平成13年夏合宿 (北ア:白馬岳〜朝日岳〜蓮華温泉・縦走)



8/2(木)
 午前8時にJR石山駅前で集合。いっちゃんのクルマで名神・中央道を経て一路、白馬村へ向かう。 午後、今夜の宿であるレンタル・コテージ「HAKUBA megeve(ムジェーヴ)」に入る。 ここは、キッチン付きのログハウスで、食事の提供はないが、外食するなり自炊することにより、グループで観光や登山、スキーの拠点として使うと安くつく。オープンして4年ほどで明るく綺麗なコテージだ。 風呂やトイレなどのアメニティも清潔で広く気持ちがいい。
 少し涼しくなった夕刻より、オーナー一家とバーベキューをする。 普段は鶏肉を好まない私であるが、前の日から仕込んでいたというタンドリーチキンがうまかった。

8/3(金)
 早朝、ムジェーヴの奥さんの真心がこもった特製の朝食をいただいた後、6時半にコテージを出て、ご主人の運転で猿倉の登山口まで送ってもらう。よく晴れ暑い一日になりそうだ。
 猿倉は次々とバスから降りてくる登山者であふれていた。最盛期のポピュラールートなので覚悟はしていたのだが、それにしても人の多いこと。長い列に加わって白馬尻まで歩く。
 白馬尻で一服の後、登山路をしばらく登ってから大雪渓に降りる。ここで猿倉で念のために購入した軽アイゼンを装着。ガスまじりの雪渓を蟻の行列に加わって登る。雪渓が初体験のH女史であったが、ゆっくりした行列の歩みのため、思ったより楽だったようだ。雪渓の途中で1回、避難小屋のところで1回休憩をとる。フルーツと、ムジェーヴの奥さんが作ってくれたおにぎりがおいしかった。
 村営頂上宿舎に到着。売店のにいちゃんの売り言葉についつい乗って冷えたジュースを買い一気飲みする。いっちゃんは缶ビールをうまそうに飲んでいた。
 午後2時前、白馬山荘に到着。山頂はどうせ明日通過するので登らず、とくにすることもないので部屋で昼寝をしたりで過ごす。客が多いため、布団1枚に2人という指示があった。混雑した山小屋が初体験のH女史はどうなることかとしきりに心配している。
 食事は、他の小屋より800円高いだけあって、質・量ともに山小屋としては満足できるもの。従業員の若い人たちがきびきびとしていて応対の態度も良い。
 食後、小屋の前から夕暮れの景色を眺める。28年前に白馬山頂で見た荘厳な夕焼けに比べるとさほどでもなかったが、西から南にかけては夕焼け、東に雲の中の稲光りという印象的な光景だった。足下には灯りのともった村営頂上宿舎が見える。

ムジェーヴ 6:30 −(クルマ)− 7:00 猿倉(出発前点検等) 7:10 − 8:10 白馬尻 8:25 − 8:45 大雪渓とりつき 8:55 − 10:30 葱平 10:40 − 11:50 お花畑避難小屋(昼食) 12:20 − 13:15 村営頂上宿舎 13:35 − 13:50 白馬山荘(泊)・発 − 7:00 猿倉(出発前点検等) 7:10 − 8:10 白馬尻/8:25 − 8:45 大雪渓とりつき 8:55 − 10:30 葱平 10:40 − 11:50 お花畑避難小屋(昼食) 12:20 − 13:15 村営頂上宿舎 13:35 − 13:50 白馬山荘(泊)


   猿倉にて、いよいよ出発!

