周囲を2N NaOH で消毒後、ホルマリンが漏出しないように注意して動物衛生研究所に搬入する。

6 消毒等の措置

@ 病性鑑定施設は有効塩素濃度2%次亜塩素酸ナトリウム等で消毒する。

A 患畜・疑似患畜の死体、と畜場残さ等は、学術研究の用に供される場合を除き、焼却処分することとし、800 ℃以上で完全に灰となることを確認した後、埋却処分すること。その他の検査畜については、死体を直接焼却、陰性を確認した後に肉骨粉処理を行い焼却又は化製場等に関する法律に基づき埋却することとする。

7 問い合わせ先

動物衛生研究所 病性鑑定室(Tel:0298-38-7774)
(上記不在の場合 感染病理研究室(Tel:0298-38-7837)


(別紙1)大孔法の手順(pdf)

(別紙2)採材方法(pdf)

(別紙3)

脳が融解液化している場合の採材方法

脳が融解液化していると想定される場合は、大孔法の手順(別紙1)による採材に準じて行う。

1)ヘラ状のスプーン(薬匙またはBSE 検査材料採材用スプーン)を用いて脳幹部5g程度をかきとる。

2)ある程度の形状を保っている場合には、閂部(Obex)近傍の領域を採材する。

3)完全に融解している場合には、かきとった試料を混合(コニカルチューブに入れてボルテックス)し、全体を均一にした後秤量、採材する。

BSE 検査チャート(pdf)

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(別記様式1)

異常牛等の発生届出事項

   県家畜保健衛生所

1 届出受理年月日時間:   年   月   日   時   分

2 届出者
  氏名:            (職  業:           )
  住所:             (電話番号:           )

3 発生農家
   住   所:           (電話番号:           )
   所有者氏名:

4 届出事項
   異常頭数:    、品種    、生年月日(月齢)     、性別    
  当該牛の生産地:      、導入元:     、 個体識別番号:       

5 主な中枢神経症状
 ア 性格の変化
 イ 神経過敏(音・光・接触・その他)
 ウ 頭を低くし、柵等に押しつける
 エ 歩様異常、後躯麻痺
 オ その他(                            )

6 その他の症状:

7 5及び6の病状の経過

8 すでにとった措置:

9 動物性蛋白質飼料給与歴の有無:
    有・無(有の場合、種類:        、給与歴:       )

10 届出者への指示事項:

11 届出受理者氏名:

12 処置
(1)通報(時間)
      家保:            県畜産主務課:
(2)現地調査
      氏名:            出発時間:


(別記様式2)

BSEを疑う牛についての届出の報告

          県衛生主務課  
農林水産省生産局畜産部衛生課  あて
(独)動物衛生研究所

                                                                                      都  道  府  県 名:        
                                                      家畜保健衛生所名:        
                                                      担   当   者   名 :        

1.検体番号( 県畜産主務課の通し番号):

2.発見日又はエライザ法で陽性になった月日:

3.牛の情報
品種:         用途:          生年月日(月齢):                  性別:
個体識別番号:
臨床症状(該当するものに○をつけ、これ以外の場合、オに記入してください)
  ア 性格の変化
  イ 神経過敏(音・光・接触・その他)
  ウ 頭を低くし柵等に押しつける
  エ 歩様異常、後躯麻痺
  オ その他(
                                                                                              

4.動物性蛋白質飼料給与の有無(有の場合は、動物性蛋白質飼料の種類)
      有・無(種類:                                    

5.当該家畜の処理
      全焼却・その他(           )

6.その他、追加すべき事項(臨床診断、OD値等)

※動物衛生研究所に送付する場合、別添としてエライザ検査の結果(生データの写し)を送付すること。


(別記様式3)

都道府県名:               
家畜保健衛生所名:               
担当者名:               

牛海綿状脳症(BSE)検査材料の詳細

1.検体番号(都道府県の通し番号):

2.採材月日:平成  年  月  日
(検査施設への)送付月日:平成  年  月  日

3.検体の採材事由(マニュアルに基づき分類):
(当該検体の報告)            家畜防疫員・獣医師・所有者

4.家保でのエライザ検査の結果    陰性・陽性(    月  日)

5.肉骨粉等を含む飼料給与の有無:有・無
   有りの場合  当該飼料の種類

6.当該牛の情報
   品種:        (ホルスタイン種、黒毛和種、交雑種等の別)
  用途:        (繁殖、肥育等の別)
  生年月日(検査・死亡時月齢):  年  月  日(  か月齢)
  死亡(推定)年月日:   年  月  日(  か月齢)
  性別:
  個体識別番号:

7.当該家畜の処理         全焼却・その他(     )

8.その他追加すべき事項(病歴、臨床症状の経過、臨床診断名等)

※動物衛生研究所に送付する場合、別添としてエライザ検査の結果(生データの写し)を送付すること。
※家畜保健衛生所におけるエライザ検査結果が陰性の場合にも、随時衛生課あて本様式により報告すること。
※ BSE 発生国から輸入された牛、肉骨粉等が給与されていた牛及び平成8年3月及び4月に生まれた牛については「8.その他追加すべき事項」にその旨を記載すること。


(別記様式4) 死亡牛届出等状況(pdf)

(別記様式5) 郵便物に含まれる危険物申告書(牛の組織等)(pdf)

(別記様式5)(記入例)(pdf)

(参考1)<BSE患畜決定までの流れ>(pdf)

(参考2)輸送許容物件表示ラベル(pdf) 


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