   白馬尻から大雪渓を望む

   大雪渓を登る

休憩場所も人だらけ

村営頂上小屋下部で

白馬山荘より白馬岳を望む

白馬山荘の夕食はおいしかった

いつ見ても美しい山の夕暮れ

すしづめの小屋

8/4(土)
 夜中、いっちゃんのいびきや肩が触れ合う窮屈さで熟睡できなかった。
 朝食の後小屋を発つ。昨夕の天気予報ではとくに悪い天気と言っていなかったが、ガスと強風の中、雨具を着用して、視界の無い白馬岳山頂に立つことになった。昨年の夏合宿(中ア:木曽駒)では、雨でH女史のメガネが再三曇ってしまい、山行の続行をあきらめて早々に下山したのだったが、その反省から、今回H女史はコンタクトレンズという新兵器を装備していた。 おかげで今日のような悪天候でも心配なく歩みを進めることができる。さて、記念写真もそこそこに三国境に向けて下る。今日も登山者の列が続く。三国境で白馬大池方面への人たちと別れてから、やっと静かな山旅となった。あいかわらず強い西風が吹き、稜線の東側に回ると嘘のように静かになるということの繰り返し。他の山域と異なり、このルートでは規制のロープなどが張り巡らされることもなく、様々な高山植物がいたるところに咲き揃い、足もとにさりげなくこまくさが咲いていたりする。
 雪倉岳の山頂で一服する頃から雷鳴が聞こえるようになり、念のためザックカバーも装着して歩き出して間もなく雨。 それも次第に強くなって小桜ヶ原のあたりでは土砂降りになった。28年前の夏に、先輩と2人で今回とは逆に蓮華温泉から針木岳まで縦走した(文末に記録を転載)。その時にしばしの休憩をとった小桜ヶ原の美しさが忘れられず(その時のスナップを掲載)、それが今回の計画の動機にもなったのだが、木道が整備され、晴れていればさぞや美しいであろうお花畑と池塘の風景も、うらめしい顔を雨具のフードに包んで黙々と通過するのみである。
 足を停めて昼食をとる場所も無く、一気に朝日小屋まで急ぐことにする。水平道とは名ばかりの小さなアップダウンが続く白馬水平道を経て、ガスの中に忽然と姿を現した朝日小屋にたどり着いた時にはほっとした。
 小屋は白馬山荘同様に最盛期ということと天候のせいもあって大混雑だった。入ってすぐの土間には濡れた雨具が所狭しと吊り下げられ、その下に宿泊申し込みの客が順番を待っている。靴箱はとうに満杯で入りきらない湿った登山靴がそこかしこに並んでいる。小屋は急遽臨時の乾燥室をしつらえるなど対応に精一杯の様子だったが、元々の収容能力が大きくないため、ここでも布団1枚に2人のすしづめで、階段や食堂、水場などラッシュなみの混雑だった。今年からなったという元気いっぱいの女性管理人と若い従業員のチームワークのとれた動きが爽やかだった。
 濡れた物を乾燥室に干してから食堂で昼食を作る。カップラーメンと魚肉ソーセージ、チーズかまぼこなど。雨の中のハードワークがたたってか、H女史は少し体調を崩して、この昼食のみならず、食前酒の付いたおいしい夕食もあまり進まないようであった。昨晩の反省からいっちゃんのいびき対策のために、頭と足をお互いに逆にして寝たが、同室者の中にもっともっと上手の大いびきかきがいて、いっちゃんともども熟睡できなかった。

  白馬山荘 6:30 − 6:50 白馬岳山頂 − 7:25 三国境 − 8:40 雪倉岳避難小屋 − 9:15 雪倉岳山頂/9:35 − 10:55 小桜ヶ原 − 11:40 白馬水平道分岐 − 13:15 朝日小屋(泊)


雨具を着用していざ出発!


白馬岳山頂はガスの中

ガスの登山路を黙々と行く

雪倉岳山頂にて

おいしい朝日小屋の夕食も喉を通らず


8/5(日)
 昨日とはうってかわった好天である。朝食の後、小屋の前で記念写真を撮る。ここにも25年前の記念写真を掲載しよう。ちなみに、この当時から登山靴は3代目、ザックは4代目に変わっているのに、上着だけ同じものをまだ着ている。大変長持ちである。余談だが、小屋の女性管理人が人気者で、一緒に写真を撮る人が多かった。この人が朝日小屋のホームページで書いている日記が味がある。一度覗いてみることをお勧めする。
 小屋を後にして朝日岳に登る途中に見る小さな朝日小屋の赤い屋根が、文字通り朝日を浴びて可愛らしく見える。
 朝日岳山頂は大パノラマで、妙高山や剣岳などが間近に望める。登ってきた甲斐があったと思う一瞬である。ゆっくりと眺望をたのしんでから、いよいよ蓮華温泉へと下り始める。このルートもなかなか楽しく、小さな雪渓あり、せせらぎあり、湿原あり、そしてお花畑が続き、とjまったく飽きさせない。25年前に登ってきた時には樹林帯の急登や長く続く登りにバテバテになっていて風景を楽しむどころではなく、ほとんど記憶に残っていなかったこともあり、新鮮な思いで眺めた。
 昨日に続く下りコースのため、いっちゃんと二人とも足に身が入って「歳やなぁ」を連発する。ぬかるんだところが多く、気を付けていてもちょくちょくスリップする。一方、H女史は昨日のダメージもどこへやら、先行してスタスタと行く。
 白高地沢の仮橋は思いの外しっかりとしたもので難なく渡ることができた。次の瀬戸川にはコンクリートの土台の上に鉄の橋が架かっていた。ここは、かつては「モッコの渡し」という、ワイヤーに滑車で吊り下げられた台に乗って手でたぐって対岸に渡るものであった。台に背負子付きザックの脚がひっかかってバランスを崩したまま台が滑り出し、あやうく激流の中に振り落とされそうになって肝が縮まった思い出がある。ここの河原で昼食をとろうと思っていたのだが、以前と違って橋は川よりかなり上にあり、やむなく橋の取り付きでカップラーメンを作って食べる。
 蓮華温泉への最後の登りは随所に木道が敷かれたコースであるが、ひたすら頑張って歩く。途中の兵馬の平は、樹林帯の中に突然ぽっかりと開けた湿原で幽玄な雰囲気だった。蓮華温泉ロッジの前で記念写真を撮り、14時20分のバスでJR平岩駅に向かう。時間があれば露天風呂に入りたかったのだが、たぶん満員だったと思う。またいつかの機会にとっておこう。南小谷経由で白馬に着き、駅前の「白馬ラーメン」で餃子と生ビールで乾杯!megeveに戻る。

  
 朝日小屋 6:10 − 6:55 朝日岳山頂 7:15 − 7:40 吹上ノコル − 9:00 花園三角点上方 9:25 − 10:40 白高地沢仮橋 11:00 − 11:50 瀬戸川鉄橋(昼食) 12:25 − 12:55 兵馬ノ平 13:05 − 13:35 蓮華ノ森 13:40 − 13:55 蓮華温泉ロッジ


朝日小屋

白馬岳をバックに記念写真

朝日岳のお花畑

とにかくそこら中がお花畑

朝日岳山頂にて

妙高山や剣岳も間近に見える山頂からの大パノラマ

蓮華温泉へと下る

兵馬の平の湿原

無事、蓮華温泉に下山

8/6(月)
 ゆっくりと起きて、朝食をよばれ、白馬駅近くの「Aコープ」でお土産に白馬特産のブルーベリーを購入した後、一路大阪に向かう。午後3時過ぎにJR石山駅に到着、解散。とにもかくにも今年の夏合宿は成功裡に終わった。


レンタルログコテージ
HAKUBA megeve(ムジェーヴ)

〒399-9301
長野県北安曇郡白馬村北城836-192
TEL・FAX 0261-72-6622
megeve@janis.or.jp

http://www.janis.or.jp/users/megeve/
(記・カンボ)


大阪・阿倍野山岳同志会機関誌
Chimney No.22 (1973.8)より転載

 
7月19日の15:30頃、わしと橋本氏とは松本駅でおちあった。わしは戸隠からの帰り、橋本氏は遠路はるばる大阪よりである。早速二人で松本市内の深夜営業店をさがしまわった。しかしなし!次に安い旅館を探しまわったが、連れ込みを紹介されたりで、かと云って信州会館に泊まるのももったいなく、結局、一晩蚊と信号機のベルの音と闘いながら夜を明かすこととなった。

[第1日−7/20]
 早朝、松本を出て、「信濃森上」と「南小谷」で乗りかえ「平岩」に着く。「糸魚川」まであと2つか3つである。9時頃迄バスを駅前で待ち、やがて車中の人となる。蓮華温泉迄はガタガタのひどい道で、バスも大変家族的。うとうとしていると知らぬ間にバスが停まっており、わし以外の皆がバスを降りて谷川の水を飲んでいたりする。「ここの水はおいしいのよ」と車掌が云ったそうである。蓮華温泉口の手前からは朝日岳、雪倉岳が見える。女性的な山肌に白い雪の化粧が愛らしい。温泉口でバスを降り温泉まで歩く。温泉まで結構登り下りがある。温泉と云っても見かけは山小屋と全くかわらない。昼食でシスコーンが全く腹の足しにならぬことがはっきりする。仕方なく一路朝日岳へと歩くが、途中で腹がへってカレーを作って食べる。蓮華−朝日間の道は全く不経済な道で、いたずらに遠回りしていて、はりきって歩けど歩けど道ははかどらず、「モッコの渡し」ではモッコに背負子の足をひっかけて危うく急流に呑まれそうとなり背負子とわしと別々に渡ったりで時間はいたずらに過ぎ、ついに朝日岳の下の白高地沢分岐でビバークとなった。
 蓮華温泉口 10:45 − 11:08 蓮華温泉 11:50 − (昼食・約1時間) − 13:50 モッコ橋 14:40 − 15:30 白高地沢分岐(幕営)

[第2日−7/21]
 朝、出発早々、沢の徒渉となり、誤って登山靴、ソックスなどを流してしまい、靴はひろったもののロングソックスはついに行方不明となり、むこうずねむきだして以後歩くはめとなった。徒渉後すぐのカモシカ坂でいいかげんバテる。このルートはいくら歩いても登っているという実感を得られぬイヤなルートである。ガスの中で長々と雪渓をトラバースさされたり、樹林帯がかなり上まで続いていたりする。三角点以降はガスってしまった。時計もどこかで紛失した。結局18時頃山頂に出て、あと同志会ピッチで下ったがそれでも地図で30分の小屋までの下りに40分かかってしまった。この付近の地図のコースタイムは実際とかなりの開きがあり、昭文社版執筆の高○伸○が実際には歩いていないか下りで上りを算出したのではないかという声があちこちから聞こえた。しかしまあともかくも、縦走路のスタート点まで着いた訳で、ウイスキーを久しぶりに飲み、スカみたいな花火をして屁をこいて寝た。
 
白高地沢分岐 8:50 − 12:30 花園三角点上部雪渓(昼食) 13:30 − 15:20 五輪の森 − 16:00 白高地付近 16:30 − 17:10 さわがに新道口 − 17:55 朝日岳頂上 18:00 − 18:40 朝日小屋(幕営

[第3日−7/22]
 朝日小屋の天場を出、白馬水平道を通り雪倉に向う。水と高山植物の豊富なよいルートだ。しかし、高○伸○のコースタイム?!は未だ影響を与えており、なかなかはかどらない。雪倉の池はかなり大きいが、ルートからは少しはずれていて行けず残念。雪倉避難小屋はセメントと石で作ったガタガタの小屋で、どこかのパーティーに占拠されていた。鉢のコル以降、雪渓トラバース中にガスに巻かれ、稜線通しのルートに入ってしまい若干の時間をロス。三国境などはいくら登ってもつかず、そこから白馬への最後の登りの最中に日は雲海の彼方に没しはじめ、白馬の頂上に遅れ気味の橋本氏が着いた時には白馬岳残照というか天空のわずかな残光のみであった。しかし荘厳な、華麗な、神々しい日没であった。昏れは黄金色に満ちていた。雲も紅かった。空は別世界の色だった。こんな素晴らしい昏れをわしはもう見ることはないのではないか。この日はやむなく小屋に入った。
 朝日小屋天場 9:00 − 10:30 白馬水平道終点 10:40 − 10:50 小桜ヶ原 11:05 − 11:30 ツバメ平付近(昼食) 12:15 − 13:18 雪倉池付近 13:25 − 14:50 雪倉岳頂上 14:55 − 15:22 避難小屋 15:50 − 16:48 鉢のコル 17:00 − 18:24 三国境 18:30 − 19:15 白馬岳頂上 19:25 − 19:30 白馬山荘(宿泊)

....(以下省略)